2026年2月16日月曜日

兼題「鶯」

ウクライナ人を詠む

春の雲洗脳されて戦場へ

共に生く犬を殺され春の空

祖国より犬を愛して春の草 

祖国では裏切り者の春の夜

ロシアでは使い捨てされ冬の星

 

NHK俳句 兼題「鶯」

選者:和田華凜 ゲスト:月亭八織 司会:柴田英嗣

年間テーマ「季語からみるDNA」

平安時代より愛された鶯。子季語には「春告鳥」「経読鳥」「人来鳥」

 

兼題「鶯」は春の季語

冬の間、山に居ますが、春になると人里に現れて春を告げる

平安時代から「初音」は歌人たちに愛されて多くの歌に詠まれてきた

「初音」とはその年に初めて聞いたうぐいすの声

季語で「初音」というと「鶯」のこと

鶯の傍題

春告鳥 歌詠み鳥 黄粉鳥 匂鳥 花見鳥 鶯の谷渡り

経読鳥(「経」というのは「ほー法華経」お釈迦様のお経)

人来鳥(「ホーホケキョ」に続いて「人来る 人来る」と鳴いている)

言葉は想像を膨らます 俳句の醍醐味

 

文鳥もいろんな感情がある 文鳥ってブチ切れをする

理不尽なブチ切れをする 八織

 

うぐいすの声を聞くと思い出す言葉がある 

「初心忘るべからず」世阿弥の言葉

明日がきて暮らしているということを当然のことのように思っている

冬から春になって暖かくなってきたのは当たり前のことじゃない

「有難い」という言葉は「有ることが難しい」と書く

今日があって明日があってということに感謝したいなという気持ちで

冬から春になるこの時期にいつも

「初心忘るべからず」という言葉を思い出すようにしています 和田

 

ついつい関係性が緩くなる時がある 

師匠がいなければと感謝をする瞬間がある 八織

 

初心というのは謙虚な心や感謝の心 それを思い出すことは良い 和田

 

・名句鑑賞

うぐひすの啼(なく)やちひさき口明(あい)て   無村

無村は画家としても有名 俳句は言葉で写生する 景色をうつし出す

うぐいすの小さな口を発見してそこから出る美しい声

あたりの空気感まで伝わってくる名句

「うぐひす」「ちひさき」もひらがなで書いている

かなで書くことでうぐいすの小さな口とかかわいらしい姿が見えてくる

写生も初心にかえったような句

 

鶯の身をさかさまに初音かな   其角(きかく)

初音を聞いたときのうぐいすの状態がさかさま

木にぶら下がりながら「ホーホケキョ」と

鳴くのを見つけた瞬間の喜びがあふれてくる 和田

珍しい状態を見られた喜びじゃないかなと思う 柴田

凄い奇跡が起きた瞬間 八織

一会の奇跡の瞬間ですね 和田

 

・特選句 兼題「鶯」

鶯やだらりの帯に子風呂敷   寺田秋悦

鶯や空欄多き時刻表   石井説雄(せつお)

春告鳥光のページ繰る野辺に   七瀬ゆきこ

うぐいすのこゑに黄色の浮力かな   押見げばげば

鶯や鏡に見せるランドセル   植野史理(ふみとし)

鶯や私のアディショナルタイム   秋本哲

アディショナルタイム:ご褒美時間 八織

俳句では余生 消極的なイメージ

カタカナを使った事でまだまだ攻めていくぞというイメージが伝わってくる

アグレッシブな感じがする 和田

 

・特選句 けんだい「鶯」

一席 うぐいすやDNAに音符あり   千田茂樹

二席 ビバルディ日和始まる初音かな   泉勝明

三席 鶯や耳へ黒髪かける癖   松本逸朗

 

・月亭八織の一句

落語聞く鶯さえずり破顔一笑   月亭八織

(落ちのところでうぐいすが「ホーホケキョ」と鳴いて

お客さんが落語で笑ったのかうぐいすでわらったのか

みんながとってもいい 何とも言えないほのぼのとした笑いになって

うぐいすに助けられたな 八織

「破顔一笑」という所が素晴らしい うぐいすの声が聞こえてくるし
落語も面白いしみなさんが笑顔になるという内容がいい 和田

添削 鶯や破顔一笑落語会

(これは三段切れでは…❓)

