2025年12月5日金曜日

高い買い物で一句

冬天や道具造りの竹探し

息白し竹の命は短くて

冬陽射し朽ちゆくものへ美を求め

冬の灯や四百年の重みかな

冬の水世界に向けてジャポニズム

 

■プレバト纏め 2025124

高い買い物で一句

梅沢富美男 横尾渉

 

特別永世名人 梅沢富美男 締めの一句 

初買は即決トラック11

(最後にくる驚き 夏井いつき先生の言葉

新年らしい勢いとめでたさ後半の展開に意外性

最後に数詞を持ってきた これが良かった 

大きさ迫力値段がリアルに想像できる 実体験はやはり強い)

 

永世名人 横尾渉 傑作50

風花の三鷹の森やセル画買う

(風花:冬の季語 雲のない晴天にちらつく雪

 あえてジブリと書かない企み 光景を詠んだ句かな?

 詠嘆「や」上の言葉を強調「!」のような効果

セル画というものに映像が切り替わる

三鷹の森のジブリ美術館かも知れない 

風花とセル画の透明感も響き合う)

 

一位 安藤和津

バーキンの爪痕はこのかじけ猫

(かじけ猫:冬の季語 冬の寒さに縮こまっている猫

 映像から猫ちゃんの表所まで詠んでいる

 バーキンという固有名詞が持っている情報量が一句の肝

 指さすような書き方も良い 俳句でどこまでやれるかを解説

ニュアンスが変わる あ!コイツが! 

俳句は助詞12つでドラマを変えることもできる)

バーキン爪痕さてはかじけ猫

 

二位 二階堂高嗣

冬の虹贈る新居や両親に

添削(俳句としては平凡 語順 季語が前へ出てくれる

   詠嘆「や」が強くなる)

両親送る新居や冬の虹

 

三位 ベッキー

寒厨や五口コンロで気満ちたり

添削(寒厨:冬の季語 冬の寒々とした台所・厨房

   数詞が映像になっている 「で」という助詞が散文的

   感想ではなく映像にする 熱 皮膚の感じ 湯気 見えてくるもの

   俳句は感想ではなく映像)

寒厨や五口コンロの熱と湯気

 

四位 おいでやす小田

冬の朝錆びた7鉄出番待つ

添削(凡人は擬人化したらやった気になる 出番待つ

   青空のゴルフ場 晴)

お守りの錆びた7鉄冬の

 

五位 石田健

凍て空や格子の名札まだ匂ふ

添削(言葉の選び方のミス 格子は乱暴 名札ではわからない

   町屋の大きな光景から表札にカットが変わる

   「新しい」を「まだ匂ふ」で表現 型も勉強している

   将来性のある才能ナシ 「化ける有望株見つけた」この句

   あと1回か2回やったら二階堂君はすぐ追い越す)

凍空の町屋表札まだ匂ふ

 

清水麻椰チャレンジ

冬夕焼のパリ不慣れな一眼レフ 

2025年12月4日木曜日

芸能きわみ堂 遊女&夏井いつきのよみ旅!in宮島

イゾラドを詠む

マシコ・ピロ原初を保ち生きる人

守るべき原初を暮らすマシコ・ピロ

イゾラドや弓矢放たん対岸へ

文明に姿現すマシコ・ピロ

集落に近づく熊とイゾラドと

 

■芸能きわみ堂 名作の地を訪ねて 大阪・江口~伝説の遊女ゆかりの地~

舞踏 長唄 時雨西行

西行法師は江口の里で雨にあい一夜の宿を乞う

しかし遊女・妙はその願いを断る

「世の中をいとふまでこそ難からめ

 仮のやどを惜しむ君かな」

「家を出づる人とし聞けば仮の宿に

 心とむなと思ふばかりぞ」

遊女・妙が普賢菩薩へと姿を変える

「今までありし遊女の姿

 たちまちに 普賢菩薩と現じたまい」

 

寂光寺

白洲正子(19101998)著「西行」

ごたごたした町中に入ると「君堂」と記したバス停がある

即ち「江口の君堂」なのであるが凡そそうした名前に

ふさわしくない殺風景な雰囲気である

江口の君堂は今は寂光寺という日蓮宗の寺に変わっていて

さすがにその周辺だけは静かで案内を乞うても答える人もいない

どこもかしこも裏ぶれた感じなのが

却って遊里の旧跡には似合っており

本堂の前に江口の由来を書いた立札が建っている

境内を一巡した後 私は淀川の堤へ上がってみた

堤の上から眺める風景は驚くほど美しかった

美しいという形容には適さないかもしれないが

大阪の市街は夕靄(もや)の中に沈み

東から西へ流れる淀川は悠々と迂回して

末は海へ一つとなって消えて行く

 

