2025年12月11日木曜日

100分de名著 「死ぬ瞬間」

寒竹の子光と水に育まれ

冬空をドクターヘリの急ぎ行く

冬の陽を背に受け点てるお薄かな

炉開きや茶筅前後に迅速に

武者小路千家の炭手前

 

100de名著 キューブラー・ロス「死ぬ瞬間」

1終末期患者への向き合い方

死の専門家

エリザベス・キューブラー・ロス

伊集院光 阿部みちこ 島薗進

 

死に向き合うプロセス 患者自身の経験に即して述べている

200人に及ぶ終末期患者のインタビューを基に

死に瀕した人間の心を明らかにした本

 

キューブラー・ロスは10代でボランティア活動を開始

30歳を過ぎてから医師になった

医師だけど医師からはみ出している

 

この本はたんに、患者を一人の人間として見直し、

彼らを会話へと誘い、病院における患者管理の長所と欠点を

彼らから学ぶという、刺激にみちた新奇な経験の記録に過ぎない。

鈴木晶・訳

 

ペスト 結核 天然痘などの感染症がほぼ克服された

 

シカゴ大学ビリングス病院 勤務

 

科学が発達すればするほど、私たちはますます死の現実を恐れ、

認めようとしなくなる。(中略)

もっとも重要な事実は、今日、死の過程がいろいろな意味で

以前よりつらいものになったということである。

死の過程はより孤独に、より機械的に、より非人間的になった。

 

患者は少しずつ、だが確実に、物のように扱われはじめる。

彼はもはや一人の人間ではない。

あらゆることが彼の意見を聞かずに決まっていく。

反抗しようとすれば鎮静剤を打たれ、何時間も待たされ、

体がもつかどうか気をもまされたあげく、

手術室か集中治療室に運ばれる。(中略)

十人以上の人がベッドの回りにいながら、全員の関心は彼の心拍数、

脈搏、心電図、あるいは肺機能、分泌物、排泄物だけに向けられ、

人間としての彼には誰も目を向けようとしない。

それに異議を唱えたとしても、すぐに黙らされることだろうー

これはすべて患者の命を救うための処置なのだ。(中略)

患者をまず人間として考えたりしていては救命の好機を失ってしまう!

 

死は敗北である 死を避けざるを得なかったのです

死を忌避する人々

尊厳はどこにあるんだ 本人の意思はどこにあるんだ 伊集院

 

エビデンスに基づいた治療をしなければいけない

エビデンスは数字で出てくるのでそこに頭がいってしまう

死の避妊 死に目隠しをしている キューブラー・ロス

 

医者の判断だけで動かされている もう侵略されている

人としての部分は破壊されている 伊集院

 

アウトサイダー的な医師だからこそできた 島薗

 

私たちは死に対して「婉(えん)曲法」を用いる。

たとえば眠っているかのように 死に化粧をほどこす。

(中略)病院で親が死に瀕していても、

子どもたちを見舞いに行かせない。 キューブラー・ロス

 

死を見つめないというのは 人類そのものの長い習性

死という向き合いたくないものへの心の準備が

できていないので 自己防衛のために否認する キューブラー・ロス

 

科学文明の影響が及ぶ前の時代は死の否認は強くなかった キューブラー・ロス

 

スイス チューリッヒ 1926年 三つ子の長女として誕生する

父・エルンスト 

 

その農夫は木から落ち、助かりそうもなかった。

彼は家で死なせてくれと言い、

その願いはだれからも反対されずにかなえられた。

彼は寝室に娘たちを呼び、それぞれと

二人きりで数分間ずつ話し合った。(中略)

彼は死んだ。でも自分が建てた愛する家にそのまま安置され、

彼の死に顔を最後に一目見ようと友人や近隣の人々が集まってきた。

もし患者が、慣れ親しんだ最愛の家で最期を迎えられるならば、

患者のための特別なことをあれこれ考える必要はない。

家族は彼のことをよく知っているから、

鎮静剤の代わりに好きなワインを一杯与えるだろう。

 

安らかな死 宗教

 

死の向こう側には神様や先祖の領域があり

死ぬというのはそこへ移っていくこと

自然に死は受容できる 

それ(宗教)がないと死は怖いだけ

恐れるばかりで受容できないものになってしまった

かなり分厚い人のつながりの中で死んでいく

宗教と人とのつながりがセットになっていた 島薗

 

過去

🔸死を迎える人の痛みを取り除く役目⇨宗教

近代以降

🔸科学技術が進歩

…医療は患者の治療を目指す⇔病床の人は死に向き合おうとする

🔸宗教への親しみが薄れる

…死の不安や悲嘆にくれる人を支えるものがない

 

