2021年7月31日土曜日

題「SNS」

汗溜まるジャパンブルーのマスクかな
手を引かれ茅の輪くぐりや一歩ずつ
天然に拘る染め師夏の山
夏祭道を外れた恋の末
他人傷つけて夏の京都で法話とは

NHK短歌 題「SNS」
選者 佐伯裕子さん

私のお気に入り入選句
散弾銃のようにひろがるツイートの死体が見えない白い戦場
群馬県前橋市 朝比奈 諒
九十で始めたちぎり絵UPしてセツさんは行く世界中を今
神谷川県横浜市 臼井慶子
タイムラインにそつと上がつた夕焼けの写真だれかのかなしみのごと
東京都八王子市 石川泰平

短歌ドリル 
「物の名前・固有名詞を入れる。
 要素を詰めすぎない。」

君からのLINE画面に映りたる太平洋の青が眩しい
田中拓也

雨ふらす雲を切り裂く刀のごとし一塔流の宮本六三四
小島よしお 添削
雨ふくむ雲を切り裂くスカイツリー一刀流の武蔵の刀

ヴェネチアのリアルト橋の動画よりうまや橋のがいいねが多い
小島よしお 添削
ヴェネチアのリアルト橋の動画よりいいねが多い我がうまや橋

インスタでパスタの写りに拘って空の青さに気づかない夏
小沢一敬 添削
インスタのパスタの映りに拘って空の青さに気づかなかった

満月と酒に酔わされお笑い論投稿したけど翌朝削除
小島よしお 添削
十五夜の月に酔わされお笑い論投稿したけど目覚めて削除

海を見て過ぎて行く時間(とき)に思い出す連絡先が消えていた夜
小沢一敬 添削
駿河湾過ぎて行く時間(とき)に思い出す連絡先が消えていた夜

一面のラベンダーと共に写真おさめたつもりがブルーサルビア
小島よしお 添削
一面のラベンダーの前に立っていたつもりが写真はブルーサルビア

喋ってる彼女の声が聞こえない東郷神社蚊のいる夏の夜
小沢一敬
喋ってる彼女の声が聞こえない東郷神社に蚊は飛んでいて

2021年7月30日金曜日

兼題「風鈴」

竹落葉風に任せて空を舞う
夏場所や格闘技と見間違え
炎昼や藍そうめんの酢橘添え
爪染めて藍を想像BUAISOU(無季句)
本藍や異端楽しむ人のをり(無季句)

俳句さく咲く! 兼題「風鈴」

宿題
置き去りの風鈴ひびく空き家かな   いとうまい子
風鈴のをちこち鳴りて高円寺   塚地武雅

私のお気に入り入選句
客発ちて風鈴の音の残りけり   岡田育子
風鈴や爪研ぐ柱やはらかに   山上秋葵
風鈴に風のつまずく小昼かな   福永浩隆

俳句、二歩目へ
いきいきと死んでゐるなり水中花   櫂未知子

俳句ドリル 7月の課題
香水のあの人遠く去りにけり   いとうまい子
香水の香りぞ懐かしく思ひけり   櫻井紗季
添削 なつかしき香水の香に出合ひけり
香水の香る貴方にもたれけり   塚地武雅
添削 貴方からあなたへ
香水のせいだと吾も謳いけり   田中要次
香水の香を絵手紙に残しけり   マネージャー
添削 絵手紙を絵はがきへ

2021年7月29日木曜日

2020東京オリンピック 俳句

津田の盆踊り開会式で粛々と(山田貞子)

夏陽射し強さが眩し跳ぶ雄斗(堀米雄斗)

炎昼や十三歳の金メダル(西矢椛)

炎(も)ゆ思ひ妹が金兄が金(阿部一二三&詩)

金奪取喜びのハグ汗と汗(水谷隼と伊藤美誠)

夏の夜おんぶした子と金メダル(水谷隼と伊藤美誠)

おんぶから同志のハグへ熱帯夜(水谷隼と伊藤美誠)

炎熱や期待に応え見事金(大野将平)

完璧を魅せし4人よ夏の星(体操男子団体)

炎熱よ0.1の差の銀よ(体操男子団体)

絶好のビックウェーブ釣ヶ崎(無季句サーフィン)

高波へ果敢に挑み銀奪取(五十嵐カノア)

夏旺ん延長戦を制し金(大野将平)

泳ぎきり二個目も金を奪取せん(大橋悠依)

夏の星美しすぎる演技で金(橋本大輝)

夏井いつきのよみ旅!in鹿児島(後編)

歳重ね価値は下がりて溽暑かな
水無月の心に響かないピアノ
蜘蛛の巣や雨の溜まりてきらきらと
蓮の葉やまけまけいっぱい雨を溜め
手水舎でたわむる仔犬青山椒

夏井いつきのよみ旅!in鹿児島(後編)

夏風のドカ灰恋し桜島   吉田茉莉子 火山女子

魂は細部に宿る   ROLAND

百年は故郷の溶岩(らば)濃緑(こみどり)へ   西野康子

手ビナゴの輝く帯はえびす顔   柴ひかり 市場のアザラシ

大叙事詩完結し薔薇再生す   亀﨑朝子(ともこ)