遊女の人たちって「流れの君」・「流れの女」と言われていた

川竹の流れの身() 浮き沈みする一種の無常観

 

水無瀬神宮 後鳥羽天皇 わがふるさと 燈心席

 

地唄 江口の君

天下る 紫雲の小袖 糸竹の声も身に染む

雪の照り 三五の月か 常ならで 

二八 十六で 文つけられて 

四五の二十なら いちぶに一度

わしゃ 帯解ぬ 辛気え 花ひとさかり 桜どき 

 

谷崎潤一郎(18861965) 「蘆刈(あしかり)

かのおんなどもが その芸名に仏くさい名前を付けていたのは

(いん)をひさぐことを一種の菩薩業のように

信じたからであるというが おのれを生身(しょうしん)

普賢になぞらえ またあるときは貴い上人にさえ

礼拝されたという女どものすがたをふたたびこの流れの

うえに しばし うたかたの結ばれるが如く 

浮かべることは出来ないであろうか

 

客殿(重要文化財)

豊臣秀吉が寄進し 

福島正則が造営したと伝わる桃山時代末期の建築

神門には石川五右衛門が改心の証につけたという手形が残る

 

能 江口~観世流

江口の君こと妙が2人の遊女をつれて舟で現れる

遊女の罪業を訴え世の無常を感じ執着を捨てようする妙

人をも慕はじ 待つ暮れもなく 別れ路も嵐吹く

花よ紅葉よ月雪のふることも あら由なや 

 

野崎観音 慈眼寺 文楽 歌舞伎 落語の舞台にもなった寺

江口の君堂 八百年前を生きた遊女・妙

 

ゆかりの地がある それを芸能にして舞台で私たちが見る

芸能を見る喜びって歴史の長い長い流れを見ている気がする

 

■夏井いつきのよみ旅!in宮島編 

世界遺産・厳島神社と神秘の絶景を満喫!広島で俳句旅

 

公認ガイド 石角剛

石角さんMEMO

宮島島内の小・中学校で校長をつとめた

 

1/5句目

秋の潮夜風に揺らぐ頼母船(たのもさん)   舩附(ふなつき)洋子

頼母船:旧暦の81日に行われる宮島の祭り 対岸地域の五穀豊穣を祈る

 

2/5句目

新涼や外()つ国人(くにびと)に席譲られ   川近輝子

 

3/5句目

「初弁当どう?」のメールや青蜜柑   かつたろー。

かつたろー。MEMO

弁当作りは今年で11年目 お嬢さん 

(ひなた)さんの句

 

満喫!人力車で宮島巡り

人力車ガイド 高野龍馬

 

初紅葉縁結びゆく神の島   高野龍馬

龍馬さんMEMO

野球プロの夢ケガで断念

 

龍馬駆()く秋の時雨をひた駆()くる   夏井いつき

 

4/5句目

空澄みて涙にとけて深い海   横田益子

 

地球の中心って宮島だった 横田益子

 

5/5句目

秋の虹老残(ろうざん)ひとり厳島   川﨑淳一

長女・山本詩野

川﨑さんMEMO

29歳の時妻と出会い結婚 妻・淳与(あつよ)

80代の今が最高といえる 淳与さんの著書のコピー

奥さまの余命を聞かされた時には、

厭世的(えんせいてき)になったご主人

コロナの時だったので奥さまが亡くなられるまで会えなかった

でも、手紙のやり取りはありました

キミがチェロを愛した理由を聞きたいな

映画のあらすじ、覚えているかい?

愛する人と逢える日が、待ち遠しい!

