2025年6月30日月曜日

100分de名著❝侍女の物語❞❝誓願❞④

夏の風歴史刻んだ石段を

夏の山可憐な色を寄せあいて

降り積もる歴史の中の暑き日よ

禅寺や谷(やつ)に佇み育まん(無季句)

青き峰鳥水風の反響よ

 

100de名著 アトウッド❝侍女の物語❞❝誓願❞④闘う女たち

鴻巣友季子 伊集院光 阿部みちこ

 

それからまた彼女の声がした あの上を見て 明かりがあそこに見えるでしょう

 

カナダの高校生デイジー登場!

両親(メラニーとニール)の営む古着屋には店員以外の人間が出入りする

パールガールズ 真珠女子 

ギレアデが組織した外国で伝道・スパイ・誘拐を行なう女性たち

幼子ニコール

逃亡した侍女がカナダに連れ出した娘

 

わたしは本当の年はともかく、十六歳の誕生日をむかえるところだった。

運転免許をとるのを楽しみにしていた。

 

「爆発があった。自動車爆弾で。メラニーの車だった。

 彼女とニール、ふたりとも車の中にいた」

反ギレアデの地下組織 メーデー イライジャ

 

「きみの母親と〈メーデー〉がきみを逃亡させたんだ。命かえでね。

きみは〈メーデー〉にかくまわれた。捜査には多くの人がかかわり、

メディアも大々的なキャンペーンを展開した」

「まるで〈幼子ニコール〉だね」わたしは言った。

イライジャはまた視線を床に落とした。

それから、わたしをまっすぐ見据えて言った。

「きみが〈幼子ニコール〉なんだ」

その“情報源”とやらが 唯一認める人間がわたしだって言うなら、

やるしかない。

「アルドゥア・ホールへようこそ、ジェイド。

あなたがくだした決断に神の祝福がありますように。

〈主の目〉のもとに。ペル・アルドゥナ・クム・エストルス」

みんなが一斉に唱えた。「〈高価な真珠〉のもとへようこそ。

ペル・アルドゥナ・クム・エストルス、アーメン」

わたし、こんなところで なにしてるんだろう?心のなかでそう思った。

不気味すぎるよ、ここ。

 

「不気味すぎる」ギレアデ潜入!

ギレアデのばかばかしさ 欺瞞が暴かれていく

外からの視点でディストピアを笑い虚飾(きょしょく)を暴く

「誓願」は「見えてくる」物語

 

真珠を獲りこんで 真珠を獲りこんで

そうして歓びが訪れましょう 真珠を獲りこんで

「旧約聖書」の「詩編」に由来するゴシペルソングのもじり

 

模造真珠のネックレスをして模造パスポートで外国に行き

まがいものの聖書を読んで信仰 何もかもが偽造 

ギレアデが滑稽なまがいものであることが

徐々に暴かれるのが「誓願」のスリル

 

その誕生日の当日に、自分がにせものだったと知ったんです。

にせものっていうか、なんちゃってマジシャンっていうか。

見せかけのアンティーク品みたいに、見せかけの存在。

 

欺瞞に満ちたギレアデ 「偽物」という言葉が多数登場

Fake(にせもの) imitation(模倣) 

repleca(複製品) forgery(偽造) fraud(詐欺)

作者からのメタメッセージ

 

小母見習い アグネスとベッカ

 

わたしたちのいた棟にはCの字と、アルドゥア・ホールのモットーが

記されていた。ペル・アルドゥナ・クム・エストルス。

「これはね、“女性の生殖周期によるお産の苦しみを経て”みたいな意味」

ベッカが言った。

「それだけ?」「ラテン語なんだよ。ラテン語の方が意味がありそうだよね」

私は尋ねた。「らてんごってなに?」すごく古い言語で、いまはだれも

話していないんだけど、モットーはラテン語で書くんだと、ベッカは答えた。

たとえば、むかし〈壁〉の内部では、

「ヴェリタス」が万象のモットーだったという。

 

ヴェリタス(ラテン語で真理の意味)

 

わたしだけの本棚には、下位の小母には手が出せない

禁書の私的セレクションが並べられている。

シャーロット・ブロンテ「ジェイン・エア」

レフ・トルストイ「アンナ・カレーニナ」

トマス・ハーディ「ダーバヴィル家のテス」

ジョン・ミルトン「失楽園」

アリス・マンロー「娘たちと女たちの生活」

〈誓願者〉たちの間に流出したら、どんな道徳的パニックが起きるだろう!