死を克服したと医学は思い込むが大本の「死は古代から怖い」

ということに関してのケアはなかった 伊集院

 

シカゴ大学 1965年 キューブラー・ロスは迎えられる

「死とその過程」の授業を行う

講師に迎えたのは重い病を抱えた患者

 

セミナー中のやり取り

キューブラー・ロス「死ぬときのイメージは何かしていますか❓」

男性患者「いえ ただ惨めな終わりでなければと」

キューブラー・ロス「何かあなたの助けになれそうなことはありますか❓

例えば一杯のウイスキーとか独りにならないように友達になることとか」

 

このインタビューの目的

私たちがしようとしているのは患者さんから学ぶということなんです。

(中略)どうやったら、患者さんのことを本当に知り、その人が

どんな請求を持っているかを見つけ出せるのか。

そういうことを学ぼうとしているんです。

 

苦しむ患者を研究材料にしている と大きな批判を浴びますが

自分も語りたいという患者も後を断ちませんでした。

その数およそ200人にも上りました

 

「死ぬ瞬間」はキューブラー・ロスと患者たちの記録なのです。

終末患者へのインタビュー

 

お医者さんが死の玄人なのかどうか

患者の孤独が聞いて欲しいと思ったのでは…❓

人との交わりの中に自分は居続けたい そのことに気付けなかった医療界

生き甲斐になったのでは❓ 伊集院

教えて欲しい 自分たちが分からないことを

あなたたちこそ知らせてくれるんだ そこの姿勢が明確に出ている

 

キューブラー・ロスの意図は❓

医療者側が当たり前と思っていたことがそうではない

自分自身を省みる 自分たちがヒントを貰って変わっていく

かつては死ぬ人と周りの人たちが

気持ちを交換しながら死を迎える場があった

人間同士の場を作るという試み 

2025年12月10日水曜日

私の愛する印象派&伊勢物語&絵の絵画史

本質と今向き合わん初時雨

冬の月虚飾を生きる人のをり

手仕事に込めた時間や冬暖(ぬく)

冬の蚊や羽音元気に耳元を

冬の鹿闘争心は失わず

 

■日曜美術館 私の愛する印象派

私とGauguin 大岡信(詩人)

 

ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919)

私とルノワール 池波正太郎

ダンウェルス嬢の肖像

「熱烈!傑作ダンギ ルノワール」佐藤可士和 高階秀爾 大宮エリー

ルノワールの描く女性は年齢を考えないとフレイルでは…❓

 

クロード・モネ(1840-1926)

私とモネ 古井由吉(芥川賞作家)

モネ 自然を見つめるまなざし 野見山暁治

夢のモネ 傑作10選 原田マハ

 

エドガー・ドガ(1834-1917)

私とドガ 桑原甲子雄(きねお)

私とドガ 佐藤忠良

 

エドゥアール・マネ(1832-1883)

オランピア 草上の昼食(水浴)

マネ 近代市民絵画の旗手 赤瀬川原平

 

マネは見た都市生活者の秘密 イッセー尾形

フォリー・ベルジェールのバー 自分を売るバーメイド

 

ポスト印象派

ポール・セザンヌ(1839-1906)

近代絵画の父 

セザンヌはなぜ❝水浴画❞を描いたか 吉田秀和

夢のセザンヌ傑作10選 山口晃

 

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)

ゴッホ 魂の造型 髙山辰雄

ゴッホ 天才の挑戦 なかにし礼

夜のカフェテラス 

 

ポール・ゴーギャン(1848-1903)

かぐわしき大地

私とゴーギャン 大岡信

ブルターニュ 不思議の大地~ゴーギャンたちの飛躍~ 小野正嗣

ポン=タヴァン トレマロ礼拝堂 黄色いキリスト

 

■日曜美術館

・「伊勢物語 美術が映す王朝の恋とうた」

藤原業平

ちはやぶる神代もきかず立田河からくれなゐに水くゝるとは

(不思議なことが多かった神代にも聞いたことがありません

 龍田川の流れを深紅に絞り染めにするなんて)

 

伊勢物語は業平自身がモデルではと言われている

 

紫式部の「源氏物語」絵合わせの巻きの中に

絵の優劣を競い合う遊びが行われている 

その中で源氏方の女御が出したのが「伊勢物語」の絵巻だった

「源氏物語」が書かれた11世紀初頭には

「伊勢物語」が絵に描かれ貴族の中で好まれていたと言う事がわかります

 

