ベンツに勝るパワーユニット春の虹
不可能を可能へと蛇穴を出づ
春光やオーバーテイクボタン押す
風光る最後の武器で勝ちを取る
初虹や歓喜と怒涛涙せり
■NHK俳句 兼題「桜・花」
選者:和田華凜 ゲスト:片岡信和 司会:柴田英嗣
年間テーマは「季語からみるDNA」
和田華凛さんが俳句を始めたのは37歳 子育てがひと段落してから
日本は季節が美しい国昔の人はどのように暮らしてきて
これから私たちはどのように暮らしていくのか
俳句を通じて皆さんと一緒に考えていきたい
片岡信和
制約の中にこそ自由ってあるのかもしれない
催花雨(さいかう):花を咲かせてくれる 促す雨
菜種梅雨
桜は人生や命の象徴のような花
俳句で花というと桜のことを指します
季語は百五十以上ある ⇩代表的な季語
花冷え 花の雨 花の雲 花月夜 花明り 花便り
花衣 花疲 花朧 花筏 花篝(かがり) 花曇
花人 花影 花時 花筵(むしろ) 花守 花屑
古来の季語として桜前線を置き換えると花便り
・名句鑑賞
咲き満ちてこぼるゝ花もなかりけり 高浜虚子
虚子が鎌倉の花を見て詠んだ句
俳句は瞬間の時を言葉で止める
十七音で止めるというのが俳句の真髄
物の見えたる光いまだ心にきえざる中(うち)にいひとむべし
松尾芭蕉(対象物が放つ光が心から消えてしまわないうちに
俳句にしてしまわないと印象が薄れてしまったら何も詠めない
その瞬間 感動したことをなんでもいいから瞬時に書いておく)
一瞬が大事に思うようになった 恋に落ちた瞬間
一山(いちざん)の花の散り込む谷と聞く 稲畑汀子
(吉野の桜 吉野山 奈良県吉野町)
・今週の特選句 兼題「桜・花」
花追うて旅の終はりの五稜郭 亀田かつおぶし
夕桜デジャヴのやうな会話して 佐藤ひろみ
花の山子が落ちて来る滑り台 有村次夫(つぎお)
イエスタディ流るる葬や花の昼 山本正幸
車出て車のかたち桜散る 和住緋弧(わずみひこ)
桜みる桜にみらる南無阿弥陀 圓山多津美(まるやまたつみ)
特選三席
一席 花冷えやおなじところでまた涙 川口泰英(やすひで)
二席 私 シャガールの飛花クリムトの落花かな 古関聰(あきら)
三席 天も地も汝(な)も吾も時も消え桜 磯部安志(やすし)
・はみだせ!教室俳句
愛媛県東温市立川上小学校 岸恭子先生
なつのくもくわがたみたいならんどせる たにぐちたかひろ
下五の候補 らんどせる あいうえお ごじかんめ
好きな下五を選んで想像を広げる
学習面や運動面で賞状をもらうのは難しいですけど
俳句で認めてもらった経験が自信になって他のことも
頑張ってみようと成長する子どもたちを見てきた
自信をつける 自己肯定感を高めるという意味でも
俳句教室は大きな効果があると思っています
せんせいせんせいあのねあのねの休暇明 岸恭子
・気象予報士 片岡信和の一句
流れゆく日々とどまりし桜色 片岡信和
添削
流れゆく日月(じつげつ)とどめ花の雲
・柴田の気づき
桜は命の象徴
■NHK短歌 テーマ「いのち」
選者:永田紅 ゲスト:小林武彦 司会:尾崎世界観
年間テーマ「❝理科の言葉❞で羽ばたく」
短歌と理科の言葉は意外と相性が良い
「どのように生きるのか」ということばかりに興味がいきがち
「なぜ死ぬのか」というところからスタートするのがおもしろい
小林武彦氏 詩を書くのが高校時代好きだった
ゾウリムシきみが細胞分裂をするときほどの勇気がほしい
今紺しだ「晴れ上がり」
ゾウリムシは単細胞生物 細胞分裂して無性生殖で増える
勇気という抽象的な気分を表すのに「ゾウリムシが細胞分裂を
するときほどの」という言葉の入れ方がおもしろい
不確定なものに不確定なものをぶつける
どっちが自分かわからない不安要素が勇気
・入選九首 テーマ「いのち」
私 無性生殖しちゃったの。とか言ってダブった本を一冊譲る
谷津川ゆう
「君たちが恋をするのも酵素のおかげ」先生熱弁せし生化学
岡純
豆苗と私と浅利、キッチンに春の酸素を分け合っている
岩瀬百(もも)
樹皮に寄るしわしわ象の貫禄で大地をつかむ冬の欅(けやき)は
鈴木綾子
たましいがわたしを抜けていくときの機序はおそらく蒸散だろう
三月とあ(機序:物事が起こるメカニズム 仕組み
蒸散:植物体内の水分が水蒸気になって外に発散すること)
三席 ラボを出て夕虹かかる保育所に小さないのち受け取りにゆく
河合正秀
下の名で呼ばれた時にわたくしのミトコンドリアははしゃいでしまう
中村マコト(ミトコンドリアは細胞の中でエネルギーをつくるところ
発電所みたいなところ 細胞の中で一番はしゃぎそうなところ
ミトコンドリアは母親しか受け継がない)
一席 私 パワハラにPa(パスカル)のよな単位なく命の重ささえ単位なし
三浦秀和
二席 授業中ねるなら光合成くらいやってみせろと言いたい窓辺
竹内奈々子
・❝理科の言葉❞ピックアップ
舐めると酸っぱいって清水先生が言ったデオキシリボ核酸
水野文緒
デオキシリボ核酸:DNA 遺伝の概念としてのDNAではなく
物質としてのデオキシリボ核酸に注目している
アノマロカリス:古生代カンブリア紀に生息した生物
オートファジー:細胞が自ら分解する機能 大隅良典さんが「オートファジーの
仕組みの解明」により2016年ノーベル生理学・医学賞受賞
・私の❝理科のことば❞
小林武彦さんの❝理科のことば❞ 連続性
空間的な連続性=生態系 空間的にみんなつながって連続している
時間敵が連続性=私たちの生きている瞬間的で刹那的な時間の前には
138億年前にビックバンがありました 私たちの前には
138億年の歴史があり 私たちの後にも誰かに何かしらの影響を与える
その連続性の中で僕らは存在している)
連続性は長い歴史的な時間であるし 一人の人間の中での時間でもある
このようなことを認識できるのは人間だけ
前とか後とか考えられるのはヒトだけなので連続性は大切にしないといけない
一般書を書くときに気をつけていることは❓
言いたいことを分かってもらうことが目的
「ことばのリズム」リズムがあると何となく分かった気になる
私感
最高に楽しい時間でした。
1年間が楽しみでなりません。
宜しくです。
・言葉のバトン
お辞儀みたいと黄泉(よみ)に来た人
石黒謙吾(著述家 編集者)(ご本人曰く ダージャリスト)
⇩
爽やかに次の畑へお引越し
増田明美(スポーツジャーナリスト)
ジョグ俳句(ジョギングしながら俳句を詠む)をはじめたら
景色を気にかけたり足の裏が目になっちゃってる感じ
踏まれてもなほタンポポの咲き誇る 増田明美
菜の花の群れから離れ独り咲く 増田明美
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