楽しい思い出は病室に飾られていました

「本当に素敵な女性でしたよ」

骨密度120%だとか…。

これでは死ねませんよねと淳一さん

 

おまけ

秋暑し遮光フィルムの児童館   和泉園実

天狼や君の働くコロンビア   坂野ひでこ

母校いま万葉歌碑と木々さやか   たかみたかみ 

2025年12月3日水曜日

あの本、読みました?太宰治

イゾラドを詠む

アマゾンの今を奥地で生息す

イゾラドや最後の森を生きる人

文明と旧い言葉で意思疎通

国境の森(ブラジル・ペルー)隔絶された人々よ

イゾラドや野蛮な人と揶揄されて

 

■あの本、読みました?「人間失格」「走れメロス」昭和の文豪・太宰治が愛される理由

亀田誠治 綿矢りさ 菊池良 鈴木保奈美 角谷曉子 林祐輔P

 

恥の多い生涯を送って来ました。

自分には、人間の生活というものが、

見当つかないのです。

「人間失格」の一文 太宰治著/新潮文庫

 

今年は昭和百年

三島由紀夫 志賀直哉 川端康成 石原慎太郎

 

昭和の文豪 太宰治特集

芥川賞作家 綿矢りさは

「それはスゴうみたいなファンなんでベタ褒めみたいな論文」

太宰の文体にハマり小説を書くきっかけに

文体というのもすごく身近な感じで書いてくれたので

これなら自分も気張らずに書いても

小説というものが出来上がるんだなと思って

書くようになりました

 

音楽プロデューサー亀田誠治も太宰治にハマったひとり

とにかく僕はもう沼にハマっている

(太宰の)全部が愛おしくてしょうがない

ヒット曲誕生の裏には太宰文学が!

アゲインストが吹いてきてもちゃんと届けていくんだという

情熱と優しさが入っている小説

 

ヒット作「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」

著者菊池良は太宰の文体の特徴を明かす

読み手を意識して語りかける(文体)というのが

太宰の一番の特徴だと思います

 

(太宰)本人の文章を読むよりも分かりやすく

個性が出てるから面白いなって思います

 

太宰治にハマった人々が語る 深き太宰沼の世界

 

桜桃忌(619)太宰が入水自殺を図り遺体が発見された日

死の年に発表した短編「桜桃」より命名

 

「すべてはここから…私の初読本」

「人間失格」二人とも

・綿矢りさ 中学生で読んだ 高校生で再読して太宰治にハマった

 

太宰の文体を見て小説を書き始めた 

 

「人間失格」の一文 太宰治著/新潮文庫

そこで考え出したのは、道化でした。

それは、自分の、人間に対する最後の求愛でした。

自分は、人間を極度に恐れていながら、それでいて、

人間を、どうしても思い切れなかったらしいのです。

 

太宰作品によく出る「道化」の意味とは

 

・亀田誠治 姉に勧められた「人間失格」

主人公は「自分そのもの」 人生の黒未来を予測 

 

「人間失格」の一文 太宰治著/新潮文庫

その生徒(姓はいま記憶していませんが、名は竹一といったかと覚えています)

その竹一は、れいに依って見学、自分たちは鉄棒の練習をさせられていました。

自分は、わざと出来るだけ厳粛な顔をして、鉄棒めがけて、えいっと叫んで

飛び、そのまま幅飛びのように前方へ飛んでしまって、砂地にドスンと

尻餅をつきました。すべて、計画的な失敗でした。果たして皆の大笑いになり、

自分の苦笑しながら起き上がってズボンの砂を払っていると、いつそこへ

来ていたのか、竹一が自分の背中をつつき、低い声でこう囁きました。

「ワザ。ワザ」自分は震撼しました。ワザと失敗したという事を、

人もあろうに、竹一に見破られるとは全く思いも掛けない事でした。

自分は、世界が一瞬にして地獄の業火に包まれて燃え上がるのを

眼前に見るような心地がして、わあっ!と叫んで発狂しそうな

気配を必死の力で押さえました。

 

アーティストとの関係にも影響

 

「仮面の告白」解説:中村文則の一文 三島由紀夫著/新潮文庫

あと敢えて言えば、「仮面の告白」の前年に発表された、三島が

否定したはずの太宰治、その「人間失格」の気配もまとっているように思う。

 

ケンカするほど仲が悪かった太宰治と三島由紀夫だが…

似たもの同士だからこそ一緒にされたらいやな二人

 

2人のアーティストから同時期に似たような作品が

 

「卒業論文のテーマは太宰でした…」綿矢りさ

ドイツの詩人・シラーの詩を基にした「走れメロス」

フリードリヒ・フォン・シラーの詩「人質」

https://schubertiade.jp/houshi/buergschaft.htm

人を共感させる太宰のテクニックに感動

 