子猫跳ぶ獲物を追いて散椿(ちりつばき)   田中璃杏

先の見える人生の方がもっと怖い   ROLAND

椿の実ふとりて子らの声ゆたか   夏井いつき

2021年7月28日水曜日

百年前の三角関係

夏休み点けっぱなしのYou-Tube
サンドレス涙流して絶唱す
山法師の花陽に咲き散りゆかん
(過疎地)七月や二桁の感染者
梅雨あがるハマボウの咲く新地川

中原中也と小林秀雄と長谷川康子の三角関係

1923年3歳年上の長谷川康子と知り合い、翌年同棲。
1925年に二人で上京。その年の春小林秀雄と出会う。
その年の11月康子は秀雄のもとに走る。

「私は逃げられるや、その後一日々々日が経てば経つ程、
 私はたゞもう口惜しくなるのだった。」
「私は『口惜しくなるのだった。』
「私は『口惜しき人』であった。」と、中原中也…。

朝の歌(中原中也の代表詩)

天井に 朱(あか)きいろいで
戸の隙間を 洩(も)れ入る光、
鄙(ひな)びたる 軍楽の憶(おも)ひ
手にてなす なにごともなし。
小鳥らの うたはきこえず
空は今日 はなだ色らし、
倦(う)んじてし 人のこころを
諫(いさ)めする なにものもなし。
樹脂の香に 朝は悩まし
うしなひし さまざまのゆめ、
森並は 風に鳴るかな
ひろごりて たひらかの空、
土手づたひ きえてゆくかな
うつくしき さまざまの夢。

五七調「朝の歌」には深い喪失感はあるが
混乱はなく、澄明な静かな心の世界が伝わってくる。
と、吉田健一氏も秋山駿氏も考えておられたようです。

康子宛ての手紙には
「芸術とは、人が、自己の弱みと戦ふことです。」
「人のやうに虚勢を張れません。
 そこで僕は底の底まで落ちて、神を摑むのです。」
と、中原中也は記しているそうです。

長谷川康子の心境が知りたくなりました。
百年前の三角関係を未だに取りざたされるだなんて…。

2021年7月27日火曜日

凡人からの脱出

夏の風小舟揺蕩(たゆた)う吉野川
横座り汲み交う時間夏の月
拓郎より鷹羽遣ひを習ふ
蝉静か今朝は群れずに弧を生きん
夏休み声の限りに親を呼ぶ

夏井いつき俳句チャンネル
【凡人あるある】凡人パーツを推敲してみましょう

夏休みみんなといっしょキャンプかな
夏休みみんなとあそぶ川遊あそび
夏休みみんなたのしくバーベキュー

推敲ポイント 
みんなを使わない 
あそぶとあそびは重ねない
キャンプにみんなといっしょは要らない
みんなたのしくは当たり前

中七を変える
みんなたのしく→独りですねる
新しい情報を加える

ポイント1 ほんのちょっと具体的に書く
ポイント2 要らない言葉を省く

夏休み動物園でえさやった
夏休み亀のえさやりおいしそう
なつ休みはじめて小牛にミルクやる
(それぞれの言葉が具体的でオリジナリティがある。
具体的に書くことでリアリティも手に入る。)

俳句と言うものは言葉のパズル
練習問題
夏休み□亀にえさをやる
□の中に色々入れてみる。
例えば、子供、数、年齢、今日こそなど入れて練習をする。

発想は才能じゃなくて学ぶそれだけのこと

2021年7月26日月曜日

老い

踊沼に嵌りもがかん青葡萄
傷ついた振りもできずに夏休み
ソーダ水青い時間のYouTube
夏の夜忘れることの多からん
短夜はちあき熱唱「ねえあんた」

100分de名著「老い」より
シモーヌ・ド・ボーヴォワール著

ボーヴォワールは生涯を通じて
書くことに向き合ってきました。
「書くとは瞬間を救い出すこと。
 第一が自分の経験を伝達する喜び、
 次に言葉で人や事物を永遠化させる喜び」
 彼女は未来に希望を託していました。

エリザベート・バダンテール 曰く
「子どもを持ちたいと決して願わなかった 
 この女性が世界中の何百万の娘たちの
 精神的な母であることは何と言う矛盾であり
 何と言う勝利であろうことか!」

上野千鶴子女史 曰く
「老いは誰にも訪れる。
 ボーヴォワールの宿題を引き受けなくてはならない。」

2021年7月25日日曜日

渋沢栄一と新渡戸稲造の言葉

光めく夏空の五輪へ拍手
完璧な飛行に涙夏陽かな
夏空へスマホかざして手を振って
逆光のブルーインパルス雲の峰
真夏日や五輪が雲に見え隠れ

渋沢栄一 曰く
「日本では
 人知れず善いことをするのが上である。
 自分の責任はもちろん、
 他人の責任までも追うことが
 武士道の真髄とされる。」

新渡戸稲造 曰く
「他者の感情を尊重することから生まれる
 謙虚さ、慇懃さが礼の根源である。」

2021年7月24日土曜日

炎帝戦 兼題「Tシャツ」

包みにも込めた思いやお中元
物語詰めた料理よ寺の夏
目に美味し精進料理夏の風
夏の快ギネス認定チームラボ
自立して呼応する木々夏の灯よ

プレバト纏め 7月22日 
炎帝戦 兼題「Tシャツ」

1位 犬山紙子
日盛りや母の二の腕は静謐(せいひつ)

2位 東国原英夫
Tシャツの干され西日の消防署

3位 村上健志
まだマシなTシャツを貸す夜の雷(よるのらい)
提案
まだマシなTシャツを貸す夜の驟雨(よのしゅうう)

