2020年9月5日土曜日

お箸で一句

蜘蛛の糸 がんじがなめの 桐一葉
一葉落つ 陽を受けながら 風を受け
捨て扇 今年はいつに なるのやら
扇置く いや待て今年は 戻し置き
法師蝉 耳をつんざく 大合唱

プレバト纏め 2020年9月3日

お箸で一句

永世名人 富美男のお手本
梅沢富美男
野分(のわき)の夜 ほぐす卵の のの形
⇩(「野分」は秋の台風の古名。
  発想と季語を活かそうとして損をしている。
  後半を生かすなら「朧夜の」「朝寝して」
  「桜さく」などうっとりと柔らかい季語にすべき。
  「野分の夜」を活かすなら台風を映像にすべき。
  「小(ち)さき渦」と描写すれば、
  溶き卵も台風と一緒だと読み手に伝わる。) 
野分の夜 ほぐす卵に 小さき鍋

特待生昇格試験 永世名人への道
村上健司
秋朝や バタにフォークの 穴四つ
⇩(「バター」としても良いが、「バタ」と敢えてしている。
  理由は2つ①中八を避けたかった
  ②「バタ」による生活感が微妙に変わり、日常感が弱まる効果を狙った。
  「スウプ(スープ)」「スプン(スプーン)」などの
  表記も俳句や短歌で見かけるが、同じ効果。
  「バタ」は爽やかで美しいお洒落な食卓のイメージを演出。
  「穴四つ」に焦点を絞っていく。
  季語が動くと思う読み手もいるが、
  村上ワールドとして選ばれた季語だと考えるべき。)

1位 福田麻貴
傷秋の 箸とめぬよう 団欒す
⇩(心の憂いを「箸」の俗な物で心理を表現しようとした。)
団欒す 傷秋の箸 とめぬよう

2位 朝日奈央
夏の風邪 祖母の 特盛ハンバーグ
⇩(季語が主役になってない。
  最後の「特盛ハンバーグ」の印象が強く残るため、
  「や」で季語を強調するのが、この句の場合は添削の限界。)
夏風邪や 祖母の 特盛ハンバーグ

3位 LiLiCo
いくつもの 月乗り越えて 夫婦箸
⇩(秋の季語として立てておかないと俳句として足腰が弱い。
  「どれほどの年数・何年も」を意味する「幾年(いくとせ)」にし、
  毎年の月を愛でている印象を出し、「月よ」と詠嘆。
  「今宵の」で季語を補強すれば、「月」がMoonだと明確になる。
  最後の「夫婦箸」に焦点が当たって終わる。)
幾年の 月よ今宵の 夫婦箸

4位 高橋光臣
箸難(にく)し 泣く子が仰ぐ 流れ星
⇩(句またがりで表現し、
  流れ星を見ながらポロっと涙を流す人物を描写。)
お箸むずかしいと 泣いて流れ星

5位 小田井涼平
子の歩み 後の衣替え 箸の丈
⇩(三段切れ、中八、「歩み」が抽象的な言まわし。)
子の袖も 箸も秋なる 衣替え

今回の夏井いつき先生の添削に惚れ惚れしました。
全ての句が生き返ったような気がしました。
さすが!素晴らしい!

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