2025年12月29日月曜日

あの本、読みました?髙橋源一郎

冬の虹メトホルミンへ賭ける人

息白しその場限りの垂らし込み

冬の空行雲流水あるがまま

冬座敷蟹じゃなかったタラバ蟹(ヤドカリ科)

冬の月楽しいことを極めたし

 

   あの本、読みました?

村上春樹・龍も受賞した新人賞~今年文学賞をとったスゴイ作品

髙橋源一郎 ピンク地底人3号 鳥山まこと 遠田潤子 鈴木保奈美 山本倖千恵 林祐輔P

 

野間文芸新人賞

2025年文学賞総ざらいスペシャル

 

日本の文学賞は特殊  文学賞の種類

エンターテインメント 純文学

ベテラン作家の賞   ベテラン作家の賞

中堅作家の賞     中堅作家の賞

若手作家の賞     若手作家の賞

公募新人賞      公募新人賞

 

・吉川英治文学賞 講談社

過去受賞作家 松本清張 司馬遼太郎 東野圭吾 村山由佳 桐野夏生 

今年の受賞作 「方舟を燃やす」角田光代著/新潮社

 

・山本周五郎省 新潮社

過去受賞作家 吉本ばなな 吉田修一 伊坂幸太郎 早見和真 青崎有吾

今年の受賞作 「女の国会」新川帆立著/幻冬舎

 

・山田風太郎賞 KADOKAWA

過去受賞作家 貴志祐介 窪美澄 塩田武士 今村翔吾 米澤穂信

今年の受賞作 「神都の証人」大門剛明/講談社 

「ミナミの春」遠田潤子著/文藝春秋

 

出版社が違う作品が受賞

 

第十六回山田風太郎賞受賞作 

「ミナミの春」の一文 遠田潤子著/文藝春秋

「ねえ、吾郎さん。今度、外泊許可がおりたら買物に連れてってくれる?」

「買物?要る物があったら俺が買ってくるが」

「自分で選びたいねん。梅田へ連れてって」

どうせ外泊で家に帰るなら、残り少ない時間を春美と触れ合った方が

いいのではないか、と思ったが、美恵の意思は固いようだった。

外泊許可を取って、阪急百貨店に行った。

車椅子に乗った美恵が向かったのは子供服売り場、ファミリアだった。

「春美にはきちんとピアノを続けさせて。毎年、発表会やコンクールがあるから、

そのときには、このファミリアのワンピースを着せたげて。

ここのワンピースはね、流行に左右されへん。

上品なデザインやからずっと着られるねん」

美恵はワンピースを十一枚買った。一枚一枚サイズが違う。

一枚目はサイズ110。二枚目は120。三枚目は130だった。

「一年に一枚ずつ。必ず着せてあげてね。

あの子が十五歳になるまで揃えておく。

高校生になったら自分で選ばせてあげて。お願い」

美恵は最後のワンピースを手に微笑んでいた。

白い襟がついた紺色のワンピースだった。

小花模様の刺繡が入っている。吾郎は懸命に涙を堪え、何とか笑おうとした。

 

阪急百貨店のファミリア 大阪と「お笑い」

 

「ミナミの春」の一文 遠田潤子著/文藝春秋

「…ねえ、ヒデヨシ君。大昔、うちらが結婚式のネタやったん覚えてる?」

「もちろん。あれ、メチャクチャ面白くて、完成度も高くて、『はんだごて』

の目標でした。特に劇場でやったとき、あれ完璧でした。ほんま凄かった。

鳥肌立ちました」あのときの熱狂が一瞬で蘇る。

あれはみなを呑み込む圧倒的な渦で、

その中心に「カサブランカ」が君臨していた。あれはもはや芸を超えていた。

世界中の祝福を司る女神の降臨だった。

(中略)

「最高の十分間やった。でもね、終わった瞬間、呆然とした。

恐る恐るお姉ちゃんの顔を見たら、やっぱり呆然としてた。

あのときね、うちらはてっぺんと奈落を同時に味わってん」

「どういうことですか」「あのとき悟ってんよ。

…もうこれ以上のものはできへん。この先どれだけやっても、

たとえ一生漫才をやったとしても、今やった以上のものを

作りだすことはできへんのや、って」

 