4位 千賀健永
光るシャツひるぎの森を行くカヌー
添削
シャツ光らせひるぎの森を行くカヌー

5位 ミッツ・マングローブ
白靴の老女の冷ゆ生鮮売り場

6位 梅沢富美男
若夏やTシャツという戦闘服
添削
若夏やTシャツ一枚の闘い

7位 北山宏光
花栗や肌に張り付くツアーロゴ
添削
ツアーロゴ張り付く花栗の真昼

8位 横尾渉
青空の渋谷TシャツCEO

9位 藤本敏史
夏暁(なつあけ)のおなら逞しロンパース
添削(語順)
おなら逞し夏暁のロンパース

10位 千原ジュニア
白シャツ何より白く退院す
添削
白シャツ全(まった)き白や退院す
白シャツ白はこの白退院す

11位 中田喜子
掛け違ふ釦(ぼたん)思春期の白シャツ
(描写が足りない)

12位 春風帝昇吉
海の風火薬の尽きた花火蹴る

13位 森口瑤子
日焼けして上腕二頭筋強(こわ)し
(強しがありきたり、抽象的)

14位 立川志らく
白シャツに染み込むあの日の長崎

15位 松岡充
Tシャツを買うシャツの列汗みどろ

16位 パックン
ランマーにティーシャツかけるレモネード

17位 的場浩司
殺陣(たて)終えて息荒く脱ぐ汗のシャツ

18位 小倉優子
ガレージにチョークののび太夏の蝶

19位 三遊亭円楽
白シャツを干すハンガーの骨も痩せ

20位 筒井真理子
なで肩の詐欺師のシャツの白きこと

向井慧
風死せり喪服の下のエアリズム

岩永徹也
バーチャルの装備に課金す裸の子

2021年7月23日金曜日

槇原・陽水・拓郎への俳句

槇原の「ファイト」に涙送り梅雨
投げやりな言葉の残る夏の部屋
自分への愛壊れない愛持ちて夏
陽水の声子守歌梅雨あがる
拓郎の強き体感夏の山

■にっぽん歴史鑑定 より

つばさこそ重ぬることのかなはずと着てだに馴れよ鶴の毛衣
(夫婦となることはできなくても、
せめて鶴の毛衣ならぬこの衣裳を着なれて下さい。)

よそながら馴れてはよしや小夜衣いとど袂の朽ちもこそすれ
(ご一緒になれないのにこの衣裳を着慣れてしまってよいものでしょうか、
それではかえって悲しみの涙でいよいよ袂も朽ちてしまうでしょう。)
後深草院二条

あなざらむこの世のほかの思い出に今ひとたびの逢ふこともがな
(私はじきに死んでしまうでしょう。あの世に持っていく思い出に、
最後にもう一度だけ貴方に会いたい。)
和泉式部

ねぬる夜の寢覚めの夢にならひてぞふしみの里をけさはおきける
(独りで寝る夜が続いて夢で寝覚める生活に慣れてしまって、
あなたと伏して夢を見るはずなのに(伏見の里で)、
共寝した夜なのに今朝は早々と起きてしまったことです。)

その夜よりわが身の上は知らねればすずろにあらぬ旅寝をぞする
(あなたと共寝したその夜から、私の境遇はどうなるものとも分からないので、
意外なことにとんでもない車で明かすというような旅寝をしてしまいました。)

■一分季語ウンチク 夕焼

「夕焼」というといつの季節でも見られるから
季語ではないと思っていらっしゃる方もいるんですけども
実はこの「夕焼」、夏の季語でございます。
科学的な話をいたしますと
なぜ夕焼が赤く見えるのか?ということですね。
夕日が沈む時に大気中の分子や浮遊微粒子によって
太陽光線の青色の光が散乱、散って行ってしまって
波長の長い赤色や黄色の色が多く残ることによって
夕焼は赤く見られるのだそうです。
割と近代になってから夏の季語として
定着したもののようですよ。

2021年7月22日木曜日

題「まだ・もう」

跋扈するステルス値上げ汗みずく
夏に遭う米のシュリンクフレーション
湯に浸かり老鶯の声目を閉じん
夏に立つ一木造り柔らかく
くらがりの一木造り涼気過ぐ

NHK短歌 題「まだ・もう」
選者 大森静佳先生 ゲストは村上純さん

君の死後、われの死後にも青々とねこじゃらし見ゆまだ揺れている
大森静佳

6月の夕刻過ぎし上空にまだ貼り付いている滲む色
村上純

今週のお気に入り

「まだ」「まだ」が初夏の空を埋めいくひたすら電話かけるわれらの
越湖早苗

まだ見えぬ脚を伸ばしてもう一度伸ばしてぬん、と蝌蚪(かと)の生まるる
脇本文子(蝌蚪は晩春の蛙の子季語)

石ころの多き流れの時は過ぎただ大らかにもうすぐ海だ
坂本ひろ子

もうそれが終の一度と教えてよ樹に触れること海を聴くこと
北入はるか

愛の歌コーナー
世界まだ昏れゆかぬころ膝の上にのせたる顎を涙走りき
岡井隆
代表作
耳は眼を覆わむばかり 雨少女ザムザザムザムわれに蹤きくる 
桜なんか勝手に咲けよまだすこし怨念がある昨日の夢に
海こえてかなしき婚をあせりたる権力のやわらかき部分見ゆ
蒼穹は蜜かたむけてゐたりけり時こそはわがしづけき伴侶
くッと言ふ急停車音広辞苑第三版を試し引き居れば
スラリ一すぢ白色灯を差しかへて脚立を下りる時の眩暈

「大森静佳のポイントで改作」。
今日のテーマは「展開をかんがえよう」。

改作ポイント①
場面をつないでみよう
元歌
蟬の羽化まだかと見詰む子の眠しもうすぐ夢で這い出してくる
選者の改作
蟬の羽化待ちくたびれて眠る子の夢にもうすぐ這い出すいのち
ポイント解説
現実と夢をつなげる
主語(羽化した蟬)をそろえる

