2026年3月22日日曜日

あの人に会いたい 西村京太郎

台湾を詠む

山猫が残す足跡田打かな

山猫や木についた犬の爪痕

親の死後生き延びた山猫の春

山娘稲刈り終えた田で涎

山猫に優しい農業春光

 

■あの人に会いたい 西村京太郎 2022(令和4)年 91歳没

ある場面があるじゃないですか 対決の場面とかなんか

そういうところは大体書き方が分かっちゃっているから

消しゴムは絶対に使いません

Q一日どれくらい書かれるんですか

15枚から20枚ぐらいです

Q犯人の動きとか そういうのも 電車に乗ってから思いつくんですか

そうですね 寝台車なんかに乗って車掌さんに聞くんです

「死体を隠せるところありますか」とかね びっくりするけどね

「隣に戸棚があります」とかね 教えてくれるんです

 

毎日毎日空襲を受けているじゃないですか だから勝てそうもない

気がするわけですよね だけど学校では校長先生が「絶対勝つ」と

言っているから 武器も持っていないんだからね だけど

言われるとそうなっちゃうんです 疑わない ほとんど疑わないです

終戦 1945815

 

当時(松本)清張さんがワァ~っと出てきたころで ずいぶん読みましたよ

清張さんの 「これなら書ける」と思ったんですよね 

本当は書けないんですけど 読むのはできるけど書けませんよね

だけど若かったから このぐらい書けるんじゃないかと思って

辞めちゃって 決心をしたというか 甘くみたわけですね

 

昭和30年代の東京

1年目でダメでお金がなくなっちゃって 全然お金がないじゃないですか

家にも入れなくちゃいけないから 新聞を見たらトラックの運転手を

募集していたから おふくろに「実は本当はもう役所を辞めていたんだ」と

「お金がなくなっちゃったから あしたからトラックの運転手になるから」

と言ったら泣きましたよ 

 

昭和389月号「オール讀物」文藝春秋 

1963年「歪んだ朝」で新人賞を受賞

 

昔は書きたいものを書いていたんです その時は読者をほとんど

意識しないんですよね ある人に「あんたの一応面白いんだけど

読者がついていかないんじゃないか」と言われました

いろいろ考えて自分で書きたいものを書くのは良いんだけど

読者が読んでくれるんだから読者が喜ぶようなものを書くという

そういう気に少しなりました 思考錯誤しながら書いたのが

1966年「D機関情報」

戦争中のスパイの話を書きたくてね いい小説だと思うんです

自分で凄く苦労して書いたんですよ それ売れなくて3000

刷ったのかな「売れ残った」と言われて 「これほど売れない

小説はなかった」と言われて 

 

僕はその頃「いいものは書くけど売れない作家」と言われていたんです

(昭和)53年頃ですか「次にどんなの書く」って言うわけです 不安だから

売れそうなのを向こうは出版したいわけですから その時「昭和7年の

浅草を書きたい」って言ったんです 「それはどう考えても売れません」

と言う そういう古い奴は「ほかに何かないですか」って言うから

東京駅に子どもがいっぱいブルートレインを見ていたわけです

ブルートレインは人気があるからストーリーも何もわからんないけど

「ブルートレインを書きたい」と言ったわけ そうしたら「浅草より

いいからブルートレインを書いてください」って言うから 取材に

行って書いたのが初めなんです 

 

1978年「寝台特急殺人事件」ベストセラーになりました

Q鉄道はどういう所がミステリーの舞台としていいんですか

いろんな人が乗っていますよね 犯人も乗っているだろうし サラリーマンも

乗っている いろんな人が乗っています それが面白いんです 

 

西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ23

ターミナル終着駅殺人事件 人気を不動のものとしました

 

一駅の区間の所要時間が40分なんて書いてある時があるんです

どう考えたって距離が短い所で40分かかるはずがないんだから

なぜ40分かかるのかって見に行くわけです するとそこで

待合せの時間があったりとか いろいろありますから 

それが分かるわけです 「何々駅のトイレから出てきたことにしたい」

となるじゃない 書いている時に トイレを見てこなかったら

見に行かなきゃならない トイレだけ見に行きますね それ間違えると

すぐ指摘がくるんです 「そこにトイレはない」とかね

 

土地の人が乗ってくるといちばんいいんです 話をして子どもなんかが

乗ってくると どんなお菓子を食べているのか 聞いたりして 地方の

お菓子があるわけです それをお菓子をもって死んでいればそれが

何かになるじゃないですか 

 

トラベルミステリーという新しいジャンルを確立した西村氏

手掛けた作品は600以上になります

Q伝えようと思ったものは?

