2026年7月15日水曜日

兼題「白玉」&「季重なり」

理不尽を生きるよすがや夏木立

立ち上がるだけの信仰持ちて夏

夏日影尊厳なくすことなかれ

夏蛙権利ばかりを前面に

道徳と秩序なき人草茂る

 

NHK俳句 兼題「白玉」

選者:星野高士 レギュラー:松井玲奈 司会:柴田英嗣

年間テーマ「虚子の近代俳句」

 

7月 花咲く4T

大正2年に虚子が始めた「台所俳句」女性にも俳句の道が開かれた

虚子の門下で4人の女性が活躍した

橋本多佳子(1899-1963)

三橋鷹女(1899-1972)

中村汀女(1900-1988)

星野立子(1903-1984)虚子の娘 星野高士先生の祖母

いつしか4T と呼ばれるようになった

 

星野立子(1903-1984)

立子は凄く繊細な人 句会では(集中して)話しかけづらかった

囀りをこぼさじと抱く大樹かな   星野立子

「囀(さえずり)」が春の季語

求愛の鳴き声 それを大樹が守っているよう 大樹を擬人化している

さえずりと大樹のからみ合いに 立子はつながりを感じた

「かな」は詠嘆(表す切れ字) 「大樹あり」では弱い「かな」で力強さが出る

大きな母性がより表現されている

 

髙山虚子から立子へ

お前の俳句は筋の正しいものであることがわかった

「玉藻」創刊号 昭和5年6月1日 発行 女性が主催する初めての俳句誌

96年間ずっとやっています 今は星野高士先生が主宰している

現在「玉藻」1143号 令和86月 発行

俳句の作り方(テクニック)を聞くと…。

「自分を信じて 自分のことを素直に言う」と立子に言われたとか…。

その言葉はいつも頭の中にある 技じゃない自分の目を信じろ 高野

心が動いた瞬間を捕まえないとダメなんですね 松井

 

橋本多佳子(1899-1963)

東京都出身 夫は九州小倉の実業家 23歳の時、自宅で開かれた

高浜虚子の句会で 虚子の句に感動して句作を始める

雪はげし抱かれて息のつまりしこと   橋本多佳子

38歳でご主人を亡くしている もう一度会いたいと思っている

上五の「雪はげし」は現在の事 雪が凄く降っている

中七と下五はご主人との思い出 息が詰まるほど抱かれた経験があった

雪が激しい夜に現在と過去が重なって感情がリアルに伝わってくる

字余りが切ない思いが表れている 自分の思いは5文字で言い足りない 星野

思い出の中で堪えている感じが伝わってくる 松井

激しい雪の中に自分の孤独感を見ている 星野

あふれんばかりの愛情と苦しさが収まらないから1音余らせている 柴田

 

三橋鷹女(1899-1972)

千葉県出身 27歳で句作を始め 高浜虚子の弟子 原石鼎に師事する

夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり   三橋鷹女

言葉はきれいなものを表現するために使いたいけど

私は嫌いなんだと言い切れる意志の強さがすてき 松井

「嫌いなものは嫌い」というのはまず食べ物 

夏痩せの状態を臨場感あるように詠んでいる

食べ物だけではなく人間も嫌いの中に入っていると思う

あの人は会いたくない そういう感情が「夏痩せ」の裏に出ている

嫌いなものを具体的に言っていないところが良い

 

中村汀女(1900-1988)

熊本県出身 18歳で句作を始め高浜虚子に師事

俳句誌「ホトトギス」の同人となる

あはれ子の夜寒の床の引けば寄る   中村汀女

親が子を大事に思う気持ちと子どもが親を信頼しているのがよく分かり句 

すごく温かい句 松井

吾子俳句 わが子への愛情や成長の様子を詠んだ俳句

偏った愛情表現になってしまうから 評価されない

吾子俳句は主観的になりがちだけど この句は子どもとの距離感がいい

間近にいる自分の子どもをそのまま詠うのではなく

ちょっと突き放して詠う これができるかどうかが大事 星野

自分が見ているものを全部書こうとしてしまうけど

そこから一歩引くことが大事 松井

 

虚子の選句眼は優れているが選句眼と同時に人を見る目も必要

プロデューサー的な能力が凄い人

 

今週の兼題「白玉」

白玉は暑い時季に涼しさを呼ぶ(食べ物) 江戸時代から甘味処で人気

「白玉」は夏の季語

食べ物の俳句は「おいしく作ってくれ」というのが条件

・特選句 兼題「白玉」

白玉や友だちといふ間柄   山田蹴人(しゅうと)

白玉の白に陰あり窪みあり   川辺朗

白玉やけふは誰とも会ひたくなく   伊藤映雪(えいせつ)

白玉や裏表なきひととゐて   花見鳥

白玉のくぼみをぢつと見てをりぬ   丹下京子

白玉のつるんと通る病み上がり   村松陽子

 

・特選三席 兼題「白玉」

一席 白玉と白玉うまくすれ違い   そまり

二席 窓際の暗さ白玉待ちながら   靭(うつぼ)草子

三席 白玉や嘘つくときのかたえくぼ   出井(でい)美恵子

 

・白玉の浅きくぼみに子のちから   松井玲奈

添削(そのままの報告になっている 実体験がリアルに出過ぎている)

白玉のくぼみ浅くも子のちから

(子の力だからくぼみはまだ浅い だけど「頑張れよ」という励まし

 子は成長している これから くぼみを深くできる)

 

・今月のポイント

「語順を工夫する」

 

・はみだせ!教室俳句

滋賀県 長浜市立びわ中学校

教室俳句コンテスト 指導アイディア部門 最優秀賞

岡﨑隆祥(たかよし)先生

 

自分が作るのも苦手ですし 授業でも季語をやって 

有名な俳人の名前を押さえて テストというイメージだったので

俳句の授業が得意ではなかたので こうやって工夫してみると

こういうふうに返ってくるんだなと感じた

交流の効果に手ごたえを感じた

 

交流前

夏の昼秒針響く古時計   3年生女子

交流すると

「夏の昼はセミとかうるさくない?」みたいな

「古時計だからもっと静かな方がいいんじゃない?」という意見が出て

「秋の宵秒針響く古時計」に変更した 交流がプラスに働いたなと感じた

交流後

秋の宵秒針響く古時計   3年生女子」

 

風光る子の声響く教室や   岡﨑隆祥

 

先生の声じゃなくて子どもの声が社役になるようなそんな教室を作りたい

僕が作ったってなってしまうと 子どもたちも達成感ないと思うし

自分で納得してというのが大事 考えさせてみて 作って終わりじゃなくて

さらにもう一段階推敲するのは大事だなと思いました

 

■夏井いつき俳句チャンネル

【一句一遊】お便り紹介22【再!「季重なり」の話】

 

季重なり

金目鯛しかし明るく病んでいる   元野オペラ

目は月の半身として金目鯛   常幸龍BCAD

金目鯛の月を渇望する眼(まなこ)   岩

鱗に陽眼に月の金目鯛   瓜太朗

 

   季語を季語で合体させる

   季語に強弱をつける

   季語と季語を並列させる

 

0 件のコメント:

コメントを投稿