2020年9月19日土曜日

たまごで一句

からくりは 重色目(かさねいろめ)ぞ 秋の雲
野分雲 尾根から尾根へ 急ぎ足
秋袷 らくだのシャツを 着た亡父
3Kは 女ばかりの 台風過
受け入れん 明日へ漕ぎだす 獺祭忌

プレバト纏め 2020年9月17日

俳句の昇格降格一斉査定SP
たまごで一句

永世名人 富美男のお手本
梅沢富美男
秋の灯に 透(す)かす卵に 命あり
⇩(下手な役者が見栄を切っているような句。
  「に」「に」「あり」の叙述が非常に散文的。
  下五「命あり」と見栄を切った気持ちは分かるが陳腐。
  「秋」の季語が有精卵の命をクローズアップしてくれる。)
電球に かざせる秋の 有精卵

千原ジュニア
秋の朝 卵にゆでと 書かれけり
⇩(どうでもいいことを俳句にした。
  俳句はどうでもいいことがタネになると
  気付いたところからが面白くなっていく。
  着地の切れ字「けり」は詠嘆を表す助動詞で、
  「書かれけり」の元々のニュアンスは「書かれている」状態。
  この「けり」の使い方がとても良い感じで嵌っている。
  「秋の朝」の肝心の季語の比重が少し弱い。
  季語を主役に立てるなら、前に押し出すべき。)
朝や秋 卵にゆでと 書かれけり

ミッツ・マングローブ
生ゴミ縛り 秋涼の 勝手口
(七五五という破調の句。
 内容が韻律を引き立てているかどうかが重要。
 「生ゴミ」で状況、「縛り」で人物・動作が出てくる。
 「秋涼」は秋の涼しさを指す気持ちの良い季語。
 「の」で一拍空気を吸い込身、七五五の調べが内容を引き立てている。)

パックン
秋高し 二十ヤードの エッグトス
(「エッグトス」は、アメリカの運動会の競技。
 20ヤード(=18m)となると、優勝争いに入ってくる距離。
 「二十ヤード」の数詞はただの数詞ではなく、
 「エッグトス」が出た瞬間に映像になる。
 成功した時の長い距離、あるいは失敗した時の2人の表情が映像化されていく。
 基本の型を完璧にできるのが手に取るように解った。)

筒井真理子
長き夜や 黄身ゆるやかに 殻を離るる
⇩(「離るる」は連体形で、この後に名詞がくっつく型。
  「る」を1つ取り、終止形にする。
  もしこうなら、2ランクアップしたいくらい。)
  長き夜や 黄身ゆるやかに 殻を離る

篠田麻里子
秋暁に 肘掛けで割る 茹で卵
⇩(この句はキーワードを入れ忘れている。
  「バスの肘掛け」だということが面白い。
  頭で一気にバスの光景を描くべき。
  「秋暁のバス」で明け方にバスに乗っていることが言える。
  七五五に。)
秋暁のバス 肘掛けで 割る玉子

馬場典子
黄身混ぜる 汝(な)も吾も真顔 薯蕷汁
⇩(俳人のアンテナが生まれ始めている。
  「汝も吾も真顔」「薯蕷」のリズムがとても良い。
  なぜ真顔かと思った瞬間に季語が出てくるが、この間合いが何とも絶妙。
  季語は平仮名でも良かった。
  漢字の塊に「とろろ」とあれば、平仮名がポッと浮かんでくる。
  細やかな気付きがあるとさらに良い。)
黄身混ぜる 汝も吾も真顔 とろろ汁

今週は勉強になりました。
夏井いつき先生の添削の言葉が素晴らしかった。
やはり、俳句を愛する人の俳句は素晴らしいですね。

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