日向ぼこ型には全部心あり
無き型に型破りなし冬星座
伝統に革新のある晩三吉(おくさんきち)
型に心を持ち後世へ雪見
冬を舞う勘三郎の型と切れ
■NHK俳句 兼題「石」
選者:岸本尚毅 レギュラー:紅甘(ぐあま) 司会:柴田英嗣
年間テーマ「描写の工夫」
地味な石をどういうふうに主役をはらせるか脇役で使うか
・俳句の種を育てましょう!
石のやうな月と思う山眠る 紅甘
山眠る:冬の季語 山笑ふ:春の季語 山滴る:夏の季語 山粧ふ:秋の午後
歴史的仮名遣い現代仮名遣いどちらかにそろえる
石のやうな月が出てをり山眠る
⇩
浮く石のやうなる月や山眠る
ルネ・マグリット「現実の感覚」(1963)
描写のポイント浮かぶ石を月に見立てる
身近な存在の「石」によって突飛な発想が受け入れやすくなる
描写の工夫「石を描写する」
冬ざれの石に腰かけ今孤独
⇩見事な遂行
冬ざれや石に腰かけ我孤独 高浜虚子
(冬ざれ:冬の季語)
・今週の特選句 兼題「石」
凍(い)つる夜の石像前の待合せ 鈴木秀行
石割れば蟹の化石や秋の風 白浜尚子
木の長椅子石の丸椅子秋の暮 小栗しずゑ
石炭で栄えし町のくじら鍋 奥田誠
石段を引っ掻(か)く箒(ほうき)寒雀 加藤幸龍
いつも石出す子に負けて炬燵の間 村野真澄
・特選三席
一席 五ユーロの焼栗パリの石畳 佐藤ひろみ
二席 大根を頼みましたよ石を置く 仲谷克巳(み)
三席 胆嚢に石ころ三つ草の花 草夕(そうゆう)感じ
・はみだせ!教室俳句
愛媛県宇和島市立明倫小学校 芳谷あゆみ先生
秋高し空中ブランコ握る汗
ジェットコースターの感覚残る秋薊(あざみ)
乗り物対決はジェットコースターの勝ち!
・「見どころあり!」の一句
花冷えのなゐに崩るる城の石 角谷厳(すみやいわお)
なゐ:地震⇩推敲
花冷やなゐに崩れし城の石
(上五は切字を用い、中七は過去を示すために過去の助動詞連体形の「し」をつける)
・紅甘のつぶやき
今と過去と石
■NHK短歌 テーマ「電話」
選者:荻原裕幸 ゲスト:ikoma 司会:ヒコロヒー
年間テーマ「短歌は時代の波に乗って」
死ぬことも生きていくことも選べなかったただ来年の手帳を選ぶ十二月
ヒコロヒー
・今月のテーマ「電話」
妻に電話をしたはずなのに海鳴りの響くどこかの街に繋がる
荻原裕幸
・入選九首 テーマ「電話」
ママごめん悪い娘しますアパートの受話器外してお出かけします
芋田智恵子
「あいさんをお願いします」「わたしよ♡」とお母さんが出たときがある
木村英樹
いちめんのなのはないちめんのなのはなたちおうじょうのでんわぼっくす
佐藤研哉(山村慕鳥(1884-1924)詩人の本歌取り
有名な作品の語句や趣向の一部を自分の歌に取り入れて作ること)
二席 私 君からの「牛乳無い」の留守電を消せないままですぎる10年
冨尾大地
傍らの天使に語り終えたあとブルートゥースのイヤホンを置く
野村真也
私 兄なりにグレてたらしい母からの着メロがダーク・ベイダーのテーマ
いずみはる
三席 クレームの電話専用左耳今Amazonで半額セール
竹内一二(かつじ)
一席 私 すぐそこにいると気づかず電話する恋人たちに挟まれて冬
成見薫
私 天国の人とお話しできる機種あれば即座に乗り換えたいが
本那榮子
・荻原流 読み方指南
今月の詠み方指南 本歌取りをしてみよう
本歌取り:有名な作品の言葉や情景などを自分の作品に取り入れて作ること
咳をしてもしなくてもリビングに人がゐて二人なのだと思ふ
荻原裕幸
咳をしても一人 尾崎放哉
自由律俳句の本歌取り 放哉にマウントを取っている荻原先生
尾崎放哉(1885-1926)俳人
波乱に富んだ生活の中で独自の自由律の句境をを確立した
ヒップホップではサンプリングという文化があって曲の一部を切り取って
ループさせたり 誰かのラップとか言葉を用いて新しく作ることがある
元々の作品がいいからこそハードルが上がってしまう ikoma
その作品が好きかどうかが大事 荻原
短歌づくりのコツ
本歌取りは元の作品を心から大切にして深く理解してこそ新たな表現につながる
Ikomaさんの電話短歌
信号に姿を変えて訪れた画面に残る君の足跡 ikoma
(これは着信履歴)
ジャンルの垣根はどうやったら超えられる? 荻原
お互いのジャンルにリスペクトを持つ
人を好きになればその人のやっていることも好きになる
胎動短歌にご投稿を…。 Ikoma
新聞の短歌欄(特に「読売新聞」の「読売文芸」など)、
歌誌(「短歌」「角川短歌」「短歌研究」など)の一般投稿コーナー、
SNS(Twitter/X)のハッシュタグ(#胎動短歌、#短歌投稿など)、
そして特定の公募短歌会やウェブサイトが主な選択肢。
・ことばのバトン
赦すほかないほどの星、星、星、
挿元おみそ(SNSクリエーター)
⇩
甘く焦げてく凍ったはずの血
ハイパーミサヲ(プロレスラー)
ペガサスは私にはきっと優しくてあなたのことは殺してくれる
冬野きりん
穂村弘著「短歌ください」の帯にもなっている
私にとって痛みを表現する方法が短歌 プロレス
なんか似ているなという