2026年5月5日火曜日

モーリス・ベジャール特集!「3つの視点」

春の野や命支える命あり

生れきた新たな命春日和

ミスワクで歯を磨きたし春の朝

望まれて期待されても花曇

忘れたい忘れられない春の情

 

■モーリス・ベジャール特集!「3つの視点」

モーリス・ベジャールの言葉

人生には常に驚かされます 驚きに満ちた素晴らしい冒険だからです

音楽は私の❝呼吸❞です 無しでは生きられません

魚にとっての❝水❞です だからミュージカルや音楽が題材の劇が大好きです

私のステージの音楽には新たに委託した曲もあります

色あせない過去の音楽もあり 作曲家が生きているかのように

❝対話❞しながら取り組みます 

 

●ディオニソス組曲

元気ですか? 

我らギリシャ人には必要なものがある

ワイン 音楽 太陽 海 そして神々 

ギリシャのいにしえの神々は今でもいる

今でもこの地に我らのそばにいる

村々にあらゆる酒場にあらゆる踊りに

神々は永遠に生きている

 

クレタ島はなんと美しいのか もし私が鷲だったら空を舞いながら

すべてを眺められるのに 不憫なクレタ島よ 長い年月

お前は叫んでいるが 誰か聞いているというのか 奇跡を起こすためには

神でさえ自ら力をふるう 奇跡を起こすためには 神でさえ自ら力をふるう

我らも立ち上がれ! 不屈の力を持て! 

 

神々の王ゼウスは人間に変身する しかし 人間の女は神としての

姿を見たがる 彼は拒む 女は そのギリシャの女は愛ゆえにー

雷神でもあるゼウスに焼かれて死ぬ しかし その子どもは生き続ける

永遠に… ディオニソス! 

 

モーリス・ベジャールの言葉

バレエ作品の命も人の一生のようにさまざまで 長短があります

バレエにも生と死があり死は他の芸術より急に訪れます

絵画・彫刻は空間の芸術ですがバレエは時間の芸術です

具現化するダンサーの肉体と その時代に結びついています

ダンサーや振付家の命とバレエの結びつきはしばしば突然失われます

 

●これが死か

薄暗い墓の中で私はずっと夢見ていた 春よお前の木々や青い空

その香りや鳥のさえずりを 今お前は私の目の前にいる

輝きながら誇り高く あふれるほどの光に包まれて

奇跡のように存在している 今お前は再び私を見いだし

優しく私に誘いかける 神々しいその姿が私の全身を震わせる

なんと貴き その姿よ 

庭は悲しみに沈み 雨が冷たく花々に降り注ぐ

夏は自らの終わりを悟り 静かに身を震わせている 

背の高いアカシアの木から 金色の葉が一枚 また一枚と散る

夏は驚きつつも弱々しく微笑む 消えゆく庭の夢の中で…

それでも夏は暫くバラの傍らにたたずみ 休息を取る

そしてゆっくりと 疲れ果てたその目を閉じる 

今日はとても疲れた 星降る夜空よ 疲れきった子どもを見守るように

私の願いを聞き入れておくれ 手はあらゆる動きを止めよ 

頭はあらゆる考えを捨てよ 今私の体中の感覚が眠りにつくことを

望んでいる 

私の魂は誰に見張られることもなく自由の翼を羽ばたかせ 

空を漂うことだろう 夜の魔法の世界の中で 私の人生は深く

何千倍も豊かに生きるのだ 

私たちは苦しみも喜びも共にし 手に手に携えて歩んできた

今は放浪の旅から解放され 静かな土地で休んでいる

渓谷では日が沈みかけ辺りはすでに暗い ただ2羽のヒバリだけが

夕靄の中で夢見るように羽ばたいている こちらへおいで

好きなだけ飛ぶがいい じきに眠る時間になる 私たちは

この孤独の中で 道に迷わぬようにしなければ ああどこまでも

静かな平穏よ 夕映えの空に染み渡っている 私たちがどれほど

旅に疲れているか もしやこれが死というものだろうか

 