改作ポイント
後半から展開してみよう
元歌
蟬の羽化まだかと見詰む子の眠しもうすぐ夢で這い出してくる
選者の改作
やわらかな翅はのびゆく蟬の羽化ながく待ちいし子の夢のなか

蟬の羽化まだかと見詰む子の眠し母が重ねし子の刹那(せつな)かな
村上純
蟬の羽化まだかと見詰む子の眠し「もう」をあずかる鬼の大木
有森也実

2021年7月21日水曜日

兼題「蚊帳」

(2021年)千春から「生きる」を教えられた夏
リバウンド取って夏勝てアンソニー
走れ跳べバスケカウント汗の飛ぶ
汗みずくスリーポイントセーフティ
ダンク決めハイタッチ決め走る夏

NHK俳句 兼題「蚊帳」
選者 岸本尚毅先生 ゲスト ねずっちさん

妹を叩きし姉が蚊帳に泣く   岸本尚毅

「俳句と想像力」今回のテーマ「俳句と夢」

幮(かや)に寝てまた睡蓮の閉づる夢   赤尾兜子

今週のお気に入り
蚊帳吊りし梁に五燭の常夜灯   佐藤強
御法話の準備着々蚊帳の中   森 潤子

岸本直樹の添削道場
蚊帳吊るや繕ひあとは豆絞り   中田喜子
添削
蚊帳吊るや当てたる継は豆絞り

蚊帳の中着てる浴衣は加賀友禅   ねづっち
添削
蚊帳に透け加賀友禅の浴衣かな

幼子の頬つぺに蚊帳の押し模様(投稿句)
添削
幼子の頬には蚊帳の押し模様
幼子の頬なる蚊帳の押し模様

竹馬やいろはにほへとちりぢりに   久保田万太郎
「いろは歌」の冒頭部分をもじって、
「いろはにほへとちりぢりに」と
洒落たユニークな句を ご紹介くださいました。

2021年7月20日火曜日

凡人あるあるシリーズ第2回

午前二時潜りこむ蚊帳寝息かな
蚊帳の中鳴く蚊一匹捕物帳
高丸山流れの起源滴りて
食害を守りてネット夏の山
雨蛙苔を飛び跳ね転げ落ち

夏井いつき俳句チャンネル
凡人あるあるシリーズ第2回
【脱凡人】3~7音の正直な気持ちで「才能アリ」へ!

夏休みパパとやきゅうをしたんだよ
余計なワードはどこか?
「したんだよ」が余計な部分。

かあちゃんといっしょに勉強夏休み
「いっしょに」が余計な部分。
「算数」に変える。
かあちゃんといやいや勉強夏休み(小さなリアリティ)
かあちゃんと朝の勉強夏休み
パズルの知識!知識として知っておくと推敲ができる。

兄ちゃんと兄弟げんか夏休み
「兄弟」が余計な部分。
兄ちゃんに一言いいたい夏休み
喧嘩の後を詠むことで凡人脱出。

デパートでママにつき合う夏休み
「つき合う」という表現が良い。
プラスアルファの才能ありパーツになる。

具体的に言ったり、正直なところを言ったりすると
才能がアリに踏み込める。
3~7音頑張ったら才能アリにいける。

2021年7月19日月曜日

夏井いつきのよみ旅!in鹿児島(前編)

苔生(む)すや高丸山の岩の積む
夏鳥飛ぶ自然林の豊かさよ
見上げれば飛び交う鳥よ植生よ
雨に打たれて輝く緑夏蛙
だしぬけに眉山上空花火咲く

夏井いつきのよみ旅!in鹿児島(前編)

飼い犬の注ぐ視線やサングラス   鳥越淳子

まぶしすぎるんですね未来が   ROLAND

砂むしはかたこしひざがきもがよか   大岩本恵

夏帽子なぎさの貝もすなも白   新屋敷建

陽もあたる青紫蘇の葉に虫の跡   水間心音

ノーが言えない人のイエスに価値はない   ROLAND

父の味あせの滲み入るシツテ米   水間絹子

さつま狂句の達人 坂元朗

さつま狂句とは鹿児島弁で詠む川柳
はたぐろ(慌てふためく様子)などを描く
日常を面白おかしく表現
選者が”唱”と呼ばれる句でオチをつける!

新(に)けスマホ鳴っ度(た)び騒動(そど)で女房(か)け頼(たの)ん   前原稔
(狂句は滑稽味が一番)

夏井いつき先生江
笑顔(えご)じゃいが毒く当てられあせんか心配(せわ)   小森寿星
案外かわいい女ですのよ   夏井いつき”唱”

寿星さんにお礼の一句
青葉雨美(は)しや笑ひは力あり   いつき

2021年7月18日日曜日

夏野菜カレーで一句

芙蓉沼空に向かひて蓮の咲く
アオサギや浅瀬で天を仰ぎをり
睡蓮よ色とりどりの夏の風
レクイエム母に捧げん蓮の花
母想う夏の甘味に舌鼓

プレバト纏め 2021年7月15日
夏野菜カレーで一句

永世名人のお手本
東国原英夫
玉葱やこの人結局死んじゃうの
(日常からドラマをつかみだす力技!)