古今和歌集

行く水に数かくよりもはかなきは思はぬひとを思ふなりけり

(流れゆく水に数を書いても跡も残らずはかないけれど

 それよりもっとはかないのは私を思ってくれない人を思ふことなのですね)

 

伊勢物語 岩瀬又兵衛の屏風

あらたまの年の三年を待ちわびてただ今宵こそ新枕すれ

(三年もの間あなたを待ちわびてちょうど今夜別の方と結婚します)

 

合貝(伊勢物語)18世紀

 

・猫の絵画史

エドゥアール・マネ オランピア

マネが裸婦の横に描いた黒猫も官能性を象徴する役割があった

日本の動物の絵には役割は必要なかった

菱田春草「黒猫」中原實「猫の子」

藤田嗣治「五人の裸婦」「猫の教室」

藤田は官能性の象徴として猫を描いている

西洋的な伝統の上に猫を描いている

描き方は西洋の伝統も日本の伝統もわかっている

藤田だからこそ描けた猫

2025年12月9日火曜日

篠田桃紅&山折哲雄

群れ成して草の中からコウヨウチョウ

草の種食べて繁殖コウヨウチョウ

乾季激減雨季に増殖コウヨウチョウ

コウヨウチョウ百年ハウス造りをり

コウヨウチョウへ軋轢持つジンバブエ

 

■墨いろに心を託して 篠田桃紅

抽象表現主義 抽象画家 篠田桃紅

 

篠田桃紅女史の言葉

いつも裏切られているんですよ それは自分自身が自分が裏切るのと同じよ

人間はいつもうぬぼれちゃってるから自分はもうこれでいいと思い込んでいる

「あんたのは まだ この程度だよ」と 私は言いますよ 墨は

裏切るっていうより戒める いい気になるなと

 

老子は「墨は玄の色」「玄とは宇宙や人生の根源」

「墨は100%黒にはならない 明るさを一点残す」篠田桃紅女史の悟り

「人生は未完である」

生き方の自由 自らに由る=自分に頼る

 

篠田桃紅女史の言葉

自分に頼るのが自由です 

自分に頼る人生を選択した 

自由になると捉われがなくなるから

自分に客観的に見る視点が自ずと身に着く

自分を客観視するには自由でないといけない

 

人間は歳月を重ねると老いて

身体の機能が低下する一方だと思っていた

人間は老いるにつれて目の高さが高くなり 

過去と未来を俯瞰するようになる

 

老いると記憶力は弱まります 

しかし思考力は熟成されていきます

 

人生をものにする

 

■こころの時代 こう生きたどう生きる 山折哲雄 現在を問う

あのね もう今 93歳になりました 明け方2時から3時 目が覚める

頭がスーッとして本当の夜明けの静謐の時間が来る

これがいちばん頭が冴えるんですよ 冴える中でやってるのは何か

「妄想」ですよ いろんな「妄想」が出てくる 真か偽かわからない

「妄想」っていうのは

 

専念寺 山折哲雄 実家

11歳年下の弟 時信氏が現在の住職

 

親鸞ノート 服部之総著

服部之総(しそう)1901-1956 歴史学者 哲学者

呪はれたる宗門の子 と記している

 

私にとっては親鸞は信仰の対象にはなりえない 山折

 

山折時信

兄貴っていうよりも親代わりみたいなもんだったですね

学校はいる時だったかな「尊敬している人なんて書いたらいい?」

って言ったら 「そう言われたら 親鸞聖人って書け」って

言われたんですよ 一番危なげねえのは「両親だ」って

書けばいいのに 父親じゃなくて「親鸞聖人って書け」って

いうことを言われた覚えがありました(兄は)大学の時なんか

休みで戻ってくるわけです そうしてサンスクリット語

ここの部屋で勉強してるんですよ 

 

親鸞1173-1262

親鸞筆「教行信証」顕浄土真実教行証文類

和讃 人々と仏の教えを讃嘆しようと親鸞が詠んだ歌

自然法爾 90歳になった親鸞の発見でもあった

宗教とは魔物だ 山折

 

無常

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 平安物語

宮沢賢治「雨ニモマケズ」手帳

 

Jesusの人生30年 青春の宗教 老が抜けている

仏陀の人生80年 変化する顔 インド人の根幹をなす四住期(しじゅうき)

 

四住期 とは  学生期 家住期 林住期 遊行期

サヌヤーシン遊行者

 

宗教と言う言葉はなかった religion 

空海が遺そうとした言葉は初心 最澄は道心 法然・親鸞は信心・深心

道元は身心脱落 日蓮は観心 

楕円構造 宗教的権威(天皇)と政治的権力

小国寡民「小さな国土に少数の民」老子が理想とした国家像

冊封体制 中国と周辺諸国との主従体制

 