 

「フランケンシュタイン」や「ピノキオ」の作中にも実存する書名が登場する

 

ギレアデで恋愛小説が禁書

 

アリス・マンロー(19312024)「娘たちと女たちの生活」

カナダの小説家 2013年ノーベル文学賞を受賞

 

ヴェリタス(真理)を隠すギレアデ

真理が我々を自由にする 日本の国立国会図書館の理念

かつてのモットー「ヴェリタス」は削れ取られ上からペンキが塗られえいる

ギレアデが真理を隠蔽していることを言語の面からも象徴的に表現

 

3人の語り手が一堂に会する

 

未開人流のお祈りのスタイルなんだろうか❓

「ワークアウトだよ」ジェイド

「まんいち男に攻撃されたときのため。目玉に親指突っこむとか、

タマに膝蹴り食らわすとか、あと、心臓止めるパンチのやり方とか、

知っとく必要があるよ」

「女性は男性を殴りません」ベッカは言った。

「だれも殴りません。〈集団処置〉など、法で定められた場合を除いて」

「はっ、それは都合がいいね!」ジェイドが言った。

「じゃ、男には好き法大やらせろってこと?」

「そもそも男性をその気にさせてはいけないのです」ベッカは言った。

「その結果何が起きても、半分は女性の責任です」

ジェイドはわたしとベッカの顔を交互に見た。

「それ、被害者非難ってやつじゃない?まじで?」と、」彼女は言った。

 

被害者加害 二次加害

被害者が被害を訴えた際に周囲の言動や対応によって傷つけられること

 

新しい視点が異国育ちのデイジーから持ち込まれたことが重要

 

アトウッドがカナダ人だから描けたアメリカ

機密文書の内容

リディア小母が記録してきたギレアデの司令官たちの汚職や性加害

 

リディアの上司 ジャド司令官

幼い妻を迎えては殺して新たな妻を迎えることを繰り返していた

重要な役割を果たすのがベッカというアグネスの親友

 

ベッカ名義のパスポートでデイジーはカナダへ出国

 

大きな岩をいくつもよじ登り、こけたり滑ったりしながら、

岩間の海水の溜まりをじゃぶじゃぶ歩いて渡った。

ようやくここまでたどり着いたっていうのに、このままばったり

倒れて頭をかち割るなんて。そのとき、ベッカの声が聞こえた。

そんなに遠くないから。ベッカはゴムボートには乗っていなかった

はずだけど、なぜか海岸ではわたしたちと一緒にいた。暗すぎて

姿までは見えなかったけど、それからまた彼女の声がした。

あの上を見て。明かりがあそこに見えるでしょう。

 

サードマン現象

登山や災害などで窮地に陥った人が実際にはいない

第三者に助けられたと感じる心理現象

 

シスターフッド

聖書を書き換える物語

何に似てるかというと西洋の中世の教会

教会の理不尽な支配から脱するために自分たちの言葉に聖書を翻訳

自らの力で原典(テクスト)を読んで

考えるところから中世の宗教改革は始まった

「読む・書く」事が支配への闘いの糧になる

 

「誓願」巻末の議事録
2197
年に行われた国際歴史学会のシンポジウムの記録

公開された機密文書によりギレアデが滅亡した経緯が明かされる

 

アトウッドはこのスタイルをジュージ・オーウェルの「一九八四年」から継承

継承されるディストピア小説の形式

 

ナオミ・オルダーマン「パワー」(2016)

女性が体内から強力な電流を発して男性を操る男女逆転社会を描く

 

ありがとうございます、クレスント・ムーン教授。

いや、学長殿(マダム・プレジデント)とお呼びしなければなりませんね。

ご就任おめでとうございます。

ギレアデだったら起りえないことでした。(拍手)