梅沢富美男
玉葱を刻む光の微塵まで
(観察眼と描写力。一物仕立て 詩になっている。
オリジナリティとリアリティを持っている。)

1位 マヂカルラブリ―・村上
カレーにトマト浮かぶ夏昼の鮮やかよ
添削(季重なり トマトと夏昼)

2位 小島瑠璃子
お昼よ!で駆ける夏の日カレーの香り
添削(無駄な字余り。「で」は散文的。
   「駆ける」を使わず表現する。)
お昼よ!の声と真夏のカレーの香

3位 研ナオコ
夕立にかまどに向かう母こいし
添削(かまどには向かうものよって不要。)
夕立の匂うかまどよ母恋し

4位 二階堂高嗣
ウミウシや彩り豊かなサマードレス
添削(季重なり ウミウシとサマードレス
   陳腐な比喩。)
ウミウシの彩り豊かなる夏よ

2021年7月17日土曜日

古村雪岱の言葉

広重は傘をすぼめて白雨かな
広重の渦と高波阿波の夏
北斎は富士の麓の白雨かな
朝顔にしがみつくよな雨蛙
暗転にしなる白雨や雨宿り

古村雪岱 曰く
「個性に興味がない。
 写生、写実に興味なし。」

一分季語ウンチク 額紫陽花
季語っぽくない季語「額の花」

これは額紫陽花のことでございまして
ただの「紫陽花」とは別の植物になるんです。
「紫陽花」は球状にボワ~っとなるのが
普通の「紫陽花」なのですが「額紫陽花」は
紫陽花の一つだけの核みたいなものに
ちょちょちょと花びらがついている
花のことを「額紫陽花」と言います。
道ばたで見つけたら、これはただの
「紫陽花」ではなく「額の花」
「額紫陽花」なんだなと思いながら
自分の身の回りを観察してみて
いただけると嬉しゅうございますね。

2021年7月16日金曜日

題「勝つ」

鈍色(にびいろ)の揺れて音色の過疎の夏
太龍寺住職と見た御来迎
箱庭へ頼り届けん夏の草
蓮の花色が踊りて語りかけ
深山(みやま)では山芍薬が伸び伸びと

NHK短歌 題「勝つ」
選者 佐佐木頼綱さん ゲスト 田中史朗さん

汗は背をゆけり昨日に勝つ為の前傾姿勢のまばゆさのなか
佐佐木頼綱

今回のお気に入り
敗戦は戦わぬものに訪れずスノードームの内の静けさ
西藤智
全力で「あの子が欲しい」と言われれば負けてうれしい花いちもんめ
松古樹美
ノーサイド握手もとめる勝者への我がキャプテンの凛々しい姿
本橋正敏
勝ちたいと思えることがなくなって心地よく聞く雨音がある
古河知尋

「選者の話」
漕ぐほどに背より迫りて聞こえ来る車輪の唸り勝つのは俺だ
花岡伸和

頼綱さんの!短歌かかって来なさい!
キーワードは「恐怖心に勝つ!」

タックルしパスし疾走繰り返し若きラガーマンの大空
頼綱
もう二度と立てなくてもいいタックルすオレが日本のスクラムハーフ
星野真里&カン・ハンナ

頼綱さん!他人との勝ち負けに拘り過ぎでは…?
まずは己に勝つことを考えてください。
日本人の一番醜い部分を見せられている気がします。

2021年7月15日木曜日

兼題「蟬」

慣れて色褪せさようなら
柳宗悦(むねよし)の美への拘り夏の風
夏の月角なき柱の優しさよ
夏の海見えぬ時間を残しをり
夏の空廃校晴れて住宅に

NHK俳句 兼題「蟬」
選者は鴇田智哉さん ゲストは古館寛治さん

冒頭句
引波に指の残れる素足かな   岸本葉子

今日ほどに逃げたい夏は覚えなし   古館寛治

「移動する句のひとみ」
秋草を経てくつきりと丘にゐる   生駒大祐

帰京して夏日に心憂鬱かな   古館寛治
添削
夏空を越えて憂鬱なる帰京 

たまばなの青腰に触れ肩に擦(す)れ   岸本葉子
木の肌のまだらを辿りゆけば夏   鴇田智哉

今回のお気に入り
蟬の声私は何が欲しいのか   梅沢春雄
落蟬の草に戻せば歩き出す   津布久信雄
蟬をさわれた一九九〇年   古賀

俳優も俳人も無関係を詠むことがある。
不時着の最初の夜の虫しぐれ   岸本葉子
袋掛されはみんぐの聞えたる   鴇田智哉

最後に蟬の句を詠んでくださいました。
仰向いて「これで終い」と蟬の言う   古館寛治

古館寛治さんは「英語で遊ぼうで」で
いつも拝見していたのですが…。
全くイメージが違っていて驚きました。

2021年7月14日水曜日

兼題「鱧(はも)」

チングルマ求めず与え押し付けず
受け入れて信頼生まる風薫る
音外す歌手に執心夏の風邪
梅雨葵そろそろ終わり見えはじむ
なよやかな山で育った夏蕨

ギュッと!四国 夏井いつき俳句道場
兼題「鱧(はも)」

ギュッと!特選
鱧の白まずは両家の紹介を   西原みどり

秀作
こほり噛(か)み砕きて鱧の目は丸し   アロイジオ
ぎやりぎやりと鱧の骨切る刃紋(はもん)は銀   坐花酔月

佳作
父つくる鱧フライ厚さに熱っ   青梅爽
ハモの汁高雅(こうが)ふくいく沁(し)み渡る   四季彩
シャリシャリと鱧の骨引く出刃を研ぎ   恭加

<取り合わせがうまい句>
鱧ずしの包みを開く指定席   夏草はむ(秀作)
出張の傘をたたんで鱧落とし   深山むらさき(秀作)
転勤の内示そろそろ鱧の皮   石塚彩楓(秀作)
革命を企ててゐる鱧は咲く   大黒とむとむ(秀作)

今月の文明くん
湯引き鱧舌が驚く骨切の妙 文明
(説明になっていると組長評!)