親鸞「愚禿悲歎述懐」山折哲雄筆

浄土真宗に帰すれども 真実の心はありがたし

虚仮不実のわが身にて 清浄の心もさらになし

 

非僧非俗

 

松尾芭蕉 1644-1694

僧に似て塵有 俗ににゝて髪なし

僧侶に似て俗塵があり 俗人に似て剃髪の身

 

良寛 1758-1831

俗にあらず 沙門にあらず

俗人ではなく 僧侶でもない

 

世間虚仮 唯仏是真 

親鸞の一番大切にした言葉 山折哲雄氏も…。

 

旅に病んで夢は枯野をかけ廻る   芭蕉辞世句 

2025年12月8日月曜日

兼題「鷹」&テーマ「オノマトペを入れる」

今冬の利下げ株高?予想せり

今冬の景気悪化の株価下げ?

今冬や誰の予想か?見通しか?

欠片なき責任感よ寒潮よ

北颪(おろし)繰り返される過ちよ

 

NHK俳句 兼題「鷹」

選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣

年間テーマ「俳句のコリをほぐします」

 

今月のテーマは「固有名詞」

   コカコーラ持って幽霊見物に   宇多喜代子

(コカコーラ)

   三つ矢サイダーきやうだい毀(こわ)れやすきかな   奥田箪子

三矢の訓(おしえ):毛利元就が子に一族の結束を説いた(矢サイダー)

   コンビニのおでんが好きで星きれい   神野紗希

 

3つのリスク 「個人的」「宣伝的」「限定的」

   帰省してウェッジウッドの皿もらふ   

   ハイネケンの喉ごしよろし一人の夜

   富士銀行聳え立ちをり冬の街

 

ツボポイント

固有名詞は「覚悟」と「必然」で詠む

 

・実践

A紺青(こんじょう)の夜涼(やりょう)の空や高島屋

 紺青(こんじょう)の夜涼(やりょう)の空や百貨店   飯田蛇笏

夜涼:夏の季語

B遠足の列大丸の中とおる   田川飛旅子(ひりょし)

C伊勢丹をめぐる着ぶくれ一家族

 百貨店めぐる着ぶくれ一家族 草間時彦

 

必然性とはイメージがいきるかどうか

特別な名前を使うとき プラスの効果がないと何の意味もない

 

まとめ

固有名詞のイメージや響きを表現にいかす

 

・今週の兼題「鷹(たか)

冬の季語 (孤高な存在 凛としている 目つきが鋭い 

獲物を狙ったら離さない 誉め言葉に使う)

 

特選六句発表

鷹の目や初めて嬰(やや)を抱いた日の   近藤由香子

テノールの愉()悦のごとく鷹よ翔()べ   賀()山亜紀子

(堀田季何先生はバスだったとか…。男性だったのですね…。)

車椅子押し大鷹の視野にゐる   柏原才子

 ひとはひと裁けぬゆゑに鷹の飛ぶ   沼野大統領

鷹の眼に水平線は丸からう   横縞

酋長の眼光その鷹の眼光   赤坂みずか

 

・柴田と庄司の歩み

固有名詞はプラスであれ   柴田英嗣

覚悟を持った   庄司浩平

 

NHK短歌 テーマ「オノマトペを入れる」

歌人:横山未来子 初心者:菊池銀河・横田真子 司会:ヒコロヒー

年間テーマ「三十一音で扉が開く」

 

・三十一音の扉 オノマトペを入れる

オノマトペとは「擬音語」「擬態語」のこと

擬音語:実際の音を真似てあらわしたもの

擬態語:状態や動作をあらわしたもの

 

静けさと呼吸が重くのしかかるどぅとぅんどうとぅんと朝の日比谷線

須田覚(さとし)「デカンの風がやむとき」

 

自分の感覚で捉えた音になっていることで面白い歌になっている

 

けふの疲れに軀(からだ)はしずみざらざらと無数の星に覆はるる夜

横山未来子「水をひらく手」

疲れているから満天の星空も圧迫感を感じる

オノマトペは気持ちも表現することができる

 

すっからかんすっからかんと下りてゆく缶追いかけて冬の石段

梅内美華子「若月祭」

すっからかんは空っぽと言うことを表す言葉

それをオノマトペみたいに使っている

 

・入選六首 テーマ「オノマトペを入れる」

着ぶくれて真夜(まよ)の牛舎に獣医待つ湯気ぼあぼあと仔牛生まれたり

黒澤正行

一席 レタスの葉めりめりと剥ぐ昨日より強い私が生まれるように

秋山楓

さわさわがざわざわとなり君の元へ駆けてゆく道桜のかおり

五十嵐覚子

コンビニの灯りじわりと滲んでは泣くほどじゃない夜を支える

来住瑞貴(きすみみずき)

つやつやの小石みたいな乳歯たちこどもはみんなせせらぎだった

世田夏雪(せたなつゆき)

栗林(くりばやし)書房の前を通るときふらりと長き祖父の影あり

大津穂波

 

・歌人への道

オノマトペを入れた短歌に挑戦!