旅の楽しさですかね それからどこへ行ってももっともなんだけど

人生があるという そこに住んでいる人がいますよね そういった

人が好きなんです 山の上に一軒家があって どんな生活をしているのか

思ったり 考えるのが楽しいです そこに人間がいるという

ことじゃないですか いろいろ聞いたりするのが面白いです

2015年「十津川警部八月十四日夜の殺人」より

終戦記念日 戦争を忘れていく危機感

86歳の時 自伝的ノンフィクション 2017

十五歳の戦争 陸軍幼年学校「最後の生徒」西村京太郎著

 

戦争は始まっちゃうと ひたすら国のためで 特攻なんかだと

「死ね」と言われて 本当に「死ね」なんて言ってはいけないんです

人間なんだから 神様じゃないんだから あの怖さとかは分からないもんね

爆撃を受ける怖さとか だから一度書いておいたほうがいいと

思って書いているんだけど 正しくても間違っていても 戦争はだめですよ

 

自分の人生しか生きられない いろんな人の人生を生きたいわけ

Q人間は面白いものですか

そうですね それが極端にいくと殺人までいってしまう

一生懸命愛したり 一生懸命殺したりする どちらも人間

  

2026年3月21日土曜日

きみと食べたい 吉田羊&平野紗季子

台湾を詠む

穿山甲(せんざんこう)我が物顔で闊歩せり

穿山甲静かに地面掘り起し

山娘子育て中の凶暴性

巣より落つ雛の生存春の月

六月や雨に打たれて雛の死す

 

■「連食テレビエッセー きみと食べたい」~福島県・いわき編~

吉田羊 平野紗季子

参照:https://www.nhk.jp/g/pr/blog/3hpi0_t2fgl/

 

その土地の、人に、文化に、歴史に出会うための入り口だ。

常磐線が海沿いを走る。視界がふっと開けて旅が始まる。

お互い、食べ物の事となると超真剣。愛の深さはほぼ互角。

さて、喫茶でぬくぬくになった体で、いよいよレストランへ。

夕日がきれい

美しい夕暮れを背負った小高い丘の住宅地に、ぽつり。

ついに来れた、憧れのお店。煉瓦造りのポーチ、

ステンドグラスの向こうに暖かな灯りの覗くレストラン。

オーナーシェフの萩春朋さん

キッチンには、暖炉のように薪窯。火が、館の中心にある。

それだけで呼吸が深くなる。始まりは人参のお皿だった。

堂々と、雄大なお姿。「今 一番おいしいニンジン ニンジンを

薪窯の上に3日間ぐらい置いて自然と縮めたもの」「甘い」

一口食べると、甘い。甘くて味が濃い。時が素材の力を引き出すのか。

ニンジンのソース 余計なものはいらない 下に敷かれたパウダーは、

雪のようなチーズ。チーズ冷たいんですね うん アイスだった

その冷たさが、いわきに吹く清らかな風と繋がる。なんてピュアな料理。

きっと畑の風景がそのまま皿の上にある。

海から直送されたアワビ 常磐もの:福島県・茨木県に水揚げされる魚介類

郡山の鈴木さんのカリフラワー カリフラワーのソース ちょっとソース

なめたい おいしい え、これ鮑がスターなのは間違いないけど…

カリフラワーも同じくらい主役じゃん Wセンサーで画面が強い

薪火で焼いたカブ 卵のソース+米油とカブの葉っぱ

ちょっと欲張っちゃったな 私もそれぐらいいってますよ

火傷上等1/2サイズでかぶりつくと、ジューシーさが半端ない

ほら見て引き払ったあとが水浸しですよ ホントみずみずしい

 

ようこそ蕪温泉。ジューシーで甘―い湯気が立ちのぼり、はぁ~。

大地と炎の記憶に包まれて、心までツヤツヤだ。なんて野菜が

輝くレストランなんだろう。萩さんは、どうしてこんな料理が

作れるのか。「昔はこうじゃなかったんですよ」

「もともとフランス料理を作っていたので全部ソースをかけちゃうんですね

ソースをかけるとどれも同じような味になってしまって生産者の

特徴が出にくくなるんで一時ソースを捨てたんですよ ソースを

やめてみたら気づいたことがあってお皿の上からふわっと素材の香りが

したんですよね それが始まりでこういう料理を作っていかないと

ダメだなと思って」

 

素材を塗りつぶすのではなく、その持ち味を生かす仕事がしたい。

生産者さんが喜んでくれる味に辿り着きたい。自分がやりたいのは、

フランス料理ではなく“畑の味の料理”だと気づいた。

 

