2026年1月11日日曜日

私の日々が、言葉になるまで"日々こと"村山由佳

菅原小春さまへ

龍の玉挙動不審の女の子

返り花線をつなげて振りとする

冬の灯やないものねだりの延長戦

冬ぬくし言葉にすると抜け落ちる

冬日和生きてることが奇跡です

 

■わたしの日々が、言葉になるまで“日々こと”SP~この1年が、言葉になるまで~

劇団ひとり 鈴木愛理 村山由佳 桐山照史

 

全ぶっち:とは、本来やるべきこと(授業、アルバイト、約束事など)を、

断りも連絡もせずに行かないこと、つまり「完全なすっぽかし」

「バックれ(バックれる)」を意味する俗語・学生用語。

 

さみしくないけどさみしい 無駄に輝いた夜:鈴木

周りが寂しくさせてくる感じ:村山

周りが騒がしくて華やかになればなるほど

一瞬離れちゃったら一気に離れちゃう 

景色が流れていくような孤独な感覚

変わらずにある大晦日独特の雰囲気:ひとり

冬のお月さまのにおい さえざえしてて:村山

 

朝井リョウ「正欲」新潮社

「しんどいよね、年末年始って」

除夜の鐘の音は、脳の底をなでるように響く。

「自分が誰の一番でもないってこと、思い知らされるっていうか」

画面の中では、双子だろうか、幼い男女のきょうだいが、

おそろいのダウンジャケットを着て楽しそうにはしゃいでいる。

「大晦日とか正月って、人生の通知表みたいな感じがする」

 

心の書初めしたはずなのに ひとり

除夜の鐘はバロメーター ひとり

 

年の暮れへと向かい毎日は風のようだ。

カレンダーのスペースにその日の予定をびっしりと書きいれ、

無事に終えられれば横線で消してゆくのだが、

時にはどうしても済ませられなかった用事が次の日へ、

また次の日へと持ち越しになる。

望まない借金がふくれあがってゆくようで落ち着かない。

村山由佳「はつ恋」

 

満たされていないと挑戦できないものがある 村山

本当かもしれないけど嘘でもある 村山

ものづくりはつらくないといけない? ひとり

出来る仕事と出来ない仕事がある 村山

出来る仕事をすればいい 村山

自分ありきで作品がある ひとり

 

茨木のり子

自分の感受性くらい自分で守ればかものよ

わたしが一番きれいだったときなど 飾らない言葉で 

忘れられないフレーズを紡ぎだしてきた

 

そんな茨木のり子が季節をテーマに作った詩

12月独特の空気感 こんな言葉を使って表現している

 

「十二月のうた」茨木のり子「言の葉」資料提供:筑摩書房

熊はもう眠りました 栗鼠もうつらうつら

土も樹木も大きな休息に入りました

ふっと 思い出したように 声のない子守唄 

それは粉雪 ぼたん雪

 

後半こんな言葉で締めくくられる

師も走る などと言って 

人間だけが息つくひまもなく 動きまわり

忙しさとひきかえに 大切なものを

ぽとぽとと落してゆきます

 

寂しさがあるのは日本独特?

茨木のり子さんって凛と立ったような詩が多い

 

倚(よ)りかからず

じぶんの耳目 じぶんの二本足のみで立っていて

なに不都合のことやある

倚りかかるとすればそれは椅子の背もたれだけ

 

本当に大切なものはぽとぽと落とさない

逆説的に不安定な状態で不用意に

「大事なものを落としているよ」と言っている感じ

ぽとぽとは雪の上だから音もしなくて

すぐ埋もれちゃって…。 村山

 

擬音語を使う時のこだわりは? ひとり

出来るだけ使わないようにしている よっぽど注意深く使わないと

安易に流れてしまう 村山

「雨がしとしと降っていた。」って書いたとたんに文章がダサくなる 村山

 

言語化のヒント

物の感触を擬音語・擬態語を使わずにそれ以外の文章で表現してみる

しとしと⇨肌が湿る。産毛が湿気で光る。

 

高いところに上がったときに…股間がわぎわぎする 村山

くすぐったいような気持ち悪いような:わぎわぎ

擬音・擬態語は自由だ!