三段切れになってしまう「さえずり」は春の季語 和田

「や」以外ぜんぶ漢字なところも落語っぽい 柴田

 

季節を感じていただけるような落語を届けていきたいなと思います 八織

 

・柴田の気づき

鶯の声初心忘るべからず

(総決算ということで十七音に)

十月「十七音で嫌な事は昇華しよう」が一番心に残っているとか…。柴田

七月「心のシャッターを切る」俳句は瞬間を切り取る

五感で感じた事をその時に心のシャッターを切る 

素晴らしい気づきだと思った 気づいてくれたのが嬉しい 和田 

2026年2月15日日曜日

福田恆在の名言

ウクライナ人を詠む

冴返る牢目をくり抜かれ殺されて

心情を貫き命堕とす春

揺らぎなき信念持ちて春に逝く

花の蕊(しべ)祖国の人は殺せない

春の夕焼けロシア人になろうとも

 

■福田恆存(つねあり)の名言

福田恆存(作家)は、日本の評論家、翻訳家、劇作家、演出家。

1969年から1983年まで京都産業大学教授を務めた。

1981年より日本芸術院会員。

 

自分が相手とともにいて孤独だと思うときは、相手も孤独なのだと、

なぜそう考える余裕をもたないか。

それこそ、真の意味の「理解」ということでありましょう。

『私の幸福論』

 

私たちは認識のためにも、行動しなければならぬ。

そして失敗するだろう。それが悲劇の型である。

喜劇は、このいきちがいからの脱出を描く、それだけのちがいだ。

『人間・この劇的なるもの』

 

死は生を癒すものであるばかりでなく、それを推進させるものなのだ。

終止符がうたれなければ、全体は存在しないし、

全体を眼のまえに、はっきりと見ることができない。

『人間・この劇的なるもの』

 

こういうふうに自分の位置を測定する能力、しかも、たえず、

流動変化する諸関係のなかで適切に行動する能力、

そのみごとさが教養というものであります。

『私の幸福論』

 

結合のあとの分離こそ、その次の段階の結合を深めるものだと、

なぜ考えないのか。そう考えるべきです。

『私の幸福論』

 

教育と教養とは別物です。教養を身につけた人間は、

知識階級よりも職人や百姓のうちに多く見出される。

『伝統に対する心構』

 

私の幸福論をなぜ容貌の問題からはじめたかというと、

私は、世のなかにはどうにもならないことがあるということを

いいたかったからであります。

『私の幸福論』

 

必然性というものは個人の側にはなく、つねに全体の側にある。

『人間・この劇的なるもの』

 

私はつつましさ、羞恥心というものは最も日本的な美徳だと思っております。

『私の幸福論』

 

生はかならず死によってのみ正当化される。

個人は、全体を、それが自己を滅ぼすものであるがゆえに認めなければならない。

それが劇というものだ。そして、それが人間の生きかたなのである。

『人間・この劇的なるもの』

 

生きる喜びとは主役を演じることを意味しない。

 

私という演戯とは、絶対的なものに迫って、自我の枠を見いだすことだ。

自我に行きつくための運動の振幅が演戯を形成する。

『人間・この劇的なるもの』

 

真の意味における自由とは、全体のなかにあって、

適切な位置を占める能力のことである。

『人間・この劇的なるもの』

 

まずなによりも信ずるという美徳を回復することが急務です。

親子、兄弟、友人、そしてさらにそれらを超えるなにものかとの間に。

『私の幸福論』

 

肉体主義というのは、かならず自慰に堕するものなのです。

『私の幸福論』

 

参照:https://todays-list.com/i/?q=/%E7%A6%8F%E7%94%B0%E6%81%86%E5%AD%98/1/1/

 

2026年2月14日土曜日

偉人達の名言&「鴨」

尊敬の欠片も無くす春疾風(はやて)

トランプを見放す世界花曇り

トランプへ射す暗い影砂あらし

政治は商いに非ず春愁

米国民の抱く疑惑や春の闇

 

■夏井いつきのおウチde俳句

一分季語ウンチク「鴨」

 