畑で食べる野菜ってエネルギーが100%なんですね そのまま食べて

おいしいんですよ とれたてって 塩すらはじくエネルギーなんです

そうそのままがおいしいんですよ 流通にのって店頭に並ぶ頃には

香りとかエネルギーは80%ぐらいに落ちると思って畑に行かないと

わからなかった 100%のものを保持しつつ調味料を極力抑えて

別な香りで上げていく 

 

萩さんの料理は潔く、まるで野菜の命を、その輪郭を、指で

なぞり直して輝かせるみたいだ。

 

海の味も福島はおいしいですからね マコガレイの刺身

乳酸発酵させたニンジン あ震えちゃった 振動してしまいました

うまみがすごい カレイとかヒラメって淡白なイメージだけど

こんなに甘味があるんだね 

 

俺がチャンピオンだぜと言わんばかりのムキムキ食感だ!

どんな高級魚にも怯(ひる)まぬ刺身のアスリート、突然のリングインだ!

水産加工のスペシャリスト!梅田将一さん

締め方から冷やし込みまで技術を駆使し、市場では価値の付きづらい魚も

最高のの状態に仕立てるスペシャリストだ。

日戻りの常磐ものがピッカピカに光っていたのだ。

「この輝きを、どうやったら落とさずに手渡せるんだろう?」

海から漁師さん、漁師さんから梅田さん、梅田さんから萩さんへ。

全員が、福島の海の眩しさを本気で信じている。

 

皮目を薪火で炙ったサバ(常磐もの) 完熟ピーマンのソース

米+甘酒のドレッシング 

鮮魚店 松田義勝さん

 

なんかすごい組み合わせですね サバとろっとろ 知らない組み合わせ

なんですけど 完璧に調和してて ピーマンとサバ まさかの握手。

厚切りの濃厚な鯖を、赤い甘みがすーっとさらう。

合わせるのはどぶろく:2022年に誕生した南相馬の醸造蔵のお酒

 

今、テーブルに広がるのは、萩さんが拾い集めた福島の鮮やかで美しい地図

その多層的な世界に、私たちはただただ夢中だった。「でも」

震災1年目は記憶が全部白黒なんです なんか白黒なんです

 

2011311日東日本大震災

大変だったのはしばらく1年から2年 お客様がほとんど来ない状態

本当に来ない状態で原発事故もあって野菜が売れなくなって

漁業関係の方は本当に数年間 海がストップしてしまったので

 

そんな時、足が向いたのは畑だった。自分も大変でしたけど

自分は安全と思われるところの食材を買って店で提供する

事も出来たんですけど 農家の人は代々受け継いだ土地ですよね

離れることができなくて 生産者と共にどうせこの店がだめになる

くらいなら 一緒にやって新しい価値観を生み出したいなと思って

 

畑の味を生かしてこの土地にあうものをかき集めて料理をする。

震災当時農家の白石さんと野菜の直売会をやって いろんな人が

買ってくれるんですけど 帰りにごみ箱に捨ててあったりとか

そう言うのをたくさん一緒に見てきて美味しい素材が0円以下の

価値になったなっていうのがあって 僕は生産者と共に

戻していかなければいけないと思いました

 

でも、だからこそ、萩さんは決意した。

この土地を、この土地の食材を、生産者と一緒に背負うのだと。

 

東京電力 福島第一原発の事故のあと

国は放射性物質が基準値を超えた食品の出荷制限を指示

【いわき市で出荷制限となった主な野菜・果実】

ホウレンソウ カキナ 2011321日出荷制限

 

カリフラワー 蕪 ブロッコリー キャベツ 白菜 小松菜 アブラナ

2011323日出荷制限 201154日解除

 

柚子

2012110日出荷制限 2015129日解除

 

20121012日出荷制限 20141117日解除

 

いわき市では現在も野生のきのこなどが出荷制限されている

漁業は原発事故直後の315日から沿岸漁業および

沖合底引き網漁業の操業自粛を余儀なくされた

 

20126月 相馬二葉地区で「試験操業」開始

モニタリング調査で安全が確認された魚介類3類が対象

201310月 いわき地区でも「試験操業」開始

モニタリング調査で安全が確認された魚介類18種が対象

漁獲できる魚種が徐々に拡大 20213月「試験操業」終了

現在は漁獲量・漁獲金額が震災前の状態に戻る

「本格操業」を目指している

 

最後の料理は、かぼちゃだった。かぼちゃのソース

飯舘村で誕生した品種「いいたて雪っ娘」

 