NHK松山放送局さま 感謝感謝申し上げます。
https://www.nhk.or.jp/matsuyama-blog/gyutto/haiku/

2021年7月13日火曜日

老い

圓通寺借景の庭苔茂る
太龍寺井戸の西瓜を覗き込み
音外すオペラ歌手をり夏寒し
大切な人に届けん含羞草(おじぎそう)
夕凪(ゆうなぐ)や探すことなく気もつかず

100分e名著 ボーヴォワール「老い」
https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/111_beauvoir/index.html#box02

アルベルト・アインシュタインについての記述
「その生涯においてアインシュタインが
 科学に役立つと言うよりは
 科学の進歩の邪魔になったことは事実である。」

六代目三遊亭円楽 曰く
「絶句したとて、それを笑いに変えます。」

このエピソードを聞いた上野千鶴子女史は
「ゲーテの話と同じくらい素晴らしい話です。」と…。

上野千鶴子女史の大ファンになりました。
涙をとめられぬまま拝読…。
名著、げすとこらむ
https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/111_beauvoir/guestcolumn.html

2021年7月12日月曜日

川嶋一美と遠藤由樹子の句集より

幾重にも色蓄えて牡丹落つ
夏の空色の移ろい心をも
淡々と文読む女夏の月
息ひそめ眉を描かん炎暑かな
浜木綿の花確かな存在感

川嶋一美 第2句集「円卓」
地中出づ梅のはなびら押しあげて
かたつむり渦をきれいに眠りゐる
ゆらゆらと来たるは力士水温む
土よりもすこしあかるい雉(きじ)あゆむ
イルカ見しどの瞳も澄めり夏の雲
すれ違ふ人に雨意あり桜狩
滝そこに山椒魚の水しづか
渦ふかく泉は春となりにけり
目高の水つつけばつんと窪みけり
白日傘らふばいの葉に触れながら
榛の木としばらく処暑の雨にゐたり
豆ごはん俤(おもかげ)に声なかりけり

遠藤由樹子 第2句集「寝息と梟(ふくろう)」
冬の薔薇牛乳よりも静かなる
桜より淡く絵具を溶かしけり
翳ること好きな兎の眼を覗く
熊と熊抱き合へばよく眠れさう
血を分けし者の寝息と梟と
遠からずこの樹下に咲くクロッカス
月面のかたさ思へり桜の夜
荒涼と雪降りしきる馬の耳

2021年7月11日日曜日

凡人からの脱出

蓮の花群れられなくて弧を生きる
老鶯(らうおう)や下手に上手に高らかに
少年の心で写生夏旺(さか)ん
夏の山屈(かが)んで刈ってはだか麦
七月やオオムラサキの羽ばたかん

夏井いつき俳句チャンネル 
新企画・夏休み凡人あるある脱出シリーズ

夏休み自由研究大変だ
夏休み自由研究完成だ(リアリティー)
夏休み自由研究社会科だ(内容が具体的 凡人)
具体的にすることで才能ありに…。
マンホールのふたを調べる夏休み
町中のマーク集める夏休み
夏休み家のまわりの地図作る
夏休みゴミのゆくえを調べよう

夏休みポスター作り
夏休み観察日記
膨らませて行くと才能ありの句になる。

2021年7月10日土曜日

携帯扇風機で一句

刺激なく過行く日々よ喜雨であれ
藍刈や既に心は生葉染め
過疎地での涼み浄瑠璃詳(つまび)らか
夏の街ジャッロまといて肩で風
芋の花好きに咲かせてくださいな

プレバト纏め 2021年7月8日
携帯扇風機で一機

永世名人富美男のお手本
梅沢富美男
南国の果実色してハンディフォン
(詩がある。)

特待生昇格試験
千原ジュニア
ゆるキャラの汗の匂いとファンの音
(ゆるキャラの現実が描けている。 
匂いと音 嗅覚と聴覚を描けている。)

立川志らく
焼き鳥屋の団扇に「みつを」を見つけ
添削(季語と人名と店名がそれぞれに強すぎる。)
焼き鳥屋の団扇に相田みつをの詩

1位 中川翔子
扇風機持つ手甘噛む仔猫たち
(季語が二つ入っている。扇風機と仔猫)

2位 小林幸子
扇風機市民ホールの舞台袖
添削(本番でのエピソードだったのでは…?)
開演の舞台袖なる扇風機

3位 鷲見玲奈
仕事ぶり見張るデスクの扇風機
添削(擬人化がくどい。)
見張るかに回るデスクの扇風機

4位 おいでやす小田
挟み立つマイクさながら扇風機
添削
マイク挟むごと相方と扇風機

次回のお題は「夏野菜カレー」

2021年7月9日金曜日

エルバート・ハバードの言葉

梅雨の夜空よ日本画が詠みたくて
日本画の空白よ間よ川床(かわゆか)よ
青芒掛け軸のある仏間かな
青畳にほふ茶室や鹿威し
床の間の書と一輪の朝曇

エルバート・ハバード 曰く
「いつまでも無知のままでいたければ
 きわめて簡単で効果のある方法がある。
 自分の取るに足らぬ意見と知識に
 満足していればよい。」

1分季語うんちく 山椒魚
歳時記を見ると「サンショウウオ目」の
両生類の総称になるのだそうです。
大型のものになると「はんざき」という
ヒラガナ文字での傍題なんかもあったりします。
非常に生命力が強くて半分に割いても死なない
と言う事から「はんざき」という名前があるそうです。
井伏鱒二の小説ではだいぶ大きい
山椒魚でしたが愛媛県の面河の辺りでは
この山椒魚を見ることができるようです。