女性陣が恐るべく勢いで支配的立場を簒奪(さんだつ)するこのご時世ですから、

お手柔らかにお願いいたしますよ。

ギレアデ研究の第十三回シンポジウムの議事録

 

女性を立てるかに見せていじる

設定は2197年「そんなころになっても地位のある女性をいじってるんですか?」

アトウッドの風刺であり警告

 

アメリカの一部の公共図書館に対して「侍女の物語」などを

禁書(閲覧不可)にする運動が起きている

寓話が寓話のうちに詠むべき

思考の力を諦めない 手放さないということ

 

私感

講師の声がひっくり返ってものすごく聞き取りづらかったです。

普通に喋って欲しかった。 

2025年6月29日日曜日

白洲正子が愛した日本人&祈りの道をゆく

香り立つ色気むんむん湯帷子(ゆかたびら)

雲の峰石段そろり足かけて

明月院ブルーの夏の接待

夏山路深き緑を歩む女(ひと)

夏の雲三方山に囲まれて

 

■白洲正子が愛した日本人 西行と明恵(2007)

車谷長吉 渡辺保 水原紫苑 渡邊あゆみ 青柳恵介

 

覚悟を持って生きている人に美を見いだした

 

心なき身にもあはれは知られけり鴫(しぎ)たつ沢の秋の夕暮れ 西行

 

年月をいかで我身におくりけん昨日の人も今日は亡き世に

 

さても西行発心のおこりを尋ねれば源は恋故とぞ承る

申すも恐ある上臈(ろう)女房を思懸け進らせたりけるを

あこぎの浦ぞと云ふ仰を蒙りて思ひ切り…無為の道にぞ入りにける

「源平盛衰記」より

 

伊勢の海あこぎが浦に引く網もたびかさなれば人もこそ知れ

 

面影の忘らるまじき別かな名残の人の月にとどめて

数ならぬ心の咎(とが)になし果てじ知らせてこそは身をも恨みめ

 

青葉さへ見れば心のとまるかな散りにし花の名残と思へば

 

ふりにけり君がみゆきの鈴の奏はいかなる世にも絶えず聞えて

 

奈良の僧、とがの事によりて、あまた陸奥国へつかはされたりしに、

中尊と申所にまかりあひて、都の物語すれば、涙流す、いとあはれなり

 

なみだをば衣河にぞながしけるふるき都をおもひいでつつ

とりわきて心も凍みて冴えぞ渡る衣河見に来たる今日しも

 

熊野へまゐりけるに八上の王子のはなおもしろかりければ社に書つけける

待ちきつる八上の桜さきにけり荒くおろすな三栖の山風

 

何事のおはしますをばかたじけなさの涙こぼるる

(西行の作かは疑わしい)

 

秘すれば花 世阿弥

57歳「明恵上人」執筆

76歳「西行」執筆

 

斑尾明恵上人遺訓

我は後世にたすからんと云う者あらず

ただ現世に先づあるべきやうにあらんと云う者なり

 

人は阿留辺幾夜宇和の七文字を持つべきなり

僧は僧のあるべきやう 俗は俗のあるべきやう

乃至帝王は帝王のあるべきやう…

此のあるべきやうを背く故に一切悪しきなり

 

凡そ仏堂修業には何の具足もいらぬなり

又独り場内床下に心を澄まさばいかなる友かいらん

たとへば猶(なお)その上は罪あるによりて地獄に堕ば…

本より地獄には諸の菩薩ありと云えば卑(おそろ)しからず

 

伝記

十三歳の時 心に思はく 今は早十三に成りぬ 

既に年老ひたり死なんこそ近づきぬらん

悠々として過ぐべきに非ずと…

 

モロトモニ アハレヲボセ ミ仏ヨ キミヨリホカニ シル人モナシ

無耳法師之母御前也

 

その御長三尺許なり 光明赫奕(かくやく)たり やや久しくして失せぬ

 

行状記

更ニ此外ニ何聖教ヲカ求メム

 

明恵

遺跡を洗へる水も入海の石と思へばむつまじきまな

 

明恵上人却廃忘記

ワレハ天竺ナドニ生マシカバ何事モセザラマシ

只御遺跡巡礼シテ如来ヲミタテマツル心地シテ学問行モヨモセジトオボユ

 