味が、濃い。濃すぎる。

「お砂糖を入れて かぼちゃスイーツ作りました」って言われても

「そうでしょうね」ってなるぐらい自然な甘み

これはかぼちゃの中のかぼちゃ。マトリョーシカを開けに開けて、

最後に出てきた“一番真ん中のそれ”が、多分このかぼちゃ。

 

近くで採れたゆずとりんごのアイスクリーム

清潔で真っ白な世界に、果実の香りが祈りのように漂っていた。

 

川俣朝のししゃも+猪苗代町の米

田村市の渡部さんの小麦で作ったパン

 

命に大きいも小さいもないし だからこそ日々エネルギーある食材とか

命のある食材を お客様に食べていただく努力をしなくちゃいけない

と思ったんです 食材が高価だからおいしいってことではない

命を伝える料理 それを使っていかなければならない

 

福島にしかないお料理ですよね そういう意味で言うと

ここでしか食べられない

 

みんなの結晶ですよね 

 

その日採れた野菜、その日獲れた魚、高級かどうか、価値があるかどうか、

そう言う尺度は関係ない。

 

命に大きいも小さいもない

目の前の食材を、目の前の時間の中で、最大限に生かす。

萩さんの料理は今を生きる料理だ。命を伝える料理だ。

畑の野菜が、その日の土の匂いをしていること。

日戻りの魚が、目の奥まで澄んだまま光っていること。

その瞬間は、放っておけば すぐにくすんでしまうから。

消えてしまう前に手渡す。そんな切実さが、儚くて

小さな光が、皿を満たすから、私たちの胸の奥にまで届くのだろう。

今日の食材は、どこで生まれ、ここまで来たのだろう。

 

海だ 輝いてますね 気持ちいい 私たちは冬の海に出かけた

薄磯海岸 

 

平野紗季子エッセー

青くて白くて、波と風の音の中、

砂に埋もれる貝殻のかけらをずっと見ていた。

 

地元の方って季節をお魚で感じてるんですよ

夏の暑い時にはカツオだよね 秋はサンマだよね

冬はアンコウだよね 干物だよねっていう

そういうふうにもう生活の中にお魚がいたので

やっぱりこの時期になるとこれが食べたいっていうのが

たぶん地域の方たちはそういうふうに思ってくださっているので

 

この時期のこの風が干物をすごくおいしくしてくれるんです

実はこの干物を作り始めたのが私に息子が生れてから

どうにかして小さい子どもでも食べられないかっていうのを

父がすごく考えて父の作る干物は50代からグッと優しくなった

それで目も取ってあるのです

もちろんめひかりは家族の大好物でもある。

メヒカリも獲れなくなった時期とかあったんですか?

1年以上獲れなかった それが獲れない時期って 冬も寒いだけ

本当だったら干せてたのになっていう やっぱり悔しさっていうか

寂しさっていうかそういうのは感じました

干物を作れるようななったときは何か言葉にならないっていうか

子どもたちの口に入れてあげた時にやっぱりにっこり

笑ってくれるじゃないですか 本当それだけで嬉しかったです

やっと食べれたんねって 一度失いかけているんですよ 私たちは

「もうダメだ」と思っていたと さっき父も言ってたんですけど

なので 守っていきたい すごく大切にしていきたい

 

日常、というものの尊さを、幸子さんは身をもって知っている。

めひかりの干物は驚くほどジューシーで、噛もうとする側から

溶けて消えてしまった。間違いなく人生一の干物だった。

アンコウの「どぶ汁」

どぶ汁:アンコウの肝に味噌を溶き

アンコウの身と野菜から出た水分のみで調理

どぶ汁も最っっっ高!!!

 

そして向かったのは白石さんの畑。とにかく、風が、容赦ない。

農家(8代目)白石長利さん

生命力が漲っている。

目の前に、気の私たちの胃袋を沸かした人参の故郷が…!

獲れたて0秒で、かじりつく。(テロップの漢字が違っている。)

これが100%の味なのか…。

素材という言葉が追い付かない濃度に、私たちは思わず空を仰いでいた。

大切にしているものは?土ですね。

よく草を抜いてご年配の人って根っこの土を凄く丁寧に落とすんですよね。

作物とか草の根っこのところについている土っていうのが

一番いい土って呼ばれている なのでそれをちゃんと畑の在ったところに

落とすっていうのがじいちゃんからの教えで この土がないと当然

農家っていう職業も成り立たないですし 自分が生れてきたときから

この環境なんで当たり前なことが一日にして当たり前じゃなくなったと

思わされたのが震災だった 

 

この畑の土は、何代も何代も、人の手を通って耕されてきた。

ときには近くの川が氾濫し、震災が襲い、それでもまた、鍬を入れて、

土を立て直してきた。この土があるからこそ、この野菜がある。

土はふかふかで、ほどけるみたいに軽い。指先が、味の秘密に触れている。

そんな気がした。

 

萩さん 白石さんとも仲良しお店 店主 吉野康平さん

 

東京に上京してきたときに駅前に屋台があってラーメンの

久しぶりにラーメンが食べたいと思って出てきたのがしょうゆラーメンで

ひっくり返しそうになった 豚骨じゃないんかーい!