2021年7月8日木曜日

遠藤周作と新井白石の言葉

梅の実や雨の上がりて陽射し受け
間もなく巣立ち目をまん丸に燕の子
潮騒や無風の中を落ちゆく葉
炎昼や言葉足らずの想像力
情念の燃やす炎よ四葩(よひら)咲く

遠藤周作 曰く
「人間らしく生きるために
 七分は真面目人間、
 三分は不真面目人間で生活するのが
 『生きる智恵』と言うべきであろう。」

新井白石 曰く
「人に言われたことを
 そのまま受け取っていてはいけない。
 その言葉の真意、出所を
 しっかり押さえなくてはならない。」

2021年7月7日水曜日

題「居酒屋・飲食店」

茜雲夕虹出でて肩と肩
アカテガニ横断します由岐の夏
紫陽花を分け入る列車や石井町
休耕地露天風呂あり夏の空
紫陽花トンネルへ出発進行

NHK短歌 題「居酒屋・飲食店」
お客さん旨さうに酒をのむねえと〆鯖の上で褒められてをり
田村元

脇役もいいと思えただし巻きの玉子が美味い蕎麦屋の隅で
君村類

今回のお気に入り
マッチ箱にかすかに残る店の名と市外局番五桁の数字
佐藤あつこ
「キッチン」と言う名の町のレストラン我が家の評価北斗七星
新井健一
我の名は父の行きつけ「あやちゃん」と同じと知った十七の夏
あや

熱血!短歌ノック

打ち解けてゆかぬ我らの卓上でウーロンハイの氷が溶ける
星野真里 添削
打ち解けてゆかぬ我らにはさまれてウーロンハイの氷が溶ける

「とりあえずビールください」「日本語がお上手ですね」からまた始まる
カン・ハンナ 添削
「とりあえずビールください」「日本語がお上手ですね」またこんな夜

換気扇見上げて「こんな時間か」としたたかに酔う打ち上げの夜
山﨑樹範 添削
換気扇見上げて「こんな時間か」と酒を注ぎたす打ち上げの夜

義母の肩を抱く義父あり控えめなこうもり傘の下の出来事
星野真里 添削
義母の肩を抱く義父あり前を行くこうもり傘の下の出来事

紫陽花の葉の裏に住むカタツムリのよう今夜は密かに帰る
カン・ハンナ 添削
紫陽花の葉の裏に住むカタツムリのよう今夜は家路をたどる

人に化け稼いだ金が酒に化けああ高笑いわざおぎ集う
山﨑樹範 添削 わざおいとは俳優のこと
人に化け稼いだ金が化けた酒汲みて笑えば我らわざおぎ

家人この一軒
酔へば眼にゆらぐかずかずかぎりなしあなベレニケの髪もゆらぐよ
小中英之

小中英之も通い、寺山修司、黒澤明、三島由紀夫も
通ったという新宿三丁目の居酒屋「どん底」が紹介されました。

短歌あなたならどうする
まだ誰も手を伸ばさないピザの皿三十五度の角を引き抜く
田村元
まだ誰も手を伸ばさないピザの皿ちょっと待ってね写真撮ります
カン・ハンナ
まだ誰も手を伸ばさないピザの皿はずまぬ会話はずれのコンパ
山﨑樹範
まだ誰も手を伸ばさないピザの皿最初はグーと心で叫ぶ
星野真里

添削された先生には悪いのですが…。
山﨑樹範さんの句に関しては
添削前の方が好きだったのは私だけ…?
山﨑樹範さんの大ファンになってしまいました。
準レギュラーからレギュラーになって欲しいです。

2021年7月6日火曜日

兼題「向日葵(ひまわり)」

梅雨晴る光の粒がひしめきて
FRB軽きパニック夏の乱
五月晴白き燕の生まれけり
菩提樹の花一切は空である
月見ヶ丘にアメリカディゴの夏至る

夏井いつき俳句チャンネルで紹介してくださった俳句!
びいと啼く尻声悲し夜の鹿   松尾芭蕉

NHK俳句 兼題「向日葵(ひまわり)」
一面に咲き向日葵は個々の花   片山由美子

見直し俳句の常識 オノマトペ
日本語は動詞が少ないので補うために
オノマトペが存在する。逆に豊かに表現できている。
と、ゲストのロバート・キャンベル氏!

きらきらと松葉が落ちる松手入   星野立子

銀(しろがね)の匙ひらひらと夏氷   武井壮
(ひらひらを漢字変換すると片々へんぺん)

しゆるしゆると隅へと消えつ青蜥蜴   仙歌(ロバート・キャンベル氏の俳号)

ラレレラと水田の蛙鳴き交す   山口誓子

輓曳馬(はんえいば)ぼくぼくと往く男梅雨   武井壮

馬ぼくぼく我をゑに見る夏野哉   芭蕉

しやましやまと卵白溶いて夏の空   仙歌

今回のお気に入り
向日葵に後ろ姿を見られけり   塩野谷慎吾
玻璃(はり)越しに雨の向日葵見てゐたり   草野准子
向日葵や立ちつぱなしのコンサート   大宅文子(徳島市)

紹介句
向日葵の大声で立つ枯れて尚   秋元不死男

昼顔のあれは途方に暮るる色   飯島晴子

2021年7月5日月曜日

中村天風と上西聰の言葉

歪な佇まい月と花菖蒲
紫陽花よ雨にもたげるシュプリーム
夏草履かざす路地傘青石よ
水鉢(ついばい)を泳ぐ目高よ悠々と
過去を愁うことなく蛇衣(きぬ)を脱ぐ

中村天風 曰く
「その一語一語、
 その言葉のすべてが、
 人生に直接的に影響する
 暗示となる。」

植西聰 曰く
「あなたの前にあるのは、壁ではなく扉。」

2021年7月4日日曜日

季語は約17000季語

風薫る英名門のプリンシパル
頬を風梅子黄(うめのみきばむ)頃迎へ
夏の風同仁斎の違ひ棚
真空殿に座す鳳凰よ睡蓮よ
座す時間月待山(つきまちやま)より夏の池

夏井いつき俳句チャンネル
【季語数えてみた:完結編】季語は全部で○○です!