極めた芸人の境地

阪神淡路大震災を描いた理由

 

2025年文学賞総ざらいスペシャル 新人部門

小説すばる新人賞 集英社

過去の受賞作家 花村萬月 村山由香 朝井リョウ 

今年の受賞作 「ギアをあげた日」平石なぎさ著/集英社

 

江戸川乱歩省 日本推理作家協会主催 賞金がめちゃ高い 5百万円

過去の受賞作家 西村京太郎 東野圭吾 桐野夏生

今年の受賞作 「殺し屋の営業術」野宮有著/講談社

 

・野間文芸新人賞 講談社の創業者 野間清治が創設 野間文化財団が主催

過去の受賞作家 村上龍 村上春樹 柳美里 中村正則 角田光代 村田沙耶香 九段理江

 

今年の受賞作 「世界99上下」村田沙耶香著 受賞

今年の受賞作 「カンザキさん」ピンク地底人3/集英社

       「時の家」鳥山まこと/講談社

 

髙橋源一郎が選考委員を務める「野間文芸新人賞」

 

「時の家」鳥山まこと/講談社

唐突な回想シーンを描いた理由

髙橋源一郎が絶賛する理由 家に記憶を託していく 記憶は物に宿る

 

「時の家」の一文 鳥山まこと著/講談社

いつの間にか空は分厚い雲で覆われ、外の光がぐっと絞られていた。

ガラスの向こうでは日向と日陰の差をなくした庭が立体感を失っている。

青年の視界の先の漆喰壁のついさっきまで白く煌めいていたはずの

表面は灰色を混ぜたように薄暗い。飾り付けも何もされていない

明度を欠いた白い壁。その余白ばかりの平面に心が吸い取られえて

ゆくようだった。真っ白の壁のように残された自分の人生の時間が

青年には時々余分に思えた。

この先に続く現実味の乏しい時間の中を自分は呆然と生きてゆくのだろうか。

給料は世間の平均よりは高く贅沢をしなければ過ごすのに困らない。

その継ぎ足しがむしろ胸の余白の質感をなくしてゆくようだった。

昔から大抵のことは器用にこなすことができ、

酷い苦労をした覚えがなかった。

でもその代わり何かで一番を取ったこともなかった。

生きてきた時間に、自分自身に、とっかかりがなかった。

 

建築士だからこそ書ける表現

 

「笑って欲しい」と思って書いた

「カンザキさん」の一文 ピンク地底人3/集英社 

モリちゃんは 自分が浮いていることに自覚的だったし、

自分の行動が周りを不愉快にさせることもよくよくわかっていた。

だから 出来るだけ自分から何かをすることを避け、とにかく

人に言われたことだけをやっていく、それが彼が長年考え

生み出した処世術だった。ただ残念なことにモリちゃんは

人に言われたことができなかったし、一度間違えたことは

何度やっても間違えた。そして間違えた時、失敗した時よく笑った。

それが周りをさらに怒らせ不快にさせていた。

「俺、何度も何笑ってんねんって怒られたり 殴られたり

しているんだけどどうしても 堪えきれないの。とにかく

笑っちゃうの。だって笑えない?俺のダメっぷり。

俺は面白いと思うなあ」

 

登場人物の作り方 初めての小説は「私小説」

髙橋源一郎が推薦した理由

 

私感

髙橋源一郎氏❣最高❣魅力全開でした。

ありがとうございました❣

2025年12月28日日曜日

偉人の年収How much?オードリー・ヘプバーン

経験に優るAI冬日没る

北吹くや血しょう輸血始めねば

冬の靄金持ちだけの抗老化

冬銀河病気の増える検査かな

冬の月ジレンマという老化かな

 

■偉人の年収How much

女優 オードリー・ヘプバーン

1929年ベルギー ブリュッセルで誕生

父 ジョセフ 母 エラ 

オードリー6歳の時 突然 父親が失踪

音楽学校でClassicBalletを始める

1939年 第二次世界大戦勃発 

母の実家 オランダへ移り住む

1940年 ドイツがオランダを占領

1945年 第二次世界大戦終結

空腹を救ってくれたのは 連合国救済復興機関アンラ(ユニセフの前身)

