2026年2月2日月曜日

兼題「猫の恋」&テーマ「手」

冬の水形失ひ揺らぎをり

夾纈(きょうけち)技法蘇る鳥ならひ

蒼き空交喙鳥(いすか)真冬に子育てす

松のタネくちばし違え啄ばまん

青森の松ぼっくりを食む交喙鳥

 

NHK俳句 兼題「猫の恋」

選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣

年間テーマ「俳句のコリをほぐします」

 

・今週のテーマ「描写」

どうしたら物事をうまく描けるか 俳句の肝

 

   蘭鋳の爆発寸前のかたち   奥坂まや

蘭鋳:夏の季語 少し破調 中七から下五へ句またがり

ツボポイント

物事をうまく描くには4つのステップがある

1      物事をよく見る 俳句で「見る」というのは五感全て

2      ハッとする本質を見つける

3      諦めない

4      ハッとした瞬間を詠む

 

夏の夜遅く、暑中見舞いを書いている

A 夜遅く暑中見舞いを描きにけり

暑中見舞い 夏の季語

B 仕事終へ子どもに暑中見舞い書く

「子どもに」という相手が出てきます 

「仕事終え」という状況も加えられている 

しかし状況の報告の息を超えられていない

C 子へ宛てて暑中見舞いを急ぎ書く

「急ぎ」作者の状況に目を向け動きを加えている まだ状況説明のまま

D ひさびさに子へ手紙書く夜の秋

具体的な言葉を外し 「夜の秋」夏の季語に変えた 

「ひさびざに」距離感が出ている

E 子へ宛てて長き手紙や夜の秋

「久々」より「長い」手紙の方が多く語れるじゃないか

長い手紙は間隔が空いている事と手紙の長さ両方描ける

F 頼もしき子へものを書く夜の秋

子を「頼もしき子」へ ある程度大きいし離れて暮らしている事もわかる

G子へものを書けば寂しく夜の秋

「自分」を描写 距離感も感じられる 

H 子へものをあと幾度書く夜の秋

発見が入る 

 

   子へものを書けば遺書めく夜の秋   西村和子

AHがほぼ含まれている ポイントはよく見る

「子どもにものを書いていること」をさらに見続ける

描写しながら想像していかないと 疑問が答えになって出てきそう 柴田

フォーカスする所を変えている 所がポイント 庄司

ツボポイント

物事をハッとするまで諦めずによく見る

 

・実践 うさぎを描写した句を詠もう!

寝ていても耳は起きてるうさぎかな   柴田英嗣

添削 寝ていても耳起きてるうさぎかな

 

一噛みの静かな怒りうさぎかな   庄司浩平

「怒り」と「かな」の余情がけんかしてしまう か行の韻を踏む

添削 一噛みの静かな怒りうさぎなる

   一噛みの静かな怒り飼兎(かいうさぎ)

 

見てゐないやうで見てゐる兎の目   飯島晴子

 

まとめ 俳句とはものも心もよく見ること

 

・今週の兼題「猫の恋」特選六句発表 (猫盛る 猫の契)

宇宙探査船の帰還猫の恋   小林さおきち

(二物衝撃 闇の奥に目標がある)

私 ついてくるな私は恋猫ではない   丹下京子

夜半の叫び恋の猫ならよいのだが   Junimond

ファシズムの吹き荒れる街猫の恋   小島ただし

カタカナデ書カレタ詩歌猫ノ恋   加藤幸龍

トルソーの並ぶ倉庫や猫の恋   須藤縦横(たてよこ)

 

・柴田・庄司の歩み

見て見て見てとにかく見てまいります   柴田

観察だ!よく見よう うさぎも見ている。たぶん。

 

NHK短歌 テーマ「手」

選者:横山未来子 生徒:菊池銀河と横田真子 司会:ヒコロヒー

年間テーマ「三十一音で扉が開く」

 

・表記を工夫しよう

口癖がかすかに聴こゆぬくたいわ亡き叔父の白きダウンを着れば

菊池銀河

「」も表記の工夫の一つ

短歌は五七五七七の五句からできているが一行につなげて書くのが基本

 

