2021年9月14日火曜日

兼題「栗」

吊り床やひらめき降りて小鳥来る
玄鳥帰るデフォルトモード進行中
黍嵐(きびあらし)拘り持ちて諦めず
南京やカメムシ被害多発せり
信頼と努力結実稲穂かな

ギュッと!四国 夏井いつきの俳句道場
兼題「栗」
さまざまな傍題があるのが季語「栗」の特徴。
毬(いが)に入っている状態の「毬栗(いがぐり)」、
中身がからっぽの「虚栗(みなしぐり)」
熟して毬が開いている栗を意味する「笑栗(えみぐり)」、
産地の名を冠した「丹波栗」「中山栗」など。
さらに地理情報を含む「栗山」「栗林」、
調理して「焼栗」「茹栗」「栗飯」、
菓子として「栗羊羹(くりようかん)」
「栗饅頭(くりまんじゅう)」「栗鹿の子」
「栗きんとん」「マロングラッセ」など、
産地から加工されたものまで幅広い季語をもつ。

▼選句ポイント
季語「栗」が動かない
俳句の世界では「季語が動く」という評言がある。
他の季語に替えても一句が成立してしまう時に使う言葉だ。
特に「栗」のような季語は、
「梨」でも「柿」でもいいじゃないかという具合になりがち。
今回は、季語「栗」でなければ成立しない句を選んだ。

ギュッと!特選
原始よりをんなは栗を拾ひけり   伊奈川富真乃

秀作
栗むくやナイフの跡は多角形   じょいふるとしちゃん
摑(つか)み取る栗一キロの手の形   友健
柴栗の弾(はじ)ける墓や父母の墓   こぼれ花
毬(いが)栗や昨日幹太は父になり   南側
栗の毬触らぬように触れる嘘   あたなごっち
縄文は熾火(おきび)の栗の爆(は)ぜ合(お)うて   亀山酔田
栗の皮剥指先に黒き香(かざ)   水晶文旦
栗茹でる悲しきことのありし宵   西村小市
怠惰なる兄悶々と栗を剥く   染井つぐみ
栗落ちて昔話の終りけり   聞岳
結願の寺へ道々ひろう栗   夏草はむ

佳作
栗という大きな種を茹(ゆ)でて食う   れんげ畑
お仏飯(ぶっぱん)の栗小さめに切ったよ   織部なつめ

解説
似たような発想を「類想」、似たような句を「類句」という。
俳句でよく使ってしまいがちな「~の味」
「思い出」「想う」は、要注意の「凡人ワード」。
「凡人ワード」に頼ると、類想類句の句になりやすい。

NHK松山放送局さま 今回も纏めてくださり感謝!感謝です!
ありがとうございました。
https://www.nhk.or.jp/matsuyama-blog/gyutto/haiku/

0 件のコメント:

コメントを投稿