 

津村記久子 四季折々の気持ちと思い出をつづったエッセイ

まぬけなこよみ

一年で一番好きな日 大晦日

大晦日が好きな理由をつづった文章

 

津村記久子「除夜の鐘の平等」

「待つ」ことの楽しさが、大晦日には凝縮されている。

たかが新しい年になるだけだ。

三十数年も生きると、べつに新しい年になって

何かが劇的に変わるということがないのも知っている。

それでも、待つことそのものを味わうのだ。

そんな不思議な瞬間は、一年のうちでそうないだろう。

たいていは、何かの結果を待っている。

それに一喜一憂する。しかし、新年を迎えることに優劣はない。

 

それでも期待するのが新年 桐山

人生は「幸せ」の使っていい数 決まっていると思っている 鈴木

平等とは機会の平等 村山

 

語彙力 明日使える語彙を増やす 

「ぶらぶら心」

やる気が起きず、気がふさいで 心が晴れ晴れしないこと

やる気が起きないと「ぶらぶら」してしまうことが由来。

江戸時代中期に使われていた言葉。

ぶらぶら心⇨「バイトだるいわー」

 

気持ちってつかみどころがない 

「ぶらぶら心」という言葉で明確にすると動きやすくなる

ぶらぶら心のライフハック

 

「苦み走った」

大人の渋さや深みを表現した言葉 

「甘味走った」

利口そうでない 間が抜けている

 

「心にたたむ」

口には出さずに胸の中にしまっておくこと。大切な思い出や

出来事を心にしまっておいたりするときに使う。

「心にしまう」⇨秘密にする感じ

「心にたたむ」⇨大切にする感じ 

「心にたたむ」丁寧にものを伝えたいときに使いやすい 桐山

 

達成感と喪失感を味わった時の感情

まだまだ人生楽しくなるために「ご褒美」を貰ったのかな 桐山

 

自分に自信を無くした時

明日の自分に期待できてる証 鈴木

 

感謝で涙があふれきて言葉にできない時の気持ち

いつかの約束 村山 

死に対する恐怖がなくなった 言葉にしなくてよい事もある

気持ちの形 匂い 色が全てで 

言葉にしたとたん こぼれていくものがある

 

一度盛り上がったあとの沈黙

とりあえず「最近寝れなくてさぁ」で5分はしのげる ひとり

 

一年を振り返り なかなか書き始められない時は?

かっこつけないで恥ずかしいことを書く 後で読むとそれが一番面白い

「人にいちばん言いたくないこと」を書く

絶対内緒にしておきたいことを書くと人の気持ちは動かせる 村山

 

30年間日記をつけている 鍵付きの日記でさえ本当の本音は書けない 

まだ認めたくない醜い部分 それは日記に書けない ひとり

 

「勇気を持って、まず書いてみる。」

2026年1月10日土曜日

あの人に会いたい 鈴木修

冬陽浴び今か今かと夢の中

肩回し首を回して寒き朝

冬陽射し待ちくたびれて大欠伸(あくび)

冬の夜や鍋を囲みて寒を楽

鍋に風呂大活躍の柚子の香

 

■あの人に会いたい 鈴木修(スズキ元会長)

2024(令和6)年 94歳没

 

自らを中小企業の親父と呼び、現場主義を貫きました。

 

モノづくりというのは僕は文化だと思っている

その文化を安いからといって中国に持って行ったのでは

日本のモノづくりはどうなるかと文化も無くなっちゃう

そこであまのじゃくぶりを発揮してね 日本で何とか

モノづくりが競争できないかと

 

1953年中央大学法学部を卒業 

1958年スズキ自動車工業(現・スズキ)に入社 二代目社長の娘婿として入社

社長に申し出ましてね「経営企画室のやっていることと 

現場のやっていることは全然違っている」「こんなことじゃ駄目だからもう一度

僕を現場に行かせてくれ」と言って 僕は現場へ行った

「あんな生意気なやつは工場へでもぶち込め」ってわけで

だから「こんちくしょう!」と思ったから1割残して2臆7,000万円で作ったよ

この経験がモノづくりの原点となった

それがやっぱりね 油のにおいをかぐのが好きになった基本だろうね

そのときの現場でやったのが今非常にプラスになっていると

 

1978(昭和53)年 社長に就任

1979年 軽自動車「アルト」を発売

47万円という他社より大幅に安い価格で販売し大ヒットをとなる

 

