2025年12月27日土曜日

100分de名著「死ぬ瞬間」③

ごきぶり(蜚蠊)は虫に非ず廉き虫なり

鮟鱇や生々しさとグロテスク

(寛永寺)冬を龍素材生かして後世へ

(根本中堂)未来への不安と期待冬の板

天井絵見つむ手塚へ冬の風

 

100de名著 キューブラー・ロス「死ぬ瞬間」③死を受け入れる?

エリザベス・キューブラー・ロス(1926-2004)

島薗進 伊集院光 阿部みちこ 

 

死の受容過程の5段階

   否認 ②怒り ③取り引き ④抑鬱 ⑤受容

 

3段階「取り引き」

「避けられない結果」を先に延ばすべく 

何とか交渉しようとする段階に入っていく。(中略)

取り引きとは何とか命を長らえようとすることである

それは「よい行い」をすることへのご褒美を兼ねていて、(中略)

「もしそのための延命がかなったならそれ以上は望まない」という

暗黙の約束をすることになる。

鈴木晶・訳

 

医学的に大事なことをしっかりやる 

それによって自分の一番大事なことをし続けたい

「こういうことはできるんじゃないか」ということを試してみる

生き方を変えていく なんとか生き続ける望みのほうに賭けてみる

願掛けに近いかもしれない

 

こういう交換条件をしたら これはうまくいくんじゃないか

かなりステップは変わっている 

 

生きる望みを捨てきれないでいる段階 人の心の揺れ動き

迷いながら自分らしい生き方をしたい

 

死が近いという現実を認めた しかし認めきれない だから揺れている

 

治療のアプローチも受け入れて貰いやすくなる唯一の時期

 

4段階「抑鬱」

抑鬱を招く原因は2つに分類できる

反応的な抑鬱 

無気力さや冷静さ、苦悩や怒りは、すぐに大きな喪失感に取って代わられる。

その喪失感にはいろいろある。乳がんを患った患者は女らしい体つきを

失うことに抵抗を感じるだろうし、子宮がんの患者は自分がもはや

女ではないと感ずるかもしれない。(中略)

だがこんなことはまだ序の口で、患者はもっと多くのものを

失うことに耐えなくてはならない。

患者:(中略)だれかこの状況を助けてもらいたいのですが。

私たち家族はその日のことしか考えられません。

毎日毎日なんとか生き延びているようなものです。

   でも、先のことを考えたら途方にくれてしまうのは

当然でしょう?何と言っても私がこんな病気なんですからね。

 

抑鬱1 

反応的な抑鬱 この世で生きている中で生じる胸のつかえ

この世で解決できない問題がある 色々なものを喪失していくが

そのことに胸が塞がれて元気がなくなる 経済的な問題や

家庭に関する心配は反応的な抑鬱を生じやすい

直接的にその課題を解消する仕組み

病院で死ぬようになってそういう環境から離れてしまう

それをどう変えていくか という問題意識がある

より多元的な多職種連携 自分も専門家的ではないアプローチを

していたので 専門家のケアでは足りない所を

自覚的に取り組むことを提案している 

反応的な抑鬱の中には精神的な解決が必要なものもある

患者:(中略)こんな状況の中で生きていても価値がないと

考えたことはあります。

牧師:価値がない?

患者:だって、私が明日死んでしまったとしても、妻はまったく

平然として、これまでどおり生きていくでしょうからね。(中略)

私は何十年も、長老派教会で教会のための仕事をしてきました。

(中略)この私にだって少しはできることがあったんです。

地域社会で役に立つと思われることが、私にもいくらか

できたのです。(中略)だけど、私のしてきた活動は、金もうけに

ならないという理由で、どれもくだらないとしか

評価されなかったんです。

 