モーリス・ベジャールの言葉

ブーレーズは重要な存在です フランスの現代音楽があるのは

彼のおかげです 現代音楽への関心を呼び起こしました

偉大な作曲家であり現代の作曲かすべてに影響を与えました

私が音楽から知ったすべてはブーレーズのおかげです

 

若さの役で大橋真理さんが踊っておられました。素晴らしかった…。

 

●マラルメⅢ

 

モーリス・ベジャールの言葉

重要なのは私の❝作品❞ではなく 私がダンスへの関心を広めた事でしょう

振付家が突然注目され 担い手や志望者が増えているのは重要な変化です

もし私が後世に記憶されるなら20世紀半ばにダンスへの関心を

復活させたことを語られたいです 個々の作品ではなく… どれも

改めて見ると陳腐に感じます 全てを振り返っても残しておきたいものは

少なく減る一方です 保ち続けたいのは ただ 動きへのある種の衝動です

自分は芸術家だとは思いません 根柢の所で芸術には興味がないからです

芸術的にはなれません 結局 美的感覚がなく センスもない 

唯一あるのはダンスの真実に対するある種の感覚です 

 

カップルで岸本英雄さん 若い男で武岡昂之介さんが踊っておられました

感動しました

 

2025619日ボーリュ劇場(ローザンヌ)

 

■「M」モーリス・ベジャール振付 東京バレエ団

三島由紀夫(19251月生まれ)

19937月 初演時リハーサル

モーリス・ベジャール(1927-2007)(19271月生まれ)

フランスの振付家

「春の祭典」「ボレロ」など多くの画期的な作品を創作

東京バレエ団オリジナル作品は「ザ・カブキ」に続いて2作目

 

モーリス・ベジャールの言葉 19937

重要なメッセージとして今から25年程前に私が三島という

大作家を知り三島の戯曲を舞台作品として演出したのです

人間として作家として三島に心から感嘆しています

私は三島が世界中の人々にもっと知られて欲しいと願っています

 

三島の分身 Ⅰ-イチ Ⅱ-二 Ⅲ-サン Ⅳ-()

 

聖セバスチャン 三島の理想

音楽を手掛けたのは黛敏郎(1929-1997)

20世紀を代表する作曲家 管弦楽曲のほか 

日本の伝統音楽を取り入れた楽曲も多く作曲

黛敏郎の言葉

(ベジャール)の注文で20曲ぐらい

5分間の日本の伝統音楽を基調に開いた曲を作ってくれと

能楽のリズムがもとになっています

和のリズムというのは洋楽と全く違ってアンバランスな8拍子

それを見事に舞踊家しているということにも新たに感動を受けました

 

東京バレエ団

1964年創立 現代作品まで幅広いレパートリーを持つ

 

聖セバスチャン 樋口祐輝

踊りの技術だけじゃなく内面を出していかないと役として成立しない

その内面を自分の踊りでどう表現していくか 内面を作るのは楽しい部分

 

芸術監督 佐野志織

女性合ってない呼吸

 

初演「Ⅲ-サン」役 後藤晴雄

初演「Ⅱ-二」役 木村和夫

ベジャールさん 居るだけでダンサーの気持ちを

1つに引っぱっていける力があった

彼が残した偉大な作品と精神的な部分は

日本人の大切な中身の部分を表現している

これからの人たちがちゃんと受けとって

次の世代に渡していってもらいたい

-() 池本祥真

「シ」は多面的な存在であると言われ踊ってみると

いろいろな顔を見せるシーンがある

自分は今 三島の中の一部分なんだなと思うときもあれば

「死」そのものとして存在しているんじゃないか

しっかり指導してくださった形を自分がとることで

その魅力が出てくるんじゃないかな

-イチ 柄本弾

与えられた振りの中でダンサーがどう演じるか自由

ダンサーの技量が測られるような作品

ベジャールさんが与えてくださった振りの中で

自分がこの作品の中でどう演じていこうか

日に日に感じることが変わってくる

楽しみつつ本番までにブラッシュアップしていきたい

 