やはり軽自動車なり軽自動車が小型(車)と同じような装備をして

ずっとやってきた それが軽自動車が落ち込んできた原因である

いろんなアクセサリーを付け過ぎていた そういうことで単純な

シンプルなクルマをつくった これが価格が比較的廉価にできたと

だから文字どおり皆さんの下駄に使っていただくと 

こういう考えでございます

 

軽量化することで燃費の向上

 

1981(昭和56)年 ゼネラルモータース(GM)・いすゞ自動車と業務提携

アメリカ市場に進出

 

小さいことがただ日本だけで通用するんじゃなしに 世界でね

世界で通用すると これが私の非常に大きな自信にもなりましたね

 

1983年 インドに進出 四輪車の生産開始

 

ハッと考えたのは 自動車を作ってない国に行けば 

ナンバーワンになれる 簡単じゃないかと 

みんなが先進国へというときに 私どもは小さいクルマだから

発展途上国へ出たと そういう点が 結局 実ったという

事だと思うんですね

 

他社に先駆け ハンガリーに進出 ベトナムなどで現地生産を始める

スズキを世界的企業に押し上げます 

 

その市場 その国に合ったようなクルマづくりを目指すと

試行錯誤を繰り返しながら そのうちにですね その国の最も

ふさわしいクルマというのはあるはずだと 

 

即時やらないと 今の型がちょっと高くなる 型が高くたって

これが 無くなるだけコストダウンになる 20円だけれども

8,000台つくるから 大きいね 

 

1993年 ワゴンR発売 RJCニューカー・オブ・ザ・イヤー受賞

 

コストダウンというのは 安かろう悪かろうじゃ駄目なのよね

安くなって良くならなきゃ やはり1円単位でコストを下げていく

材料を変えていく 知恵を出していくということは 今あるものを

どうするかということよりも 今あるものを全面的に否定しちゃってね

そして何かを生み出す方法がないか ということでしょうね

 

2008(平成20)年 GMとスズキ 提携を解消

2009年 フォルクスワーゲンと資本提携

 

生き残りをかけて戦っていくために どうしたらいいか スズキの良さと

マイナスの面と両方をですね なんとかカバーしなくちゃいかんと

いうことで 私も今回の決意をした 

 

2019年 トヨタ自動車と資本提携

クルマの電動化の道筋を立てた

 

私どものような中小企業は裾野が広いにも関わらず 

全部 研究開発は不可能 協力を頂かなければ スズキは成り立たない

 

我々はいくつになっても どんなにポストが上がっても 油のにおいをかぎ

汗のにおいをかぎ そして現場の機械に接しながら 現場を歩いて

回るということでしょうね それがモノづくりの基本じゃないでしょうか

 

人間はこれで満足だといったら 進歩しない 進歩というのは

毎日毎日考えていく 毎日毎日見ていく それの繰り返しで

いい知恵が出てくる だから面白い 人生というのは

これでおしまいっていったら 人間 全然面白くないじゃない

 

スズキ元会長 鈴木修 1930-2024

 

■夏井いつき俳句チャンネル

【季語よもやま話】かつて季語だった?!「ホットケーキ」

2026年1月9日金曜日

もう一度見たい景色で一句&「数え日」&「松山市消防局杯」

期限切れ食品配布年の暮

香港の民主主義消ゆ鐘氷る

香港の自由やいずこ冬日没る

冬の夜やフランス熱し時代劇

見直される和の価値観冬の海 

 

■夏井いつきのおウチde俳句

一分季語ウンチク「 数え日」

 

12月も押し詰まってきて 新年まであと残り数日といった

そういうタイミングのことを指す冬の時候の季語になってきます

年がそろそろ変わろうかという時期を意味する季語というのは

他にもたくさんあります

「年の暮れ」といったり あるいは「ゆく年」とか

「年惜しむ」なんていう言い方も様々あるのですが

そういう似た季語と比較した時にこの「数え日」

指でおって数えられる程のという 

ここの要素は非常に重要な意味を持つ季語になってきます

もうギリギリまできたという押し詰まった切迫感だったり

やり残したことがまだ山積みになっているという量感だったり

そういったものが描ける季語になっています

それと同時に感慨 新しい年がもうすぐだと

そんな喜びも内包している季語だと思います

 

■【コラボ投句企画】松山市消防局杯、開催決定!

