野分雲 尾根から尾根へ 急ぎ足
秋袷 らくだのシャツを 着た亡父
3Kは 女ばかりの 台風過
受け入れん 明日へ漕ぎだす 獺祭忌
プレバト纏め 2020年9月17日
俳句の昇格降格一斉査定SP
たまごで一句
永世名人 富美男のお手本
梅沢富美男
秋の灯に 透(す)かす卵に 命あり
⇩(下手な役者が見栄を切っているような句。
「に」「に」「あり」の叙述が非常に散文的。
下五「命あり」と見栄を切った気持ちは分かるが陳腐。
「秋」の季語が有精卵の命をクローズアップしてくれる。)
電球に かざせる秋の 有精卵
千原ジュニア
秋の朝 卵にゆでと 書かれけり
⇩(どうでもいいことを俳句にした。
俳句はどうでもいいことがタネになると
気付いたところからが面白くなっていく。
着地の切れ字「けり」は詠嘆を表す助動詞で、
「書かれけり」の元々のニュアンスは「書かれている」状態。
この「けり」の使い方がとても良い感じで嵌っている。
「秋の朝」の肝心の季語の比重が少し弱い。
季語を主役に立てるなら、前に押し出すべき。)
朝や秋 卵にゆでと 書かれけり
ミッツ・マングローブ
生ゴミ縛り 秋涼の 勝手口
(七五五という破調の句。
内容が韻律を引き立てているかどうかが重要。
「生ゴミ」で状況、「縛り」で人物・動作が出てくる。
「秋涼」は秋の涼しさを指す気持ちの良い季語。
「の」で一拍空気を吸い込身、七五五の調べが内容を引き立てている。)
パックン
秋高し 二十ヤードの エッグトス
(「エッグトス」は、アメリカの運動会の競技。
20ヤード(=18m)となると、優勝争いに入ってくる距離。
「二十ヤード」の数詞はただの数詞ではなく、
「エッグトス」が出た瞬間に映像になる。
成功した時の長い距離、あるいは失敗した時の2人の表情が映像化されていく。
基本の型を完璧にできるのが手に取るように解った。)
筒井真理子
長き夜や 黄身ゆるやかに 殻を離るる
⇩(「離るる」は連体形で、この後に名詞がくっつく型。
「る」を1つ取り、終止形にする。
もしこうなら、2ランクアップしたいくらい。)
長き夜や 黄身ゆるやかに 殻を離る
篠田麻里子
秋暁に 肘掛けで割る 茹で卵
⇩(この句はキーワードを入れ忘れている。
「バスの肘掛け」だということが面白い。
頭で一気にバスの光景を描くべき。
「秋暁のバス」で明け方にバスに乗っていることが言える。
七五五に。)
秋暁のバス 肘掛けで 割る玉子
馬場典子
黄身混ぜる 汝(な)も吾も真顔 薯蕷汁
⇩(俳人のアンテナが生まれ始めている。
「汝も吾も真顔」「薯蕷」のリズムがとても良い。
なぜ真顔かと思った瞬間に季語が出てくるが、この間合いが何とも絶妙。
季語は平仮名でも良かった。
漢字の塊に「とろろ」とあれば、平仮名がポッと浮かんでくる。
細やかな気付きがあるとさらに良い。)
黄身混ぜる 汝も吾も真顔 とろろ汁
今週は勉強になりました。
夏井いつき先生の添削の言葉が素晴らしかった。
やはり、俳句を愛する人の俳句は素晴らしいですね。
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