薄々感じていたことがより顕著になってしまう 心のすれ違い

経済的・社会的サポートがあれば解消されるというものではない

妻に人生の中で生き甲斐にしていた 大事な意味があると思って

やってきたことを認めて貰っていない 

ああいったこともこういったことも評価なんかされてないじゃないか

ロスは医師なんだけれど心の問題に取り組む

宗教と医療の間に自分の役割がある 従来は医者は身体的な問題を解決する

スピリチュアルな問題は教会関係者が解決するみんなが教会に

熱心にいかない時代 そういう時に医療職の人もこういう自覚を持って取り組む

 

これらすべてが抑鬱状態を招く原因となることは、患者を扱う人なら

だれでもよく知っている。だが、忘れがちなのは、死期の近い患者には、

この世との永遠の別れのために心の準備をしなくてはならないという

深い苦悩があるということである。

 

医師:あなたにとって、死とは何ですか。

患者:死ですか。それは価値ある活動が終わってしまうということです。

私の場合、価値あるというのは、妻とちがって、金を稼ぐ行為を

意味しません。

牧師:聖歌隊で歌ったり、日曜学校で教えたりということを

おっしゃっているんですね。人と交流を深めるとか、

そういったことですね。

医師:(中略)あなたがおっしゃりたいのは、自分の存在にいくらかでも

   価値があって、有意義な活動ができるのなら、人生は

   生きるに値するってことでしょう?

 

準備的な抑鬱

その抑鬱が、もうすぐ愛する者たちと別れなくてはならないことへの

準備段階であって、その事実を受容するためのものだったならば、

励ましたり元気づけたりしてもさほど意味がない。(中略)

自分がもうすぐ死ぬことについて考えるなと言っているような

ものだからである。患者に向かって「悲しむな」などと

絶対に言ってはならない。だれだって愛するものを失うのは

このうえなく悲しい。患者はこれから自分の愛する物も

愛する者もすべて失おうとしているのだ。だから、悲しむことを

許されれば、目前に迫った自分の死をもっと楽に受け入れることが

できるだろうし(中略)そばにいてくれた人にも感謝するだろう。

 

死にゆく彼にとっては「すべてを失うこと」

 

抑鬱2

準備的な抑鬱 この世から遠ざかっていくことによって生じる心の痛み

 

全てを失って向こう側へ行くときに抑鬱的な気持ちになるのは自然

だからそれを防ごうと考えてはいけない

 

伊集院

人間が呆けるのは人間が本能的に死の恐怖を弱めていくスイッチ

 

準備的抑鬱では、まったくあるいはほとんど言葉を必要としない。

むしろ、感覚でお互いを理解し合える。

髪をなでたりして手を触れればより通じるものがあり、

黙っていっしょにいるだけで十分なこともある。

(沈黙の時を共にするそういうことが力になる)

この時期には患者はお祈りだけを望むかもしれない。

 

ただそこにいる あなたの力になりたい

2025年12月26日金曜日

出宇宙&宇宙移住

冬の月をかしとあはれ繰り返し

をかしとは枕草子月氷る

冬星座あはれは源氏物語

冬銀河螺旋的なる物語

「死神」に歴史あり冬の夕焼け

 

■人類究極の欲望“宇宙移住”火星に100万人都市!?計画最前線

 

およそ5万年前、出アフリカを起源に数千人だった人間は

爆発的に増加 今や人口8,000,000,000

地球を覆いつくすまでに増殖しました

 

いま、留まることのない欲望は“出地球”です。

現在、人間が計画しているのは宇宙への移住

 

民間宇宙ベンチャーCEO

数百年数千年のスケールで見れば 人間は地球での生存に問題を抱えるか

宇宙に進出するのかどちらかです

 

月までの距離はおよそ38万㎞ 片道3日 

火星までの最短距離はおよそ6000万㎞ 片道8カ月

出地球 月・火星を目指す 出地球計画とは

 

アルテミス計画(世界50か国以上が参加するプロジェクト)

2027年での長期滞在 基地の建設に取り掛かる 

2040年には火星へ人間を送る 月に行く技術を新たに計画

アルテミスⅡ 4人の宇宙飛行士が月の周りを飛行し地球に戻る実験

今までと違うところは 一般の人々を月や火星に送り込むこと

ビジネスチャンスととらえているのは イーロン・マスク率いるスターシップ

全長20m 100人の乗客 40の客室 調理室 娯楽エリア

月は太陽があたらないと マイナス170°C 日が当たると110°C

200倍もの放射線 大量の隕石が降り注ぐ 

 

