2025年12月9日火曜日

篠田桃紅&山折哲雄

群れ成して草の中からコウヨウチョウ

草の種食べて繁殖コウヨウチョウ

乾季激減雨季に増殖コウヨウチョウ

コウヨウチョウ百年ハウス造りをり

コウヨウチョウへ軋轢持つジンバブエ

 

■墨いろに心を託して 篠田桃紅

抽象表現主義 抽象画家 篠田桃紅

 

篠田桃紅女史の言葉

いつも裏切られているんですよ それは自分自身が自分が裏切るのと同じよ

人間はいつもうぬぼれちゃってるから自分はもうこれでいいと思い込んでいる

「あんたのは まだ この程度だよ」と 私は言いますよ 墨は

裏切るっていうより戒める いい気になるなと

 

老子は「墨は玄の色」「玄とは宇宙や人生の根源」

「墨は100%黒にはならない 明るさを一点残す」篠田桃紅女史の悟り

「人生は未完である」

生き方の自由 自らに由る=自分に頼る

 

篠田桃紅女史の言葉

自分に頼るのが自由です 

自分に頼る人生を選択した 

自由になると捉われがなくなるから

自分に客観的に見る視点が自ずと身に着く

自分を客観視するには自由でないといけない

 

人間は歳月を重ねると老いて

身体の機能が低下する一方だと思っていた

人間は老いるにつれて目の高さが高くなり 

過去と未来を俯瞰するようになる

 

老いると記憶力は弱まります 

しかし思考力は熟成されていきます

 

人生をものにする

 

■こころの時代 こう生きたどう生きる 山折哲雄 現在を問う

あのね もう今 93歳になりました 明け方2時から3時 目が覚める

頭がスーッとして本当の夜明けの静謐の時間が来る

これがいちばん頭が冴えるんですよ 冴える中でやってるのは何か

「妄想」ですよ いろんな「妄想」が出てくる 真か偽かわからない

「妄想」っていうのは

 

専念寺 山折哲雄 実家

11歳年下の弟 時信氏が現在の住職

 

親鸞ノート 服部之総著

服部之総(しそう)1901-1956 歴史学者 哲学者

呪はれたる宗門の子 と記している

 

私にとっては親鸞は信仰の対象にはなりえない 山折

 

山折時信

兄貴っていうよりも親代わりみたいなもんだったですね

学校はいる時だったかな「尊敬している人なんて書いたらいい?」

って言ったら 「そう言われたら 親鸞聖人って書け」って

言われたんですよ 一番危なげねえのは「両親だ」って

書けばいいのに 父親じゃなくて「親鸞聖人って書け」って

いうことを言われた覚えがありました(兄は)大学の時なんか

休みで戻ってくるわけです そうしてサンスクリット語

ここの部屋で勉強してるんですよ 

 

親鸞1173-1262

親鸞筆「教行信証」顕浄土真実教行証文類

和讃 人々と仏の教えを讃嘆しようと親鸞が詠んだ歌

自然法爾 90歳になった親鸞の発見でもあった

宗教とは魔物だ 山折

 

無常

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 平安物語

宮沢賢治「雨ニモマケズ」手帳

 

Jesusの人生30年 青春の宗教 老が抜けている

仏陀の人生80年 変化する顔 インド人の根幹をなす四住期(しじゅうき)

 

四住期 とは  学生期 家住期 林住期 遊行期

サヌヤーシン遊行者

 

宗教と言う言葉はなかった religion 

空海が遺そうとした言葉は初心 最澄は道心 法然・親鸞は信心・深心

道元は身心脱落 日蓮は観心 

楕円構造 宗教的権威(天皇)と政治的権力

小国寡民「小さな国土に少数の民」老子が理想とした国家像

冊封体制 中国と周辺諸国との主従体制

 

親鸞「愚禿悲歎述懐」山折哲雄筆

浄土真宗に帰すれども 真実の心はありがたし

虚仮不実のわが身にて 清浄の心もさらになし

 

非僧非俗

 

松尾芭蕉 1644-1694

僧に似て塵有 俗ににゝて髪なし

僧侶に似て俗塵があり 俗人に似て剃髪の身

 

良寛 1758-1831

俗にあらず 沙門にあらず

俗人ではなく 僧侶でもない

 

世間虚仮 唯仏是真 

親鸞の一番大切にした言葉 山折哲雄氏も…。

 

旅に病んで夢は枯野をかけ廻る   芭蕉辞世句 

2025年12月8日月曜日

兼題「鷹」&テーマ「オノマトペを入れる」

今冬の利下げ株高?予想せり

今冬の景気悪化の株価下げ?