亀田誠治 自分が「走れメロス」になってしまう

鈴木保奈美 「走れメロス」は音読がおもしろい

 

「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」

著者 菊池良

もし太宰治が「カップ焼きそば」の作り方を書いたら

 

「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」の一文

神田桂一 菊池良著/宝島社文庫

焼きそば失格【第二の手記】

私は賭けに出て、最後の戸棚を開きました。

カップ焼きそばがありました。

カップ焼きそばはまずお湯を入れなければいけません。

私に立ちはだかったこの厳然たる事実は、

私を湯の沸騰へと向かわせました。

点線までを開け、かやくを振りかけて、お湯をかける。

そうれ、俺ならできる。自分で自分を鼓舞しながら、

私はお湯を注ぎ込みました。

私に湯切りをする資格があるでしょうか。

きっとあるのです。あるはずなのです。「許してくれ」

そう呟きながら、私はお湯を捨てました。

 

「斜陽」太宰治著/岩波文庫

戦後の混乱期に没落していく貴族階級の一家を描き

爆発的ブームを巻き起こした長編小説 綿矢りさが似ていると…

 

菊地良は文体の特徴は「読み手に語りかける」ところだと…

 

「これを知ったらきっと沼る!私と太宰」

「太宰の落書き」綿矢りさ

「佐藤春夫への手紙」亀田誠治

佐藤春夫 明治25年生まれ「洵情詩集」「田園の憂鬱」「晶子曼陀羅」

など 数多くの作品を世に送り出し一世を風靡した詩人・小説家

太宰の送った手紙は長さ4.1m

太宰治書簡佐藤春夫宛1936128日(封筒欠 毛筆 巻紙[18.8cm×404.0cm])

https://yokoimoppo.hatenadiary.com/entry/20151220/1450599078

 

手紙を書くのが巧い

 

川端康成に怒って書いた手紙

https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1607_13766.html

 

「人生の一冊!マイベスト太宰」

「ろまん燈籠」亀田誠治

戦争の厳しい検閲にも負けずに書いた小説

「ヴィヨンの妻」綿矢りさ

凛々しく、たくましい妻の姿が心に刺さる

 

「ここがスゴイ!心が震える一文」

 

亀田誠治

「正義と微笑」の一文 太宰治著/ゴマブックス 

学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。

けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に

一つかみの砂金が残っているものだ。

亀田誠治の向上心の原点

 

綿矢りさ 笑える箇所の多い小説

「畜犬談―伊馬鵜平君に与えるー」の一文 太宰治著/ゴマブックス

こちらが何もせぬのに、突然わんといって噛みつくとはなんという無礼、

狂暴の仕草であろう。いかに畜生といえども許しがたい。

畜生ふびんのゆえをもって、人はこれを甘やかしているから

いけないのだ。容赦なく酷刑に処すべきである。

 

他の文豪と太宰の違いは… 綿矢りさ

 

リアルな描写なのにグロテスクじゃない文章 亀田誠治

愛おしくてしょうがない 亀田誠治

息継ぎみたいな文章 綿矢りさ

品格を感じる 明るい太宰と暗い太宰がいつも喧嘩している 綿矢りさ

2025年12月2日火曜日

小林カツ代&太田南畝&「亥の子」&「晩三吉」&おしゃべり俳句

ワオキツネザルを詠む

冬を生くアリコとローラ寄り添いて

忘れない授乳時の恩冬陽ざし

冬の道追い出されても二人して

探します落ち葉に隠るタマリンド

冬空や鳶から守る子の命

 

■夏井いつきのおウチde俳句

一分季語ウンチク「亥の子」

 

十二支の亥の子供と書いてはいるんですが

これは亥の子供であるウリ坊を意味する言葉ではないのです

この「亥の子」というのは冬の行事になってくるんです

無病息災や多産などを祈る行事として

主に西日本を中心に見られる風習です

昔は宮中や武家から端を発しているらしいのですが

西日本の農村ではこの「亥の子」の亥の子歌というのを

歌いながら各家々を回って石や藁などを使って

その家の庭先で歌を歌いながら地面を突いたりするのです

それによってお祈りといいますか お祈りをするという行事です

私も愛媛県で育ったもので子供の頃から沢山

この「亥の子」はやりました

 