地域によっては家の近所で見かけるわ

という方もいらっしゃるかもしれませんね

冬に日本各地で見られるポピュラーな鳥の一つです

「鴨」は基本的に秋から冬にかけて北方から日本へ渡ってきて

そして越冬した後 春になったら また 北へと帰っていく

そういう習性を持っている鳥ですね

そんな中で残っていく「鴨」のことを

また別の季語で言ったりもするのですが

そうやって冬の間 水面で過ごしている

そういったものが この「鴨」という季語の

本意になってまいります

中には「鴨」と聞くと食べると美味しいですよね

ということを連想なさる方とか 鴨肉ですね

と思う方も いらっしゃるかもしれませんが

原則この動物のジャンルで「鴨」といった場合には

基本的に生きている動物として描写する

そういう季語の扱いになってくるでしょう

 

■偉人達の名言

「為せば成る、為さねば成らぬ。何事も成らぬは人の為さぬなり」上杉鷹山

 

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ」山本五十六

 

「是非に及ばず」織田信長

 

「面白きこともなき世を面白く住みなすものは心なりけり」高杉晋作

 

「夢なき者に成功なし」吉田松陰

 

「精神的に向上心のない者は馬鹿だ」夏目漱石

 

「未来が其の胸中に在る者 之を青年と云う 

過去が其の胸中に在る者 之を老年と云う」植木枝盛

 

「失敗の責任は主君に、成功の功績は家臣に」曹操

 

「おこないはおれのもの。批判は他人のもの、おれの知ったことじゃない」勝海舟

 

「丸くとも一かどあれや 人心 あまりまろきはころびやすきぞ」坂本龍馬

 

「私がしているのは決して大きなことではないが、必要なことなのだ」チェ・ゲバラ

 

「世界全体が幸福にならないかぎりは、個人の幸福はありえない」宮沢賢治

 

「弱虫は、幸福をさえおそれるものです。綿で怪我するんです。

幸福に傷つけられる事もあるんです」太宰治

 

「千日の稽古をもって鍛となし、万日の稽古をもって錬となす」宮本武蔵

 

「この世に客に来たと思えば何の苦もなし」伊達政宗

 

「背伸びして視野をひろげているうち、背が伸びてしまうこともあり得る。

それが人生の面白さである」城山三郎

 

参照:あなたが好きな日本史上の人物の「名言」ランキング

https://rekishikaido.php.co.jp/detail/2700

 

私感

「道徳なくして経済なし」

論理的な経営や商売には正しい倫理観が不可欠ではないでしょうか?

渋沢栄一が提唱した「道徳経済合一説」や、

二宮尊徳の「道徳なき経済は犯罪、経済なき道徳は寝言」という

教えこそが基本では?

利益追求と社会貢献は常に依存関係になくてはならないと思います。

2026年2月13日金曜日

思わず撮った写真で一句

セゴビアを愛した男のんどりと

星付きの国の紋章春の空

春日和歴史遺産を伝播せり

ユダヤ人へ想いを寄せて星朧

ユダヤ人の隠した文化朧月

 

■プレバト纏め 2026212

「思わず撮った写真」で一句

 

永世名人 藤本敏史 傑作50

大楽屋笑い上戸の来て小春

(「大」付けたのが良かった そのまま季語に流れ込んでいく

 明るさが花開くような気分 映像のない時候の季語を置くのが得意

 迂闊に手は出さないほうが良い)

 

永世名人を目指す昇格試験 中田喜子

触れたき彩雲上昇の朝東風

(朝東風:春の季語 早春の朝に吹く肌寒さを感じる春の風

 彩雲:古くから吉兆の前触れと言われてきた 語順が惜しい

 「触れたいような彩雲」説明の語順あの雲に触れたいという

あなたの気持ちが大事 語順が逆 映像がよりクリアになる

語順を変えていたら一発で永世名人)

彩雲触れた上昇の朝東風(ごち)

 

一位 加納

新入りのD木枯らしのRECボタン

(Dのような業界用語を使うのは俳句の世界では評価は分かれる

 どんな業界かが分ったりどういう立場の人か人物も見える

 上手に使うなら何の問題もない 木枯らしという季語を中七に

 上手いこと入れてきた 「の」を入れて「RECボタン」に性格付けをした)

 

二位 猪狩蒼弥

春は遠し故郷も遠し夢遠し

添削(故郷とか夢というのは凡人ワード)