今冬や誰の予想か?見通しか?

欠片なき責任感よ寒潮よ

北颪(おろし)繰り返される過ちよ

 

NHK俳句 兼題「鷹」

選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣

年間テーマ「俳句のコリをほぐします」

 

今月のテーマは「固有名詞」

   コカコーラ持って幽霊見物に   宇多喜代子

(コカコーラ)

   三つ矢サイダーきやうだい毀(こわ)れやすきかな   奥田箪子

三矢の訓(おしえ):毛利元就が子に一族の結束を説いた(矢サイダー)

   コンビニのおでんが好きで星きれい   神野紗希

 

3つのリスク 「個人的」「宣伝的」「限定的」

   帰省してウェッジウッドの皿もらふ   

   ハイネケンの喉ごしよろし一人の夜

   富士銀行聳え立ちをり冬の街

 

ツボポイント

固有名詞は「覚悟」と「必然」で詠む

 

・実践

A紺青(こんじょう)の夜涼(やりょう)の空や高島屋

 紺青(こんじょう)の夜涼(やりょう)の空や百貨店   飯田蛇笏

夜涼:夏の季語

B遠足の列大丸の中とおる   田川飛旅子(ひりょし)

C伊勢丹をめぐる着ぶくれ一家族

 百貨店めぐる着ぶくれ一家族 草間時彦

 

必然性とはイメージがいきるかどうか

特別な名前を使うとき プラスの効果がないと何の意味もない

 

まとめ

固有名詞のイメージや響きを表現にいかす

 

・今週の兼題「鷹(たか)

冬の季語 (孤高な存在 凛としている 目つきが鋭い 

獲物を狙ったら離さない 誉め言葉に使う)

 

特選六句発表

鷹の目や初めて嬰(やや)を抱いた日の   近藤由香子

テノールの愉()悦のごとく鷹よ翔()べ   賀()山亜紀子

(堀田季何先生はバスだったとか…。男性だったのですね…。)

車椅子押し大鷹の視野にゐる   柏原才子

 ひとはひと裁けぬゆゑに鷹の飛ぶ   沼野大統領

鷹の眼に水平線は丸からう   横縞

酋長の眼光その鷹の眼光   赤坂みずか

 

・柴田と庄司の歩み

固有名詞はプラスであれ   柴田英嗣

覚悟を持った   庄司浩平

 

NHK短歌 テーマ「オノマトペを入れる」

歌人:横山未来子 初心者:菊池銀河・横田真子 司会:ヒコロヒー

年間テーマ「三十一音で扉が開く」

 

・三十一音の扉 オノマトペを入れる

オノマトペとは「擬音語」「擬態語」のこと

擬音語:実際の音を真似てあらわしたもの

擬態語:状態や動作をあらわしたもの

 

静けさと呼吸が重くのしかかるどぅとぅんどうとぅんと朝の日比谷線

須田覚(さとし)「デカンの風がやむとき」

 

自分の感覚で捉えた音になっていることで面白い歌になっている

 

けふの疲れに軀(からだ)はしずみざらざらと無数の星に覆はるる夜

横山未来子「水をひらく手」

疲れているから満天の星空も圧迫感を感じる

オノマトペは気持ちも表現することができる

 

すっからかんすっからかんと下りてゆく缶追いかけて冬の石段

梅内美華子「若月祭」

すっからかんは空っぽと言うことを表す言葉

それをオノマトペみたいに使っている

 

・入選六首 テーマ「オノマトペを入れる」

着ぶくれて真夜(まよ)の牛舎に獣医待つ湯気ぼあぼあと仔牛生まれたり

黒澤正行

一席 レタスの葉めりめりと剥ぐ昨日より強い私が生まれるように

秋山楓

さわさわがざわざわとなり君の元へ駆けてゆく道桜のかおり

五十嵐覚子

コンビニの灯りじわりと滲んでは泣くほどじゃない夜を支える

来住瑞貴(きすみみずき)

つやつやの小石みたいな乳歯たちこどもはみんなせせらぎだった

世田夏雪(せたなつゆき)

栗林(くりばやし)書房の前を通るときふらりと長き祖父の影あり

大津穂波

 

・歌人への道

オノマトペを入れた短歌に挑戦!

