2021年3月4日木曜日

第22回NHK全国俳句大会

手創りの舎人(とねり)並べて雛祭り
雛流し死を遠ざけて寄り添わず
柱組む音が聞こえて春の空
現場では棟梁の指示日永かな
春空に響く足音鳶の者

第22回NHK全国俳句大会

題詠 題「生」 特選句
対馬康子 宮坂静生 選
銀漢や未来は生まぬ砂時計   久永のり尾 
(銀漢は天の川)
井上康明 櫂未知子 選
拭き上げて雪の匂ひの生家かな   冬魚(ふゆを)
西村和子 選
先生も園児の歩幅運動会   木下涼薫
片岡由美子 選
会へばすぐ山の話や生ビール   小林通子
鈴木章和 選
生も死も学び卒業畜産部   福澤るみ子
夏井いつき 選
ダリア、ダリア、先生の名字が変わる   嫉妬林檎
星野高士 選
櫓を漕げば楽のはじまるる良夜かな   河瀬俊彦
小澤實 選
死にたいは生きたい秋夜の電話   天野信敏
宇多喜代子 選
放生会(ほうじょうえ)水に抗魚もて   佐藤雅之 
(旧、新仮名遣いは揃えた方が美しい)
高柳克弘 選
蟬生るかくも込み合ふとは知らず   田中久章
稲畑廣太郎 選
鉦(かね)叩(たたき)闇に段差の生まれけり   原田博之

気になる句
西村和子 選
子育ては素足にトマトソース踏む   高柳克弘
高柳克弘 選
烈風や聴きたきものに卒業歌   櫂未知子
櫂未知子 選
運動会午後へ白線引き直す   西村和子

龍太賞
みづの旅 鈴木恭子
水底のやうな暁龍太の忌
一鳥(ちょう)も啼かぬ森抜け雪解水
木の根拓く水は水音惜しまずに
星涼し水も旅するものとして
下り簗流れに空が降りてきて

自由題 特選句
櫂未知子 選
てのひらの渇きに一つ蛇苺   佐藤茉
西村和子 選
秋蝶の躓きつつも風拾う   山本容子
高柳克弘 選
でっかいぞ東京タワーだこのつらら   瀬戸山椋
対馬康子 選
小夜しぐれ夢の血中濃度かな   片山一行
星野高士 選
噴煙の真中辺りや春の月   尾辻敬弘
夏井いつき 選
焼(く)べ入れて鱗の爆(は)せる鮭打棒(さけうちぼう)   奥山雄治
宮坂静生 選
東京の一隅灯す夜学生(秋の季語)   市原亜希子
小澤實 選
山風に川風加え盆の家   嶋崎賢司
(山風は故郷で死んだ者の霊を、川風には故郷を離れて死んだ者の霊を言う。)
井上康明 選
露草や嬰(やや)百日の指ぢから   浅井映子
宇多喜代子 選
木々の影深く沈めて冬の水   川副康孝
鈴木章和 選
夏服の眩しきままに遠ざかる   奥村芳弘
稲畑廣太郎 選
夕星(ゆうずつ)語りかけたる虫の声   宮脇睦子
(夕星とは夕方西の空に見える金星。宵の明星のこと。)

大会大賞
木々の影深く沈めて冬の水   川副康孝
銀漢や未来は生まぬ砂時計   久永のり尾
拭き上げて雪の匂ひの生家かな   冬魚(ふゆを)

第23回NHK全国俳句大会 題詠 題「行」です。
いろんな句が選ばれていたので
私も詠んでみたくなりました…。

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