 

醸造家 立川哲之さん

学生時代にボランティアで福島沿岸と関わり2020年に小高へ移住

20249月震災以降13年半空き家だった古民家を

改装し酒蔵へと息を吹き込んだ

彼が作るのはクラフトサケ。日本酒の技法をベースに、醪(もろみ)

()さずにどぶろくを作ったり、フルーツやホップを加えたりする

新しいお酒の形だ。

木の香りもします 

今朝まで木桶にいたどぶろくなので 杉桶も福島の杉で作って戴いていて

木桶職人 鴫(しぎ)原廣さんに 一番核となっているのがお米で

米農家 根本洸(こう)一さんが 有機農法で作っている米で

酒を造っています

 

大学時代に震災のボランティアで福島宮城岩手に来てましてボランティアに

行っているというと すごいいいことをしてそうな響きですけど

本当は仲良くなったおじちゃんたちに会いに行ってるだけみたいな

特に農家さんたちだったり 漁師さんたちがめちゃめちゃかっこいいなって

いうのがあって 小高でいうと避難指示区域で5年間人が住めなかった

地域に戻って農業を再開するっていう所に覚悟じゃないですけど

農業をやるとかそれ以上に土地を守るだったり自分たちのプライドを

守っていくみたいなところがあるなっていうのを感じて 

 

「この土地に自分ができることはないか」

酒造りへの関心と共に少しずつ発酵していった。

目標は「お酒を通して福島の沿岸に田畑を増やすこと」

お酒が生れるにはお米が必要で、お米が必要なら田んぼが必要になる。

一本の酒が、農地と人の手を呼ぶ戻す理由になる。

今は自分たちもよそ者が移住してきて造った酒でしかないと思っている

地域の人たちがおらが町の酒じゃないですけど 自分たちの酒

自分たちの町の酒というふうに思っていただけたときが地酒に

なる時なのかなと思っている

 

地酒になりたい、は、土地の未来に向かって慎重に置かれた一歩だった。

ぷくぷくしゅわしゅわと、この土地の空気の中で居心地よさそうに

弾けるどぶろく。発酵は、待つことだ。手放すことだ。

そして、毎日少しずつ変わっていく。希望のかたちだ。

 

福島で出会った味はどれも眩しかった。

その眩しさは、きらびやかな演出ではなく、

誰かが必死に続けてきた手つきの結果だった。

だからこそ、眩しいと同時に同じだけの重みがあった。

味の話をしているはずが、時間の話となり、

時間の話をしているはずが、それは命の話だった。

私は福島の旅で、何度も、おいしいを

未来へ向くための言葉として受け取った。

それは同時に、今、自分の両手の中にある日常を、

抱き直すことでもあった。

いつもは、いつまでもじゃない。

だからこそ、大切なことなんだろう、

私はどんな風に生きてゆけるだろう、と考える。

考え続ける。答えはまだない。

 

どれがまた食べたいですか?

石焼き芋!食べたい!

だから旅は、まだまだ終わらない。

2026年3月20日金曜日

プレバト「消せない写真で一句」

(まが)いもの見抜く力や春うらら

春憂う愛で理性が消え失せた

失われたものの復興土匂う

春の夕勝てるものは寿命だけ

春の月遠心力のなき人と

 

■プレバト纏め 2026319

消せない写真で一句

 

永世名人 村上健志 傑作50

狼の像に明るき雨や春

((お犬様)信仰が特徴 埼玉県秩父三峯神社に行ったときの一句

 鮮やかな着地 狛犬を思うかは読者に任せる 良い判断

 下五の着地がさすが やる時はやれる子といつき先生)

 

特待生昇格試験 三宅香帆

(おとがい 下顎の先端部分のこと)に春炬燵亡き犬の香よ

(心情が伝わる工夫が2つ 事実を述べるだけで思いは伝わる

10音を使って状況を描く 後半は嗅(きゅう)覚に訴える

 二重に読み手は納得をする 作者の世界に入っていける

 最後のよ思いのこもった詠嘆 お見事でしたといつき先生)