トレント大学情報科学 ロレンツォ・ブルッツォーネ教授

月の地下に洞窟があることを発見しました 放射線や微小隕石を防ぐ

天然のバリアとなるのです 放射線は月面の10分の1以下

温度20°C前後 

 

NASAエイムズ研究所 宇宙生物学 リン・ロスチャイルド教授

菌糸 

きのこを使うというのはとんでもないアイデアに思うかもしれません

しかし彼らは自己複製し修復までできるのです 火星の砂と結合 固める

放射線を防ぐ 特殊な菌糸を発見 椅子やベッドを作ることができるのです

巨大に宇宙施設も建設可能なのです 

 

スペースX社 イーロン・マスクCEO

できるだけ早く火星に自立した文明を築きたい 

SFを単なるフィクションに終わらせません

目指すは2050年代までに火星に100万人の都市を築くこと

100人乗りのスターシップを1万回打ち上げなくてはいけません

そのチャンスは26カ月に一度 ロケットの再利用を新しい方法で行う事

ブースターの使い捨てをやめ何度も使う 2023420日は失敗

20241013日 スターシップ5回目の飛行試験 分離成功

(ブースターをつかむ)”箸“が見えてきた 250tもある巨体をキャッチ

25年後には人間を送ることが可能となった

 

多種多様なGenreの人々が火星へ 

火星に行くと2年に1度しか帰る便がない 月は3日で帰れる

火星で子供が生まれた時 初めて宇宙に移住することの本当の始まり

火星で過ごす2年は運命的 宇宙を目指す人は社会全体が

閉塞感に覆われている 人間の活動が地球のキャパシティーに

近づいて問題を生まれている サステナブルに生きるためには

いろんなものをセーブしないといけない 閉塞感を打ち破って

Frontierへ行きたいと思う人が出てきてもおかしくない

 

出アフリカ

人間が新天地へ向かう理由 遺伝子から見えた“意外な要因”

なぜ祖先たちは出アフリカに踏み出せたのか

気候変動によって移動しやすくなった

効率的な狩りの技術の発達があった それに加え

ある感情に突然変異が起きていた

 

東北大学 進化学 河田雅圭 総長特命教授

不安を感じづらい遺伝子を持った人の割合が 

少し増えてきたことが明らかになりました

 

不安の感じ方 VMAT1(ブイマットワン)遺伝子 

セロトニン 

「不安を感じにくいタイプの遺伝子」現代人にどれくらい受け継がれているか

 

従来の遺伝子を持つ人 不安を感じにくい遺伝子を持つ人

アフリカから離れるほど後者が多くなっている

 

ひとが拡散していくときには最先端でパイオニアと呼ばれる人たちが

未知の領域に足を踏み入れていく 不安を余り感じにくい人が

そういうことを行っているのではないか 

 

出アフリカを後押ししたもう一つの遺伝子変異

恐怖の記憶 NPSR1遺伝子 未知への不安につながる

恐怖の不安が残りにくい不安を感じにくい人間が現れた

 

イェーナ大学病院 薬理学 ライナー・ラインシャイド博士

恐怖を記憶する脳の仕組みが弱まったことで人間は

未知の世界への挑戦を続けられる生き物になりました

祖先たちは新たな発見を求めて前へ前へと進み

次の山を越えていったのです 

 

東北大学 進化学 河田雅圭 総長特命教授

いろいろな考え方をする人が出てきて その結果

宇宙に行ってみたいと思う人もたまたま出てくる

(不安を感じにくい)変異を持った人の中から

「宇宙に行っても何とかなるんじゃないか」と

思っている人が結構いるんじゃないか 

 