現代バレエの父モーリス・ベジャールが三島由紀夫を題材に創作

ストーリーはなく三島の人生・思想・著作をまるごとバレエ化した

 

三島の分身

-イチ 柄本弾

-二 宮川新大

-サン 生方隆之介

-() 池本祥真

三島の理想 聖セバスチャン 樋口祐輝

少年時代の三島 少年 岩崎巧見

 

禁色 午後の曳航 鹿鳴館 鏡子の家 金閣寺 豊饒の海

https://www.nbs.or.jp/stages/0510_m/story.html 

2026年5月4日月曜日

兼題「葉桜」&テーマ「数字を入れて詠む」

腹に一物五穀豊穣春を射る

春の陽や一人一手の矢を放つ

風光る的に命中百々手式(ももてしき)

春の風トルコギキョウの香はいずこ

春の夕騒音のごとアナウンサー

 

NHK俳句 兼題「葉桜」

選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣

年間テーマ「もっと俳句のコリをほぐします」

 

コリのお悩み 子季語の使い方がわからない

歳時記に小さく書かれているのが子季語 大きく書かれているのは親季語

夏の季語 親季語 紫陽花(あじさい) 

子季語 四葩(よひら) 七変化

子季語は親季語のVariation

少しニュアンスは違うが同じものを指している

 

使い分けは?

 

   紫陽花のパリーに咲けば巴里の色   星野椿

日本から来たものだけどフランスっぽさがある

和でもなく完全にフランスでもない色になっている

わざわざ紫陽花以外の他の言い方をする必要はない

 

   あぢさいに触れて鋏のくもりけり   髙田正子

 

ツボポイント 基本的に親季語を使う

親季語だと大体みんな知っている言葉

 

   兄亡くて夕刊が来る濃紫陽花   正木ゆう子

濃紫陽花は紫陽花の子季語 音の数 紫陽花の濃さに叙情が生れる 

Kの音も踏んでいる 音も合っている 音数もぴったり 

 

   七変化住み替えはりしはいくたびぞ   西村和子

 

   四葩咲きよべの涙を忘れしむ   文挾夫佐恵(ふばさみふさえ)

「よ」を重な停る 「咲き」が必然 昨日は咲いてなかった今朝咲いた

「咲き」が入ると3音しか入らない

 

親季語 おでん

子季語 おでん鍋 関東煮(かんとうだき) おでん屋 おでん酒

関東煮(場所の情報を含む) 

おでん屋 おでん酒(親季語に関連する物事を指す)

 

ツボポイント 子季語は音や情景にあわせて必要な時に選ぶ

 

・実践

親季語 雷

子季語 雷鳴 雷雨 遠雷 鳴神(なるかみ) はたゝ神

A 遠雷やひとり昼餉の青菜汁   石橋秀野

  (青菜:春の季語)

B かみなりへ走る帰宅となりにけり   五島高資

C 空港のごつた返せる雷雨かな   長谷川櫂

D 鳴神(なるかみ)や暗くなりつつ能最中   松本たかし

  (野外能)

 

まとめ 詠みたい情景に最もあう子季語を選ぶ

 

   特選六句の発表 今週の兼題「葉桜」初夏の季語

葉桜をフェラーリぬるり通りゆく   来地宇須(らいちうず)

着ぐるみの今日葉桜を忘れない   今井祐希(ゆうき)

花は葉に君はマリアでユダだけど   ノセミコ

(ユダ:イエス・キリストの十二使徒でイエスを裏切ったもの)

葉桜や僕はなんで働けない   パプリカまめ

履歴書は文字の自画像花は葉に   玉木たまね

爆風に揺れる葉桜だったもの   東沖和季(ひがしおきわき)