19歳の時 ロンドンの名門バレエ学校へ入学

プリマバレリーナになる夢を断念 170㎝近くなった身長のため

モデルの仕事 ファッションセンスを磨く 運命の出会い

フランス人作家 シドニー=ガブリエル・コレット

自著「ジジ」のミュージカル化 主人公を探していた

ブロードウェイミュージカルの主役に抜擢

22歳でミュージカル俳優デビュー

この時の出演料は週給500ドル6か月(24)12,000ドル 3,100万円

子犬のように無邪気ではつらつとした魅力があり

しかも天真爛漫さと聡明さを感じさせる女優だったと評された

1952年ローマで映画の撮影がスタート

相手役のグレゴリー・ペックは無名の新人を相手役にすることに驚いた

しかし スクリーンテストの映像で納得

ウィリアム・ワイラー監督は「カット」と言った後も

カメラを回しっぱなしにしてほしいという注文を出していた

このスクリーンテストを見たグレゴリー・ペックは

この映画の本当のスターはオードリー・ヘプバーンだ

彼女は素晴らしい女優になりますよ と絶賛

映画にとって必要なもの

「単純さと真実だけが重要だ 

内面からにじみ出てくるものでなければならない

作り物であってはならないんだ」

単純さと真実 グレゴリーからの救いの手

「真実の口」心に偽りがある人が手を入れるとかみちぎられる

このシーンは一発OKを出したウィリアム・ワイラー監督

映画史の残る名シーンとなった

初主演映画でアカデミー賞主演女優賞受賞

「演技の時代」から「存在の時代」

時代を象徴する名作を生みだしスーパースターへと駆け上がる

 

オードリーの主な出演作品&推定出演料

1953年 ローマの休日      2,500万円

1954年 麗しのサブリナ     3,000万円

1961年 ティファニーで朝食を    15億円

1964年 マイ・フェア・レディ    20億円

 

衣装は“天才デザイナー”ユベール・ド・ジバンシー“

サブリナパンツ 黒 エレガントで洗練された印象の服装

ファッションアイコンとしての美意識のカリスマ

イタリア・ローマ1971年オードリー42

結婚して夫と2人の息子と暮らす

夫はローマ大学の助教授で精神科の医師だった 9歳年下

当時治安の悪かったローマを離れ息子2人とスイスの村で暮らすことに

46歳の時 9年ぶりに映画出演 離婚

7歳年下の俳優 ロバート・ウォルダースと再婚

1987年 オードリー58歳 転機が訪れる

世界中の子どもの命と健康を守る 国連機関ユニセフ から

思いがけないオファーが!ユニセフ親善大使の要請

ソマリア視察から2か月後 体調を崩し ロサンゼルスの病院に入院

末期の結腸癌 余命幾ばくもないと知った彼女は

「最期はスイスの自宅で過ごしたい」

19921224日 家族に囲まれたオードリー 

クリスマスプレゼントを手渡す 人生で最期のクリスマス

4週間後 オードリー・ヘプバーン 1993年 没 63

 

ユニセフ親善大使として各国を視察していた60歳の年収は

最後の映画「オールウェイズ」に出演 監督スティーブン・スピルバーグ

13,800138

ユニセフ親善大使の年間報酬 1ドル138(1989年為替レート)

映画「オールウェイズ」の推定出演料 100万ドル13,800万円

映画の出演料はユニセフに全額寄付

 

2025年12月27日土曜日

100分de名著「死ぬ瞬間」③

ごきぶり(蜚蠊)は虫に非ず廉き虫なり

鮟鱇や生々しさとグロテスク

(寛永寺)冬を龍素材生かして後世へ

(根本中堂)未来への不安と期待冬の板

天井絵見つむ手塚へ冬の風

 

100de名著 キューブラー・ロス「死ぬ瞬間」③死を受け入れる?