不安を感じるタイプ 重要な役割

ニューヨーク市立大学ハンター校心理学

トレイシー・デニス=ティワリー教授

私たちは皆 多かれ少なかれ不安を感じる能力を持っています

不安はあまり感じない人もいますが 良いことばかりではありません

不安は危機を感じるために重要な役割を果たします

人間にとって不安とは将来の計画を立てる

燃料のようなものだと考えています

 

目の前の恐怖から未来を想像する能力を持ったのです

将来に対する不安が生まれた

 

認知科学者 アダム・ブリー博士

人間の脳が特別なのは不安を自ら引き起こせるということです

目の前に危険がなくても想像力によって不安を生み出すことができるのです

 

トレイシー・デニス=ティワリー教授

住まいを作り新たな道具を発明する 私たちの祖先が出アフリカを果たし

世界中へ広がることができた理由の一つは未来を想像し危機に備えることを

可能にした不安の力にあると考えています

 

新天地へ飛び出す力 事前に備える力

 

人間ならではの不安の感じ方とは?

菊水健史

失敗を繰り返しても成功に向けて動く”脳内麻薬“オピオイドが出る

失敗時の辛さ 不安の軽減

成功した時”快楽物質“ドーパミンが脳内に大量放出

失敗を繰り返しても成功する 全体の成功体験を記憶しまたやりたくなる

 

技術革新を繰り返すと環境破壊や戦争など問題も起きる

 

渡辺陽子

宇宙に行く根底には不安がある 

トリプル・プラネタリー・クライシス「地球の3大危機」

気候変動・生物多様性の喪失・環境汚染

 

「出地球」は人間未来をどう変える?

宇宙からの視点

若田光一

宇宙船の眼前に広がっている地球を見ると地球が宇宙船のように思える

宇宙の行くことによって地球の環境を守るための意識が

芽生えてくるのかなと思います

人間の活動による影響

生態系の破壊 

宇宙でも同じことを繰り返すのか?

国際宇宙会議では大きな議題に

持続可能な宇宙 回復する地球

地球を回復するために宇宙に出る

地球生命の維持には宇宙の活用が重要です

ジェフ・ベゾス ブルーオリジン 

地球の利益のために

地球は他に匹敵するものがない 最高の惑星です

われわれは地球を汚染する産業を宇宙へと移すことが可能です

そうすれば 地球環境を傷めることはありません

環境を汚染する産業を月や火星に移設するというのです

 

地球で暮らせなくなる未来 スペースX社はこう考えています

地球にとどまればいつか人類は絶滅します 正しい道は宇宙を行き来し

多惑星を生きる種になることです 

 

世界規模の核戦争 気候変動 巨大隕石の衝突

 

マックス・ハオツトCEO Vast

長期的な目標の達成に向けて前進し続けたいと思っています

ヘイブン 安息の地 宇宙ステーション

生命維持や熱制御のシステムなど 宇宙ステーションのすべてを

開発しています これが1号機 まさにこの機体が宇宙に行くんです

来年1月には実施されます 

太陽系のあらゆる場所での居住を可能にするために

数百年 数千年のスケールで見れば人間は地球上で生存に

問題を抱えるか 多惑星文明になるかのどちらかです

人類に他の未来はありません

 

多惑星文明

 

渡辺陽子

まだ地球の回復力はある 

関根康人

地球に住み続ける努力をすべき 地球で生きる技術を磨くための宇宙

鈴木亮平

環境を破壊する産業などを宇宙に移す 倫理的にどうか?

渡辺陽子

格差問題 貧困層が世界人口の8.5%いる状況にある 弱者が宇宙に

連れて行かれても発展に従事させられることにもなりまねない

環境・人権の両方の面から見ていく必要がある

菊水健史

今の宇宙開発はお金持ちが投資していて その人たちが宇宙での

メリットを手にする 平等に弱者まで利益を分配するのは難しくなる

鈴木亮平

欲望に飲み込まれないようにするには?

関根康人

火星上では助け合わなければ生きていけない 利己ではなく

利他的な考え方 全体が1個の共同体 100%リサイクルが必要な社会

他人を思いやる 共同体の中で助け合う 火星の社会の中心的な

概念になる それこそ これから地球で必要になるもの

鈴木亮平

これからカギとなるものは?

