2020年8月11日火曜日

句集「天之」より 姿月あさと・宝塚句 二十一句

日の盛 ムンクの聞いた 叫びとは
悲しみと 死の恐怖に 苛まれ 
鳶の者 青空を背に 軽やかに
青空や 響く鳴き声 夏の鳶
鳶色の 髪靡かせん 夏の浜

NHK俳句 
句集「天之」より 姿月あさと・宝塚句 二十一句 
対馬康子先生の作られた俳句です。

蝶殺めたる 指細き 男役
二階席より 緞帳に 雁ゆくを
サングラス 素顔幼き こと隠す

ひきちぎる ように着替えて 虹に立つ
春風の 広場に集う だけの役
薄羽蜉蝣(うすばかげろう) 台本を 丸め持つ

朧夜に 闇を広げて ゆく両手
革命の 地下食堂の 青嵐
月涼し スーツの肩を 一列に

脚熱く上げ 陽炎に 身を反らす
一幕が 終わる暗渠(あんきょ)に 降る驟雨
黒蜻蛉 地底の兵を 起こす笛

握手して 木の実密かに 渡しけり
星凍(い)つる 女ばかりの 石畳
死ぬ位置を 決めて舞台の 初景色

ポスターに 金の雪降る コンコース
退団の 記事の小さく 春炬燵
白玉は 恋の初めの ように浮く

地下街の 氷汁粉の 歌劇あと
目瞑(つむ)れば 降りてくる鷲 台風来(く)
かくれなき 砂漠に金の 穴まどい

今回私のお気に入りの句は⇩
七夕や 疎水は星を 流れをり   大阪府東大阪市 林省造

心を詠む恋を詠む
七夕は 夢の中まで いつも雨   対馬康子

対馬康子先生が少女みたく可愛らしかったです。

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