電話口でおっ、て言って前みたいにおっ、て言って言って言ってよ

東直子「青卵」

読点を効果的に使った歌 読点、句読点はOK

句読点

間を置いたり息継ぎのようなニュアンスを表す際に使う

 

空間にこゑの影あり そのこゑを浴びしわれらに震へとどめて

横山未来子「とく来りませ」

空白

リズムの上で少し間を置きたいときや場面を展開する時に使う

 

ソウデシ‘ュ’と言つてしまつて(気づかれた?)生徒の顔がいくつか上がる

大松達知「ゆりかごのうた」

記号や空白はそれぞれ効果が違うものなので

自分の短歌にあうものを選んで使うと表現の幅が広がる

 

・入選六首 テーマ「手」

やけどして手を流水で冷やす時 わたし自分が大事なんだな

佐藤てお

一席 私 僕たちの手は星だから近そうで余りに果てしない距離がある

ナカムラロボ

 手()折られた花の水にはザラメ糖ひとりよがりの優しさもある

玖嶋(くしま)さくら

通りから玄関までの二三段お隣さんも手摺がついた

竹村哲男

手術終()へぐにやぐにやのからだ支へられああ生きてゐる春の日の中

林路子

司書の手が棚を辿れば本の背は連なりやわらかな波になる

常田瑛子

 

・「手」をテーマに詠む!

躊躇せず手を握り合えた幼少期いつから君に触れたくなったか?

菊池銀河 添削

ためらわず手を握り合えた幼少期いつから君に触れたくなったか?

横山未来子先生 銀河さんの短歌は発想が自由

歌人の道 レベルアップ

言葉を詰め込みすぎるので初めて読む人にもわかりやすい作品にしよう!

 

雨の窓揺られて指で描いたあとにこちゃんなのに泣いて見えたの

横田真子 添削

揺られつつ指で描いたにこちゃんは泣いて見えたの雨の車窓に

真子さんの短歌

身近な素材から感動を素直に表している!

歌人の道 レベルアップ

助詞の使い方や言葉の流れを意識してみよう!

 

・ことばのバトン

あなたが見たのと同じ月を見る

細川はな(子規庵宇宙の会)

やる気ゼロ家でゴロゴロ本でも読むか

柳下恭平(書店主)

月見たら本でも読むかなあって思った後の一句…。

 

本はリハーサル 本を読めば疑似体験ができる

エンターテインメントだけじゃなくて実用的なことも全部できる

2026年2月1日日曜日

知恵泉 織田有楽斎

寒波来る十郎兵衛こそ写楽です

しばれるやMTC(エゴマオイルも)過熱不可

冬深しベスト尽くして諦めず

(鳥インフルエンザ)しづり雪哺乳類をも感染(うつり)をり

(鳥インフルエンザ)冬ざるる絶滅危惧種へ迫る危機

 

■先人たちの底力知恵泉 

信長の弟織田有楽斎(うらくさい) 逃げるが❝価値❞そして静寂の境地へ

有名な茶人 茶の湯のスキルがあってのこそ

戦国三英傑に仕えた

千利休も認める茶の名手だった 血筋と茶の湯で戦国を泳ぎ切った

 

ゲスト 今村翔吾(時代小説家) 

2022年「塞王の楯」第166回直木賞受賞

元ダンスインストラクター 

 

天野忠幸(天理大学教授)

有楽斎は❝権力者じゃない織田信長❞

 

有楽斎は字が上手かった 文化人としては超有名人 

目立った活躍はほぼない 今村

 

信長とは13歳離れた弟 家臣も領地も持っていない

信長からも期待されいなかった存在 天野

 

信忠が討死していなければ秀吉の代わりに信忠が明智光秀を

討った可能性もありますから そうなりますと次の豊臣政権

さらには徳川政権というのは考えられません やっぱり

信忠としてはお父さんが危ないというねこのまま自分が逃げると

後世に何を言われるか分からない 武将としてのプライドというか

矜持があったのであえて危ないところに身を置くという

選択をしたのでしょう

小和田哲男

 

本能寺の変から無事生きて帰った織田メンバー

 

織田有楽斎

天分16(1547) 信長より13歳年下

 

有楽斎の場合は確かな資料の「信長公記」です 太田牛一の書いた

天正91581年までは表に出てこない 信長の弟なんだけれど

存在なき存在 信長を父親代わりみたいな感じで見ています

完全に信長に育てられたって感じです 

小和田哲男

 

信忠の後見役となる

大阪本願寺合戦 武田勝頼との戦い ともに出陣

天正9年京都御馬揃え では6番目の序列

本能寺の変で一変 

本能寺より2㎞離れた妙覚寺に信忠と有楽斎は一緒待っていた

 

知恵その一 負け戦は戦うな 別の道が必ずある!