渡辺陽子

多様なメンバー 女性 先住民 若者などの発想を 取り入れた

社会システムにする必要がある 

菊水健史

宇宙開発の当事者化 みんなでやっているということがどこまで

広がっていくか 人類が外に出る 人類全体の問題になって返ってくる

 

滅亡のリスク 前に進み続けずにはいられない

海部陽介

人間の歴史は新しいことに直面する繰り返しだった

そのつど 僕らは考えなければいけない

アダム・ブリー博士

より良き未来のために最善の道を皆で考え話し合う 未来を見通す力を

生かし 勇気と謙虚さのバランスを保ち続けることが重要です

 

もっと豊かに もっと幸せに 願い続けてきた人間

これから先何処まで進んでいくのでしょうか?

 

常識は変わっていく それでも変わらないものは何か 

守れるものがあるんじゃないか 変わっていく

2025年12月25日木曜日

べらぼう&しゃらくさい狂歌大会&磯崎新&さんぽろりん&「山眠る」&西村典子&徳光和夫

霜月や一度限りの垂らし込み

大雪を畑狭しとカリフラワー

大雪をでっかく育った華てまり(カリフラワー)

企画満載冬の上板来しマルシェ

友の笑み初収穫の柚子蜜柑

 

■べらぼう~蔦重栄華の夢噺~

鳴く声はぬへに似たるか香やいかに浮かぶ湯船のあはれなりけり

通い路も二階もせかれ閨(ねや)の花甘きはみつのあはれなりけり

水責めに火責めのあとは半殺し目黒の餅はあはれなりけり

 

淡雪にしばし人目は包めどもあらはれて良き妻の移り香

ぽんぽんと打ち笑はする万歳の鼓の皮の張るはきにけり

春雨に寒さの縒()りのもどりてやながく延たる青柳の糸

 

蔦屋重三郎の実母の供養碑

巧緻な発想とすばらしい商機の読みは誰も及ぶべくもない

 

■「しゃらくさい狂歌大会」大賞

 

後期とは誰が決めたかしゃらくさい

我は生き抜く百を超えても   渡辺秀夫

 

何という意気込み素晴らしい

蔦屋重三郎は早すぎましたよね…。

 

斎藤十郎兵衛 (能役者)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%8E%E8%97%A4%E5%8D%81%E9%83%8E%E5%85%B5%E8%A1%9B_(%E8%83%BD%E5%BD%B9%E8%80%85)

 

■磯崎新氏の言葉

建築することは、人々が生きているその場のすべて、

社会、都市、国家にいたるまでを構想し、

それを眼に見えるよう組み立てることだ

 

■夏井いつき俳句チャンネル

【第7回】楽しい日本語【さんぽろりん・後編】

「さんぽろりん」方言である。意味は無一文なこと、零落したみすぼらしい姿。

 

なまはげにもなれぬお父やさんぽろりん   ローゼン千津

さんぽろりんへ一本与ふきりたんぽ   夏井いつき

かまきりとカレーとさんぽろりんなぼく   家藤正人

 

■夏井いつきのおウチde俳句

一分季語ウンチク「山眠る」

 

非常にメジャーな季語 しかも使いやすい季語として

句に使ったことのある方もいらっしゃるかもしれませんね

これは冬の山に対する形容した言葉になっています

冬の山はすべて山の木の葉っぱが落ちていって

静かに冬日を受けて眠っているかのようだと

そういう言葉になってまいります

山の様子を形容した季語シリーズというのは

それぞれの季節にありまして 春は「山笑う」夏は「山滴る」

秋が「山装う」そして冬が「山眠る」ということになっています

それぞれの山の表情を昔から人は捉えて

ああ今あの山はこんな状態にあるねと

目にしながら過ごしてきたのでしょうね

 

■西村典子「夢見る羊の街」

それはどこにあるのか 誰も知らない

でも空想の扉を開けば 誰でも行くことができる 不思議な街

 

