猪やせっせと蒐場(ぬたば)造りをり
猪は蒐場(ぬたば)好き好きこすりつけ
河川敷胡桃を食す猪よ
多摩川の裁縫上手雪加(セッカ)かな
筍の下だけ食す猪よ
■100分de名著 ハクスリー❝すばらしい新世界❞②文明社会が捨て去ったもの
堤未果 伊集院光 阿部みちこ
野蛮人居留地
バーナード・マルクス(アルファ階級)
レーニナ(ベータ階級)
ジョンにはリンダという母親がいます
「どうしてこんな生活ができるのかしら」
信じられない気持ちを憤慨とともに声に出した。
「❝清潔こそフォード的生き方❞なのに」
「でも、ここの人たちはわれらがフォード様のことを
聴いたことがないし、文明化されていないからね。(略)」
「ね!あれ見て」レーニナが腕をつかむ。
顔は白くて皺が深く刻まれ、黒曜石の仮面をかぶっているようだ。
(略)背中は曲がり、ほとんど肉のない骨と皮ばかりの痩せた身体をしていた。
「年をとっているだけだよ」バーナードはできるだけさらりと言った。
「年をとってる?でも、センターの所長だって年をとってるじゃない。
高齢者は大勢いるけど、あんな人は一人もいないわ」
「僕たちの方じゃ高齢者があんなふうになるのを許さないからだよ。
病気を予防する。内分泌物のバランスを若いときの状態に人工的に保つ。
若い血を輸血する。新陳代謝をつねに促進する。
だからあの年寄りのようにはならない。(略)」
「ああ、嫌だ」レーニナが小声で言った。不快な現実は次々に襲ってきた。
二人の若い女が乳房を赤ん坊に含ませているのを
見たときには赤面して目をそむけた。
そんな破廉恥なことは見たことがなかった。
ああいう親密な関係っていいね」と
バーナードはわざと良識に反することを言った。
「きっと強烈な感情が湧いてくるんだろうなあ!よく思うんだよね。
人は母親を持たないことで何かを手に入れ損ねているのかもしれないって(略)」
「もう行きましょうよ」レーニナは懇願した。「ここは嫌」
「すばらしい新世界」黒原敏行訳より
文明社会とは真逆!居留地の生活
文明社会 野蛮人居留地
清潔さ 〇 ×
老い × 〇
母親 × 〇
文明社会が捨てたものがそのまま残っている
土着の宗教とキリスト教が融合 本物の宗教
若者が生贄(いけにえ)として鞭打ちを受ける
「あなたたちは文明人でしょう?居留地の外の、別世界から来たんでしょう?」
「きみはいったい…?」バーナードは驚いて訊き返した。
若い男はため息をつきながら首を振った。「僕はとても不幸な男です」
ジョンとリンダ
「馬鹿!」リンダは叫び、急にジョンをぶちはじめた。何度も、何度も…。
「リンダ、お母さん、ぶたないで!」「わたしはお母さんなんかじゃない。」
「野蛮人になりさがって、動物みたいに子を産んで… あんたさえいなければ、
わたしは監督官のところへ行って、帰らせてくれるよう頼んだのに。(略)」
母親になったリンダの苦悩
ジョンが喜びを感じること
「なぜ僕を生贄にしてくれないんだろう。僕ならあの二倍の血を流しましたよ。
❝見わたすかぎり波また波の大海原を朱(あけ)に染め❞て」
(マクベスの一説)
「でもやらせてくれない。僕は❝個の顔色で❞嫌われているんです。(略)」
(ベニスの商人)
❝人は、ほほえみ、ほほえみ、しかも悪党たりうる❞。
❝情け知らずの、恩知らずの、女たらしの、人でなしの、大悪党め!❞
こういう言葉は正確にはどういう意味だろう。なんとなくしかわからない。
それでも魔法は強力で頭の中でごろごろ鳴りつづけた。
前は本当にはポペがを憎んでいなかったかのように思えた。
どれほど憎んでいるかを言い表せなかったから、
結局それほど憎んでいなかったのだ。
だが、今ではあの本の言葉を知っている。
それらはポペを憎み理由を与えてくれた。
それ以降ジョンはシェークスピアの言葉を口にするようになったのです。
「僕はいつも独りぼっちでした」とジョンは言った。その言葉は
バーナードの胸に悲し共鳴を生んだ。いつも独りぼった…。
「僕もそうだよ」と思わず真情を吐露した。「ものすごく独りぼっちだ」
「そうなんですか?」ジョンは驚いた顔をした。
ジョンは大きく息を吸った。「ああ、これが本当のことになるなんてー
僕はずっとこのことを夢見てたんです。」「❝ああ、すばらしい新世界、
こういう人たちがいるとは!❞。すぐ出発しましょう」(テンペスト)
テンペストの中で
父と怪物以外を孤島で育った娘ミランダが
人間の一行を初めて見て言う言葉
「もやもや」しているだけでは感情として体にないってこない
言語化して初めて意識される
国家は幼児の時に本に近づくと電気ショックを与えて本を嫌いにさせる
感情を言語化したときに初めて私たちは自由意志を持つ
古い時代の人が同じ感情を持っていた
自分の感情を確かめられるのが古典を読む大切さ
バーナードの計略
ジョンとリンダを文明社会に連れていく バーナードの目的は「保身」
ジョンの父親は孵化センターの所長であることをバーナードが気付く
いい場面にしてくれないのがハクスリー
バーナードは成功に心地よく酔い
(良質の陶酔作用を持つ物質を摂取した時と同じだ)、
これまで強い不満を抱いていた世界と完全に和解した。
こちらを重要人物と認識してくれる限り、
この世界の秩序もいいものだった。
もっとも成功によって和解したとはいえ、
秩序を批判する権利は手放したくない。
なぜなら批判という行為によって、自尊感情が強まり、
自分をより大きな存在だと感じることができるからだ。
(と同時に、成功したことと、女の子たちと好きなだけ
セックスできることを本心から歓んでもいたが)
バーナードは自分を巨人のように感じ、
しかも高揚感で空気より軽くなった気分を味わった。
満たされたバーナードの心
承認欲求の罠
0 件のコメント:
コメントを投稿