信忠は切腹 有楽斎は一人逃げる道を選択

 

当時武将たちの間でよく言われていた言葉は

「戦にて負け候らえば自害に及ぶこと侍の本用に候」 

つまり負けたならば潔く腹を切るというのが当時の武士道というか

武士の考え方で信忠も覚悟を決めたと思いますが明智軍の方で

有楽斎の方はあまりよく顔を知らなくて雑兵に紛れて一緒に

逃げちゃったので逃げ延びることができた お兄さんの信長が

それに近いことをやっている 例の「金ヶ崎の退き口」ということで

ボロボロの体になって京都に逃げ戻って生きています そういったのを

見ている有楽斎ですから死ぬのが美徳ではないとみっともない

生き方をしても生き延びることが次につながるという思いを持って

生きた武将だと私は見ています

小和田哲男

 

このことで「逃げの有楽」というニックネームをつけられた

有楽斎は命を優先 

 

小牧・長久手の戦い 羽柴秀吉が織田信雄を支える振りをしながら

天下をかすめ取ろうとしたことを知った信雄はと徳川家康を仲間に

引き入れ戦う決意をした 

天正12(1584)有楽斎は共に戦うことになったのですが 

「これは負け戦じゃ生き残る道を探さなければ」と、

秀吉に早くに和平を打診していたとか繰り返し和平工作を行った 

信雄・家康軍は善戦するが戦をやめるようアドバイス!

「死んでしまっては何も残りませんぞ」と

子どもを人質に出す この選択が正しかったことは歴史が認めています

秀吉 1598年没 有楽斎 1622年没 信雄 1630年没

 

最大にして最後の和平工作 大阪の陣

家康方 32000石 関ヶ原の戦いで手柄を立てていた

 

大阪城にいる淀殿は自分の姪ですから自分の身内の一人として何とか守りたい

家康との関係を順調に持っていこうとする思いはあった 

小和田哲男

 

慶長19(1614) 大阪冬の陣 勃発

豊臣方に不利な条件で講和 これ以降政治の世界に顔を出すことはなかった

 

織田源五(有楽斎)は人ではないよ □残後党

信長に似てたと言えば似てた 今村

 

自分ひとりの決断で動きまわることができる 天野

逃げる途中で殺されると最悪 天野

 

自分ができる最善策が❝逃げる❞だった 今村

 

慶長20(1615)

有楽斎は茶の湯に没頭 茶釜・茶杓

豊臣秀吉 徳川家康とも茶を通して交流

豊臣秀頼(秀吉の後継者) 徳川秀忠(家康の後継者)など 

若い世代のリーダーとも語り合うこともあった

強力な人脈があればこそ「交渉役」に当たれた

 

引退後は茶にどっぷりつかった老後を過ごした

建仁寺塔頭(たっちゅう) 正伝永現院

人生最後の4年間を過ごした寺

有楽斎 晩年の境地とは 

正伝永現院住職 茶道有楽流正伝会 家元 真神啓仁

「鳴かぬなら生きよそのままホトトギス」

もっと本来人間自由であるべきや というのが僕の有楽斎のイメージ

相手に何も極力求めないような「あなたはそのままでいいんですよ」

というイメージを持って その句をみんなで考えてつけてみました

 

知恵その二 「鳴かぬなら生きよそのままホトトギス」

あなたはそのままでいいんですよ

 

茶室 如庵(復元)

客の緊張をほぐし 心を落ち着かせる 

二畳半台目の空間 「二畳半 一畳半は 客を苦しめるに似たり」有楽斎

鱗板(一層の余裕を空間に持たせている)