エリザベス・キューブラー・ロス(1926-2004)

島薗進 伊集院光 阿部みちこ 

 

死の受容過程の5段階

   否認 ②怒り ③取り引き ④抑鬱 ⑤受容

 

3段階「取り引き」

「避けられない結果」を先に延ばすべく 

何とか交渉しようとする段階に入っていく。(中略)

取り引きとは何とか命を長らえようとすることである

それは「よい行い」をすることへのご褒美を兼ねていて、(中略)

「もしそのための延命がかなったならそれ以上は望まない」という

暗黙の約束をすることになる。

鈴木晶・訳

 

医学的に大事なことをしっかりやる 

それによって自分の一番大事なことをし続けたい

「こういうことはできるんじゃないか」ということを試してみる

生き方を変えていく なんとか生き続ける望みのほうに賭けてみる

願掛けに近いかもしれない

 

こういう交換条件をしたら これはうまくいくんじゃないか

かなりステップは変わっている 

 

生きる望みを捨てきれないでいる段階 人の心の揺れ動き

迷いながら自分らしい生き方をしたい

 

死が近いという現実を認めた しかし認めきれない だから揺れている

 

治療のアプローチも受け入れて貰いやすくなる唯一の時期

 

4段階「抑鬱」

抑鬱を招く原因は2つに分類できる

反応的な抑鬱 

無気力さや冷静さ、苦悩や怒りは、すぐに大きな喪失感に取って代わられる。

その喪失感にはいろいろある。乳がんを患った患者は女らしい体つきを

失うことに抵抗を感じるだろうし、子宮がんの患者は自分がもはや

女ではないと感ずるかもしれない。(中略)

だがこんなことはまだ序の口で、患者はもっと多くのものを

失うことに耐えなくてはならない。

患者:(中略)だれかこの状況を助けてもらいたいのですが。

私たち家族はその日のことしか考えられません。

毎日毎日なんとか生き延びているようなものです。

   でも、先のことを考えたら途方にくれてしまうのは

当然でしょう?何と言っても私がこんな病気なんですからね。

 

抑鬱1 

反応的な抑鬱 この世で生きている中で生じる胸のつかえ

この世で解決できない問題がある 色々なものを喪失していくが

そのことに胸が塞がれて元気がなくなる 経済的な問題や

家庭に関する心配は反応的な抑鬱を生じやすい

直接的にその課題を解消する仕組み

病院で死ぬようになってそういう環境から離れてしまう

それをどう変えていくか という問題意識がある

より多元的な多職種連携 自分も専門家的ではないアプローチを

していたので 専門家のケアでは足りない所を

自覚的に取り組むことを提案している 

反応的な抑鬱の中には精神的な解決が必要なものもある

患者:(中略)こんな状況の中で生きていても価値がないと

考えたことはあります。

牧師:価値がない?

患者:だって、私が明日死んでしまったとしても、妻はまったく

平然として、これまでどおり生きていくでしょうからね。(中略)

私は何十年も、長老派教会で教会のための仕事をしてきました。

(中略)この私にだって少しはできることがあったんです。

地域社会で役に立つと思われることが、私にもいくらか

できたのです。(中略)だけど、私のしてきた活動は、金もうけに

ならないという理由で、どれもくだらないとしか

評価されなかったんです。

 

薄々感じていたことがより顕著になってしまう 心のすれ違い

経済的・社会的サポートがあれば解消されるというものではない

妻に人生の中で生き甲斐にしていた 大事な意味があると思って

やってきたことを認めて貰っていない 

ああいったこともこういったことも評価なんかされてないじゃないか

ロスは医師なんだけれど心の問題に取り組む

宗教と医療の間に自分の役割がある 従来は医者は身体的な問題を解決する

スピリチュアルな問題は教会関係者が解決するみんなが教会に

熱心にいかない時代 そういう時に医療職の人もこういう自覚を持って取り組む

 

これらすべてが抑鬱状態を招く原因となることは、患者を扱う人なら

だれでもよく知っている。だが、忘れがちなのは、死期の近い患者には、

この世との永遠の別れのために心の準備をしなくてはならないという

深い苦悩があるということである。

 

医師:あなたにとって、死とは何ですか。

患者:死ですか。それは価値ある活動が終わってしまうということです。

私の場合、価値あるというのは、妻とちがって、金を稼ぐ行為を

意味しません。

牧師:聖歌隊で歌ったり、日曜学校で教えたりということを

おっしゃっているんですね。人と交流を深めるとか、

そういったことですね。

医師:(中略)あなたがおっしゃりたいのは、自分の存在にいくらかでも

   価値があって、有意義な活動ができるのなら、人生は

   生きるに値するってことでしょう?