 

1位 矢柴俊博

参道を春へとこうべ尖らせて

(赤ちゃんが生まれた瞬間の吾子俳句 可愛さばかりが前面に出る

 この句は赤ちゃんが出てきた瞬間の普遍性をもった句になっている

 こうべ 尖らせてに強いRealityがある 春に喜びも詰まっている

 生まれてくる赤ちゃんへの永遠の賛歌のような素晴らしい一句でした)

 

2位 安藤和津

春怒涛朝日のすすぐ夫婦岩

添削(言葉で写真として表現 俳句は言葉のスケッチ 

季語から入って物に着地する

    評価が分かれるとしたら すすぐとは水をかけて清める印象

    「怒」「すすぐ」の対比が極端 俳句としての美しさ 

「や」調べがしまってくる 穏やかないい夫婦ですねといつき先生)

春涛(しゅんとう)朝日のすすぐ夫婦岩

 

3位 勝又春

落葉のメダルはるせんせー最後の日

添削(春の季語:落葉 とてもいい内容 子どもの言葉そのまま 

調べの点で1点だけ  七六五としてあるが七七五と

音を取り戻した方が得 調べがもう一度立ち上がる)

落葉のメダルはるせんせー最後の日

 

4位 橋本じゅん

大拍手この身貫き返り花

添削(季語:返り花 春咲くはずの花が冬に咲く 状況・理由・人

   ヒントがない よいのかどうか? もっと大変な思いをしてる

   添削により身を貫くような大拍手をみんなが想像してくれる)

復活の舞台や返り花白し

 

5位 マユリカ阪本

人目避け目立つ友との冬休み

添削(意味のない企み そのまま描写すればいい 多少分かったみたい)

変装のマスクは怪し冬休み

変装の金髪ウィッグ冬休み

 

・清水麻椰チャレンジ

風光る大屋根リングいざ行かん

 

次回のお題は「旅館のご馳走」

2026年3月19日木曜日

夏井いつきのよみ旅!in仙台

死してなお北窓開くエプスタイン

亡き人へ許せぬ思ひ砂あらし

風船をいくつ飛ばせばいいのやら

(武相荘)福寿草いつもの場所に咲きにけり

枝垂れ梅風にゆらゆら足止めん

 

■夏井いつきのよみ旅!in仙台 みんなで読み解く❝俳句が映す東日本大震災15年❞

名取市閖上(ゆりあげ)地区

東日本大震災で津波被害を受けた震災後 堤防はかさ上げされる

せり:春の季語 春の七草の1つ 宮城県は生産量日本一

せり農家 三浦隆弘さん

下の(名取市)閖上地区に海の方に排水して流してしまうと

ご遺体捜査とか片づけとかで すごく支障をきたすということで

なるべく下流の集落に水を流さないよう名取の人たちは意識して

自分の田んぼだけいいんだという考えの農家はいなかったと思います

人も野菜も根っこが大事ってよく言うんですけど

仙台ならではを深めていきたいなと思います

 

1/5

芹を買うその靴で田に入るんか   玉枝

 

2/5

母指のひび君の軟膏塗り待つ春   ドカベン太郎

(夫婦の俳句交換日記

 春は来る春は来る来る墓参り 

 妻・のぞみ 5歳上のお姉さんを7年前に亡くした

 春来たり巡り来る我も姉の墓にも

 

俳句咲く咲く!

木戸直樹

寅さんを纏ひ一走しゃぼん玉

ラン歴10年以上になる

木戸さんMEMO

寅さんのコスプレで大会に出場 観客を喜ばせるのが楽しみ

添削 寅さんのコスプレランナー山笑う

俳句上達ポイント

季語を「山笑う」とすることでランナーと山の映像が浮かぶ

 

浅野留美

春の旅思わぬ連れができまして

(作品としては「思わぬ連れ」の正体を書いたほうがわかりやすい

 表現する主体の作者が連れの正体を書きたくないとすれば

 これは七分咲きの名句として置いておけばいいのかなと思います)

 

松山彩

比例する癒しと出費猫の恋

添削 推し活の癒しと出費猫の恋

俳句上達ポイント

何が癒しと出費になっているのか書いたほうがいいパターン

 

大場唯

桜雲(おううん)に背中を押され走り出す

添削 走り出す桜の雲に背を押され

俳句上達ポイント

語順を変えると映像が浮かび作者の思いも表現できる

 