原点回帰

 

是れ政道の為に難儀なる事に候はば 即時に愚僧が首をはねらるべし

 

伝記

此の歌即ち是れ 如来の真の形体なり 

されば一首読み出でては 一体の仏像を造る思ひをなし

一句を思ひ続けては秘密の真言を唱るに同じ

我れ此の歌によりて法を得ることあり

 

しづかならんと思ける頃 花見に人々 まうできたりければ

花見にと 群れつつ人の 来るのみぞ あたら桜の 科(とが)には有(あり)ける

 

誰かまた花をたづねて吉野山 こけふみわくる岩つたふらん

空にいでて何処ともなく尋ねれば 雲とは花の見ゆるなりけり

 

あづまのかたへ あひしりたる人の もとへまかりけるに

さやの中山見しことの 昔に成たりける 思出られて

年たけて又越ゆべしと思ひきや命なりけりさやの中山

西行69

 

風になびく富士の煙の空に消えて ゆくえも知らぬわが思ひかな

 

西行終焉の地 弘川寺 西行の墓 

ねがはくば花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ

 

明恵(11731232)

 

行状記

我ガ死ナムズルコトハ今日ニ明日ヲツグニコトナラズ

 

風になびく富士の煙の空に消えてゆくえも知れぬわが思ひかな

 

吉野山梢の花を見し日より心は身にもそはずなりにき

 

無心になる事が生きていく上でどんなに大切なことか

 

■白洲正子 祈りの道をゆく(2011)

八百万の神がすむ山河

岐阜 日吉神社 十一面観音座像

仏はつねに在(いま)せども うつつならぬぞ哀れなる 

人の音せぬあかつきに ほのかに夢に見え給ふ

 

やがて信仰は広まり 十一面観音は

さまざまな姿をして 人々の前に現れた

2025年6月28日土曜日

わたしの日々が、言葉になるまで⑪ 町田そのこ ヒャダイン

夏風邪や咳をこらえて肩で息

夏風邪や鼻もほっぺもてっかてか

夏風邪や咳と鼻水とめどなく

熱もなく一見元気夏の風邪

夏の風邪日々体力を奪いをり

 

■わたしの日々が、言葉になるまで⑪

大仕事をやりきったあとのこの気持ち、どんな言葉になりますか?

劇団ひとり 町田そのこ 葵わかな ヒャダイン 桐山照史

 

お仕事小説のヒットメーカーが描く

一世一代の大仕事をやり遂げた瞬間

 

直木賞作家 池井戸潤

なだらかな海面がぐんとせり上がってくる、

そんな感情の高ぶりが赤松を包み込んだ。

その波は現実世界から精神的な高みまで盛り上がって

なだれ落ち、赤松を歓喜の底へと沈める。

池井戸潤「空飛ぶタイヤ」()

 

明日への希望も感じられる 町田

感情と水は相性が良い ヒャダイン

ぽっかりする感じ 葵

 

アニメ業界が舞台のお仕事小説では❝達成感❞をこう表現!

 

直木賞作家 辻村深月

空に、高く、太陽が出ていた。

船を担ぐみんなの手が、今、離れる。

その瞬間、和奈は思っていた。目の表面

震えて、眩しくて、開けていられなくなる。

 

言語化のヒント

目+表面など平易な言葉の組み合わせで新しい表現をつくる

 

体のどの部分で❝やりきってとき❞を表現

腹で芝居しろ

 

体の描写で心情を表現するには?

