夏未明調理するのは好きだけど
色と香が芝生を覆うクローバー
蝶と蜂シロツメクサへご挨拶
山肌に明かり灯した躑躅かな
夏の月視力聴力落ち行かん
■NHK俳句 兼題「短夜」
選者:星野高士 レギュラー:松井玲奈 司会:柴田英嗣
年間テーマ「虚子の近代俳句」高浜虚子(1874-1959)
5月 始まりは「台所俳句」
俎板の染(し)むまで薺(なずな)打ちはやす 長谷川かな女
この句のポイントは打ちはやす
打ちはやす:包丁で大きな音をたててただ打つのではなくはやしたてる
(お祭りの)お囃子のようなもの 「なずな打つ」は新年の季題(季語)
正月がきて自分の気持ちも晴ればれ うきうきしている感じ
それが「打ちはやす」ということばになった
当時はことばの選択が画期的 女性はあまり俳句の参加できなかった
俳句は男の文学だった 高浜虚子が「台所俳句」を始め
女性も表現者になろうと門戸を開いた
「ホオトトギス」対称5年(1916) 「台所雑詠」を始め女性に門戸を開いた
虚子は俳人であり作家でもありいろいろなことをやったけど
経営者としての力も持っていた
分かりやすいことばで短く伝える(コピーライターの能力に)長けていた
打ちあけしあとの淋(さび)しさ水馬(あめんぼう) 阿部みどり女
さびしさとか男性は直接的に言わない 女性だからこそ言えた
それが余情につながった 活字になるということにやる気が出てくる
現代の俳句の会は女性8割 男性2割
虚子が女性に俳句の門戸を開いたから今があると言っても過言ではない
杉田久女(1890-1946)
花衣ぬぐやまつはる紐いろ〱 杉田久女(大正八年)
花見へ行ったときの着物が花衣 花を見た興奮に包まれている
花衣を脱いで自分は束縛から解放された
自分は解放されたという思いが「紐いろいろ」に出ている
精神的に縛られたという意味の「紐」
女性しか詠めない句
短夜や乳(ち)ぜり泣く児(こ)を須可捨焉乎(すてっちまおか) 竹下しづの女
短夜:夏の夜の事 冷房設備もなかった 暑い中で子育てをしなければならない
育児ノイローゼになった 逃れたい気持ちから出た強い言葉
漢字を使ったお経みたいなことば 逆に言えば子どもへの愛情
愛情の裏返し
こういう句が無ければ女性の俳句は後世に残らなかったかもしれない
虚子は女性が俳人になる道を作ってくれた女性も言いたいことを言えた
短夜:夏至の頃 6月の末ぐらいを詠む事
特選句 兼題「短夜」
短夜や朝が来るから夜が好き 白川あんみつ
短夜に告げたきことの矢継ぎ早 樋口淳一郎
短夜や海の近くの安ホテル 天野有子
目覚ましを三個並べて明易し 白井道義
(明易:夏の夜明けが早い事)
短夜やこれより酒場眠りつく 圓山多津美(まるやまたつみ)
短夜や足音ふたり声ふたり 佐伯道子
特選三席 兼題「短夜」
一席 短夜や羽あるものは羽休め 柚木(ゆずき)みゆき
二席 短夜や築百年の軋む音 大塚きみ子
三席 明易し火勢強まる登り窯 押領司雅俊(おうりょうじまさとし)
(陶窯とうよう)
・松井玲奈 今月の一句
短夜や窓に残れるひとの声 松井玲奈
添削
短夜や窓にまだあるひとの声
「まだある」だと時間が短縮される
季題(季語)はほっとけばいい ことばで季題(季語)を補充してはいけない
季題(季語)を説明しないで現状を詠む それが俳句
・今月のポイント
「季語を説明しない」
・はみだせ!教室俳句
滋賀県 長浜市立びわ中学校
岡﨑隆祥(たかよし)先生
自己分析シート 俳句 春の朝はじめてやいた卵焼き
一番伝えたい事 わくわくした気持ち
どんな言葉を選んだか 春の朝
まだうまくいっていない所 自立したイメージを伝えたい
代案 春の朝ひとりでやいた卵焼き
自己分析ポイント
①
季語はこれでいいか
②
意味が重複しているところはないか
③
伝えたいことが表現できているか
バレンタインあの子にあげるチョコレート⇩添削
バレンタインあの子を待ってる正門で
学校の勉強は一回やって終わりになってしまいがち
テストは教科書にはない文章から出てきたりする
2回同じ解き方でやるというのを経験させたいなと思っていて
数学みたいに公式に当てはめたら問題が解けた
国語でもそうなんだよ やり方を教えてあげたいと
いうのがあるので何回も繰り返すようにしています。
■NHK短歌 テーマ「窓から見えるもの」
選者は千葉聡 ゲスト:平野紗季子 司会:ヒコロヒー
年間テーマ「きょうの放課後
いつかの放課後」
「大人はお金のある方へ行く」コンビニのブンさんの言葉
ブンさんが泣きながらくれた大福を抱けば春は加速していく
千葉聡
スカートが短すぎると子を叱りゐる間(ま)も窓の夕雲すすむ
小島ゆかり
・入選九首 テーマ「窓から見えるもの」
明け方のサービスエリア 白線は無数の音叉のごとくあらわる
野分のわ
二席 青空や蒲鉾店の看板の「谷」の二画目すこし欠けをり
秋本哲(さとし)
一席 人間になれるだろうか 幾千の体温を知る白いベンチは
常田瑛子
音もたてず椿は毎朝開くけど春が手からすり抜けてゆく
磯谷祐三
嵌め殺し窓にガザの子頬寄せて見つめる空は何色だろう
藤田晋一
どれだけを忘れて生きてゆくだろう学校までの車窓のすべて
千坂(ちさか)ころも
面会ができない叔母とガラス越し手製の手話を使ひて話す
新村亮三
三席 一瞬を逃がさんとする撮り鉄と中でにっこり手を振る子供
笠井陽菜(はるな)
ドロシーが部屋の外から見る果てにオズはいまでもあるのだろうか
中里正樹
・ちばさとの放課後短歌部
夕空にお菓子の神がましまして街の家みなキャンディーにする
千葉聡
ちばさとの短歌づくりのポイント
自分ではなく他の人が そう思ったことにする
自分が思っただけだと歌は小さなものになってしまう
神様が作ったんだというふうに主語のところを変えてみる
(短歌は)自分の事だけではなく
誰かに心を寄せることもできるし
誰かになることもできる
短歌づくりのヒント
他者の視点から詠むと光景に新たな色が加わり
誰かと自分が一緒になれる歌になる
・味の表現はどんなことに気をつけていますか?千葉
自分が感じた事を言葉にすることが大事
「風のビリヤニ」
・いちご摘み
夜の窓に寄りてしばらく聞く雨に月砕かるる音の混じれり
船田愛子
⇩
ゆるめれば観覧車めく花束よ見ようとすると窓はあらわる
霧島あきら(好きな歌人 服部真理子)
まずカメラそしてわたしが透きとおる手応えのあるインタビューでは
「正しい椅子」より
制限があるからこそ本当に伝えたいことが自分の中でも研ぎ澄まされるし
余白とか省力することによって本当は凄く豊かな事なんだなと感じます
光を感じられたりする言葉「窓」を摘む
見えないものを想像してみた 音の世界から観覧車へ