夢を見ている羊が、街を載せて空に浮かんでいる

「空想街」という独自の世界観を描き、人気を博している西村典子さん。

ユニークな発想の原点は、つらい小学生時代に…。

 

「空飛ぶ魚の街」に「おもちゃの王国」

思わず飛び込みたくなるような空想の世界を描く、西村典子の「空想街」の絵。

デザインされた雑貨は、今若い女性を中心に人気急上昇中。

単なるファンタジーな絵ではありません。驚くほど緻密で、手の込んだ描法。

アイデアとユーモアに溢れ、老若男女誰もが惹きつけられるのです。

そんな「空想街」はなぜ生まれたのか?秘密は作者の小学生時代の辛い経験に。

今も「空想街」を描き続ける彼女の思いとは?

参照:https://www.tv-osaka.co.jp/onair/detail/oaid=2181735/

 

■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん 徳光和夫登場!

 

徳光和夫氏が神様として崇める長嶋茂雄氏の話。
立教大学への入学、アナウンサー試験の経緯、

プロレス実況中継で知り合ったジャイアント馬場氏の

話など62年間のアナウンサー人生を語ってくださいました。

人生の先輩のお言葉は「禍福は糾える縄の如し」でした。



2025年12月24日水曜日

あの人に会いたい 瀬戸内寂聴

勘三郎を詠む

味噌搗ついて心宿して役となる

凍てつかん吾の背見澄ます子の視線

習ったことをそのまま伝授面見世(つらみせ)

伝統へ流行り盛り込み足揃(あしぞろえ)

顔見世や勘三郎を今一度

 

■あの人に会いたい 瀬戸内寂聴

作家・僧侶 瀬戸内寂聴 2021(令和3)年 99歳没

 

愛するというのは喜びと同時に 苦しみが始まるものだと思うんですよ

でも それでもですね やっぱり人間は愛した方がいいと思う

愛するためにわれわれは生きているというふうに

文学というのはそれを描くものじゃないでしょうか

みんないつか死ぬんですからね いつかは死ぬからね 

今日に1日が大切なんですね 明日はあるかどうかわからない

ですから今日1日を切に一生懸命に生きましょう

 

大正11年仏具商を営む両親のもとに生まれました 

 

私の文学の源泉と言えば人形まわしなんです

なんかこの世の中にね 人生というものはね 

楽しいだけじゃなくてね

苦しいことがあるんだなとかね 悲しいことがあるんだなとかね

それから人を好きになる そういう男女の間に引き合うね

愛があるんだなってね そういうことをね 

覚えたのは人形からです 私は

 

結婚は見合いでしたからね だから初めて恋愛して 

恋愛っていうのはね ちょうどね 雷が落ちてくるみたいなもんでね 

もう防ぎようがないんですよ 気が付いたらもう打たれているんですよね 

家を出る名目としてね どうして出るのかって言われたときに

「男にほれて出ます」ってみっともないからね

「小説を書きたい」って言っちゃったんですよ

 

女子大生・曲愛玲(チィアイリン) 認められたのは35歳の時

昭和32年 新潮社同人雑誌賞受賞 文壇デビューを果たした

 

私がとにかく作家にならなければですね 

もうこれはマイナスのままだと思います

しかし私がね もし自分の志を貫いてですね

とにかく作家になれればですね 彼らも

許してくれるというふうに思っていました

 

続けて発表した「花芯」では大胆な性描写が批判にさらされます

 

5年間完全に干されました 筆を折ろうとは思わないですよ

このわからず屋と思っていましたから 今に見ろと思っていた

 

昭和38年「夏の終り」で女流文学賞受賞

 

われわれの働く女たちの道をね 切り開いてくれて人たち

まだ非常に世の中の因習的な壁の厚い時代にね

自分のはだしの足に血を流してね 爪から血を流して

その道を切り開いてくれた そういう女性たちに憧れますね

 

1962年には言い知れぬ不安から自殺も考えたとか…。

 