言語化のヒント

涙 汗など「体にまつわる水」で感情を表現

 

私に気付いて片眉を上げてみせた顔を見た途端、喉の奥が熱くなった。

「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」

母が「ハァ?」と眉根を寄せた。

「月とアマリリス」

驚いたように眉を持ち上げた。

「ぎょらん」

志波が眉をぐっと下げる。

「コンビニ兄弟3

宇崎君が眉間に深く皴を刻む。

「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」

 

言語化のヒント

起っているとき 考え込んでいるとき⇨「眉間にしわを寄せる」

笑っているとき⇨「眉を下げる」

からかうとき⇨片眉を上げる

 

作家・町田そのこがつづった仕事をやりきった充足感

葬儀場が舞台 生と死に向き合う姿 

年中無休24時間営業 深夜対応を終えた

 

煙草に火をつけ、思いきり吸い込んだ。体中をニコチンが勢いよく循環し、

淡い痺(しび)を覚える。眠気でぼんやりした頭がくらりと揺れた。

町田そのこ「ぎょらん」

体の疲れ 幸福感 緊張と緩和 まろやかな文字(淡い ぼんやり くらり)

やわらかい言葉を重ねていたことに今気付いた 町田

 

・あしたも頑張るために自分へのエール、ありませんか?

脳内反省会スタート

 

SNSでの大反響から書籍化 話題のコミックエッセイーに学ぶPositiveMind 

ネガティブお化けが作り出す迷路の寿命は意外と短い 作っては消え 作っては消え

最後には必ず消える ほらね デトックスできる力が私たちには備わっている

獅子「メンタル強め美女 白川さん」

 

探さなくてもいいのに探そうとするから堂々めぐりに 町田

ネガティブは人生に必要不可欠 危機管理能力 

ネガティブなときどう切り替える?

明日も頑張るためのヒント

起っていることと 起こっていないことを 書いて可視化する

酒を飲んで世界一たのしい音読 町田

不幸な曲をエンドレスリピート ヒャダイン

 

人生最後の日に今日の失敗なんか思い出せへんから、次行こ! アンミカ

どんなに嫌なこともいつかは忘れる ひとり

 

人気マンガに学ぶ!前向きになれるおまじない

「かろりのつやごと」小田ゆうあ著

自分の容姿にコンプレックスを抱える

「一日の最後のルーティンに今日一日をふりかえりいやなことは

 お湯に流しておしまいなさい いいことは そのエキスをお湯に

 とかすようにして人生の小さな喜びをじっくり味わいなさい

 ベッドに入る時には体にしみこんだいいことだけを思い出しながら

 横になるって寸法ですよ」

 

自分のために丁寧なことをする

嫌なことがあった日こそ自分にいいことを 葵

水は人間を助けてくれる 桐山

 

水以外で感情を表現するなら

松本隆先生の色遣いがスゴい

映画色の街 美しい日々が 切れ切れに映る いつ過去形に変わったの?…

松田聖子 作詞:松本隆「瞳はダイアモンド」

 

言語化のヒント

怒っているとき⇨「血液が流れる音がする」

孤独感    ⇨「セミの音が急に大きくなった」

 

直木賞作家がつづったありのままの自分を認めるエール

一穂ミチ 会社員をしながら直木賞作家

「ツンデミック」

テレビ局で働く人々 仕事や自分に向き合う「砂嵐に星屑」

自分の立ち位置が分からない 自分に送ったエール

「大丈夫、頑張れ、ちゃんと見ててあげるから」

それは自分にかけた言葉でもある。

わたしはこれからも漂い続ける。

ちょっとした波で浮き沈みを繰り返し、頼りなく漂流するだろう。

でもそのうち、与えられた地図にはない、

新しい海を見つけることだってあるかもしれない。

生きている限りはそれを楽しみにしていい。

一穂ミチ「砂嵐に星屑」

 

人生⇨地図

 

自分へのエール

今日が0なら明日は1やな 桐山

もう本当にえらい!今日だけは世界で一番偉い自分をしっかり抱きしめて眠ろう 葵

終われば終わる! ヒャダイン

明日も楽しいことがある。絶対。 町田

(インタビュー受けてる風)うん、ま そうですね。苦しいと言えばそうなんですが

むしろそれが楽しいって言うか、しょい。 ひとり

2025年6月27日金曜日

岡崎乾二郎&舟を編む②&楽しい日本語&「ペーロン」

夏の朝指をばっさり朱のふきん

血を止めぬ絆創膏よ役立たず(無季句)

病名はTCH深き海霧

食事待つ老身障者と夏の朝

夏陽射し日々色づかん枇杷の実よ

 

■日曜美術館 世界は再生しつづける 造形作家 岡崎乾二郎(けんじろう)

日本を代表する造形作家・岡﨑乾二郎の大規模な展覧会が開催されている。

1980年代から彫刻や絵画に留まらず、メディアアートや建築など

幅広い表現分野で先鋭的な活動を続けてきた岡﨑。

2021年に脳梗塞で倒れ、一時は右半身まひという深刻な事態に陥った。

しかし懸命なリハビリによって劇的に回復、再び旺盛な創作活動を展開している。

大病を経た今、岡﨑が目指すものはなにか?