 

準備的な抑鬱

その抑鬱が、もうすぐ愛する者たちと別れなくてはならないことへの

準備段階であって、その事実を受容するためのものだったならば、

励ましたり元気づけたりしてもさほど意味がない。(中略)

自分がもうすぐ死ぬことについて考えるなと言っているような

ものだからである。患者に向かって「悲しむな」などと

絶対に言ってはならない。だれだって愛するものを失うのは

このうえなく悲しい。患者はこれから自分の愛する物も

愛する者もすべて失おうとしているのだ。だから、悲しむことを

許されれば、目前に迫った自分の死をもっと楽に受け入れることが

できるだろうし(中略)そばにいてくれた人にも感謝するだろう。

 

死にゆく彼にとっては「すべてを失うこと」

 

抑鬱2

準備的な抑鬱 この世から遠ざかっていくことによって生じる心の痛み

 

全てを失って向こう側へ行くときに抑鬱的な気持ちになるのは自然

だからそれを防ごうと考えてはいけない

 

伊集院

人間が呆けるのは人間が本能的に死の恐怖を弱めていくスイッチ

 

準備的抑鬱では、まったくあるいはほとんど言葉を必要としない。

むしろ、感覚でお互いを理解し合える。

髪をなでたりして手を触れればより通じるものがあり、

黙っていっしょにいるだけで十分なこともある。

(沈黙の時を共にするそういうことが力になる)

この時期には患者はお祈りだけを望むかもしれない。

 

ただそこにいる あなたの力になりたい

2025年12月26日金曜日

出宇宙&宇宙移住

冬の月をかしとあはれ繰り返し

をかしとは枕草子月氷る

冬星座あはれは源氏物語

冬銀河螺旋的なる物語

「死神」に歴史あり冬の夕焼け

 

■人類究極の欲望“宇宙移住”火星に100万人都市!?計画最前線

 

およそ5万年前、出アフリカを起源に数千人だった人間は

爆発的に増加 今や人口8,000,000,000

地球を覆いつくすまでに増殖しました

 

いま、留まることのない欲望は“出地球”です。

現在、人間が計画しているのは宇宙への移住

 

民間宇宙ベンチャーCEO

数百年数千年のスケールで見れば 人間は地球での生存に問題を抱えるか

宇宙に進出するのかどちらかです

 

月までの距離はおよそ38万㎞ 片道3日 

火星までの最短距離はおよそ6000万㎞ 片道8カ月

出地球 月・火星を目指す 出地球計画とは

 

アルテミス計画(世界50か国以上が参加するプロジェクト)

2027年での長期滞在 基地の建設に取り掛かる 

2040年には火星へ人間を送る 月に行く技術を新たに計画

アルテミスⅡ 4人の宇宙飛行士が月の周りを飛行し地球に戻る実験

今までと違うところは 一般の人々を月や火星に送り込むこと

ビジネスチャンスととらえているのは イーロン・マスク率いるスターシップ

全長20m 100人の乗客 40の客室 調理室 娯楽エリア

月は太陽があたらないと マイナス170°C 日が当たると110°C

200倍もの放射線 大量の隕石が降り注ぐ 

 

トレント大学情報科学 ロレンツォ・ブルッツォーネ教授

月の地下に洞窟があることを発見しました 放射線や微小隕石を防ぐ

天然のバリアとなるのです 放射線は月面の10分の1以下

温度20°C前後 

 

NASAエイムズ研究所 宇宙生物学 リン・ロスチャイルド教授

菌糸 

きのこを使うというのはとんでもないアイデアに思うかもしれません

しかし彼らは自己複製し修復までできるのです 火星の砂と結合 固める

放射線を防ぐ 特殊な菌糸を発見 椅子やベッドを作ることができるのです

巨大に宇宙施設も建設可能なのです 

 