1961 角川⇨1981 講談
見出し季語 ー1211
傍題    ー2489
合計    -3700
1981 講談⇨2000 講談
見出し季語 -115
傍題    -185
合計    -300

季語は約17000季語でした。
数えてくださった皆さま お疲れさまでした。
季語はもう少し整理した方が良いのでは…?
絶滅季語辞典に分類した方が良い季語が存在しています。
新風を吹き込ませた方が良いのでは…?

2021年7月3日土曜日

寝坊で一句

細見収集江戸の美意識夏を酔う
雨の降る頭もたげる紫陽花よ
勝浦川に沿いて彩る七変化
脇町のブルーベリーの甘と酸
喜雨であれエンドレスの日々終えて

プレバト纏め 2021年7月1日
寝坊で一句

永久名人富美男のお手本
梅沢富美男
永らえて短夜をなほ持て余す
添削(旧仮名に統一すべきでは?)
巡業の短夜をなほ持て余す
逢いみての短夜をなほ持て余す

永久名人への道
藤本敏史
昼目覚(めざめ)ひらがなだけの置手紙
添削(置手紙の作者は読者の想像で良いのでは?)
昼目覚子のひらがなの置手紙
昼寝覚子のクレヨンの置手紙

1位 工藤美桜
担任からのモーニングコール夕の虹

2位 塚田僚一
七月や意気込み遅しジム疲れ
添削(三段切れ、「遅し」「疲れ」は説明臭い。)
七月のジム意気込みの空回り

3位 渡辺満里奈
吾子の首息ひそめ見る夏の朝
添削
学校の朝ぞ寝る子の汗の首

4位 風間トオル
夏の朝あせって歯ブラシ鼻の中
添削
夏の朝歯ブラシ鼻に入りそう

5位 中村ゆりか
しまったとじわり汗ばむ三尺寝
添削(季重なり。三尺寝は夏の季語。)
うたた寝の過ぎて汗ばむテスト前
うたた寝の過ぎて汗ばむ授業中
うたた寝の過ぎて汗ばむ出番待ち

2021年7月2日金曜日

柳宗悦と柳宗理

神山の梅色付きて丹念に
神山で育った梅よ抱くよに
(松山千春氏への無季句)姉に宛て「この世で一番君が好き」
梅雨の月最後に宛てた恋の文
幕閉じる姉への手紙梅雨の晴

▪新美の巨人 より
柳宗悦邸の紹介でした。

用に即して生まれた無心の美が
工芸品に一番豊かに宿る。

柳宗悦は柳宗理(バタフライスツールを設計)のご尊父。
柳宗悦は明治22年柳楢悦(海軍将校)と
勝子(嘉納治五郎の三女)との三男。

▪いいね!光源氏くん し~ずん2

いづれの御時か働く女のあまたあるなかに
ふつと優ならぬものありけり

つぼみさへいとしきものを君笑めば
光こぼれて花のほころぶ

4回で終わってしまいました。

▪一分季語ウンチク
夏っぽくない季語シリーズ「白靴」

暑い夏をしのぐために装いから
まずは涼しくなってみよう。
そんな季語な訳でございます。
ただの暑い黒い靴じゃなくて
足下が白であることの涼やかさが
この季語にはある訳です。
夏になってきたから新しい白い運動靴を
買おうとかそういうことではない訳です。
しかも、その白靴から少しお洒落で綺麗である。
そんな、ところも目に美しい季語でございます。

2021年7月1日木曜日

老い

人生を「たび」と読ませて梅雨の晴
夏至の雨等身大で生きていく
花あやめ蜜を恐れて余白とす
竹の花永遠など望む理由など
ゆったりと編笠山の苔茂る

100分de名著 より
シモーヌ・ド・ボーヴォワール(1908~1986)著
「老い」(62歳の作品)

老いは不意打ちである!

「人は女に生まれるのではない、女になるのだ。」
第二の性(41歳の作品) より

老いは文明のスキャンダル(言語道断の事実)
スキャンダルとは
醜聞(よくない噂)恥部(恥ずかしい部分)。

老いは個人の問題ではなく文明の問題

自己差別
差別の中で一番きつい
自分で自分を受け入れられない状況

老いの醜さをユヴェナリス以上に荒々しく叙述したものはなかった ユヴェナリス
若者たちは老人が嫌いである カエキリウス
老人は若い者の嘲笑の対象である ルキアノス

若さこそが価値!と刷り込まれている。

老いはNegativeなものとして語られ
自分の老いを受け入れられなくなる。
男性の立場からすれば、女性の境涯は
色情の対象(俺様をムラムラさせてなんぼ。)
である事なので、年を取って醜くなる時、
彼女は社会の中に割り当てられた場所を失うのである。

ストライクゾーンの名著が紹介されました!
今月は勉強させて貰います。