窓が多い 隙間を開けて竹を打ち付けた窓は有楽窓と呼ばれている

程よい明るさと風が通るよう設計されています 

古い暦を補強のために土壁に張った 独特の侘び感を与えています

❝それ茶の湯は客をもてなす道理を本意(ほい)とする也❞有楽斎

「有楽流」として受け継がれた

毎年 法要が営まれている

20251113日 執り行われました

 

有楽斎子孫・医師 織田正道氏

1113日だけはやっぱりそこに タイムスリップするような感じ

ここにくると有楽とのつながりだったりこの静けさだったり

そういうものを感じる面はあります 決して僕は茶道をやっている

わけではなくて何でもないんですけど (有楽斎は)権力とか力では

得られない真の豊かさを茶の湯に見出したのではないかなと思います

 

元和7(1622)織田有楽斎 逝去

75歳でこの世を去りました

 

400年を過ぎた今も受け継がれています

 

拡大の先にも宇宙はある お茶の世界に寄り切ったところの宇宙

信長が外に膨張していくエネルギーだとすれば

有楽斎の場合は内側に内側に… それが茶だったのかな それが情熱であり

好きである心だったのかな… 似た者同士 向かうエネルギーの先が違うだけ

やはり織田なのではないか やはり織田の同じ血が流れている

テーマとは有楽斎が面白いと思ったものを選んだり 

彼の楽しみで作ったものが多い

今村

織田有楽斎の竹茶杓 銘 落葉

有楽茶所銘釜

 

世俗の色々なしがらみから解き放たれる空間があの茶室の中

 

村田珠光(14231502)「わび茶」の創始者とされる人物

利休より先輩の頃から

マウント取るのはダサいと言われるようになった

なので言えなくなった

みんな平等という立場でお茶を嗜む 今村

 

この時代の「自由」に当てはまる言葉は現代にはない

有楽斎は生き方で❝自由❞を体現した

有楽斎は織田ブランドを頼っていない

地震で織田ブランドを作ってしまった 今村

 

自分が生きていける術をどういう風に見出すか 天野

多様性の象徴ではなかったのか 司会者

2026年1月31日土曜日

統一王座決定トーナメント

共生から秩序へ転換冬菜

小春めく生活保護を見直さん

堂々と悪意のデマを冬の潮

高校生と笑顔でTalk冬日向

高市(総理)が中道やねん冬の月

 

■プレバト纏め 2026129

俳句グランドチャンピオントーナメント

 

統一王座決定トーナメント

1回戦 お題「雪の東京駅」

第一試合

💮義士の日の暮れて駅舎の赤煉瓦   梅沢富美男

義士の日:冬の季語 

江戸時代赤穂浪士が吉良上之介を討ち取った 

旧暦1214(現在の暦で130)

東京駅は明治41年着工完成は大正3年に建った 江戸城に向かってる

対比も素晴らしい 義士の日は江戸時代 赤煉瓦は明治時代 時代が解らない

 

雪の駅君の幸せ願わない   犬山紙子

勝敗の分かれ目は雪の見せ方 雪の表現が対照的 雪の表現に奥行きを狙っている

 

第二試合

💮風花呼び込みお召列車発車   中田喜子

お召列車:天皇皇后両陛下、上皇、上皇后、太皇太后、皇太后だけが乗る特別な列車

季語:風花 冬晴れの日に風に吹かれて舞い降る雪

稀なる吉兆を詠んでいる 緊張感臨場感を表現

風花呼び込みお召列車発    ゆったり感を表現するための添削

 

風花のナンジャモンジャこだま貸切   森迫永依

ナンジャモンジャ:ゲームの名前を詠んだが 夏の季語にもある 

ナンジャモンジャの訳の解らなさが良かった 高野

 

第三試合

八重洲口襟巻残る郷里の香   千原ジュニア 

襟巻:冬の季語

襟巻残る郷の香八重洲口 高野ムツオ先生添削

高野ムツオ先生は俳句界の重鎮 現代俳句協会の会長

助詞の使い方が明暗を分けた

 

💮カメリハやみゆき通りは冬夕焼   横尾渉  

カメリハ:カメラの確認で行うリハーサル

みゆき通り:東京駅から皇居を結ぶ並木道 

天皇陛下が外出や地方ご訪問の際に使用される道路

「は」今まさに強調する働きがあった

 