創作の現場に密着した。

 

而今而後(じこんじご)

 

住んでいた人匂いや手触り出来事や物語

一つの場所のイメージとして表現できるかが重要

時間と空間を超えた記憶の中のさまざまなイメージ

それらがキャンパスの中に広がっているのです

 

「たてもののきもち」シリーズ「あかさかみつけ」「そとかんだ」

「ゴンベエさんのネコ」「天才ヨーちゃん」

谷川俊太郎先生は褒めてくれたそうです。

 

反射する鏡のような作品として機能している

 

■舟を編む~私、辞書つくります~

 

項目=見出し 語釈 用例

 

辞書は時代を追いかけるもので時代を作ることはできません

新しく言葉が生まれても その言葉が最低でも十年残るかどうかを

注意深く観察をして採用するか否かを判断します

常に冷静で平等な言葉の観察者でなければなりません

恋愛から異性を外しがたい理由があります 

特定の二人にしてみましょうかこの語釈で恋愛をイメージできますか

友情や親子愛、師弟愛などにも当てはまってしまいませんか

必要なのは感情論ではない根拠、

異性を外しても成り立つ語釈ということがわかりました

あなただけに見えていた光がみんなの灯台になったんです

 

明らめる:物事の事情・理由をあきらかにする。

諦める:望んでいたことの実現が不可能であることを認めて、

    望みを捨てる。断念する。思い切る。

 

愛:相手をいつくしむ心。相手のためによかれと願う心。

 

恋:人を好きになって、会いたい、いつまでもそばにいたいと思う、

  満たされない気持ち。

 

恋愛:特定の二人の互いの思い出が、恋になったり愛になったり、

   時に入り交じったりと、非常に不安定な状態。(碧作)

 

2017年現在、最新のLGBT層の比率調査では日本人のLGBTの割合は

7.6%を閉めた。これは日本人の「左利きの割合」とほぼ同じだということである。

 

その事が世の中にどれくらい浸透しているかです。

みんなで言葉を観察し話し合い、結論を出しましょう

灯台はあなたです。明かりを絶やさないでくださいね。

 

■夏井いつき俳句チャンネル

【第6回】楽しい日本語【むらむらにしき・前編】

 

今回の楽しい日本語 むらむらにしき

吉原のむらむら錦錦花篝(かがり)   夏井いつき

床の間にむらむら錦蛇つるむ   ローゼン千津

群々錦豊作祭の天狗面   家藤正人

 

■夏井いつきのおウチde俳句

一分季語ウンチク「ペーロン」

 

私最初この季語の読み方「ペーロン」だと思っていたんですが

「ペーロン」ですよと長崎の人に教えていただいたことがありました

元は中国の行事だったのですが これが日本に渡ってきて

長崎を中心に伝統として繋がっていると そういう季語になります

いわゆる競漕 船に乗って漕ぎ比べをする という季語になってきます

ただこのボートレースをするだけではなくて 色んな太鼓や

銅鑼(どら)でドンドンと音を出して 囃しながら競うというところが

特徴的です 現在でも長崎の中学校などでは 学校のペーロン大会も

催されているようです 以前その船も触らせていただいたん

ですけれども なかなか迫力のある船体でございました 

2025年6月26日木曜日

あの本、読みました?湊かなえ

こうのとり雛一羽のみ巣立ちかな

亡くなる子巣立つ子をりてこうのとり

片隅で観音竹の花の咲く

傘まわし道草させる紫陽花よ

水たまり飛び越えながら花朱欒(ざぼん)

 

■あの本、読みました?【湊かなえ】

大特集「告白」「母性」…最新作はミステリー

湊かなえ 鈴木保奈美 角谷暁子 鈴木裕介P

 