わんわんと光り輝く星たちが泣いている様でほんのり安堵

菊池銀河 添削⇩

わんわんと光り輝く星たちが泣いている空の下でやすらぐ

ぴっきりとはりつむる頬突き破る猛スピードの冬のビル風

横田真子 Perfect

 

ぬ ぬぬぬ ぬぬぬぬぬぬぬ 蜚蠊(ごきぶり)は少しためらひ過りゆきたり

宮原望子(もちこ)「これやこの」

 

・ことばのバトン

渡せなかった手紙を燃やす 

谷口泰星(コピーライター)

赦すほかないほどの星、星、星、

挿元おみそ(SNSクリエーター)

 

したたかな方だと思うどちらかと言えば加害者側だとも思う

変な歌集を出したいですね! 

2025年12月7日日曜日

藤井厚二「聴竹居」&上野章子(高浜虚子の六女)

不公平満載の給付金冬の朝

大銀杏満月銀杏乳銀杏

おこり炭朽ちゆくものの儚さよ

かの国のせこき精神落葉焚(おちばたき)

寒昴(かんすばる)響き始めたジャポニズム

 

■新美の巨人たち 藤井厚二「聴竹居」

97年 竣工:昭和3(1928)年 建坪約50坪 平屋建 最先端住宅

聴竹居(ちょうちくきょ) 重要文化財 理想の暮らし

藤井厚二 

求めたのは豊かな暮らし 穏やかな暮らし ちょうどいい暮らし

 

其の国の建築を代表するものは住宅建築である

 

松隈晃 聴竹居倶楽部 代表理事

 

藤井厚二は日本の空間 和の中にモダンを

見出した建築家と言えると思います

当時はやっていたモダニズムの材料っていうのは

とうぜん人工の素材ですけれども

それを日本の素材 例えば竹なんかを

用いることによって調和をはかりました

 

藤井は新しいものをどんどん取り入れて

家事労働を軽減し衛生的で快適な日本最先端住宅を

つくったと言えると思います

 

SDGsな家だった

 

理想とした日本の住宅を追求するために…。

大正8(1919)年 私費で欧米諸国を視察

 

当時の建築家と言えば 近代的で西洋的な

公共建築が求められた時代だったんですけれども

藤井は住宅を本気で手掛けた

最初の日本人建築家と言えると思います。

 

9カ月の欧米視察 

 

吾々の建築は他を模倣したものでなくて

我が国の気候・風土・習慣にピッタリと

適合したものでなければならない

 

藤井厚二 40歳 第五住宅「聴竹居」昭和3(1928)年竣工

空気と光をデザインする

クールチューブ(導気口) 桂川 宇治川 木津川

 

夏場にそれを確かめてみると 土管の中で冷やされた空気が

34度下がって入ってくると言うことは私が確かめました

クーラーのない時代に自然の力を如何に使うかという

中で思いついてアイディアだと思います

 

すりガラスはそもそも光を和らげる効果があるんですけれども

藤井が考えていたのはまた別な事で 実は軒を隠すために

「すりガラス」を設けています 閉めるとちょうど座った位置で

隠れる所まで「すりガラス」にしていると

 

一幅の絵画を狙った

 

日本の住宅は壮大で感動的な様子は持たない

ただ見るもの全てに慕われるような魅力がある

 

 昭和6(1931)竣工 下閑室(茶室 しもかんしつ)

竹の音を聴く まさに聴竹居だった

 

藤井厚二 享年49 (18881938)

 

聴竹居 https://chochikukyo.com/

 