スペースX社 イーロン・マスクCEO

できるだけ早く火星に自立した文明を築きたい 

SFを単なるフィクションに終わらせません

目指すは2050年代までに火星に100万人の都市を築くこと

100人乗りのスターシップを1万回打ち上げなくてはいけません

そのチャンスは26カ月に一度 ロケットの再利用を新しい方法で行う事

ブースターの使い捨てをやめ何度も使う 2023420日は失敗

20241013日 スターシップ5回目の飛行試験 分離成功

(ブースターをつかむ)”箸“が見えてきた 250tもある巨体をキャッチ

25年後には人間を送ることが可能となった

 

多種多様なGenreの人々が火星へ 

火星に行くと2年に1度しか帰る便がない 月は3日で帰れる

火星で子供が生まれた時 初めて宇宙に移住することの本当の始まり

火星で過ごす2年は運命的 宇宙を目指す人は社会全体が

閉塞感に覆われている 人間の活動が地球のキャパシティーに

近づいて問題を生まれている サステナブルに生きるためには

いろんなものをセーブしないといけない 閉塞感を打ち破って

Frontierへ行きたいと思う人が出てきてもおかしくない

 

出アフリカ

人間が新天地へ向かう理由 遺伝子から見えた“意外な要因”

なぜ祖先たちは出アフリカに踏み出せたのか

気候変動によって移動しやすくなった

効率的な狩りの技術の発達があった それに加え

ある感情に突然変異が起きていた

 

東北大学 進化学 河田雅圭 総長特命教授

不安を感じづらい遺伝子を持った人の割合が 

少し増えてきたことが明らかになりました

 

不安の感じ方 VMAT1(ブイマットワン)遺伝子 

セロトニン 

「不安を感じにくいタイプの遺伝子」現代人にどれくらい受け継がれているか

 

従来の遺伝子を持つ人 不安を感じにくい遺伝子を持つ人

アフリカから離れるほど後者が多くなっている

 

ひとが拡散していくときには最先端でパイオニアと呼ばれる人たちが

未知の領域に足を踏み入れていく 不安を余り感じにくい人が

そういうことを行っているのではないか 

 

出アフリカを後押ししたもう一つの遺伝子変異

恐怖の記憶 NPSR1遺伝子 未知への不安につながる

恐怖の不安が残りにくい不安を感じにくい人間が現れた

 

イェーナ大学病院 薬理学 ライナー・ラインシャイド博士

恐怖を記憶する脳の仕組みが弱まったことで人間は

未知の世界への挑戦を続けられる生き物になりました

祖先たちは新たな発見を求めて前へ前へと進み

次の山を越えていったのです 

 

東北大学 進化学 河田雅圭 総長特命教授

いろいろな考え方をする人が出てきて その結果

宇宙に行ってみたいと思う人もたまたま出てくる

(不安を感じにくい)変異を持った人の中から

「宇宙に行っても何とかなるんじゃないか」と

思っている人が結構いるんじゃないか 

 

不安を感じるタイプ 重要な役割

ニューヨーク市立大学ハンター校心理学

トレイシー・デニス=ティワリー教授

私たちは皆 多かれ少なかれ不安を感じる能力を持っています

不安はあまり感じない人もいますが 良いことばかりではありません

不安は危機を感じるために重要な役割を果たします

人間にとって不安とは将来の計画を立てる

燃料のようなものだと考えています

 

目の前の恐怖から未来を想像する能力を持ったのです

将来に対する不安が生まれた

 

認知科学者 アダム・ブリー博士

人間の脳が特別なのは不安を自ら引き起こせるということです

目の前に危険がなくても想像力によって不安を生み出すことができるのです

 

トレイシー・デニス=ティワリー教授

住まいを作り新たな道具を発明する 私たちの祖先が出アフリカを果たし

世界中へ広がることができた理由の一つは未来を想像し危機に備えることを

可能にした不安の力にあると考えています

 

新天地へ飛び出す力 事前に備える力

 

人間ならではの不安の感じ方とは?