■夏井いつきのおウチde俳句

一分季語ウンチク「晩三吉(おくさんきち)

 

この「晩三吉」というのは何ものかというと

冬になる梨の品種の名前になります

季語の傍題としましては「冬の梨」という傍題も

歳時記には記載されています じゃあ何故その冬の梨が

こんな名前になっているのかというと

この晩という字は遅くなって実るもの これを晩生(おくて)

といったりするんですが その晩(おく)の字からきて

「晩三吉」になっています もともと早くなる

品種のことを早生(わせ)といったりするのですが

その早生三吉という別の品種がありまして

そこから派生して生まれてきたのが後になってから生()

「晩三吉」という梨だそうです なかなか大きく育つ

梨のようで汁も多くて美味しいらしいです

 

■夏井いつき俳句チャンネル

【第15回おしゃべり俳句】優秀句発表です!【後編】

 

スプーンの涙を拭いて黒豆を   りん4

秋風や明るい色は幼いの   隈埃9

ちいさいころすみれだったの春の径   かりん4

 

■知恵泉 小林カツ代

中学高校で犯罪を犯した子供たちの学校へボランティアで

料理を教えに行った 何がいいか❓おむすびにした

彼氏ができたら彼に作ってあげるとか 彼ができなければ

誰か友達に作るとか いつでもあなたたちは優しくなれる

誰かにおむすび作ればって話をしたら その時には

全員が優しくなるんです 何がうれしかったっていうと

「おむすびおいしかった でも…」「先生の話が一番心に響いた」って

 

この番組が放送されて4か月後、カツ代はくも膜下出血で倒れます。

そして 8年半に渡る闘病後 惜しまれながらこの世を去りました

病床にあっても最後まで料理の力を信じ続けた76年の生涯でした

 

平成26(2014)小林カツ代 死去(76)

 

料理は人に与える力もあるし 自分が生きるエネルギーも持てる

原点がある と感じた 本田明子

 

料理することの意味 自分が生きているんだというような実感

お料理することは自分を大切にすること 

おじいちゃんたち 開眼していますよね 土井善晴

 

やさしいい肉じゃが 本田明子さんレシピ

ポイント1 水分の多いメークインを使う

ポイント2 玉ねぎを増やし飲み込みやすくする

ポイント3 甘みを強くする

 

昔あった美味しい料理も伝えながら今に合った料理も伝える 

本田明子

 

■べらぼう より

五月雨の日も竹橋の反古(ほご)のしらべふけふもふるちやうあすもふるちやう

五月雨の日もたけ橋の反古(ほご)調べ 今日もふる帳あすもふる帳

「杏花園」は太田南畝の別号

大田南畝の辞世の句

今までは人のことだと思うたに 俺が死ぬとはこいつはたまらん

生きすぎて 七十五年食ひつぶし 限り知られぬ天地の恩

(生前(文化4)に、75歳まで生きられたことへの感謝と、

これまでの人生への感慨を込めて詠んだ歌)

2025年12月1日月曜日

俳句✖SDGs&真鍋淑郎&Paul Gauguin

黒炭で描くベニヤ板冬の海

葉桜になってしまった海馬かな

冬の陽よ日々老いが迫り来る

冬の蝿忘るることの多かりき

冬の蚊や憎まれながら今日も生く

 

■夏井先生の出張授業!俳句×SDGsの未来教室 第2

紅葉で詠んだ俳句

750ccのアクセル戻し紅葉踏む   千原ジュニア

SDGsからみると

温暖化の影響で紅葉する前に葉が枯れてしまう

 

NOMI RESTAURANT 

長男 遊士丸(24) 次男 陽之進(22) 三男 凛志郎(19)

NOMI gibier

https://nomigibier.com/restaurant/

所在地: 〒620-1313 京都府福知山市三和町下川合710

電話番号: 0773-59-2255

おまかせコース29,700 (税込) /

 

食の拘り

舌にシルクめく人参の断面   三宅香帆

引き切りの鱧はふぁさっと解けゆく   玉巻映美

山菜を食うて赤身の濃き猪ぞ   三宅香帆

細胞を潰さず胡瓜切る薄刃   玉巻映美

 

NOMI RESTAURANT メニューの名前

A cucumber that doesnt realixe its being cut

切られたことに気づいていないきゅうり

 

きゅうりとか植物は外から刺激を受けたとき

「やめてほしい」と物質を出したり香りを出して身を守っている

きゅうりの匂いは細胞が傷つくことで発生する

調理人はできるだけ潰さないよう刃付けをして青臭さが出ない

 

新米で詠んだ俳句

新米の艶は光を芯として   三月兎(視覚)

新米や鼻に抜けたる陽の匂ひ   岸来夢(嗅覚)

新米のみづ吸う音よ夜明け前   髙田ちぐさ(音の感覚)

 

温暖化で米が危機!