Facebook 仮名書研究会 

落ち葉舞う落ちるところの運不運   上野章子(高浜虚子の六女)

2025年12月6日土曜日

あの人に会いたい 藤村志保

レベル下ぐ好かれなくとも帰り花

小春空素泊まり宿が駅前へ

池田町ニホンカモシカ出現す

茶の花やひっそりとかつ凛と咲く

蒼き空色無き街の雪化粧

 

■あの人に会いたい 藤村志保(俳優)

2025(令和7)年 86歳没

 

仕事ごとに違う人物になるわけですね 

もう何百とおりの人間になったかわからない

やはり俳優としての仕事はとても魅力的だと思います

 

みつばちマーヤなんかやりましてね 地声が大きい

大きな会場でも声がビーンと通るんです

ですから小さいときも学芸会でヒロインになったりしました

 

19歳で日本舞踊の名取に

アメリカ留学を決意

 

私のたった一人の兄が1か月での闘病生活で亡くなってしまった

それで私のアメリカ行きの夢がどうしても行けない状態になりまして

私としては兄を失った悲しみと自分の1つの青春をかけた夢が

壊れたという 何とも気持ちの中でおさまらない 何かに

ぶつけたいっていうことになりまして 

 

1961(昭和36)年 大映京都撮影所演技研究所へ

翌年、市川崑監督作品「破壊」でデビュー

市川雷蔵の恋人役でした

 

15メートルぐらい奥から走ってきて 

カメラ1メートルぐらい前で止まって

見つけて「あ」って言ってから 恥ずかしそうに去るまでの

何秒 何十秒までいきますかね ほんの短い(シーン)ですけれど

リハーサル リハーサルで とうとう監督さんが何十回かの

リハーサルのうち「〇回目がいい」とおっしゃったんです

でも私 自分で全然わかりません そうしましたら雷蔵さんが

「新人の子に〇回目がいいなんて無理だよ 監督さん」って

おっしゃってくださいまして 

 

昭和40

(島崎)藤村の作品でしたのでね 藤村に読ませていただいて

役名の志保をいただいて 藤村志保ってなったんです

 

ちょうどその頃はテレビに出てはいけないと言われていたのね

私たち映画の人は でもNHKの方が一生懸命粘ってくださって

「太閤記」に出られるようになりました

 

映画は1カメでしょ カメラが1台で でもテレビに来たら

こういうふうにスタジオの中に今日も4台あって あっという間に

ワンシーンが撮れてしまう カットを割らない それから

あらゆるジャンルの俳優さんが集まっている 映画は大映でしたら

大映専属(俳優だけ)ですから なかなか共演できない よその方と

ご一緒したり とっても刺激的でした

 

大河ドラマ「太平記」1991年 では小道具への拘りも見せました

小道具の地蔵菩薩 

(清子は)地蔵信仰ということを尊氏に教えて戦乱の時代は

救いがなければいけないんだみたいな 精神的なものを

伝えていく役だったものですから 尊氏が念持仏として持っていた

お地蔵さんが鎌倉の宝戒寺というお寺にあるんです でも 本物を

お借りしてくるわけにはいきません それで私が彫刻家の方に

模刻していただいた原寸と同じに

 

てるてる家族 2003

練習のときは人肌にいちいち練習したら大変です こういうパフね

自分用の鍼管と鍼を置いて常にね 大阪へ行く新幹線の中で

ちょちょちょんちょん 練習しながら新幹線に乗っていたの

 

舞台「北越誌」2006

私の目の角度というか位置ね お人形さんと本当に2人が

話をしているように 見えるかどうかが 一番難しい所ね

 

藤村志保著「脳死をこえて」昭和60

兄の死とか それから自分の病気とかね そういう事が重なって

生きることのありがたさというか 当たり前のことなんですけど

1人でも多くの方にもしものことがあったら お互いに苦しんでいる

人を助け合いましょうっていう 気持ちを皆さんに

持っていただけるように 

 

さらに絵本の読み聞かせにも挑戦、熱心に取り組まれました

 