菊水健史

失敗を繰り返しても成功に向けて動く”脳内麻薬“オピオイドが出る

失敗時の辛さ 不安の軽減

成功した時”快楽物質“ドーパミンが脳内に大量放出

失敗を繰り返しても成功する 全体の成功体験を記憶しまたやりたくなる

 

技術革新を繰り返すと環境破壊や戦争など問題も起きる

 

渡辺陽子

宇宙に行く根底には不安がある 

トリプル・プラネタリー・クライシス「地球の3大危機」

気候変動・生物多様性の喪失・環境汚染

 

「出地球」は人間未来をどう変える?

宇宙からの視点

若田光一

宇宙船の眼前に広がっている地球を見ると地球が宇宙船のように思える

宇宙の行くことによって地球の環境を守るための意識が

芽生えてくるのかなと思います

人間の活動による影響

生態系の破壊 

宇宙でも同じことを繰り返すのか?

国際宇宙会議では大きな議題に

持続可能な宇宙 回復する地球

地球を回復するために宇宙に出る

地球生命の維持には宇宙の活用が重要です

ジェフ・ベゾス ブルーオリジン 

地球の利益のために

地球は他に匹敵するものがない 最高の惑星です

われわれは地球を汚染する産業を宇宙へと移すことが可能です

そうすれば 地球環境を傷めることはありません

環境を汚染する産業を月や火星に移設するというのです

 

地球で暮らせなくなる未来 スペースX社はこう考えています

地球にとどまればいつか人類は絶滅します 正しい道は宇宙を行き来し

多惑星を生きる種になることです 

 

世界規模の核戦争 気候変動 巨大隕石の衝突

 

マックス・ハオツトCEO Vast

長期的な目標の達成に向けて前進し続けたいと思っています

ヘイブン 安息の地 宇宙ステーション

生命維持や熱制御のシステムなど 宇宙ステーションのすべてを

開発しています これが1号機 まさにこの機体が宇宙に行くんです

来年1月には実施されます 

太陽系のあらゆる場所での居住を可能にするために

数百年 数千年のスケールで見れば人間は地球上で生存に

問題を抱えるか 多惑星文明になるかのどちらかです

人類に他の未来はありません

 

多惑星文明

 

渡辺陽子

まだ地球の回復力はある 

関根康人

地球に住み続ける努力をすべき 地球で生きる技術を磨くための宇宙

鈴木亮平

環境を破壊する産業などを宇宙に移す 倫理的にどうか?

渡辺陽子

格差問題 貧困層が世界人口の8.5%いる状況にある 弱者が宇宙に

連れて行かれても発展に従事させられることにもなりまねない

環境・人権の両方の面から見ていく必要がある

菊水健史

今の宇宙開発はお金持ちが投資していて その人たちが宇宙での

メリットを手にする 平等に弱者まで利益を分配するのは難しくなる

鈴木亮平

欲望に飲み込まれないようにするには?

関根康人

火星上では助け合わなければ生きていけない 利己ではなく

利他的な考え方 全体が1個の共同体 100%リサイクルが必要な社会

他人を思いやる 共同体の中で助け合う 火星の社会の中心的な

概念になる それこそ これから地球で必要になるもの

鈴木亮平

これからカギとなるものは?

渡辺陽子

多様なメンバー 女性 先住民 若者などの発想を 取り入れた

社会システムにする必要がある 

菊水健史

宇宙開発の当事者化 みんなでやっているということがどこまで

広がっていくか 人類が外に出る 人類全体の問題になって返ってくる

 

滅亡のリスク 前に進み続けずにはいられない

海部陽介

人間の歴史は新しいことに直面する繰り返しだった

そのつど 僕らは考えなければいけない

アダム・ブリー博士

より良き未来のために最善の道を皆で考え話し合う 未来を見通す力を

生かし 勇気と謙虚さのバランスを保ち続けることが重要です

 

もっと豊かに もっと幸せに 願い続けてきた人間

これから先何処まで進んでいくのでしょうか?

 

常識は変わっていく それでも変わらないものは何か 

守れるものがあるんじゃないか 変わっていく