2021年5月6日木曜日

題「衣類」

椿の葉入れて蕨の灰汁を抜き
先行者利益奪取ぞ夏近し
給付受け所得拡大花の冷え
激減すサービス消費春の暮
妄執(もうしゅう)は釣り針のごと春の潮 

NHK短歌 題「衣類」
起き上がる靴下、ズボン、ワイシャツを拾い上げてゆく二日酔ひの朝
田村元

今回のお気に入りの短歌
この野良着二年前まで外出着勝負服なる時もありしが
岩手県山田町 佐々木一歩

出会わないはずだったシャツとスカートが一緒に踊る洗濯の渦
東京都世田谷区 清水晴架
セーターの胸のあたりに鹿がいて、鹿のあたりへ抱き寄せられる
神奈川県横浜市 工藤さえ

絡み合い振り回されての家族だろ洗濯機より浴室へ告ぐ 星野真里
添削
絡み合い振り回されてこそ家族だろうと洗濯機の声浴室で聞く

花びらの色した母のニット着て風になびかすソウルも近い カン・ハンナ
添削
花びらの色した母のニット着てソウルから吹く風になびかす

題「ネイル」
鮮やかな爪の先へと伝わってやがて恵みとなりえる涙 星野真里
添削
鮮やかな爪の先へと沁みわたりやがて恵みとなりゆく涙

幸運を呼び出すネイル剥がすまで一度でいい君に触れたい カン・ハンナ
添削
幸運を呼び込むネイル剥がすまで一度でいい君に触れたい

歌人この一軒
春が軋んでどうしようもないゆふくれて逃れて平和園の炒飯 
荻原裕幸

短歌あなたならどうする?
ちゃーはんと二秒間ほど向かひ合ひまづはコップの水を飲み干す 田村元
星野真里さんが七七を詠みました。
ちゃーはんと二秒間ほど向かひ合ひまづは湯気も残さぬようにかきこむ
(田村元先生の原句より星野真里さんの七七の方が好みです。)

0 件のコメント:

コメントを投稿