「松山市消防局杯」についての詳細はこちら↓

投句フォーム:https://forms.gle/tujy9eMaTdVk1bY79

 

お題:2025年家藤正人一日消防署長in松山市中央消防署

募集期間:2026年1月4日~1月31日夜中まで

 

賞品あり

①上位3点(選:松山市中央消防署消防署員による)

②夏井いつき賞、家藤正人賞

③その他

全作品の中から松山市防火標語や、防火啓発としてグッズなどに掲載される可能性があります。(例:「ティッシュにして配る」「横断幕や懸垂幕にして庁舎に掲示する」「ホームページやSNSに掲載する」など防災に防火啓発にかかる内容)

 

■プレバト纏め 「もう一度見たい景色」で一句

永世名人句集完成への道

梅沢富美男

砕氷船遠目に白き何か達

一か所だけ稚拙

語順もいい 景色を広げていく 氷とは違う何か

正体が分からない 何を最後「達」って

複数にしたらやりたいことが実現しない

「何か」で終わると 読んだ人も「何だろう?」

「オシャレかも」って思っちゃった?

添削 砕氷船遠目に白きものら何

読者も引き込まれて目を凝らすような効果がでる

「達」何なの?何やりたい となる

 

村上健志

空だった頃の記憶や雪だるま

空で生まれた雪が降って雪だるまになる

雪が空だった頃の記憶 雪だるまもその記憶がある

メルヘンっぽいところがなんだかなって思う人もいる

半面、その表現が素敵 熱烈に良いって人もいる

作者が何を表現したいか ちゃんと見えてくる

言葉も選んでいる 正しく置かれている 良しとしないと

「嫌い」というおっちゃんに問題がある

物の言い方に嫌みがある 夏井先生

あんたに言われたくないわ 梅沢富美男 

2026年1月8日木曜日

あの本、読みました? 伊坂幸太郎

冬ざるる五臓六腑へチョコの香

歳重ね汁を楽しむ冬の晴

冬ぬくし愛想を生きる術として

大地凍つ失われゆく気合いかな

最期の日つもりで生きん寒夜かな

 

■あの本、読みました?

「爆弾」&伊坂幸太郎絶賛ミステリー…年末年始読みたい話題作

綿矢りさ 川原桜 櫻田智也 新井久幸 鈴木保奈美 山本倖千恵 林祐輔P

 

「失われた貌(かお)」櫻田智也著

伊坂幸太郎 恩田陸 米澤穂信 の推薦コピー

 

・超大作

映画が大ヒット「爆弾」呉勝浩著

「激しく煌めく短い命」綿矢りさ著/文藝春秋

 

綿矢りさ「激しく煌めく短い命」・朝井リョウ「イン・ザ・メガチャーチ」の

発売を記念してコスプレ対談イベント

綿矢りさ…宇野千代 朝井リョウ…菊池寛

 

中学時代と30代を描いた理由は❓

作品に登場する懐メロ

テーマに繋がる「Eternal flame」

 

「激しく煌めく短い命」に一文 綿矢りさ著/文藝春秋

「永遠の炎ってなに?」英語のレッスンのとき“eternal flame”の意味を

メリッサに聞いたら、永遠の愛と教えてくれ、辞書には

“墓地や戦没兵士の記念碑の前で燃やされる炎のこと”と書いてあった。

「これは私の考えやけど、死んだあとも燃えつづける愛っていう意味かな」

綸(りん)は考えたあと呟いた。「そんなん、ありえんくない?

炎は燃えるもんが無くなったら、いつかは消えるって」「うん、

ありえへん。でもありえへんからこそ、祈りがこもってるんやない」

 

本作品に込めた想いは?

 

雨が上がったあとの鳥居のずんぐりと質量の増したたたずまい。

すりガラスの、秋の風通しの良さ。季節はどんどん通り過ぎていき

もうあと少ししか通えない校舎に名残惜しさを感じるひまも無いまま、

私たちは次の居場所を各々の力で必死に切り開いていく。

 

独特な表現はどう思いつく?

思い出の映像の切れ端

 

感情に名前をつけて呼べば、とたんに魔法はくだけ散る。

スペアミントを嚙むような、

甘く涼しい連なりを、絶やさないよう夢見てる。

(主人公の久乃が同性の綸に対する気持ちを表現した一文)

頭から湧いてくる文章も…?