第四試合

💮切符切る鉄の音一つ夜半の雪   的場浩司 

鉄の音が夜の雪を誘ったという発想が良い

「音」をねと読むことを許容できるか 音()と読む場合 楽器・蒸し・鳥・鐘

切符切る鉄の音夜半の雪 

音と読ませるならの添削 夏井 寸鉄とは小さな刃物の事 硬質な音の響きが出る

 

中吊りは春色待春は駅舎   蓮見翔

コマーシャリズムに毒されて広告に踊らされている

中吊りの春色を見て春がそこまで来てる 狙ってやってる句

 

 

準決勝 お題「ラスト一個の餃子」

第一試合

待春や次の餃子を焼く準備   梅沢富美男

季語:待春

 

💮立冬や餃子のひだをひとつ足し   中田喜子

ひだとひとつで韻を踏んでいる

 

第二試合

💮粉雪の古書街餃子に酢と胡椒   横尾渉

古書街粉雪餃子に酢と胡椒 添削 高野ムツオ先生

 

凍玻璃(いてはり)や餃子の硬き耳齧(かじ)る   的場浩司

冬の季語:凍玻璃 強烈な換気でガラスが凍っている様子

酢と胡椒は流行的な印象と古書を扱う神保町の昔ながらの感じ対比が効いている

切ない食生活を書く時はいい句 実体験が生む貴方の句の価値

 

準決勝用の句が秀逸

餃子全部食う結婚する小春   犬山紙子

寒鴉(からす)餃子冷めゆく納税期   

季語:寒鴉 寒さが最も厳しい時期に見る鴉   森迫永依

季語が動くと見る人がいるかもしれないが 納税期と取り合わせたのは面白い

季語と納税期の響き合い

 

決勝 お題「冬の夜空」

天狼や心の棘を消し去りて   中田喜子

天狼:おおいぬ座で一番強く光っている星

 

👑六人の本音奄美の冬銀河   横尾渉

何回も「六人の本音」を使っている いい加減卒業しませんか❓中田

 

心情と体験の対決だった 数詞のリアリティー 

心に留めて一生忘れないのではないか ということが句から伝わる

2026年1月30日金曜日

あの本、読みました?三宅香帆&小川哲

嬉しい癖にしょうがないなあ春を待つ

ストローにあいつがついた春近し

冬の雲浮かび上がった吾のこころ

大寒や水の流れに言の葉を

たおやかに生きていきたし寒日和

 

■あの本、読みました?

三宅香帆&小川哲・人気作家が書いた今売れている【新書特集】

三宅香帆 小川哲 鈴木保奈美 山本倖千恵 林祐輔P

 

新書の良さは?ジャンル分けされない

 

「文体の秘密 なぜあの人の文章はつい読んでしまうのか?」

三宅香帆著/サンクチュアリ出版

文体を見るのが好き

村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」より

同じ言葉は使わないのが普通だが、村上春樹は

あえて同じ言葉を繰り返し使いリズズム感を出している 林

さ~っと考える中に美的なセンスが宿っている 小川

村上春樹のすごさ「文体」音のリズムが揃えてある 五音九音

小川哲の文体は?小川哲の考える「文体」

 

「言語化するための小説思考」の一文 小川哲著/講談社

人間は、物事に因果関係を作って理解するようにできている。

それはたぶん、そうした方が生存に有利だったからだ。

一度腹を壊した食べ物は二度と手をつけなかったり、

何度か獲物と遭遇した場所は良好な狩場だと認識したり。

多くの創作術についての本で書かれている「技術」は、

人間が物事を理解する上で無意識に行っている処理の仕方を

ハックして、物語を心地よく受けとってもらうためのものだと思う。

もちろんそれ自体は小説という娯楽を成立させるために必要だし、

僕も利用している部分もあるのだけれど、

小説の面白さはそんなところにはない。

 

「楽園の楽園」伊坂幸太郎著 帯

「人はどんなものにも物語があると思い込む。きっとあなたもその一人。」

 

「言語化するための小説思考」の一文 小川哲著/講談社

作者は一人の人間で、作者自身の価値感しか持っていないのに、

作品の価値を決めるのは他者であるーという「どうしようもなさ」が、

小説を書くこと(もしかしたら創作という営為そのもの)の難しさであり、

同時に面白さでもある。

 

小説を書く時に特定の読者をイメージ

読者の理解力を想像 前回出演時は鈴木保奈美の表情で判断!?