出会いと言うことが大事なのね 新しい自分 気づかなかった面が

出てくるみたいな楽しさがありますから いつもいつも自分だけの

発想の中で 「私のできるのはこういう役柄」「これはできない」

とか言っていないでね 全く新しい血というか 方たちと

出会うことで 1歩も2歩も前へ進めるとしたら その出会いは

すばらしいし そういうお仕事がしたいな

2025年12月5日金曜日

高い買い物で一句

冬天や道具造りの竹探し

息白し竹の命は短くて

冬陽射し朽ちゆくものへ美を求め

冬の灯や四百年の重みかな

冬の水世界に向けてジャポニズム

 

■プレバト纏め 2025124

高い買い物で一句

梅沢富美男 横尾渉

 

特別永世名人 梅沢富美男 締めの一句 

初買は即決トラック11

(最後にくる驚き 夏井いつき先生の言葉

新年らしい勢いとめでたさ後半の展開に意外性

最後に数詞を持ってきた これが良かった 

大きさ迫力値段がリアルに想像できる 実体験はやはり強い)

 

永世名人 横尾渉 傑作50

風花の三鷹の森やセル画買う

(風花:冬の季語 雲のない晴天にちらつく雪

 あえてジブリと書かない企み 光景を詠んだ句かな?

 詠嘆「や」上の言葉を強調「!」のような効果

セル画というものに映像が切り替わる

三鷹の森のジブリ美術館かも知れない 

風花とセル画の透明感も響き合う)

 

一位 安藤和津

バーキンの爪痕はこのかじけ猫

(かじけ猫:冬の季語 冬の寒さに縮こまっている猫

 映像から猫ちゃんの表所まで詠んでいる

 バーキンという固有名詞が持っている情報量が一句の肝

 指さすような書き方も良い 俳句でどこまでやれるかを解説

ニュアンスが変わる あ!コイツが! 

俳句は助詞12つでドラマを変えることもできる)

バーキン爪痕さてはかじけ猫

 

二位 二階堂高嗣

冬の虹贈る新居や両親に

添削(俳句としては平凡 語順 季語が前へ出てくれる

   詠嘆「や」が強くなる)

両親送る新居や冬の虹

 

三位 ベッキー

寒厨や五口コンロで気満ちたり

添削(寒厨:冬の季語 冬の寒々とした台所・厨房

   数詞が映像になっている 「で」という助詞が散文的

   感想ではなく映像にする 熱 皮膚の感じ 湯気 見えてくるもの

   俳句は感想ではなく映像)

寒厨や五口コンロの熱と湯気

 

四位 おいでやす小田

冬の朝錆びた7鉄出番待つ

添削(凡人は擬人化したらやった気になる 出番待つ

   青空のゴルフ場 晴)

お守りの錆びた7鉄冬の

 

五位 石田健

凍て空や格子の名札まだ匂ふ

添削(言葉の選び方のミス 格子は乱暴 名札ではわからない

   町屋の大きな光景から表札にカットが変わる

   「新しい」を「まだ匂ふ」で表現 型も勉強している

   将来性のある才能ナシ 「化ける有望株見つけた」この句

   あと1回か2回やったら二階堂君はすぐ追い越す)

凍空の町屋表札まだ匂ふ

 

清水麻椰チャレンジ

冬夕焼のパリ不慣れな一眼レフ 

2025年12月4日木曜日

芸能きわみ堂 遊女&夏井いつきのよみ旅!in宮島

イゾラドを詠む

マシコ・ピロ原初を保ち生きる人

守るべき原初を暮らすマシコ・ピロ

イゾラドや弓矢放たん対岸へ

文明に姿現すマシコ・ピロ

集落に近づく熊とイゾラドと

 

■芸能きわみ堂 名作の地を訪ねて 大阪・江口~伝説の遊女ゆかりの地~

舞踏 長唄 時雨西行

西行法師は江口の里で雨にあい一夜の宿を乞う

しかし遊女・妙はその願いを断る

「世の中をいとふまでこそ難からめ

 仮のやどを惜しむ君かな」

「家を出づる人とし聞けば仮の宿に

 心とむなと思ふばかりぞ」

遊女・妙が普賢菩薩へと姿を変える

「今までありし遊女の姿

 たちまちに 普賢菩薩と現じたまい」

 