 

学生時代に過ごした“池袋”

 

池袋には神社仏閣、川や山といった清浄な自然エネルギーと違った、

個の浄化を高める都会の現実的な癒しがある。

人は人の中にいるときにだけ、

真に自分は何ものでもないと悟ることができる。

人多すぎと思う反面、この街から人が消えたら、随分さみしいだろう。

わずらわしく思いながらも、雑踏に相当癒されている。

 

超大作の執筆を終えて…

 

・有名作家が推薦する本

「殺し屋の営業術」野宮有著/講談社

 

「アフター・ブルー」朝宮夕著/講談社

川原桜

 

「南洋標本館」葉山博子著/早川書房

 

「失われた貌」櫻田智也著/新潮社

 

どのように有名作家の推薦を?

なぜ本を2冊用意…?

帯のコメントを見て…

 

「失われた貌」の一文 櫻田智也著/新潮社

「後頭部に傷がみえるな」

「鈍器で殴打されたとの見立てですが、

いまのところ該当する器物は見つかっていません」

「身元を示すものは?」「それも見つかっていません」

「下着に名前が入っていたりー」

「しません。簡易検査で血液型だけは判明しています。B型でした」

「身元特定につながりそうな身体的特徴は?」

「つながらなさそうな特徴なら、いくつか」

その回答に日野はあからさまに眉をひそめてみせた。

「なんの謎かけだ」

「べつに謎かけじゃありません。遺体は顔が叩きつぶされ、

人相の判別ができない状態です。加えて両腕とも手首から先が

切断されて欠損しています。下着に血液による汚れはなく、

遺体破損後に着衣を脱がされたものと思われます」

「気に入らないな」

「髪もかなり乱雑に切られています。自分で散髪した結果かもしれませんが、

そうだとしたらあまりに不器用で無頓着です」

「それも隠蔽工作か」

 

足紋:足の裏にある指紋のような模様 一人ひとり異なり一生変わらない

謎解きの鍵はどう見つける?

文化の香りがする 林P

 

「どうぞ」意外なことに、ギネスがジョッキにそそがれていた。

「サービスか?それともなにかこだわりが?」

「まあ、味わってみてよ」

「マスター。こんなことをいうのもなんだが、

昼間にきたときの印象とずいぶんちがうな」

「それはお互いさまだな、刑事さん」「日野だ」「なんだって?」

「俺の名前」「憶える必要があるかどうかは自分で決めるよ」

ロールキャベツもまた美味だった。食べすすめ、飲みすすめ、最後は一気に

飲み干そうとジョッキを傾けたとき、やわらかいものが唇に触れた。

驚いて口を離す。「なんだ?」ジョッキの底で、黄色い球体が

ギネスにひたっていた。「なにか入ってるぞ」そう訴えると、

マスターが噴きだした。「遅いな。ようやく気づいたのか」

「なんだこれは」「卵黄」日野はジョッキをカウンターに置いた。

「ひどいいたずらだ。そんなに刑事が憎いか」

「怒るなって。せっかくの乾杯で『月のない夜に』なんて

さみしいこというからさ、黄身を満月に見立てたんだよ。

いっとくが、れっきとしたカクテルなんだぜ。ただし名前は

<イエローサンセット>だから、月じゃなく太陽だけどな」

 

作品で重要なBarの存在

新潮社ヒットメーカーの仕事術

“初の長編”で驚き…

 

「爆弾」の一文 呉勝浩著/講談社文庫

「うーん、ちょっと何か、閃きそうな気がします。なんだろう。

事件が起こる気配です。ああ、これはどうかなあ、秋葉原の辺りかなあ。

たぶん、そこまでひどいものじゃないと思うんですけど」

「おい、何をいってる?」

「十時ぴったり、秋葉原のほうで、きっと何かありますよ」

(中略)

ドアが開く。荒々しい風が吹き込み、同時に伊勢が飛んでくる。

血相を変え、等々力の耳もとに叫ぶいきおいでささやいた。

秋葉原で爆発です。詳細は不明。「刑事さん」スズキがいった。

変わらない笑みのまま、「あなたのことが気に入りました。

あなた以外とは何も話したくありません。そしてわたしの霊感じゃあ

ここから三度、次は一時間後に爆発します」

 