 

・柴田 庄司の歩み

柴田 子季語にチャレンジ‼

庄司 親と子の関係って、複雑デスヨネ…。

 

 

NHK短歌 テーマ「数字を入れて詠む」

選者:横山未来子 レギュラー:菊池銀河と横田真子 司会:ヒコロヒー

年間テーマ「三十一音、次の扉へ」

 

数字を入れると具体性が加わるので印象的な作品になる

 

歳はテレビ寄席が好き歳にちょいとおまいさんなどと呼びかけ

駒田晶子「光のひび」

数字を入れることでリアリティのある歌になっている

 

八月二十九日のあせりそのままのかたちで雲がふくらんでゐる

荻原裕幸「永遠よりも少し短い日常」

数字によって多くの人が共有して持っている

イメージを取り入れることができる

 

空占めて幾千の実を揚げたし樹下(じゅか)のひとりとねむりのために

横山未来子「樹下のひとりの眠りのために」

樹下:大切な人 幾千はたくさんの数を

イメージさせる象徴的な言葉として使った

それぞれの数字が持っている意味やイメージを意識して使ってみる

そのイメージによって短い言葉の中にも表現できるものが広がる

 

・入選六首 テーマ「数字を入れて詠む」

一席 観覧車ふたりで乗った十五番ちいさくなって月に近づく

村山雅俊

一日を咲いて萎(しお)れて朝顔のようにわが子は夜を眠りたり

小松百合華

電話切る君が生み出す四秒の優しい沈黙耳すませ聴く

坂田萌

産声も白かったろう父生()れし百年前の大寒の夜

渡部美智子

おしゃべりな兄さんにしては短めの八分二秒の最後の通話

笠原明子

アイラインまっすぐ作りこんでゆくただ一本のあなたへの道

玖嶋(くしま)さくら

 

・菊池銀河と横田真子の歌人への道

地球には82億もの人がいるはずなのに孤独になるよ

菊池銀河 添削

地球には82億もの人がいるはずなのに空を見上げる

 

何歳か尋ねてみるとピースサイン年齢不詳の無口な3

横田真子

何歳?とたずねてみればピースサイン作る無口なきみは3

 

・名歌鑑賞 歌人への道

一本の蠟(ろう)燃やしつつ妻も吾も暗き泉を聴くごとくゐる

宮柊二「小珠」

 

・いちご摘み

映画化はしないさせない十二時のお前と肉まん食った十字路

久永草太

の窓に寄りてしばらく聞く雨に月砕かるる音の混じれり

船田愛子(好きな歌人 薮内亮輔)

71回角川短歌賞受賞

雪には雪の時間のありて山茶花の葉に積もりゆきやがてこぼるる

連作「雪の影」より

 

曖昧な感情であったり考えを短歌にすることで

さらに深めて捉えることができる

現実と非現実が混ざり合う瞬間が好きなのでこの歌を詠みました

私は夜は自分自身と向き合うような静かな時間だと感じています

積んだのは「夜」静かな一人の時間

2026年5月3日日曜日

あの本、読みました? 「旅と本」夏川草介

春が美波に伊勢海老魚解禁に

哀しみと心細さと春の雲

風光る知れば知るほど所ジョージ

木漏れ日よカタクリの花シャルウイDance

亀鳴くや自分の機嫌ご自分で

 

■あの本、読みました?

おすすめ旅の本~旅行先決める&旅に持っていく本どう選ぶ?