寂光寺

白洲正子(19101998)著「西行」

ごたごたした町中に入ると「君堂」と記したバス停がある

即ち「江口の君堂」なのであるが凡そそうした名前に

ふさわしくない殺風景な雰囲気である

江口の君堂は今は寂光寺という日蓮宗の寺に変わっていて

さすがにその周辺だけは静かで案内を乞うても答える人もいない

どこもかしこも裏ぶれた感じなのが

却って遊里の旧跡には似合っており

本堂の前に江口の由来を書いた立札が建っている

境内を一巡した後 私は淀川の堤へ上がってみた

堤の上から眺める風景は驚くほど美しかった

美しいという形容には適さないかもしれないが

大阪の市街は夕靄(もや)の中に沈み

東から西へ流れる淀川は悠々と迂回して

末は海へ一つとなって消えて行く

 

遊女の人たちって「流れの君」・「流れの女」と言われていた

川竹の流れの身() 浮き沈みする一種の無常観

 

水無瀬神宮 後鳥羽天皇 わがふるさと 燈心席

 

地唄 江口の君

天下る 紫雲の小袖 糸竹の声も身に染む

雪の照り 三五の月か 常ならで 

二八 十六で 文つけられて 

四五の二十なら いちぶに一度

わしゃ 帯解ぬ 辛気え 花ひとさかり 桜どき 

 

谷崎潤一郎(18861965) 「蘆刈(あしかり)

かのおんなどもが その芸名に仏くさい名前を付けていたのは

(いん)をひさぐことを一種の菩薩業のように

信じたからであるというが おのれを生身(しょうしん)

普賢になぞらえ またあるときは貴い上人にさえ

礼拝されたという女どものすがたをふたたびこの流れの

うえに しばし うたかたの結ばれるが如く 

浮かべることは出来ないであろうか

 

客殿(重要文化財)

豊臣秀吉が寄進し 

福島正則が造営したと伝わる桃山時代末期の建築

神門には石川五右衛門が改心の証につけたという手形が残る

 

能 江口~観世流

江口の君こと妙が2人の遊女をつれて舟で現れる

遊女の罪業を訴え世の無常を感じ執着を捨てようする妙

人をも慕はじ 待つ暮れもなく 別れ路も嵐吹く

花よ紅葉よ月雪のふることも あら由なや 

 

野崎観音 慈眼寺 文楽 歌舞伎 落語の舞台にもなった寺

江口の君堂 八百年前を生きた遊女・妙

 

ゆかりの地がある それを芸能にして舞台で私たちが見る

芸能を見る喜びって歴史の長い長い流れを見ている気がする

 

■夏井いつきのよみ旅!in宮島編 

世界遺産・厳島神社と神秘の絶景を満喫!広島で俳句旅

 

公認ガイド 石角剛

石角さんMEMO

宮島島内の小・中学校で校長をつとめた

 

1/5句目

秋の潮夜風に揺らぐ頼母船(たのもさん)   舩附(ふなつき)洋子

頼母船:旧暦の81日に行われる宮島の祭り 対岸地域の五穀豊穣を祈る

 

2/5句目

新涼や外()つ国人(くにびと)に席譲られ   川近輝子

 

3/5句目

「初弁当どう?」のメールや青蜜柑   かつたろー。

かつたろー。MEMO

弁当作りは今年で11年目 お嬢さん 

(ひなた)さんの句

 

満喫!人力車で宮島巡り

人力車ガイド 高野龍馬

 

初紅葉縁結びゆく神の島   高野龍馬

龍馬さんMEMO

野球プロの夢ケガで断念

 

龍馬駆()く秋の時雨をひた駆()くる   夏井いつき

 

4/5句目

空澄みて涙にとけて深い海   横田益子

 

地球の中心って宮島だった 横田益子

 

5/5句目

秋の虹老残(ろうざん)ひとり厳島   川﨑淳一

長女・山本詩野

川﨑さんMEMO

29歳の時妻と出会い結婚 妻・淳与(あつよ)

80代の今が最高といえる 淳与さんの著書のコピー

奥さまの余命を聞かされた時には、

厭世的(えんせいてき)になったご主人

コロナの時だったので奥さまが亡くなられるまで会えなかった

でも、手紙のやり取りはありました

キミがチェロを愛した理由を聞きたいな

映画のあらすじ、覚えているかい?