ドーム遠し故郷春遠し

 

三位 藤田憲右

ロスの空父子の夢見る球春に

添削(球春は頭に持ってくれば良かった 語順が悪かった)

球春父子の夢見るロスの空

 

四位 永島優美

玄関に靴のぶかぶか春隣

添削(春隣:もうそこまで春が来ている様子 母娘の状況が言いたいところ)

春隣ママのヒールはぶかぶか

春隣ママのブーツはぶかぶか

 

 

五位 武尊

冬茜有終へ向く道標

添削(冬茜:「冬夕焼」空気が澄んで鮮烈な赤に染まる 

抽象的な表現になっていて映像が見えてこない

世界を目指す人は早々いないので夕焼けの色の見え方も変わってくる)

冬茜世界一への道標

 

・清水麻椰チャレンジ

春眠や寝ぐせとTシャツの鼻血

2026年2月12日木曜日

菜の花忌 司馬遼太郎の名言 

忘れえぬ思いを生きる菜の花忌

筍やわずかに土を盛り上げん

筍や鍬を持つ手に力込め

春の霜筍掘りの始まらん

陶石を継ぐ人おらず春の雪

 

■司馬遼太郎の名言

人の諸々の愚の第一は、他人に完全を求めるということだ。

 

人間にとって、その人生は作品である。

 

勇気と決断と、行動力さえもちあわせておれば、

あとのことは天に任せればよい。

 

君たちはつねに晴れあがった空のように、

たかだかとした心を持たねばならない。

同時に、ずっしりとたくましい足どりで、

大地をふみしめつつ歩かねばならない。

 

人間は、自然によって生かされてきた。

古代でも中世でも自然こそ神々であるとした。

このことは、少しも誤っていないのである。

 

人間は決して、孤立して生きられるようには、作られていない。

 

何でも思い切ってやってみることですよ。

どっちに転んだって人間、野辺の石ころ同様、

骨となって一生を終えるのだから。

 

通常、人間は議論に負けても自分の所論や生き方は変えぬ生きものだし、

負けたあと持つのは負けた恨みだけである。

 

ほとんどの人は、永く生きたようなつもりでいながら、

じつは語るに足るほどの体験は数件ほどもない。

短編小説として搾りとれば三遍もできあがらない。

 

古来、英雄豪傑とは、老獪と純情の使いわけのうまい男をいうのだ。

 

人間はもっとも崇高なものに騙されないと

幸せになれないという厄介な生きものではないか。

 

人生は一場の芝居だというが、芝居と違う点が大きくある。

芝居の役者の場合は、舞台は他人が作ってくれる。

なまの人生は、自分で自分のがらに適う舞台をこつこつ作って、

そのうえで芝居をするのだ。他人が舞台を作ってくれやせぬ。

 

心にコドモがいなくなっているオトナがたくさんいますが、

それはもう、話すにも値しない人間のヒモノですね。

 

人間、事を成すか成さぬかだけを考えておればよい。

 

わずかに他人より優れているというだけの知恵や知識が、

この時勢に何になるか。そういう頼りにならぬものに

うぬぼれるだけで、それだけで歴然たる敗北者だ。

 

人の世に、道は一つということはない。道は百も千も万もある。

 

自分というものに学校というものは一切存在理由がなかった。

自分にとって、図書館と古本屋さんさえあれば、それで十分であった。

 

心を変えろ、心を。日本を背負う気になってみろ。

その気になって背負えば、日本などは軽いものだ。

いやそれがむしろ悲しい。病み呆けた老婆よりも軽い。

 

人間に本来、上下はない。浮世の位階というのは泰平の世の飾りものである。

天下が乱れてくれば、ぺこぺこ剥げるものだ

 

人間というものは、いかなる場合でも、好きな道、得手の道を捨ててはならん。

 

基準を学問という。基準のない人間は、人から信用されない。

美でもない。美でもなければ人から敬愛されない。

 

参照:https://soul-brighten.com/shiba-ryotarou/

 

私感

今日は司馬遼太郎先生が亡くなって三十年。

生前、司馬遼太郎先生とお食事をともにした事が…。

司馬遼太郎先生とは存じ上げず、

人生最大の失態を冒してしまいました。

せっかく瀬戸内美八女史が昼食をご一緒する機会を

与えてくださったのに、一言も喋らず…。

遅まきながら、失礼致しました。謝…。

2026年2月11日水曜日

あの本、読みました? 宮島未奈

春の空洗濯物を巻き添えに

春の鮭髪真っ直ぐにたおやかに

黒北風(くろきた)や巧妙なスパム出現

しなやかに且つ雅やか春の雪

春の雪地を抗いて舞い上がる

 

■あの本、読みました?

