2020年9月23日水曜日

575でカガク!反物質

秋彼岸 反物質の 供養せん
山裾を 覆い尽くさん 蕎麦の花
蕎麦の花 風に応じて 雲のごと
秋場所や コロナに沈んだ 力士をり
合掌す 後姿や 曼殊沙華

575でカガク より
最先端科学を17音で表現
テーマ 反物質で俳句を詠む

反物質とは物質の生き別れの双子の片割れ。 
138億年前、宇宙の始まりビッグパンペアで生まれたのが物質と反物質。 
物質だけ残り今の宇宙ができている。 
残った物質は宇宙の星々を作り地球誕生となった。 

番組で紹介された俳句

愛すればこそ憎しみもソーダ―水   松薗耕造
すれ違う二星(にせい)一つは反物質   北川蒼鴉
好きな女の子の靴を隠すやさくらんぼ   竹内省司
葛の葉に風や博士の漕ぐペダル   夏井いつき
あったかもしれぬ逃水反物質   有本仁政
反物質理解しきれずビール注ぐ   Dr.でぶ
ダニ痒し反物質の理解むり   こまつな
明け易し反物質の匂ひ嗅ぐ   鮎川渓太

ソーダ―水の中にあるのが反物質上に出てしまったのが物質。 

ソーダ水世界がここにある理由   夏井いつき
千億の雷(いかづち)の生む双子かな   うしうし
かぎろひや宇宙も吾(われ)も生き残り   次郎の飼い主
箱眼鏡ウロボロスの尾追いかけて   シュリ

ピコ秒(1兆分の1秒)

ベル2や六百人の汗匂ふ   板柿せっか

反物質がいなくなったおかげで我々が生まれてきた。 
そこに存在意義が見いだせる。 
研究は反物質の供養となる。 

存在したはずの泉もわたくしも   越智空子
枯木星我残る故に君探す   吉原圭亮

後田裕先生の纏め
感動を伝えたいときに無駄を削ぎ落して
エッセンスであることを表して共感してもらう。
素粒子物質も無駄を削ぎ落して
シンプルなもので全ての宇宙は記述できる。
方程式が何かを探そうとしている。
そういうアプローチは俳句と似ている。
季語に関しては素粒子には
季節がないので解らなかったところでした。

斧虫や世の粒はみな未亡人   白プロキオン
柚子に柚子ぶつけエネルギーの匂ひ   古瀬まさあき
すべて幻なら夏シャツの白さ   よだか
ひかりよりうまれひかりにもどる秋   夏井いつき

2020年放送「反物質」特選句
https://www.nhk.jp/p/575kagaku/ts/Q8KPRK7VWX/faqpage/ より

薔薇はわたしわたしは夜空なる消滅   平本漁水
いかづちの落ちて原初の匂ひ立つ   ぐ
反物質は極遠にあり夜の桃   彩汀
万緑のなか太陽が痩せていく   くみくまマフラー
人も獣も石も物質雪月夜   京野さち
手のひらに雪はあつたと濡れてゐる   柊月子
CPの非保存ふき味噌の味噌かげん   北野きのこ
反物質放つバナナの反る暢気   一斤染乃
触れるものみな消え薔薇に咲く力   ちゃうりん
柚子に柚子ぶつけエネルギーの匂ひ   古瀬まさあき

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