今世紀には稲穂が35%減少し品質も低下(農研機構のシミュレーション)

白未熟粒

高温や日照不足などの影響で澱粉が十分に蓄積されずに白く濁った米粒のこと

NOMI RESTAURANT お米を1粒ずつ選定して提供している

米として実らない不稔

コシヒカリは暑さに弱い 

品種改良で生まれてきたとき日本の夏は今より3°C涼しかった

コシヒカリは日本の気候に適していないと言わざるを得ないかもしれない

温暖化は品質の低下 供給量・等級に影響を与えている

米の問題は価格と収量の2つがあるのだが 消費者立場で考えると

報道も含めて米の価格に集中してしまう 

周りの議論がなされないといけない

どうしていつまでもコシヒカリを植え付けているのか?コシヒカリ信仰があった。

消費者生産者はある種の試行停止に陥ってしまった側面もある

 

気候変動への対応 身近な食を通した話し合い

 

麻婆豆腐には雪若丸

カレーにはきぬむすめ

豚汁には さがびより

 

企業の取り組み

フードロス削減 カーボンニュートラル 国産食材 

再生可能エネルギー プラスチック削減 共感できる店選び

 

バナナにもSDGsの視点が

バナナ配るベスト4への円陣へ   坂野ひでこ

飛車を取りゆるゆると剥くバナナかな   無弦奏

哺乳びん煮沸する間のバナナかな   げばげば

 

日本が抱える環境問題

日本人が食べているバナナは99.9%が輸入

年間100万tを輸入 地産地消は大事

主な産地 アボカドはメキシコ サーモンはノルウェー 梅おにぎりは日本

課題 国産食材を意識して注文

 

NOMI RESTAURANTは海産物以外は半径50㎞以内の食材を使用

 

■木村多江のいまさらですが

地球温暖化 私たちにできることは

真鍋淑郎氏

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9E%E9%8D%8B%E6%B7%91%E9%83%8E

1931年に愛媛県生まれ、東京大学で理学博士号を取得後、

アメリカ合衆国国立気象局に勤務。

1960年代からコンピューターを用いた気候モデル開発に取り組み、

二酸化炭素の増加と地球温暖化の関連性をいち早く予測したことで、

現代気候研究の基礎を築く。

その功績が評価され、2021年ノーベル物理学賞を受賞。

アメリカ国籍を取得した理由は、

「日本の人々は、いつも他人を気にしている」

「私はまわりと協調して生きることができない。

 それが日本に帰りたくない理由の一つです」

 

Paul Gauguin

「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」1897

2025年11月30日日曜日

茶の湯の求道者・京都「千家十職」

(つぐみ)食むナワシログミやアキグミや

(アクロス)福岡の中心街を眠る山

オオタカ来えさ場とならんアクロスよ

キジバトの羽の飛び散るアクロスよ

那珂川とアクロス山の冬支度

満月の夜に泡吹くカブトガニ

 

■茶の湯の求道者・京都「千家十職」密着記録・世界に響く❝神髄❞

ベルギー ス・グラーヴェンヴェーゼル城(11世紀築)

アクセル・ヴェルヴォールト(美術商)

私が大好きな十五代樂吉座衛門の茶碗です

樂の茶碗は千利休の精神を体現したものです

つつましいものですが 心の豊かさを感じるのです

 

私は茶の湯が大好きです

そこには尊敬すべき何かがあります

古びた様子を見ると心が落ち着きます

 

サミュエル・モース アマースト大学教授

ハイテク化が進む現代において

手作りの茶道具は整った美しさではありません

❝不完全な美❞を大切にします

それは今の西洋の人々にとても魅力的に映っています

 

千家十職[職家]

 

十六代 大西清右衛門(せいうえもん) 釜師

十三代 土田半四郎 袋師

十八代 永樂善五郎 土風炉・焼物師

十三代 中村宗哲 塗師(ぬし)