今宵のテーマ「旅と本」旅のプロと旅本談義

夏川草介 伊藤伸平 野添ちかこ 鈴木保奈美 山本倖千恵

 

本を読むことは人生の選択肢を増やすことかもしれない。

 

旅の書店めぐり

   エッセイ・紀行

「河童が覗いたヨーロッパ」妹尾河童著/新潮文庫

グラフィックデザイナー・舞台美術家の妹尾河童が書いた機構エッセイ

1年間で歩いた22か国の様子をイラストを交えて紹介

「深夜特急1-香港・マカオ」沢木耕太郎著/新潮文庫

インドのデリーからイギリスのロンドンまでを

乗り合いバスで旅する紀行文学作品

「あの日、僕は旅に出た」蔵前仁一著/幻冬舎文庫

旅行作家・蔵前仁一の旅先での❝何気ない瞬間❞や

❝人との出会い❞を綴ったエッセイ

蔵前仁一:旅雑誌「旅行人」の創刊者・編集長

❝バックパッカー系❞旅文化を日本に広めた人物の一人

「京都てくてくちょっと大人のはんなり散歩」伊藤まさこ著/文藝春秋

鈴木保奈美が京都に持っていく旅の本

鈴木保奈美が憧れる京都着物散歩

鴨川から八坂神社まで、四条通をはさんで南北に広がる

この界隈には、お茶屋さんや料亭、バーなどが立ち並び

南座や甲部歌舞練場もあるとあって、着物姿で歩く人も珍しくありません。

ときおり、お稽古が良いの舞妓さんに遭遇することだってあるのです。

今日は私も祇園の街を着物で散歩。骨董屋さんに町屋の古書店、

甘味処に中華料理屋さん、四条通の美術館…

京都に通いはじめて間もない頃は、祇園のあまりの人の多さに

戸惑っていましたが、何度か通ううちに、好きな店や馴染みの店が

少しずつふえてきました。

着物で歩くとふだんより歩くペースがのんびりだからか、今まで

気がつかなかった小径を発見したり、ちょっとひと休みの

なごみ場所を見つけたりといいことずくめなんですよ。

 

   テーマ深掘りの旅本

「地球の歩き方」1テーマ特化型のシリーズ

 

   ガイドブック

旅行先に迷ってしまう 旅行先選びのヒント 伊藤伸平

「巻頭特集」

 

旅のプロがオススメする旅へ行く前に読んでほしい一冊

野添ちかこ選

復刻版「温泉めぐり」田山花袋著/博文館新社

(明治から大正にかけて活躍した自然主義文学を代表する作家)

小説家で大の温泉好きでもあった田山花袋が全国の温泉地を旅行

そんな大正時代の旅先での風景や人情を丁寧に描いた紀行文

大正時代の旅がすごくよくわかる本

白骨にしろ、中房にしろ、十五六年前までは、全く山中の無名の

温泉場であつたのであるが、日本アルプスの人口に膾炙(くわいしゃ)

されるにつれて、登山者がそこをその往復の足溜りにするがために

次第に世間にあらはれて、今では夏になると、白骨だけでも、数百人の

浴客が集まって來るといふやうな盛況も呈した。

夏行った人は帰つて來て私に話した。

「えらい騒ぎですよ。一間に五六人は一緒にいるんですからね。

あれでは新山の温泉場と言ふ氣がしなくなつて了(しま)ひますね」

 

「湯治(とうち)」温泉地に長期間滞在して身心を整える療養法

 

一緒に旅してる感じがする

 

復刻版「温泉めぐり」田山花袋著/博文館新社

しかし、今とて、草津は決して衰えた温泉場ではない。浴舎も三層二層

相連なるといふ風で、設備はかうした遠い山の巾とは思はれないほど

すぐれてゐる。それに、湯が烈(はげ)しくつて好い。道後や、有馬や、

城の崎のやうなあんな衰へた温泉ではない。

また、伊香保、鹽(しお)原、箱根のやうな女性的な温泉ではない。

飽まで男性的である。熱湯が町の中を流れてゐる。

新しい手拭いを一週間も使ふと、色が変つてボロボロになつて了(しま)ふ。

金でさへ眞黒になる。ちよつと行つただけでは餘り烈しすぎるので、

氣味がわるくなる位である。

 