200万部越え!成瀬シリーズ特集~著者・宮島未奈の創作ウラ話

 

宮島未奈 鈴木保奈美 山本倖千恵 林祐輔P

羽毛田譲治 水本佑史 間室道子

 

成天「成瀬は天下を取りにいく」の一文 宮島未奈緒/新潮文庫刊

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」

成信「成瀬は信じた道をいく」

成駆「成瀬は都を駆け抜ける」

シリーズ累計発刊部数210万部突破

シリーズついに完結!著者・宮島未奈が語った成瀬の魅力

 

完結作「成駆」について

 

「成瀬は都を駆け抜ける」の一文 宮島未奈緒/新潮社

「もしよかったら、私が所属する達磨研究会に遊びにきませんか」

「達磨研究会?」坪井氏が眉をひそめた。

そうなるだろうと想像したとおりである。

もっと女性受けするネーミングだったら良かったのだが、

仮にネーミングが良くても活動内容があれでは詐欺になってしまう。

「達磨の研究というと、

目の描き入れ方や転がりやすさを研究するのか?」

成瀬氏にまじまじと聞かれたら恥ずかしくなってきた。

「そ、そうではなくてですね、京大小説…というか、現代小説における

京都大学の表象について語る?などして、親睦を深める会です」

(中略)

「ちなみに、達磨というのは森見登美彦氏の作品に登場するアイテムから

取っています。お二人は森見氏の小説を読んだことがありますか?」

「兄弟のことが書いてあるって聞いて、高校の図書室で借りて

読んだことあるけど…成瀬は?」

「私は読んだことがない。どんな小説なんだ?」

「あっ、それならこれを貸します」

私は鞄から『夜は短し歩けよ乙女』の文庫本を取り出した。

久しぶりに読み返そうと思って持ち歩いていたのだ。

「ありがとう。達磨研究会の例会はいつだ?」

「来週の火曜日の十八時過ぎから、白川今出川の会長宅でやります」

「それまでに読んでおこう」「行くんだ」坪井氏がつぶやくように言う。

成瀬氏は黒髪の乙女に対してどのような感想を持つのだろう。

私は二人と連絡先を交換し、

期待と緊張が入り混じった気持ちでその場を離れた。

 

森見登美彦さんへの思い リスペクトを込めて描いた

お互いの扉を開け合っている

 

解説 森見登美彦

面白い小説というものは一行目から面白い。

―お前は何と言っているんだ?

と、読者に思わせることができれば「勝ち」である。

そもそも読者というものは小説を読むのを面倒くさいと思っている

(少なくとも私は面倒くさい)。だからこそ、

作者は気合いで勝たねばならない。一行目は生きるか死ぬかの

真剣勝負なのである。「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」

一行目の勝負に勝ち、本作は天下を取りに行く。

とはいえ、さすがに変ではある。多くの読者は西武大津店なんて

知らないだろう。私だって浜大津アーカスしか

 

三宅香帆 宮島未奈

京大への「愛」と「憎」

京大生の成瀬あかりについて

 

成瀬あかりと京都 普段使いの京都を書きたい 宮島未奈

京都を極める 京都に対するメッセージ

成瀬あかりの両親像

 