愛する人と逢える日が、待ち遠しい!

楽しい思い出は病室に飾られていました

「本当に素敵な女性でしたよ」

骨密度120%だとか…。

これでは死ねませんよねと淳一さん

 

おまけ

秋暑し遮光フィルムの児童館   和泉園実

天狼や君の働くコロンビア   坂野ひでこ

母校いま万葉歌碑と木々さやか   たかみたかみ 

2025年12月3日水曜日

あの本、読みました?太宰治

イゾラドを詠む

アマゾンの今を奥地で生息す

イゾラドや最後の森を生きる人

文明と旧い言葉で意思疎通

国境の森(ブラジル・ペルー)隔絶された人々よ

イゾラドや野蛮な人と揶揄されて

 

■あの本、読みました?「人間失格」「走れメロス」昭和の文豪・太宰治が愛される理由

亀田誠治 綿矢りさ 菊池良 鈴木保奈美 角谷曉子 林祐輔P

 

恥の多い生涯を送って来ました。

自分には、人間の生活というものが、

見当つかないのです。

「人間失格」の一文 太宰治著/新潮文庫

 

今年は昭和百年

三島由紀夫 志賀直哉 川端康成 石原慎太郎

 

昭和の文豪 太宰治特集

芥川賞作家 綿矢りさは

「それはスゴうみたいなファンなんでベタ褒めみたいな論文」

太宰の文体にハマり小説を書くきっかけに

文体というのもすごく身近な感じで書いてくれたので

これなら自分も気張らずに書いても

小説というものが出来上がるんだなと思って

書くようになりました

 

音楽プロデューサー亀田誠治も太宰治にハマったひとり

とにかく僕はもう沼にハマっている

(太宰の)全部が愛おしくてしょうがない

ヒット曲誕生の裏には太宰文学が!

アゲインストが吹いてきてもちゃんと届けていくんだという

情熱と優しさが入っている小説

 

ヒット作「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」

著者菊池良は太宰の文体の特徴を明かす

読み手を意識して語りかける(文体)というのが

太宰の一番の特徴だと思います

 

(太宰)本人の文章を読むよりも分かりやすく

個性が出てるから面白いなって思います

 

太宰治にハマった人々が語る 深き太宰沼の世界

 

桜桃忌(619)太宰が入水自殺を図り遺体が発見された日

死の年に発表した短編「桜桃」より命名

 

「すべてはここから…私の初読本」

「人間失格」二人とも

・綿矢りさ 中学生で読んだ 高校生で再読して太宰治にハマった

 

太宰の文体を見て小説を書き始めた 

 

「人間失格」の一文 太宰治著/新潮文庫

そこで考え出したのは、道化でした。

それは、自分の、人間に対する最後の求愛でした。

自分は、人間を極度に恐れていながら、それでいて、

人間を、どうしても思い切れなかったらしいのです。

 

太宰作品によく出る「道化」の意味とは

 

・亀田誠治 姉に勧められた「人間失格」

主人公は「自分そのもの」 人生の黒未来を予測 

 

「人間失格」の一文 太宰治著/新潮文庫

その生徒(姓はいま記憶していませんが、名は竹一といったかと覚えています)

その竹一は、れいに依って見学、自分たちは鉄棒の練習をさせられていました。

自分は、わざと出来るだけ厳粛な顔をして、鉄棒めがけて、えいっと叫んで

飛び、そのまま幅飛びのように前方へ飛んでしまって、砂地にドスンと

尻餅をつきました。すべて、計画的な失敗でした。果たして皆の大笑いになり、

自分の苦笑しながら起き上がってズボンの砂を払っていると、いつそこへ

来ていたのか、竹一が自分の背中をつつき、低い声でこう囁きました。

「ワザ。ワザ」自分は震撼しました。ワザと失敗したという事を、

人もあろうに、竹一に見破られるとは全く思いも掛けない事でした。

自分は、世界が一瞬にして地獄の業火に包まれて燃え上がるのを

眼前に見るような心地がして、わあっ!と叫んで発狂しそうな

気配を必死の力で押さえました。

 

