2026年10月6日火曜日

100分de名著 ハクスリー❝素晴らしい新世界❞③

秋の暮回避可能か?水破産

秋の原水に生かされ破壊され

釣瓶落し(つるべおとし)躙口と貴人口(きにんぐち)

秋陽射し敷いた白砂反射せり

秋澄むや暮らしの中の滝の音

 

■100分de名著 ハクスリー❝素晴らしい新世界❞③言葉が共有できなくなる時

堤未果 伊集院光 阿部みちこ

バーナード レーニナ ジョン リンダ

 

ジョンとレーニナが見に行った映画は触感映画 Feelie

「きみはああいうものは観るべきじゃないと思う」(略)

「ああいうものって?」

「ああいうおぞましい映画だよ」

「おぞましい?」レーニナは心底驚いた。

「だって素敵だったじゃない」

「あれは下等なものだ」ジョンは憤慨した。「下劣なものだ」

「どういう意味かわからない」

「この質問に答えて。あなたは本当にわたしが好きなの、どうなの」

ジョンはちょっと黙りこんだ。それからごく低い声で答えた。

「きみを世界の誰よりも愛している」

「じゃ、なぜ そう言ってくれなかったのよ」

「“写真の誘惑も、私の純潔な胸を溶かして情欲の渦と化し、

婚礼の日の喜びを鈍らせるまねはさせません”。絶対に!絶対に!」と

ジョンは決意を叫びあげた。

「もう、お馬鹿さん!」とレーニナは言った。

「あなたが欲しくてたまらなかったのよ。(略)」

ジョンはレーニナの両手首をつかみ、自分の肩から引きはがした。

それから腕をぐんと伸ばしてレーニナを乱暴に突き離した。

「いったいなんなの」レーニナの声は悲鳴に近かった。

その悲鳴で目が醒めたというように、

ジョンはレーニナの両肩を掴んで揺さぶった。

「淫売め!」と叫んだ。「淫売め!“恥知らずの淫売め!”」

「ああ、やめて。やめて」

ジョンが力いっぱい突き放したので、レーニナはよろめいて倒れた。

「行け」ジョンは威嚇するようにレーニナを見おろした。

「僕の目の前から消えろ。さもないと、殺す」

「すばらしい新世界」黒原敏行訳

 

“恥知らずの淫売め!” シェイクスピアの「オセロー」

妻デジデモーナの浮気を疑い 主人公オセローが言う言葉

実は妻は無実 オセローの部下の陰謀 思い込みで妻を罵倒する台詞を

ジョンに言わせている レーニナが暮らす社会には貞操という概念がない

「すぐに性愛」が推奨 共通の言葉がないことは「対話」がなくなる

言葉が共有されないときに起こること 「会話」はしているが「対話」は

していない 正しさをぶつけあっているだけ 

 

バーナード ヘルムホルツ ジョン リンダ

 

ヘルムホルツ「ほら、俺はフレーズを創り出すのが得意だろう-

画鋲の上に座ったみたいに、聞いたとたん飛びあがりそうになる言葉、

睡眠教育で教えこまれる文句みたいに、当たり前のことなのに

斬新で刺激的に思える言葉を創るのがさ。

でも、それだけじゃ充分じゃない気がするんだよ。(略)」

「何か重みがない。もっと重みがあることを言える気がするんだ。

重みがあって、張りつめていて、激しいこと。言葉というものは、

うまく使えばX線のようになれるーなんでも透かして見ることができる。

でも、共同体合唱や嗅覚器官研究の最新成果について読者の心を透かし

見るような記事を書いて、それが何になる。空疎なことについて

いいものが書けるんだろうか。」

 

ジョンと意気投合 

 

「あの大昔の作者シェイクスピアはなぜあんな見事なプロパガンダが書けたのか。

きっともう堪らないようないかれた状況をたくさん経験したからだろうな。

やっぱり傷ついたり、混乱したりということは必要なんだよ。

そうでなきゃ、本当に優れた、X線みたいに本質を突き通すフレーズは

思いつけるものじゃない。でもさ、お父様、お母様というのがなあ!」

ヘルムホルツは首を振った。

「もうその言葉だけで笑っちゃうものな。それに若い男と女がくっつく、

くっつかないで大騒ぎするやつなんかいるわけないんだし」

「やっぱりあれはだめだな。俺たちは別の種類の狂気と暴力を題材にしないと。

でも、それはどういうものだろう。何かあるだろうどこで見つかるだろう」

しばらく黙っていたがやがて首を振った。

「わからない。俺にはわからないよ」

 

言葉のプロに芽生える疑問

エドワード・バーネイズ:広報・宣伝活動の専門家 精神分析医フロイトのおい

著書「プロパガンダ」(1928)

 

レーニナとジョンは完全に分断

ヘルムホルトとジョンは半分だけ共感 半分は分かり合えない

ヘルムホルツとバーナードが感じているもの 孤独

二人の孤独は質が違う 

ヘルムホルツの場合は詩を書く

自分の孤独な感情をヘルムホルツは詩を書いた

自分が教える学生の教材に紛れ込ませた

人間には「問い」が芽生える 社会への「問い」はタブー

問いを持つことは管理する側から危険分子

自主規制している

 

死を悲しまない社会

リンダは現実逃避で麻薬ソーマを濫用

終末医療病院 

 

悲鳴を聞きつけて看護師長が救助にやってきた。

「いったい何をしてるんです」激しい語気で詰問する。

「子供を殴るなんて承知しませんよ」

「こいつらをベッドに近づけるな」ジョンの声は憤慨のために震えていた。

「この汚いガキどもはここで何してるんだ。まったくひどいじゃないか!」

「ひどいですって?どういう意味ですか。死に慣れる条件づけ教育を

受けているんですよ。いいですか」喧嘩腰の口調で通告する。

「これ以上教育の邪魔をするなら、警備員さんたちに放り出して

もらいますからね」

 

「あの人死んだの?」「死んだの?」

子どもたちは死が怖くなくなる条件づけ教育を受ける

死を悲しまない社会はとりかえのきかない人がいなくなる社会

私たちが思い込んでることって どこまでが私たちが感じたもので

どこまでが刷り込まれたものか これがわかりにくくなっている

問いを続けること

0 件のコメント:

コメントを投稿