表千家 十五代家元 千宗左

 

千宗左

根幹にあるのは職家さんのお道具 利休さんのお茶を受け継いできた

周囲の人々の尽力があって 今の表千家のお茶の姿がある

 

樂家 十六代 樂吉左衛門 茶碗師

樂直入(じきにゅう) 十五代 樂吉左衛門

手始め式

長男 燈馬(1) 長女 ましろ(6)

 

手びねり❞で僕らは作っている 茶碗って人が出やすい

自分自身の向き合い方が弱いと茶碗にもそれが出てくるので

すぎばれてしまう 釜場に入った時の写真が残っていて

釜場の雰囲気を小さいながらに感じたのか 

おしっこをたらしてしまって 

 

万代屋黒 初代長次郎作

樂直入(十五代 樂吉左衛門)

長次郎の茶碗はね利休さんの茶碗だね 真っ黒 どうして真っ黒なんだ

色ばっかりじゃないですよ ❝装飾❞も捨てましょう

❝表現❞も捨てましょう 価値観そうしたものを全部捨てていく

じゃあ捨てて捨てて捨てて捨てて 極限まで捨てていったい

何が残るんですか? というのが長次郎茶碗が

我々に問いかけていること 根本ですよ

 

青山 三代 道入作

亀毛 五代 宗入作

古稀七十之内 九代 了入作

焼貫茶碗 十五代 直入作

 

形じゃない 中のもの 中に入っている精神 考え方というのか

そうしたものが重要 自分がどのように制作していくか

どう自分が生きようとしているのか ということが問題だね

 

今焼 十六代 樂吉座衛門作

 

竹細工・柄杓師 十四代 黒田正玄

自然の光の影が大事なので曇っていても明かりはつけない

 

竹をあえて利休は選んだ 竹入

竹一重切花入 十四代 黒田正玄作

朽ちていくものに美を見出す 黒田家はその技を研ぎ澄ましていた

一瞬だけ使われるものではないのでこういう形で油を抜いて

材料にすると昔から伝わっている

 

帰雁 初代 黒田正玄作

 

千利休の月命日 大徳寺 聚光院(じゅこういん)

表千家 十五代家元 千宗左

表千家、裏千家、武者小路千家は今も祈りをささげる

 

塗師 十三代 中村宗哲

玉ノ絵平棗 十三代 中村宗哲作

これは家が一番大事にしているもの 切り型

甲の角度はここでぴったり ここが胴のカーブ この刻みで盆月の幅

幅と高さがわかるようになっている これが立ち上がりの高さと角度

 

利休形中棗 初代 中村宗哲作

 

ポルトガル アジュダ図書館

これは「日本教会史」の写本で

ジョアン・ロドリゲス神父が書くいたものです

日本の茶の湯について初めて細かく記された本です

 

取るに足らない陶土でできているにもかかわらず

123万クルザード さらにそれ以上の価格の達するものもある

1万クルザード=金36kg

ほかの民族がこのことを聞けば狂気で野蛮なことと思うであろう

日本人はあらゆる人工的なもの華麗なもの見せかけ偽善装飾を

大いに嫌う 彼らの言葉で「軽薄」という

万事にわたって節度を保ち 自己の技量や力量を誇示することなく

有り余るよりもむしろ足りないほうを望む

 

フランス パリ 

茶の道具は400年の時を経て今、響き始めている

ネシム・コーエン(34) マーストリヒト大学客員講師

ソフィー・ユバッツ パン職人

 

人々はきれいなものを求め 年老いて汚れることから目を背けています

時代を超えて残った道具は落ち着きを与えてくれます

「大丈夫だ そのままでいい」と死をも受け入れさせる美学です

 

アメリカ シカゴ

シアスター・ゲイツ 現代アーティスト

私は日本の茶道具から本当に多くの影響を受けています

茶杓を見ると思うのです この一本を一つの家が

300年かけて磨き上げてきたのだと 私にとって茶道具は

そこに宿る知恵の深さ 職人技の深さ 哲学の深さ そして

ひとつの道を貫く覚悟の象徴だと思うのです その姿勢は

私が常に心の中で大切にしている信念でもあります

 