10代の後半から鈴木保奈美さんが大好きで

好きな女優を聞かれたら「鈴木保奈美」と答えていました

 

介護といったら女性が主人公となった段階で

これはおかしいんじゃないか

 

最新作「C線上のアリア」 テーマを介護にした理由

介護=女性はおかしい 

 

C線上のアリア」の一文 湊かなえ著/朝日新聞出版

「バレてるなら、一つ言っていい?」「何?」

「菊枝さんのおむつ、替えてあげて」邦彦の表情が凍りついた。

邦彦に会ったら言わなければならないと思っていたことだ。

「朝行くと、夕方帰る前に交換したのが、そのままだってわかるから」

少しかぶれもできていた。「男に母親の下の世話はできないよ」

勝手な言い分なのに、不思議と腹は立ってこない。

生理的な感情は仕方ないのかもしれない。「でも…」責任はある。

「菜穂が帰ってくるまで、ショートステイの延長を申し込むよ。

その後はもう、内の問題だから」静かな口調の中に拒絶を感じた。

 

物語の鍵「ノルウェイの森()()

 

湊かなえを創った本とは?

影響を受けた本

   「天国にいちばん近い島」森村桂著

   「放課後」東野圭吾著

憧れのトンガ王国に青年海外協力隊員として赴任

   「氷点()」三浦綾子著

脚本から小説へ

「告白」で本屋大賞を受賞

「告白」第一章以降は…

 

目次 第一章 聖職者 森口悠子(女性教師) 

第二章 殉職者 北原美月(クラス委員長) 

第三章 慈愛者 下村直樹(少年B)のはは

   第四章 求道者 下村直樹(少年B)

第五章 信奉者 渡辺修哉(少年A)

第六章 伝道者 森口悠子(女性教師)

 

「告白」の一文 湊かなえ著/双葉文庫

ほとんどの人たちは、他人から称賛されたいという願望を少なからず

持っているのではないでしょうか。しかし、良いことや

立派なことをするのは大変です。では、一番簡単な方法は何か。

悪いことをした人を責めればいいのです。

(中略)

糾弾した誰かに追随することはとても簡単です。

自分の理念など必要なく、自分も、自分も、

と言っていればいいのですから。

その上、良いことをしながら、日頃のストレスも発散させることが

できるのですから、この上ない快感得ることができるのでは

ないでしょうか。そして、一度その快感を覚えると、

一つの裁きが終わっても、新しい快感を得たいがために、

次に糾弾する相手を探すのではないでしょうか。

 

現代のSNS現象を予言!?

イヤミスの女王

イヤミス:読後に嫌な気持ちになるミステリー作品の事

 

「母性」を書いたきっかけ

「母性」湊かなえ著/新潮文庫

娘を愛せない母親と母親に愛されたい娘

2人それぞれの視点で母性とは何かを問う物語

 

「母性」の一文 湊かなえ著/新潮文庫

母性など本来は存在せず、女を家庭に縛り付けるために、

男が勝手に作り出し、神聖化させたまやかしの性質を

表す言葉にすぎないのではないか。

(中略)

母性は人間の性質として、生まれつき備わっているものではなく、

学習により後から形成されていくものなのかもしれない。

なのに、大多数の人たちが、最初から備わっているものと

勘違いしているため、母性がないと他者から指摘された母親は、

学習能力ではなく人格を否定されたような錯覚に陥り、

自分はそんな不完全な人間ではなく、間違いなく母性を

持ち合わせているのだと証明するために、必死になり、

言葉で補おうとする。

 

初めて連続ドラマの脚本を担当

この時の感想は「ざまあみろ」だったそうです。()

 

「リバース」湊かなえ著/講談社文庫

平凡なサラリーマン深瀬と付き合うことになった女性のもとに

「深瀬は人殺しだ」という告発文が届くところから始まる物語

この作品は「最後の一文」が決まっていた

 

2022年 1年間休筆(49)

2023(50)「人間標本」出版 第二ステージ始まる

子供のために意識していた事

外れたリミッターで描けたもの

蝶収集家の作品 6人目は自分の息子

 

