2021年3月17日水曜日

題「眼鏡」

(伊藤若冲に捧ぐ)
朧月一直線に叭々鳥(ははちょう)が
春の月真っ逆さまに落つる鳥
春の夜や共に楽しむ画遊人
叭々鳥図満月からの春嬉かな
満月の春を落ちゆく叭々鳥よ

NHK短歌 題「眼鏡」
ゲスト 菅良太郎

眼鏡から涙のような鎖垂れ写真の中のチェーホフは鬱
小島なお

夕立ちは眼鏡を洗うためにある楠の枝葉に無数のふるえ 
笠木拓

初めての眼鏡の捕らへし木々の葉は一枚一枚分かれてゐたり
東京都昭島市 奥山公子

「眼鏡ってどういう感じ?」縁のない空をあなたは見上げつつ言う
岐阜県岐阜市 野口優菜

間の抜けた眼鏡はずした父の顔くすぐったいか百合に囲まれ 
上垣哲也
添削
眼鏡はずし間の抜けたその父の顔くすぐったいか百合に囲まれ

我庵の硯の箱に忘れあいし眼鏡取りに来(こ)歌よみかてら
正岡子規
伊藤佐千夫に宛てた歌 はがき歌と言われている。

菅良太郎さんがご自身を一言で表すと「黒」
三人が短歌にしました。

夜の闇に潜むことなくパンサーの黒きたてがみパラパラ揺れる
カン・ハンナ
誰も彼も求めるものが光なら圧倒的な黒でありたい
星野真里
表でも裏でもよくて黒から白くかがやく月を見ている
小島なお

菅良太郎さんは小島なお先生の短歌を
お気に召されたみたいですが、
私は星野真里さんの短歌の方が…。
最高に素晴らしいと思いました。

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