青木りんどう

ガジュマルの幹の太さを問ふ弥生

(がじゅまるの幹っていうと書かなくてもいいようなことなんだけど

 幹の太さをって持ってきて「一体何なんだ?」と思ったら 問ふという

動詞が出てくる 誰が誰に向かってガジュマルの幹の太さを

問ふているんだろう 読者はいろいろ想像し始める)

 

ROLAND俳句お悩み相談室

ボランティアサークルPASS代表 池田美加

副代表 吉田風菜

災害の恐怖を知らしめる秘密結社 ディザスターズ

グラングラドン タイフーン サイガーイ ボヤボーヤ

防災レンジャー

 

先生になるかを悩む花曇り 吉田風菜

ROLAND 人生一回なんだから悩んでいるんだったらやってみたら

 

猫の恋彼氏とうまくいきたいな 池田美加

ROLAND 男が一番手を抜く瞬間は「こいつ俺にほれてんな」

って思わせたらダメ 好きって態度が出し惜しみできる人がずっと愛される

男は愛されるより不安に思った時一番頑張るから これコツ

 

3/5

点滴の針跡消えて入学す   檜野美果子

木のめ風シールのこうかんたのしいな   檜野莉子ちゃん

はるのにじうすむらさきのらんどせる   檜野咲知ちゃん

2026年3月18日水曜日

あの本、読みました? 若林正恭

白き輝き焼き場の帰り寒戻る

土手の風色づき始む春の草

遊心や春の余白を独りぼち

石鹸玉(しゃぼんだま)気付かぬ時間が愛おしく

哀しみを包む喜び星朧

 

■あの本、読みました?

オードリー若林正恭(まさやす)・初の小説「青天(あおてん)」が大ヒット!創作秘話

若林正恭 加藤千恵 鈴木保奈美 山本倖千恵 林祐輔P

 

鈴木保奈美のInstagramFollow?ご本人ですか?

はい!そうです。

すぐ、FollowBackしました。 から始まりました。

 

「青天」の帯

人にぶつかっていないと、自分が生きているか どうかわからなくなる。

 

高校生のアメフト 予選を10年間観戦

60点差にも関わらず走っている子がいてその子のことが書きたくなった

アメフトは勝敗ではなく一瞬が記憶に残る

「青天」はアメフトの専門用語

「痛み」を書く、言葉にするのが難しかった

参考にしたのは「官能小説」

 

「青天」の一文 若林正恭著/文藝春秋

ボールのキャリーになった瞬間、注目が一身に注がれる。

誰にも無視されない。この世界で俺が要注意人物になれる唯一の時間だ。

ディフェンスの全員が俺を止めるために集まってくる。

俺は少しでもボールを前に進めること以外考えられなくなる。

大学に行けないこととか、卒業が危ういこととか、彼女ができたことが

一度もないこととか、そういうことがどうでもよくなる。

 

川瀬司 戦術マニア 親友 アリと対比させるための人物

高山 チョモ 後輩 保奈美さんが好きな登場人物

丹波 北澤 不良グループ 同級生 林Pのお気に入り

 

「青天」の一文 若林正恭著/文藝春秋

どんな集団にもある程度のルールが必要だってことぐらい俺にもわかる。

だけど、こいつらの気に食わねぇとこは、頭ん中がルールでガチガチのくせに、

自分たちがやっていることを❝個性❞だの❝自由❞だのとと呼んでいることだ。

いつも頭の中がルールでガチガチだから、いずれ大学の面接の時期になったら

茶髪を黒髪に戻してロン毛を短髪にすることも余裕でやってのける。

大学に入ったらまたルールに従ってブリーチして、

そんで社会に出るタイミングでまたルールに従って黒髪に戻す。

それの何が悪いと言われたら、何も悪くない。

むしろ正しい。そうだ、どうせ正しいんだろ?

 

出版できるレベルか相談した人は?加藤千恵(歌人で小説家)

 

初小説「青天」が大ヒット 作家・若林正恭を語る 出版秘話 加藤千恵

つまんなかったらどうしよう…。

エッセイと小説とは違う

読み進めるうちに「絶対、出してください」と答えた

加藤さんは「岩崎先生推し」倫理の教諭 主人公アリと哲学的会話をする

岩崎先生シーンで泣いた

「一人でも多くの人に届くといいなと思います。

アメフトが理解しきれませんでしたが面白く思っています。」

 

時代背景である1999年をおじさんに「懐かしい」と言わせたい…。

「現在、おじさんが日本一居場所がないと言われている時代」鈴木

 

文藝春秋編集者 単行本担当 黒岩里奈

一番巧みで敏感な所は? 身体的痛みの表現

 