超大作「プロジェクト・ヘイル・メアリー」アンディ・ウィアー著/早川書房

伊与原新 推薦

2026年1月7日水曜日

並木千柳&「モモ」&「白菜」

人としてそこまで落とす?鎌鼬(かまいたち)

北颪(おろし)政策なしのパフォーマンス

政策が蔑ろ冬の鶯

冬の空プリンシプルを持ちて生く

暮易しチョコ一粒の元気かな

 

■知恵泉 忠臣蔵を書いた男 並木千柳~人形浄瑠璃の黄金期

歌舞伎三大名作 「仮名手本忠臣蔵」「菅原伝授手習鑑」「義経千本桜」

1746年から三年連続に作られた 作者は同じ並木千柳

 

ゲスト 木ノ下裕一 ヤマザキマリ 黒石陽子

 

並木千柳の主な作品

夏祭り浪花鏡 1745年

菅原伝授手習鑑 1746年

義経千本桜 1747年

仮名手本忠臣蔵 1748年

双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき) 1749年

一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき) 1751年

 

並木千柳(1695-1751)

 

操り段々流行して歌舞伎は無が如し

 

木ノ下裕一

演劇は3つの要素でできているってよく言われる

戯曲 俳優 演出 「夏祭り浪花鏡」は全部新しい

「僕らのカルチャーが出来上がったぞ」と

いうような興奮があったんじゃないか

 

千柳の中では意味のある転身だったんじゃないか

 

人間と人形のチャンネルを点けたり消したりしながら

書けるようになったんじゃないかな

 

豊竹座(実力主義) 竹本座

立作者への執着 

 

黒石陽子

江戸時代は儒教の考え方が奨励されている 特に享保の改革以降

千柳は人間というものの本能は儒教の教えとは正反対位に

自分の業というか欲望とかがうごめいている存在なのであって

それを止めようがないというか本来そういうものなんだっていう

根幹ではそういう風な見方を持っていた

 

竹本織太夫

忠臣蔵であっても千本桜であっても 落ちこぼれが主役になることがある

落ちこぼれと言われながらも なんとか現状を打破しようと

必死で生きていく姿に当時の人たちも心を打たれ見に行ったんだと思います

 

義理と本能のせめぎ合いを経験をしてきた千柳だからこそ描けた

 

竹本座を3年後に離れ豊竹座に戻る

満を持して一人で「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」の執筆に挑む

三段目執筆中に力尽きこの世を去った 五十代半ばでした

 

ヤマザキマリ

生きていく上でのおりだとかエントロピーのようなものが

エネルギーとなり作品を生み出すための糧となっている

 

葛藤しつつも義理を立てよ

 

木ノ下裕一

全部譲っているわけじゃなくてこれで私は義理を済ませました

じゃあこっちへいきます というような意思表示にもなっている

大きい穴からだと弱い風だけど 小さい穴から出る風はぴゅーっと

激しい風になる 自分に負荷をかけることで表現っていうのが

深まっていったり 表現の切っ先がどんどん鋭くなっていったりする

葛藤を持ち続けたっていうのはすごくいいこと

 

ヤマザキマリ

抑えながらそこで発酵させて熟成させて昇華していく 言わないからこそ

自分の中で気づきがあったりする 美徳かなと思います 

義理っていうのはある意味で

 

人形浄瑠璃文楽は解るより感じろ

時空を超えてみてみよう

 

■ミヒャエル・エンデ著「モモ」

「人間には時間を感じ取るために心というものがある」

「時間とは、生きるということ、そのものなのです」

時間泥棒に利用され、余裕のない生活を強いられている人も…。

生きる意味までも見失っている人も…。

タイパやコスパ重視で、あくせく働くとはこれ如何に…。

 

■夏井いつきのおウチde俳句

一分季語ウンチク「白菜」

 

寒くなってくると「白菜」の美味しい時期になってきますね

冬に食べるこの野菜 それに鍋の具材としても 

最も代表的なものの一つといったものですね

この「白菜」なんですけれども 最近は物価の高騰などもありまして

スーパーで買ったりするものもカットしたものが多くなってきた

ということもあるかもしれません ですが先行句を見たときには

スーパーで売られている姿だけではなく 畑で栽培されている状態

でありますとか 白菜をまるごと一つ買って あるいは抱えていく

といった描写の句というのも大変多いのですね

「白菜」という季語を考えるにあたって あの丸々とした姿

立ち上がっている姿 この質量 そういったものも

「白菜」という季語の重要な要素となってくるのではないかと

過去の句を見ると考えさせられるわけですね

ちなみに生産量を見てみると茨木県と長野県が産地としては

非常に有名だそうです

2026年1月6日火曜日

日曜美術館 印象派 三浦篤 荒木飛呂彦

冬の月家に記憶を託しをり

冬銀河記憶は物に宿りけり

冬景色繰り返すたび古典へと

健康度外視冬をも楽しまん

鐘氷る生活保護へ腹くくる

 