「成瀬は都を駆け抜ける」の一文 宮島未奈緒/新潮社

美貴子の頭に嫌な記憶が蘇る。

二学期の終わりに行われた三者面談のことだ。

ストーブが入っていてもまだ寒い教室で

五十歳ぐらいの男性教師がにやにやしながら言葉を並べる。

「あかりさんは協調性がなさすぎます」

「夏休みの宿題、全部やることが目的になっていませんか」

「運動会で優勝しても一人だけ喜んでいませんでした」

あかりの言動に苦言を呈されることは過去にもあった。

いつも美貴子は適当にかわしてきたが、

その担任の指摘はあまりに陰湿だった。

「お母さんからもちゃんと言ってあげてくださいよ」

ひとつひとつに反論したいところだが、相手が考えを改めるとは思えない。

美貴子はただ一言、ぽつりと言った。「そういう子なので」

教室に沈黙が流れる。担任は美貴子の言葉の続きを

待っているようだったが、これ以上何も言いようがない。

隣に座るあかりも無表情のまま担任の顔を見ている。

「わかりました」担任はわざとらしく息を吐き、面談を締めくくった。

思い出したらムカムカしてきた。あのときは諦めてしまったけれど、

もっとあかりの味方をしてあげられたらよかった。

 

成瀬あかりの両親像

成瀬あかりの成長

 

「成瀬は都を駆け抜ける」の一文 宮島未奈緒/新潮社

「しかし、坪井はまだ失恋から立ち直れていないのだと推測できる。

わたしだって大事な人間と離れ離れになるつらさは知っているからな」

 

「成瀬は都を駆け抜ける」の一文 宮島未奈緒/新潮社

成瀬さんは手紙を受け取り、封を開けた。

便せんにはかぼちゃのイラストがごろごろ並んでいる。

「親愛なるあなたへ」「声出さなくていいから!」書き出しから

恥ずかしすぎて強めに突っ込んでしまったが、成瀬さんは

「黙読でいいんだな」と納得した様子で便せんに目を落とした。

「今年の春に京都に来たけれど、あまり成瀬さんと会えずに残念でした」

「成瀬さんがお忙しいのはわかりますが、

もうちょっと会ってお話ししたかったです」

「僕の気持ちはあの日からずっと変わっていません」

「成瀬さんは僕のことをどう思っていますか」

俺の記憶が正しければ、そんなことを書いていた。

成瀬さんは二枚目の手紙を読み終えて、顔をあげた。

「西浦は、わたしにとって大切な存在だ」

俺はへなへなとしゃがみこんでしまった。

目の奥が熱くなったのを感じて、あわてて両手で顔を覆う。

「よかった…」涙を拭いながら手をはずすと、

成瀬さんも目線を合わせてくれていた。

身をかがめて向かい合う俺たちを通行人がじろじろ見ているけれど、

あの手紙を読まれた俺に恥ずかしいものなどなかった。

「西浦がここまで私に会いたがっていたなんて知らなかった。

今から三十分ぐらい鴨川沿いを歩かないか」

 

「成瀬は都を駆け抜ける」の一文 宮島未奈緒/新潮社

いつものおれならラーメンもごはんも一瞬で飲み込んでしまうけれど、

成瀬さんと同じようにゆっくり食べた。

ごはんの自然の甘みが口の中で溶けていくようだった。

 

西川貴教

滋賀県への愛について

宮島さんの印象

シリーズ完結について

宮島さんへのメッセージ

 

宮島未奈

西川貴教氏は未来の県知事と呼ばれているとか…。

勿論、滋賀県は大津だけではない…。

 

ラストは琵琶湖へ

琵琶湖湖水の湖西線

京都府の山科駅から滋賀県の琵琶湖西岸を経由し近江塩津駅(長浜市)を結ぶ、

JR西日本の鉄道路線(営業キロ74.1km)

 

琵琶湖疎水

明治期に琵琶湖と京都を結んだ運河事業 36びわ湖疎水船が運航

 

「成瀬は都を駆け抜ける」の一文 宮島未奈緒/新潮社

吉嶺さんからもたらされる成瀬情報を浴びるうち、自分が大津の空気に

チューニングされていくのがわかる。このまちには成瀬がいるのだ。

 

故郷は場所じゃなく人。間室道子

 

作家デビューと今後 宮島未奈

私は成瀬を書くのは楽しくない

楽しかったら四巻も五巻も書きます

 

宮島さんには読者と一緒に駆け抜いて欲しいと思っています。間室道子

 

間室道子さま❣最高でした。

やはり読み込んでいらっしゃる方のコメントの説得力は違います。

一言一言聞き惚れてしまいました。

  

2026年2月10日火曜日

村雨さんと日本庭園たしなみ巡り 二条城

春北風(はるきた)や法の隙間を悪用す

山笑ふ余白を持った生き方よ

永き日や経年美化の作り上ぐ

春の犬カメラ向けると愛想なし

熱き飯しょいのみ載せた春の朝

 