明治の文豪たちの旅を綴る 聖地巡礼したくなる一冊

「五足の靴」五人づれ著/岩波文庫

明治40(1907)の盛夏。

東京新詩社の雑誌「明星」に集う若き詩人達、北原白秋、

平野萬里、太田正雄(木下杢太郎)、吉井勇がいさんで旅に出た。

与謝野寛との五人づれは長崎、平戸、島原、天草と南蛮文化を

探訪し、阿蘇に登り柳川に遊ぶ。交代で匿名執筆した紀行文は

新聞連載され、日本耽美派文学の出発点となった。

 

「五足の靴」の一文 五人づれ著/岩波文庫

五足の靴が五個の人間を運んで東京を出た。

五個の人間は皆ふわひわとして落ち着かぬ仲間だ。

彼らは面の皮も厚くない、大胆でもない。

しかも彼らをして少く重味あり

大量あるが如くに見せしむるものは、

その厚皮な、形の大きい五足の靴の御蔭だ。

 

石山離宮 五足のくつ

下田温泉(熊本)にある全室離れの露天風呂付き温泉旅館

天草の隠れキリシタン文化や中世天草をテーマにした宿

 

昔の旅文化が楽しめる本

江戸時代の旅文化を書いた本

「江戸の旅文化」神崎宜武著/岩波新書

民俗学者・神崎宜武が江戸時代の旅行記、浮世絵などから

庶民の旅文化を深く掘り下げた一冊

 

旅へ行く前に読むべきミステリー小説 伊藤伸平

世界的ベストセラー作家 ダン・ブラウン

ラングドン・シリーズ オススメの理由

聖地巡りをしてみたいそういう気分にさせる一冊

トラベルライター 伊藤伸平さんがオススメ

ベストセラー作家が綴るたびのエッセー

 

「ラオスにいったい何があるというんですか?紀行文集」の一文

村上春樹著/文春文庫

風景には匂いがあり、音があり、肌触りがある。

そこには特別な光があり、特別な風が吹いている。

何かを口にする誰かの声が耳に残っている。

そのときの心の震えが思い出せる。それがただの写真とは違うところだ。

それらの風景はそこにしかなかったものとして、僕の中に立体として

今も残っているし、これから先もけっこう鮮やかに残り続けるだろう。

 

「0メートルの旅」岡田悠著/ダイヤモンド社

旅の舞台は、16の国と地域 地の果て南極から始まり、

だんだんその距離は近づいて、最後は「自分の部屋の中」で完結

「遠くに行く」だけが旅ではない

Webで旅行記を書いていた会社員ライターが綴る旅のエッセイ

 

「0メートルの旅」の一文 岡田悠著/ダイヤモンド社

悩んだ末に、GooglMapsのストリートビューとエアロバイクを

連動すればいいのでは、というアイデアに思い至った。

GoogleMapsならば自分の行きたい場所に移動できるし、

色んな景色を楽しめる。

(中略)

目的地が決められないならと、いっそ大きな目標を立てることにした。

日本縦断だ。エアロバイクを使って、部屋の中から日本を巡る旅。

北海道から鹿児島を目指して、何日もかけてバイクを漕ぎ続けるのだ。

(中略)

遠くへ行く旅と、行かない旅は何が違うのだろう。

自宅から0メートルの旅は、果たして本当に旅と呼べるのだろうか。

僕をいつだって救ってくれた、旅。旅とは何か。

その答えを知りたくて、ペダルを踏む足を止めなかった。

(中略)

どこへ行こうとも、予定も目的も固定概念もすべて吹っ飛ばして、

いま目の前にある0メートルを愛すること。それが旅の正体ではないか。

 