2025(52)

C線上のアリア」を出版 テーマは介護

 

湊かなえ女史は本当に鈴木保奈美女史に恋焦がれていたようで

最後にも「頑張ってきて良かった」としみじみ告白しておられました。

ここまで純な女性を拝見したことがありません。

最高にCharmingでいらっしゃいました。

 

2025年6月25日水曜日

舟を編む①&「夏蜜柑」&「青無花果」

鶴林寺雨水含みて苔の蒸す

打つ雨や苔煌めけり鶴林寺

夏風邪や間に合いませぬティッシュでは

夏の風雲生む山よ富士の山

今季初ウミガメ卵生み落とす

 

■夏井いつきのおウチde俳句

一分季語ウンチク「青無花果」

 

青がポイントになります 一般的に「無花果」というと

秋の季語になります ですがこの「青無花果」がなぜ

夏の季語かと言うと 無花果の実がなるタイミングに

よるものなんです 実は無花果は年に2回収穫の時期が

ありまして秋に実るものと秋に実らずに一度年を超え

冬を超えて次の年の夏になって熟するもの 

こっちの夏に年越えてなる方が「青無花果」になるようです

この2つの季語も詠み分けることによって「青無花果」

ちょっと時間を置いた そんな要素を持たせることも

できるのかもしれません 「青」がついたからといって

めちゃくちゃフレッシュというイメージとは ちょっと

違うみたいですね

 

■舟を編む~私、辞書作ります~①

嘆息(たんそく)

涕泣(ていきゅう)

嗚咽(おえつ)

慟哭(どうこく)

地切り良し

アスコロ やばい 

用例採集 大都会(固有名詞 専門用語) 百科項目 国語項目

 

みぎ【右】の語釈

大渡海 それが仕事です

何て あなたを褒めもしませんが決して責めたりもしません

安心して開いてみてください

 

こんぺき【紺碧】碧みどりとも読めます

 

なんて【何て】

 

朝陽を見ながら泣いた時 あったかい風に吹かれて

先に涙が乾く側のほっぺた それが右です

 

なんて素敵な右でしょう

 

素敵な言葉が詰まった作品に心惹かれてしまいました。

次回が楽しみでなりません。

柴田恭兵氏 益々素敵になられていてノックアウトされてしまいました。

 

■ギュッと!四国 家藤正人の俳句道場 

兼題「夏蜜柑」

 

ギュッと!特選

空爆のニュース夏柑苦き夜   阿波の風

特選のポイント 味覚❞が生きる

 

放送された作品

佳作 夏蜜柑落つ豊かねと北の友   ロード

夏みかんかじるやいなや鬼の顔   山城ガール

頑固親父のごとゴワゴワ酸っぱ夏みかん   松浦初美

秀作 割れば立つ玉一粒や夏蜜柑   和香子(一物仕立て)

佳作 夏蜜柑剥く親指の弱さ知り   平々凡子

更年期めく妻も好き夏蜜柑   吉野川

添削 更年期めく妻も好き夏柑も

秀作 夏蜜柑ママがパンクスだった頃   杏乃みずな

夏蜜柑お供えに買う古木枯れ   渡部じんさん

佳作 食べたきは重曹かけし夏蜜柑   秋月あさひ

秀作 夏みかん甘し砂糖の花咲いて   松井くろ

鶏蒸しへここぞと絞る夏蜜柑   守田散歩

佳作 ライバルを褒める勇気や夏蜜柑   月下檸檬

 

秀作への道 

本日のポイント「会話」から生まれる俳句

佳作 夏蜜柑酸いか甘いか知らんけど   空流峰山

佳作 夏蜜柑くらいでいい夫ぶるな   江口朔太郎

 

正岡子規にも母親である八重さんとの会話から生まれたという逸話のある一句

毎年よ彼岸の入りに寒いのは   正岡子規

この句には前書きとして「母の詞自ずから句となりて」と付されている。

「寒いなあ」とこぼした正岡子規に応えた八重さんの言葉を書き留めたとか…。

 

参照:https://www.nhk.or.jp/matsuyama/info/articles/310/009/01/

 

次回の兼題は「登山(夏の季語)