「青天」の一文 若林正恭著/文藝春秋

思わず手を握り返すと、身体が簡単に引っ張り上げられた。伊部だった。

そのままゆっくりした動作で落ちていたボールを拾い、

俺の胸元に差し出した。「走り方が気に食わない」

 

伊部 スター選手 遼西学園

ライバル高のスター選手 伊部の一言に込めた思い

アリがアメフトを心から楽しんでいるので気に食わなかった一言だった

 

エッセイ

表茶道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

(帯 初小説「青天」 血の通った関係を探す、魂の旅路の記録

斎藤茂太賞を受賞)

「表茶道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」の一文 若林正恭著/文春文庫

20代の頃は金がなくて、飲みに行っても割り勘分を払う能力がなくて

惨めな気持ちになるので、高校の友達とは会わなくなった。

それから10年が経った30代の半ば、正々堂々と旧友に会える

自分になれた気がしたので、友達の結婚式の二次会に参加した。

そこで、久しぶりに会った旧友とのテーブルで収入をしつこく聞かれた。

「本当にがんばったね」そう言ってもらえることを

どこかで期待していた俺は甘かった。

あまりにもしつこく収入を聞かれるので、めんどくさくなって

ハッキリと年収を言った。返ってきた言葉は「ズルい」という言葉だった。

言った相手は20歳の頃に俺が「芸人になる」と言った時、

応援してくれた奴だった。金がなくても居心地が悪いし、

あっても居心地が悪い。帰り道は少しだけ寂しかった。

そんなものだと割り切れれば、どこにでもある、

なんてことはない話だ。でも、一体誰の仕業なのだろう。

 

家庭教師に「産業革命を勉強して」と言われて勉強した。

キューバで感じた経済格差

アメリカからキューバへはゲームを送ってよい

亡命した人の方が物質面では恵まれていた

 

「表茶道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」の一文 若林正恭著/文春文庫

あたりが暗くなってくるとマレコン通り沿いにオレンジの街灯がついて、

昼間とは違う表情になる。この景色は、なぜぼくをこんなにも

素敵な気分にしてくれるんだろう?いつまでも見ていられる。

ぼーっと目の前の風景を眺めていると、なるほどそうか、

あることに気づいた。広告がないのだ。

この資本主義と共産党が独裁体制と敷く社会主義の比較は

亡き父親が行きたかったキューバだった

 

加藤千恵さん

若林さんの視点は独特 同じ場にいても違う場所を見ている

優しさと激しさと同時に冷静さが同居している

矛盾ではなく常に別の視点が存在している

生きてくのが大変そう

 

「ナナメの夕暮れ」若林正恭著/文春文庫

(帯 初小説「青天」の答え合わせ❝青春❞の痛みを超えて生きるための戦術所

 

「ナナメの夕暮れ」文庫版 朝井リョウによる解説の一文 若林正恭著/文春文庫

思えばタイトルにもある“夕暮れ”とは、どんな色とも言い難いグラデーションを

味わう時間帯のことである。おそらく、社会に対して斜に構えている

時間の終わりを表す意味での このセレクトなのだろうが、私には

どちらかというと、冒頭で【社会が地元になった】とは言い切らず

【社会が地元になりつつある】と話す 著者の変化の表れに感じられた。

そんな、どの色にも分類し難い内面の変化を詳らかに描写する著者の姿勢は、

もし“変わってしまった”と嘆く人がいたとして、そのショックを上書きしうる

誠実さに満ちている。

人間に、変わらないことで愛され続ける部分と変わることで愛され始める

部分があるとするならば、この本は、後者の存在を強く示してくれる。

それは、どうしたって変わりながらでしか生き続けることのできない

私たちにとって、頼もしい光となる。

 

若林正恭氏のお薦め本

「世阿弥最後の花」藤沢周著/河出文庫

室町の世を幽玄の美で瞠目させながらも流罪となった世阿弥元清、72歳。

なぜ佐渡へと流されたのか?なぞと真実に迫る。

瞬間を切り取る筆の力が一番だと思っている 若林

指先から足の先まで体の細胞まで描き切っている

 

「オレンジ・アンド・タール」藤沢周著/光文社文庫

スケボーに熱中するアウトローな高校生カズキ 青春の悩みを赤裸々に描いた快作

一番好きな小説 スケボーから飛んだ瞬間を「世界が停止した」と表現している

魂を持っていかれた 影響を受けている 若林

 

若林正恭氏のことは尊敬していたのですが、まさかここまでとは…。

私の想像をはるかに超えておられました。

尊敬の念が深まりました。