旅のプロがオススメする旅の本

鈴木保奈美さんが気になる一冊

「おもしろ雑学 世界地図のすごい読み方」ライフサイエンス著/三笠書房

2026年5月2日土曜日

100分de名著 ウィトゲンシュタイン③

個性持ち黄花片栗すまし顔

停戦や爆音響く春の空

春疾風(はやて)ブルーベリーの負け戦

御衣黄(ぎょいこう)や今年の花となりにけり

通り抜け伯母に連れられ愛でた春

 

100de名著 ウィトゲンシュタイン❝探求❞③生成AIは言葉を理解しているのか

古田徹也 伊集院光 阿部みちこ

 

「倫理哲学論考」「哲学探究」

言葉の意味とはその使われ方である

 

痛みを感じたことが一度もない人に、

「痛み」という言葉は理解できるのだろうか。

 

「言葉の使われ方がわかれば 言葉の意味を理解したことになるのか」

「言葉の意味とはその使われ方という着想を発展させたのだ」

今の自然言語処理系のAI

 

「哲学的文法」

意味とは本当に、言葉の使われ方ということに尽きるのだろうか。

「素晴らしい」という言葉について、人々がこれをどのように、

そしてどんなときに使用するかを知りさえすれば、

私はこの言葉を理解したことになるのか

それだけでもう、自分でこの言葉を使うことができるのか。

つまり、いわば確信をもって使用することができるのだろうか。

使い方は知っているが、理解せずにそれをなぞっている、

ということはありえないだろうか。

理解というものが成立するのに、何か別のことにおいてではないか。

すなわち、「自分の胸の内に」感じること、当該の表現を

体験することにおいてではないだろうか。

 

有人火星探査の計画が発表された。

それはスバラシイ!と返してくるかもしれない。

 

言葉の意味を深く理解するには⇨生活することの中で体験する

言葉の真の理解とはー

間接接地 統計的パターン 確率の高い言葉を選ぶ

人間とAIの言葉の使い方の違いは?

我々は間接接地と直接接地の両輪で学習している

慣習 身体知(自転車を漕ぐ 社交ダンス) 生活知

毒蝮三太夫の毒舌を理解するのはかなりの時間を必要とする 伊集院

言葉をうまく使いこなすことができれば 言葉を理解したと言えるのか?

まさにこれが哲学だ!と言える。 古田

アスペクトの閃(ひらめ)き 表情 そうぼう

 

「哲学探究」

我々は文の理解について、二通りの意味で語る。

ひとつは、その文が同じことを言う

別の分に置き換えられうる、という意味である。

そしてもうひとつは、その文がどんな別な文にも

置き換えられない、という意味である。

前者の場合、文が表している内容とは、

様々な文に共通するものである。

後者の場合にはそれは、そのように並んだ言葉だけが

その配置において表現している何かである。(詩の理解。)

 

駄洒落 ジョーク 皮肉 ❝かわいがり❞

 

短歌で❝アスペクトの閃き❞体験

冬という漢字は淡い水色のマフラーを巻くきみに似ている

(若山牧水青春短歌大賞 第二十四回青春短歌大賞)

教室の横にかけられるチャックが少し開いているリュック

(若山牧水青春短歌大賞 第二十一回優秀賞)

茹ですぎたそうめんみたいな居眠り数字が飛び交う教室でる

(若山牧水青春短歌大賞 第十七回優秀賞)

 

驚いたり新しい見え方に感動するのは人間がする

 

王の戴冠式は壮麗さと威厳の像である。

式の流れのなかの一分間を元の文脈から切り離してみよう。

即位のマントを纏った王の頭に、王冠が載せられる場面だけを切り離すのだ。

―さて、別の環境においては、金は最も安価な金属であり、

その輝きは卑俗なものと見なされているとしよう。

マントの織物も安く製造できるし、

王冠はまともな帽子のパロディーにすぎない、等々。

 

「泉」(1917)マルセル・デュシャン

 

ぶれ・揺らぎ 言葉には含まれる 言葉の特徴

 

ひとつの視点・基準から離れて新しい別の見方を見出す