「伏線」は存在しない

 

「火星の女王」小川哲著/早川書房

 

100年後も資本主義は変わらない?

参考にしたのはアメリカの独立戦争

「光が遅すぎる」

 

「火星の女王」の一文 小川哲著/早川書房

残念ながら、光は遅すぎる。もちろん、この宇宙に存在する

すべてのもので徒競走をして、光に勝つものがいないことは

よく知っているけれど、そのくせに遅い。光が遅すぎるから、

カワナベは「現時点ではまだ何もわかりません」と答えるだけの

会見のために、十何分も地球からの通信を待たなければいけなかった。

光が遅すぎるから、宇宙のどこかに住む宇宙人の

存在を見つけることができない。

光が遅すぎるから、地球に住む僕たちは火星に住む人と

オンラインで会話をすることができない。

 

100年後になると400年後に戻る!?

 

「考察する若者たち」三宅香帆著/PHP新書

なぜ令和の若者は「正解」を欲しがるのか?

昭和・平成の時代はエンタメ作品が「批評」されたが、

令和のいまは解釈の”正解“を当てにいく「考察」が人気だ。

考察して“答え”を得ることで「報われたい」という思考。

考察ブーム きっかけはドラマ「あなたの番です」

 

「考察する若者たち」の一文 三宅香帆著/PHP新書

なぜ「変な家」は、ここまで売れているのか。その理由は本書が

「考察小説」だからではないか。「変な家」は書き手の雨穴が、

知人から不可解な家の間取りを手渡されたところから始まる。

じつは間取りには、謎が秘められていた…。「変な家」は、

間取りに込められた一つひとつの謎を読者に提示し、

最後に解決していく。その手法は、まるで考察ドラマかのようだ。

 

「変な家」雨穴著/飛鳥新書

謎の空間、二重窓、窓のない子供部屋―

間取りの謎をたどった先に見た、「事実」とは!?

 

「変な家」のヒットは考察小説だから…

「I」道尾秀介著/集英社

二つの章から成る物語。読む順番は自由。

あなたの選択で、結末が変わる。

「イン・ザ・メガチャーチ」朝井リョウ著/日本経済新聞出版

世代や立場の異なる3人が語り手となり、信仰心や推し活、

応援する対象への熱い思いを描いた物語

 

考察されることを作家はどう思っている?

 

「論破」「履修済み」「最適解」「最適化」

MBPI」「界隈」「転生」「ジピる」

 

「世界99」村田沙耶香著/集英社

性格のない主人公・如月空子。

「からっぽ」の彼女の一生と人間関係の終着点を描いた長編小説

 

「考察する若者たち」の一文 三宅香帆著/PHP新書

2003年、流行していた曲にこんな歌詞があった。

No.1にならなくてもいい もともと特別なOnly one

(SMAP「世界に一つだけの花」槇原敬之作詞・作曲)

ナンバーワンというヒエラルキーの世界から、オンリーワンという

フラット化した世界へ…とは「インターネット的な」

歌詞だったなあといまとなっては思う。

しかし、プラットホーム社会では、すでに「Only one」でも

なくなってきているーその感覚を描いた小説が、

2025年に刊行された村田沙耶香の「世界99(集英社)だった。

「世界99」は主人公の空子の一生を描いた物語である。

空子は、言動をつい周りの人に合わせてしまうという

特性を持った女性。

彼女は、コミュニティごとに人格を変えていく。

それは決して無理してやっていることではない。

空子はコミュニティごとにキャラを最適化していくことが

当たり前だと思っており、固有の自分らしさなんて

存在しないと思っているのだ。

 

呼応とトレース

Only oneがしんどい 「自分らしさ」から「生きづらさ」へ

最近の流行は「ノンデリ」若者の中で流行ってきている 若者用語

デリカシーがない人のことをそう呼んでいるらしい

昔のKYに近い ノンデリの方が愛せる

 

ベストセラー作家の新書の深掘り

「なぜ夫は病院へ行きたがらないのか?」三宅

考察する主人公を考察する作家が俯瞰する 小川