■日曜美術館 まなざしのヒント 印象派 人物画編

三浦篤 荒木飛呂彦 片岡千之助 夏子 守本奈美

 

1時間目 肖像画の変化

エドガー・ドガ「家族の肖像(ベレッリ家)」

絵の中に絵がある イレール(亡くなったおじいさん)

ラウラ(時に鬱状態に陥るお母さん) 

ジェンナーベレッリ(お父さん 政治亡命していたので肩身が狭い) 

ジュリア(10歳 良い子を演じられる 娘) ジョバンナ(7歳 お転婆 娘)

犬=忠実・忠節のシンボル ありのままの真実を描いてしまった 真実を追求

それぞれの違うドラマが見えてくる

ブルジョワジー(中産階級) フランス革命 産業革命 

お母さんと長女にピントが合っている

 

肖像画の歴史

ジャック=ルイ・ダヴィッド「サンーベルナール峠を越えるボナパルト」

シャルル・ボードレール「現代生活の画家」 現代性(モデルニテ)

 

家族の肖像

ジェームズ・ティソ「ミラモン侯爵夫妻と子どもたち」

美化・理想化

 

エドゥアール・マネ「エミール・ゾラ」

ジャポニスム 絵の中の絵 相撲取り マネ「オランピア」先進的なもの

 

アンリ・ファンタンーラトゥール「デュブール家の肖像」

家にいた人外に出た人 静止と動

 

2時間目 画家たちの変化

フレデリック・バジール「バジールのアトリエ(ラ・コンダミンヌ通り)」

日常 

ピアノを弾く人メートル 長身バジール その前の人マネ 

その後ろモネ?ゾラ? 階段の男性ルノワール?ゾラ? 

階段の下ルノワール?か批評家 画家たちの存在が大きくなっていく

画家は元々は職人的存在だった 芸術家という意識が芽生え始める

バジールに関しては自分で描いていない マネが描き加えた

 

自然体を描こうとしている 丁寧に家具を一個一個大切に描く

 

エドゥアール・マネ「ピアノを弾くマネ婦人」

マネはドガにこの絵で絵はこういうふうに描くのだよというお手本を見せた

この絵は巧い!かっこいい人を描いているわけではないけどかっこいい

 

エドガー・ドガ「マネとマネ婦人像」

マネはこの絵を見て怒り心頭 奥さんの顔の描き方が気にらなかった

そして切り落とした マネとドガはライバル関係でもあった

 

3時間目 印象派の変化

ピエール=オーギュスト・ルノワール「ピアノを弾く少女たち」

悩んだ末のひとつの頂点

色彩重視・筆触重視ではなく上手くブレンドできた 印象派を超えた

人間自体が輝くを放っている 幸福感に満ち溢れている 宗教画だと“円光”

 

クロード・モネ「アパルトマンの一隅」

表情が読み取れない

 

ピエール=オーギュスト・ルノワール「読書する少女」

 

印象派はタッチを分割

 

課外授業:好きな人物画を見つける

ウジェーヌ・カリエール「病気の子ども」

見ているのに見られている赤ちゃんの視線 夏子

 

アルベール・バルトロメ「温室の中で」

はっきり描かれていないが表情が揺らいでいる

曖昧さが人を惹きつける 守本奈美

 

ポール・マチ「室内の子どもと女性」 

この子どもの姿勢と表情が良い 

ちょっとした暇を弄んでいる 片岡千之助

 

ジェームズ・ティソ「L・L・嬢の肖像」

この絵画展においての一番の美人 ファッションがお洒落

美しい女性を美しく描く潔さ 目の中の点がいい 荒木飛呂彦

 

エドゥアール・マネ「ステファヌ・マラルメ」

友人の詩人を描いた小品 体の傾き加減が良い

人となりをサラッと描いているところが良い 三浦篤