アーティストとの関係にも影響

 

「仮面の告白」解説:中村文則の一文 三島由紀夫著/新潮文庫

あと敢えて言えば、「仮面の告白」の前年に発表された、三島が

否定したはずの太宰治、その「人間失格」の気配もまとっているように思う。

 

ケンカするほど仲が悪かった太宰治と三島由紀夫だが…

似たもの同士だからこそ一緒にされたらいやな二人

 

2人のアーティストから同時期に似たような作品が

 

「卒業論文のテーマは太宰でした…」綿矢りさ

ドイツの詩人・シラーの詩を基にした「走れメロス」

フリードリヒ・フォン・シラーの詩「人質」

https://schubertiade.jp/houshi/buergschaft.htm

人を共感させる太宰のテクニックに感動

 

亀田誠治 自分が「走れメロス」になってしまう

鈴木保奈美 「走れメロス」は音読がおもしろい

 

「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」

著者 菊池良

もし太宰治が「カップ焼きそば」の作り方を書いたら

 

「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」の一文

神田桂一 菊池良著/宝島社文庫

焼きそば失格【第二の手記】

私は賭けに出て、最後の戸棚を開きました。

カップ焼きそばがありました。

カップ焼きそばはまずお湯を入れなければいけません。

私に立ちはだかったこの厳然たる事実は、

私を湯の沸騰へと向かわせました。

点線までを開け、かやくを振りかけて、お湯をかける。

そうれ、俺ならできる。自分で自分を鼓舞しながら、

私はお湯を注ぎ込みました。

私に湯切りをする資格があるでしょうか。

きっとあるのです。あるはずなのです。「許してくれ」

そう呟きながら、私はお湯を捨てました。

 

「斜陽」太宰治著/岩波文庫

戦後の混乱期に没落していく貴族階級の一家を描き

爆発的ブームを巻き起こした長編小説 綿矢りさが似ていると…

 

菊地良は文体の特徴は「読み手に語りかける」ところだと…

 

「これを知ったらきっと沼る!私と太宰」

「太宰の落書き」綿矢りさ

「佐藤春夫への手紙」亀田誠治

佐藤春夫 明治25年生まれ「洵情詩集」「田園の憂鬱」「晶子曼陀羅」

など 数多くの作品を世に送り出し一世を風靡した詩人・小説家

太宰の送った手紙は長さ4.1m

太宰治書簡佐藤春夫宛1936128日(封筒欠 毛筆 巻紙[18.8cm×404.0cm])

https://yokoimoppo.hatenadiary.com/entry/20151220/1450599078

 

手紙を書くのが巧い

 

川端康成に怒って書いた手紙

https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1607_13766.html

 

「人生の一冊!マイベスト太宰」

「ろまん燈籠」亀田誠治

戦争の厳しい検閲にも負けずに書いた小説

「ヴィヨンの妻」綿矢りさ

凛々しく、たくましい妻の姿が心に刺さる

 

「ここがスゴイ!心が震える一文」

 

亀田誠治

「正義と微笑」の一文 太宰治著/ゴマブックス 

学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。

けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に

一つかみの砂金が残っているものだ。

亀田誠治の向上心の原点

 

綿矢りさ 笑える箇所の多い小説

「畜犬談―伊馬鵜平君に与えるー」の一文 太宰治著/ゴマブックス

こちらが何もせぬのに、突然わんといって噛みつくとはなんという無礼、

狂暴の仕草であろう。いかに畜生といえども許しがたい。

畜生ふびんのゆえをもって、人はこれを甘やかしているから

いけないのだ。容赦なく酷刑に処すべきである。

 

他の文豪と太宰の違いは… 綿矢りさ

 

リアルな描写なのにグロテスクじゃない文章 亀田誠治

愛おしくてしょうがない 亀田誠治

息継ぎみたいな文章 綿矢りさ

品格を感じる 明るい太宰と暗い太宰がいつも喧嘩している 綿矢りさ