やっぱり自分の書いた小説がね 世界的名作のレベルに

達しないと嫌だと思っていた そりゃ自分の書いたもの見たらわかりますよ

もうそんな 何十年も書いていたら ああ この程度かと思ってね

口もきけない子供を捨てたしね ええ 悪くもない夫を裏切ったりですね

そういうことをしてまで小説を書いた それで手に入ったものが

「あっなんだ こんなもんか」っていうのでね 非常に空しかったです

 

昭和48年 得度 岩手県の中尊寺にて

出家は生きながら死ぬこと 

そのときはもうこれで 猛(作家としての)幕が引かれると思っていましたよ

だからどこも書かせてくれない それでもいいかって いうことを

自分にずいぶん問い詰めました だけどふたを開けてみたらね

何か よけい仕事が来るようになって いろんな…もっと仕事がね

発展しましたね だからやっぱりね 自分でね 途中で命を絶つとかね

何か自分を投げ出すということはね やはり傲慢なんですよ

やっぱりね 与えられた命はね もう死ななきゃならないときが

くるまでですね やっぱり精いっぱいに生きることがね 

これが人間の務めだと思いますね

 

70歳から6年がかりで書いた「源氏物語」現代語訳 

女性に焦点を当てた 新しい視点と読みやすい表現で200万部を超える

ベストセラーとなりました

 

世界中が認めている「源氏物語」をですね 

日本人は殆ど読んでいないんですよ こんな素晴らしい文化 

千年前にあったんだよと 日本はこんなに素晴らしい国だよっていうね

誇りを持ってもらいたかった 

 

天台寺(岩手)毎月開催された青空法話

みなさんですね この中にたくさんね 

愛する人に死に別れた方が今日いらっしゃいます

それはですね 亡くなった魂はですね その人を守るためですね

必ずその魂はですね この世に帰ってきてね 愛する人たちの…

一緒にいるんですよね

 

しかし88歳の時 腰椎を骨折 一時は歩けませんでした

 

平成23年 東日本大震災 東北に励ましに出かけて行った

見て木 木がほら 

もうね 泣きたいときはね 泣いた方がいいのよ 泣くのが当たり前

どんなにつらいことでもですね それをばねにして 生きるね

そういう力がね 人間にはあるんですね 

 

平成27年 安全保障法制に抗議するデモに参加

 

このままでは駄目だよ 日本は本当に怖いことになっているぞ

ということを申し上げて死にたいと思いました

いい戦争というのは絶対にありません 

 

「いのち」を執筆 最後まで作家であり続けました

 

生きているってことは情熱を燃え立たせてなければ

つまらないですね なまぬるい生き方をしたくない

書き尽くしていないですね やっぱり1つのものが

仕上がったらそのあとに何かまた湧いてきます

ペンを握って死にたいです

 

愛と自由を求める女性の魂を描き続けた瀬戸内寂聴

自分の足で立ち 常に前に進む姿勢を貫いた99年の生涯でした

 

思い煩うな くよくよするな 

過去のこともくよくよするな

未来のこともくよくよするな

今を切に生きてください

今を切に生きる

 

作家・僧侶 瀬戸内寂聴 1922-2021 

2025年12月23日火曜日

蔦文也&「コート」&「さんぽろりん」

(十八代目 中村 勘三郎を詠む)

俊寛の冬やり遂げた勘三郎

役やらせて貰いました冬の月

冬を笑む父の言いつけ守れまじ

入水禁止役になり切り冬の言い訳

周り見て己を俯瞰冬の霧

 

■あの人に会いたい 蔦文也2001(平成13)年 77歳没

試合じゃ そのつもりでやれや ただ練習のつもりでやるから あかんのじゃ

ピッチャーと真剣勝負するつもりでやらないと あかんのじゃ

1球で勝負が決まるんじゃけんな わかっとるか

うちの父親が普通科の徳島中学に入れたいと思っていたんですが

子どもが野球したいというなら子どもの意見を聞いてくれたのがよかった

そういう時に親が思い切って好きな道を歩ませてくれるということを

非常に今でも感謝している

徳島中学から同志社大学へ 学徒出陣

リーグ解散令(昭和18) 知覧飛行場へ送られた

東急フライヤーズの投手(26) 1年後解雇通達

徳島県池田町の高校で野球部の監督に(昭和26)