■村雨さんと日本庭園たしなみ巡り 二条城

庭師 俳優 村雨辰剛

世界遺産 元離宮二条城

❝江戸幕府の始まりと終わりの地❞ 

徳川将軍家の創意工夫が詰まった庭園

徳川家の思惑と庭師の計算

蘇鉄の冬化粧

京都市中京区 総面積東京ドーム約6個分

国宝や重要文化財が存在 全域世界文化遺産

 

元離宮二条城事務所 文化財保護技師主任 今江秀史

 

二条城は徳川将軍家の京都の宿泊所

朝廷公家大名に徳川の権威を見せつけるために造られた

❝江戸時代を象徴する場所❞

二の丸御殿 庭園 本丸御殿 庭園 清流園

二の丸庭園 特別名勝

唐門 龍 虎 鶴 権威を見せる豪華さ

二の丸御殿 国宝 国内の城郭に残る唯一の御殿群

 

御殿群とは六つの建物が連なってできていた

「私」と「公」 公共とプライベートが分かれている

入口に近い遠侍(とおざむらい) 二つ目が式台 三つめが大広間

四つ目が蘇鉄の間 五つ目が黒書院 六つ目が白書院(寝室と居間)

部屋によってどんな庭が必要か意識して造られている

いる場所によって庭の角度 作り方が変わってくる

 

書院造庭園 見る角度によって景色と意味が違う

石の見え方がガラッと変わる場所へ

二代将軍・秀忠と三代将軍・家光の時に後水尾天皇を二条城に招待

行幸御殿 1626年寛永行幸 五日間滞在 江戸時代最大級のイベント

 

たしなみポイント 

石のすえ方で天皇への敬意を示す

後水尾天皇が行幸御殿から眺めた風景 石が印象的

石の面が天皇に向いている 石理=石の並び方や形

天皇にひれ伏している 石が人に見えてくる

 

能舞台

行幸御殿からの景色を際立たせている 主役と脇役

 

たしなみポイント

角度によって主役の石が変わる

庭師のセンスに関わってくる

石のすえ方で見え方が決まる 緻密な計算

「これが徳川幕府の文化力だ!」

当時の庭師は徳川家直々に仕事 間違えたら首が飛ぶ

 

大広間 将軍と大名や公家が対面する場所

対面所 公家や武将たちが将軍と対面 格付けが重要

廊下を歩いてきながら見る庭 公家や大名が見た景色

 

滝 別世界=将軍に近づいてきた

庭に向かっていく目線 目線を誘導 

「自分たちの文化力はどうだ!」

対面所からが一番立派な見栄えの庭

 

たしなみポイント 

「大広間」の前が一番立派に見える視点場

 

黒書院 将軍家と近しい人だけが入れる場所 プライベート空間

滝 入江の島との間が閉じていく ちっちゃい池になったかのような錯覚

将軍が見た景色 蘇鉄の冬囲い 

戦国時代から南国の植物や園芸植物が交易で取り入れられてくる

文化力と富の象徴 蘇鉄を寒さから守る「冬化粧」

 

樋口造園 庭師 庭師歴二十六年 吉野瑞穂

 

毎年11月に冬化粧 藁で編んだムシロ「こも」を巻く

藁束を等間隔で留める 藁を均一に広げる 結び目を裏返して隠す

これまでが一連の作業 冬化粧の完成

 

本丸御殿

明治の庭の特徴 白砂敷きの園路 石を伏せてすえている

二の丸庭園は石が立てられている

芝地の築山 非常に低い築山

 

たしなみポイント

明治の庭は石が伏せられ 芝生が多く広々している

 

1867年 大政奉還 政権が朝廷に移り「二条離宮」へ

明治27年 桂宮御殿の一部を移転 本丸御殿となった

当時は今と全く違う庭だった 作庭当時の庭

平安時代末期をイメージした庭 庭師 井上清兵衛が作庭

明治天皇は新しい時代の庭を目指していたので造り変えさせた

 

昭和40年作庭 清流園 ダイアナ妃など国賓を迎える庭園

唐門 プロジェクションマッピング

 

ここは唯一無二の場所