2025年4月20日日曜日

あの本、読みました?有吉佐和子

しがらみを解き放ちけり春日和
朧月見果てぬ夢よ憧れよ
春の月未知の人生ポコアポコ
春の月困難極む幼稚性
春深し酒の飲めないバーテンダー

■あの本、読みました?
文庫本ランキング「青い壷」有吉佐和子…昭和出版の本が続々!
鈴木保奈美 角谷暁子 林祐輔P
名嘉真春紀 山口由紀子 原田ひ香 長谷川麻由

名嘉真春紀
「幸せな家族そしてその頃はやった唄」の一文 鈴木悦夫著/中公文庫
「そうさ、おれは仕事をする。金を稼ぐ。
稼げる時に、稼げるだけ稼ぐんだ。」
父は怒ったような声をはりあげ、ウイスキーを飲みほした。
「尚平、おぼえているだろ。若い頃のおれたちは、
ずいぶん貧乏だった。まるで仕事がなかったものな。」
父が、急にしんみりした調子で話しだした。
「おれはね、あのとき思ったわけさ。
なんでもかんでも仕事をしてやろうってね。
稼ごうと思ったよ。それが身にしみついちまった。
仕事をしていないと、いつまた貧乏になるかもしれないって、
すぐに不安になるんだ。しかしね、そんな自分がきらいではない。
おれが稼げば、女房や子どもたちは、
すきな物をすきなだけ買えるようになるんだ。
そうすりゃ、不満なんて感じないですむ。」

バブル期の家族の形 そして次々と家族が死んでいく
子どもの頃わからなかった大人のものの考え方
児童文学 幸せな家族
出会ったきっかけ

長谷川麻由
マイブック2025の記録が売れている理由はSNS
日記界隈とは?
誰にも見せたくない日記がみんなでシェアする日記へ
マイブックはなぜ文房具売り場に置いていないのか? 林P

山口由紀子
ヒットのきっかけ 帯を書いた原田ひ香
「こんな小説を書くのが私の夢です」伝家の宝刀を抜いたコピー
「青い壷」の大ヒットの理由

「青い壷」の一文 有吉佐和子著/文春文庫
「さあ、アペリティフはティオ・ペペだよ」
あなたたちティオ・ペペを知らないでしょう。
シェリーの最上等よ。
一朗は知っているかしらね。吉田さんは、ティオ・ペペしか
お飲みにならなかったって、吉田茂ですよ。
あの方は外務省でお父さまの大先輩。
一流好みで押し通されたの。
奥さまも、そりゃあお綺麗な方だったわ。
私たちは遠くから眺めるだけだったけど。
「オードブルはフォアグラだよ。
トゥール・ダルジャンから届けさせた」
トゥール・ジャルダンは鴨料理で有名な
パリのレストランだけど、
お皿の上に乗っていたのは、サツマイモの潰したものだけ。
シェリーのティオ・ペペも、飲んでみると日本酒だったわ。
(中略)
「あなた、楽しいわ。素晴らしいディナーですわね」
「人間には贅沢というものが必要なんだ」
「ええ、本当にそうですわ」
「味覚というのは、教養だからね」
「そうですわねえ」
戦争で乾いてしまっていた私の躰の隅々まで、
贅沢という油が
いきわたるような気がしたわ。

「青い壷」の出方が上品
原田ひ香が好きな話 青い壷 第五話

「青い壷」の一文 有吉佐和子著/文春文庫
戦争と、戦後の混乱で
婚期を逸してしまった千代子は、
もう一生を独身で暮す計画をたてて、
去年ローンで小さなマンションを買っていたのだった。
副都心に近い高層建築で、千代子の部屋は六階にある。
「ハイカラなアパートらしいねえ。
眼の見えるときに覗きに来ればよかった。
そうすれば少しは勝手が分かったろうに、
すまないねえ」
「大丈夫よ、お母さん。狭いから、
すぐ覚えられるわよ」
四畳半の日本間に、四畳半のダイニングキッチン。
便所と浴室。これが千代子の家であった。
(中略)
「こっちが窓なのよ、お母さん。ほら」
千代子はキヨの手を取って、窓ガラスに触れさせた。
「冷たくないんだねえ、東京のガラスは」
「もう陽気がよくなっているんですよ。
だけど、私の留守中は窓を締めておきますからね、
お母さん」
老いて視力を失ったことを嘆いて、
キヨが衝動的に飛び降りでもしたらと思い、
千代子はアルミサッシの窓の開閉の仕方を
母親に教えなかった。

作家・有吉佐和子の魅力は?

山口由紀子のお薦め本
「夕陽ヵ丘三号館」有吉佐和子著/文春文庫

原田ひ香のお薦め本
「和宮様御留」有吉佐和子著/講談社文庫

有吉佐和子女史が林真理子女史へ放った言葉
有吉佐和子女史の家にお邪魔した時、
林真理子女史が積み上げられた資料を見て
「これだけ目を通すのは大変じゃないですか❓」とお聞きしたら、
「何言ってるの❓これを読むのが作家の一番楽しい時間じゃない」と
仰られたそうです。

この話をお教えて下さった原田ひ香女史の大ファンになってしまいました。
お教えありがとうございました。

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