 

「山あいの町の子供たちに一度でいいから

大海(甲子園)を見せてやりたかったんじゃ

蔦文也」

 

これが最初ですわ 監督になって退職するまでに1回くらい甲子園へ行ける

これだろうと思っていた 初め 無理に優勝することまで考えて

監督を引き受けたのではない 実際は

 

昭和49年 春 初出場 わずが11人の部員で準優勝 さわやかイレブン

野球は技術だけでなしに人数が少ないのがチームワークで

体が小さいのが根性であれば やれば 高校野球というのは

優勝までにはいかないがよい成績をあげられると教えられた

 

金属バットの登場で蔦監督の野球が大きく変わりました

 

力をつけるんじゃ なんで力をつけるかと言ったら

金属バットになって重いバットを使いよるだろだから

力をつけないと いかんのじゃ やまびこ打線の誕生

 

バッティングフォームは型には絶対入れたりしない

その子は控えに回すというような指導の方法もある

私はそういう指導はしない 人間というのは神様じゃないから

いいところもあるし 悪いところもある いいところを

先に伸ばしてやるのが大事 

 

昭和57年 夏 初優勝 昭和58年 春 夏春連覇

 

不安は多分にありました まあ なんぼで勝ったんか あれ?

わたしも試合の結果は覚えとらん 勝ったらええんです

 

野球ばっかしできたんではあかんのだぞ 勉強これも大事

赤点取るようなやつは練習させんからな そのつもりでやるように

 

控えの子にも気配り

体の割りに構えが大きすぎるよ 

下積みになっても その逆境に負けずに 3年間やった子と言うのは

野球を甲子園で優勝したというよりも むしろいい経験を得て

社会に出ることができるのかなという感じはしますね

 

平成4年監督を引退 ノックのバットが振れなくなったのが要因でした

これが重くなってからはいかんね 上手にさせてやろうと思って

ノックしたから そういうのがやっぱり 懐かしい

 

生徒一人一人のことを思って務めた40年の監督人生でした

 

試合は細かいことばっかりしていたら かえって生徒に

プレッシャーがかかる 練習の時に ち密なことやっているけど

こういう場合にはババーンと行けるなとー おおまかな 

拙速なところも必要になってくる 細かいことをいちいち言って

やりよったんでは 生徒もたまらんわ

 

高校野球監督 蔦文也 1923-2001

 

■夏井いつきのおウチde俳句

一分季語ウンチク「コート」

 

もう寒い時期になってきて全国の皆さんも そろそろコートを

着用されている頃合いではないかと思いますねぇ

実は普段から身に纏っているその「コート」も立派な冬の季語に

なっているわけです 元々季語としては和服の上に羽織る防寒具として

「コート」という言葉があったようなのですが 現在では

もう和服も着る機会も随分と少なくなり 日常的に目にする

「コート」全般を指す季語として理解してよいのではないかなぁと

思いますねぇ こうやって寒さを凌ぐための色々な物というのは

沢山冬の季語として歳時記に載っております 例えば「冬服」

といったり「セーター」なんていったりした場合も それぞれ

季語になるんですね 季語を使う時に「セーター」がいいのか

「コート」がいいのか それぞれ色々使い分ける詠み分けるのも

楽しい季節です

 

■夏井いつき俳句チャンネル

【第7回】楽しい日本語【さんぽろりん・延長戦】

さんぽろぴん酒田のしぐれ聴いてゐる   ローゼン千津

即身仏とさんぽろりんの違い冬   夏井いつき

山に雹さんぽろりんな鉢の罅   家藤正人

大榾火さんぽろりんも神管も   夏井いつき

竜宮へ参る夕焼のさんぽろりん   家藤正人

初冬の穴子、かすまき、さんぽろりん   ローゼン千津