ベルギー

アクセル・ヴェルヴォールト(78) 美術商

侘び つまり❝不完全な美しさ❞です 素材や自然など

非常に簡素なものへの愛です それらに神聖ともいえる

新たな価値を与えることです 

あの木々の向こうにあるのが私の小屋です

利休の茶室に大きな影響を受けました この土地の土や

木材を使っています 瞑想や考え事をするのにとても良い場所です

目で見えるものより心で感じるもののほうがずっと多い

それはとても大切で美しいものだと思います

私たちは自然から離れ過剰に整った世界に到達してしまった

全てをコントロールしたいという人たちがいますよね

しかし 侘びの精神は正反対です それが私にとって

本当に豊かさかも知れません

 

祇園

変化する時代との戦い

 

土風炉・焼物師 十八代 永樂善五郎

金襴手葵御紋茶碗 十一代善五郎 保全作

乾山写松ニ雪ノ絵茶碗 十六代善五郎 即全作

標釉松画茶碗 十八代善五郎作

 

うちの家は華やかな世界なのでまったく子どもの時から

見たことがない世界だった 真っ黒な世界というのが

 

土風炉 三代 善五郎 宗善作

 

土風炉では生活が難しくなっていた その当時の幕末に京焼で

華やかな焼き物がはやりだして 次代の後押しで華やかなものを

作りだす 

 

土風炉の技法を再興するために テストを繰り返している

窯の技法であったり どういう焼き方をしたら

どういう色になったとか 温度によってどれくらいの変化が

出たなど まだ分かったていないことのほうが多いので

 

燻し(いぶし)

 

なぜ そこまで土風炉と向き合う?

復興したからといって 何かいいことがあるわけじゃない

理由なんて必要ない「なんで生きてるんですか?」

「生きたいから」と答えるのと一緒で理由なんていらない

そもそも 理屈を考えるとかじゃない もしかしたら

できたら理由がわかるかもしれない 

 

一閑張(いっかんばり)

こちらが十一代一閑作の張抜きの茶箱になります

 

十一代飛来一閑作 張抜き

貧乏だったので漆もたくさん買えないし 和紙を貼って漆を

1回だけ塗るというやり方で 生活の道具を作っていたと

伝わっている

 

大徳寺 高桐院

初代 飛来一閑の墓

 

夫 聡 長男 一誠(30)

松葉張込張抜四方銘々盆 十六代 飛来一閑作

試行錯誤を重ねた15年が実った

ひとつの部屋にきれいなキンキラ光ったものばかりあっても

目がキラキラするだけですし 貧乏だったところから生まれた

さびれた ぼやっとした感じが一番いい

 

土風炉・焼物師 十八代 永樂善五郎

茶色から黒に変化するような色を狙って作っている

土風炉を再興しようとした時にいろんな技法を

トライアンドエラーをしながら新しい技法を身につけながら

やっているので そういう意味では明らかに自分のものづくりの

幅が広がっている それはすごく大きい変化 ものづくりをする

人間の大事なところでもある 踏み出したことは大きい事では

あるけれど 完成できてないからね 

「完成はどのくらいを目指している?」

生きている間

 

仕覆(しふく) 十三代 土田半四郎作

袋師 十三代 土田半四郎作

長男 瑛大(あきひろ 29)

 

常に新しい使えそうなものは探さないといけない

 

滝もソフト上の定規ですっと線を引いてしまったので

きれいすぎる デジタルの均一化された整理され過ぎたというか

手癖を排除しすぎないことが土田家の仕事として

アイデンティティーがあるのかな 

 

表具師 十三代 奥村吉兵衛

掛け軸も100年とか200年単位の消耗品 

いずれはやり替えないといけない

次の人がやりやすいように ずっと受け継いでいく仕事

甥 吉良貞哉(さだちか 16)

 

表千家 十五代家元 千宗左

大量生産 大量消費の中で お茶はそれとは対極的な世界

お茶の道具は一世代だけではなく代々受け継がれていく

物質的な豊かさの対極にある❝心の豊かさ❞を追い求める時代

 

サミュエル・モース アマースト大学教授

利休はあらゆるものの中に価値を見つけられると示しています

この教えは道具の中にとどまりません 

一人ひとりがおかれる環境の中で自分なりの価値を

見出すことにつながるのです

 

シアスター・ゲイツ 現代アーティスト

私たちが作るものは完璧にはなりえません

しかしその❝不完全さ❞の中にこそより自然な美しさが宿っています