2026年10月21日水曜日

あの本、読みました?小砂川(おさがわ)チト 額賀澪

秋の蝿竜頭蛇尾(りゅうとうだび)へ旅立たん

鶏頭や今年も子規を口ずさみ

この花も父の愛した秋の草

熱々の飯に自然薯すりおろし

味噌の香の箸の止まらぬ衣被ぎ(きぬかつぎ)

 

■あの本、読みました?【仕事】テーマの人気小説一挙紹介~職場舞台の本なぜ面白い

小砂川チト 額賀澪 鈴木保奈美 山本倖千恵

 

第175回芥川賞受賞 小砂川(おさがわ)チト 「ゾンビ回収婦」

教育現場の過酷な現実 額賀澪 「先生が終わらない」

 

企業小説の旗手 池井戸潤

オレたちバブル入行組 花咲舞が黙っていない 下町ロケット ブティック

 

作家 小川哲

地図と拳 上下 君のクイズ オルロージュ

 

作家 早見和真 

ザ・ロイヤルファミリー 店長がバカすぎて 春までのセンセイ

 

「先生が終わらない」の一文 額賀澪著/集英社

「南中の皆さん、四月よりこの学校の校長に就任しました、宇佐崎栄一と申します」

カメラを気にすることなく、宇佐崎は生徒たちを見回した。

(中略)

「部活の顧問は、そもそも教師のすべき仕事には含まれません。

 これまで皆さんの部活を先生達が指導していたのは、ボランティアというわけです。

 自分の意志でボランティアをやる分にはもちろん問題ないですが、

 このボランティアがほぼ強制であったこと、拒否しようとすると

 『無責任だ』『教師失格だ』などと 他の先生や保護者から言われてしまう。

 南中ではまず、この〈強制〉をきっぱりやめることにしました」

生徒たちは押し黙ったままだ。言われていることはなんとなくわかるけれど、

それが実施されたらどうなるかイメージできない。そんな顔がほとんどだった。

 「つまり、皆さんの所属する部活動も、今後は顧問の先生の判断で

練習日数が減ったり、活動休止になることがあるかもしれない、ということです」

活動休止という明確な言葉が出て、どこかから「えーっ!」という甲多い声が飛んだ。

 

執筆のきっかけ 部活動の思い出

 

「先生が終わらない」の一文 額賀澪著/集英社

「七原さんは、どうして勝ちたいって思うの?」藤木先生の問いに、すぐさま

「そんなの決まってます」と顔を上げた。

「自分だってやればできるんだって思いたいから。

 好きなスポーツでくらい、誰かに勝てる自分でいたいから」

一花の言葉に、先生は「そうだよね」と小さく頷く。

「あなたがそう思っちゃうのは、勝つことは素晴らしいことで、何かに打ち込むなら

 勝ちを目指さないといけないんだって、

過剰に教えこんでしまった大人のせいなのかもね」

「なんですか、それ」

まるで、育て方を間違えてしまったみたいな、そんな言い方で。

「学校の部活なんて、本当なら勝っても勝たなくてもいいんだよ。

 なのに、教師も保護者も地域の大人も、全国大会に出場したら大騒ぎして、

 負けたら『努力は無駄にならない』なんて歯の浮くような慰めしか言わなくて。

 そんな環境じゃ、あなた達が勝つことにこだわって当然なんだ。

 勝つことでしか得られないものがあると思って当然なんだ」

自嘲気味に笑いながら、先生は「大事なことを部活を通して教えて

あげられなくてごめん」と頭を下げた。

大人が子供にたいしてするとは思えない、深い深い一礼だった。

 

勝ち負けは大切? 物語の作り方 校長先生は安部寛? 理想は小日向文世!

「エンタメ」にはしない 教員たちからの反応

 

専門的な職業を取り上げた作品

咲良は上手に説明したい! 滝沢志郎著

 

凪良ゆうおすすめのお仕事小説

「汝、星のごとく」「多類婚姻譚」

 

香りを調合・創作する職業「調香師」

「燻る骨の香り」千早茜著

 

VRの世界でゾンビを回収する仕事

「ゾンビ回収婦」の一文 小砂川チト著 

それが天命であるかのように、わたしはあなたたちの残骸を掃除した。

深い血だまりのなかから、ジャム以上の固さのものならあまさずすべて、

ていねいにサルベージした。昼とも夜ともなく、わたしは溶け崩れた

あなたたちを取り戻しつづけた。取り戻したそばからあなたは

また屋敷のどこかでぐちゃぐちゃのペースト状になり、わたしは駆けつけ、

あなたもいつしか多少の決まり悪さをペースとなりのやり方で

示すようになってゆき、それでもやはりまたあなたは、木っ端微塵になって

壁や天井まで飛び散ることをやめようとはしなかった。

途方もない回数、わたしとあなたはそれを繰り返した。

ただわたしとあなたきりで。なにものかの足音がこちらに近づいてくるとき、

わたしの奥歯はカチカチ鳴った。わたしはけっして、けっしてそのだれかに

すがたを見られてはならなかったから。そのことを初日からずっと、

本能的に知っていて、焦りのあまり涙目になりながらわたしは、

それでも自分ひとりでこの場に収集をつけることを、あきらめたことは

一度もなかった。そんなのは、そんな情熱を持てたのは、

わたしの人生のうちでこの仕事きりなのだ。

 

なぜVRの世界を舞台に?

きっかけは「バイオハザード」

1996年発売 ゾンビや異形生物と戦うサバイバルホラーゲーム

 

NPC(ノンプレイヤーキャラクター)

ゲームなどで人間のプレイヤーが操作しない

コンピューターのプログラムやAIによって動くキャラクター

 

NPC的な生き方・働き方 現代は都合よく使われている

否定したり肯定したり時々で評価が変わっている

 

「ゾンビ回収婦」の一文 小砂川チト著 

だいたいにして、いまさらなんだっていうんでしょう。

急げ、急げ、結果だせ。急げ、急げ、ミスすんな。

改善しろ向上しろ発展しろ進歩しろ、死んでもミスすんな、進化しろ。

そういってさんざいい機械みたいにあくせく働かせておいて、今度は、

「ミスすることこそ人間固有の愛らしさ」ですって。

そういうことになったんですって。

 

AIと仕事

直ぐにできてしまうAIには経験がない ストーリーがない 歴史がない

 

「ゾンビ回収婦」の一文 小砂川チト著 

ゴールデン・レトリバーのように、ハカハカとわたしは笑いだしている。

男は白樺の木々のあいだをモッツモッツと踏みしめて歩く。

 

オノマトペが独特 最高に面白かった

比喩表現がぴたっとはまっている それが気持ちいい

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