わんわんと光り輝く星たちが泣いている様でほんのり安堵

菊池銀河 添削⇩

わんわんと光り輝く星たちが泣いている空の下でやすらぐ

ぴっきりとはりつむる頬突き破る猛スピードの冬のビル風

横田真子 Perfect

 

ぬ ぬぬぬ ぬぬぬぬぬぬぬ 蜚蠊(ごきぶり)は少しためらひ過りゆきたり

宮原望子(もちこ)「これやこの」

 

・ことばのバトン

渡せなかった手紙を燃やす 

谷口泰星(コピーライター)

赦すほかないほどの星、星、星、

挿元おみそ(SNSクリエーター)

 

したたかな方だと思うどちらかと言えば加害者側だとも思う

変な歌集を出したいですね! 

2025年12月7日日曜日

藤井厚二「聴竹居」&上野章子(高浜虚子の六女)

不公平満載の給付金冬の朝

大銀杏満月銀杏乳銀杏

おこり炭朽ちゆくものの儚さよ

かの国のせこき精神落葉焚(おちばたき)

寒昴(かんすばる)響き始めたジャポニズム

 

■新美の巨人たち 藤井厚二「聴竹居」

97年 竣工:昭和3(1928)年 建坪約50坪 平屋建 最先端住宅

聴竹居(ちょうちくきょ) 重要文化財 理想の暮らし

藤井厚二 

求めたのは豊かな暮らし 穏やかな暮らし ちょうどいい暮らし

 

其の国の建築を代表するものは住宅建築である

 

松隈晃 聴竹居倶楽部 代表理事

 

藤井厚二は日本の空間 和の中にモダンを

見出した建築家と言えると思います

当時はやっていたモダニズムの材料っていうのは

とうぜん人工の素材ですけれども

それを日本の素材 例えば竹なんかを

用いることによって調和をはかりました

 

藤井は新しいものをどんどん取り入れて

家事労働を軽減し衛生的で快適な日本最先端住宅を

つくったと言えると思います

 

SDGsな家だった

 

理想とした日本の住宅を追求するために…。

大正8(1919)年 私費で欧米諸国を視察

 

当時の建築家と言えば 近代的で西洋的な

公共建築が求められた時代だったんですけれども

藤井は住宅を本気で手掛けた

最初の日本人建築家と言えると思います。

 

9カ月の欧米視察 

 

吾々の建築は他を模倣したものでなくて

我が国の気候・風土・習慣にピッタリと

適合したものでなければならない

 

藤井厚二 40歳 第五住宅「聴竹居」昭和3(1928)年竣工

空気と光をデザインする

クールチューブ(導気口) 桂川 宇治川 木津川

 

夏場にそれを確かめてみると 土管の中で冷やされた空気が

34度下がって入ってくると言うことは私が確かめました

クーラーのない時代に自然の力を如何に使うかという

中で思いついてアイディアだと思います

 

すりガラスはそもそも光を和らげる効果があるんですけれども

藤井が考えていたのはまた別な事で 実は軒を隠すために

「すりガラス」を設けています 閉めるとちょうど座った位置で

隠れる所まで「すりガラス」にしていると

 

一幅の絵画を狙った

 

日本の住宅は壮大で感動的な様子は持たない

ただ見るもの全てに慕われるような魅力がある

 

 昭和6(1931)竣工 下閑室(茶室 しもかんしつ)

竹の音を聴く まさに聴竹居だった

 

藤井厚二 享年49 (18881938)

 

聴竹居 https://chochikukyo.com/

 

Facebook 仮名書研究会 

落ち葉舞う落ちるところの運不運   上野章子(高浜虚子の六女)

2025年12月6日土曜日

あの人に会いたい 藤村志保

レベル下ぐ好かれなくとも帰り花

小春空素泊まり宿が駅前へ

池田町ニホンカモシカ出現す

茶の花やひっそりとかつ凛と咲く

蒼き空色無き街の雪化粧

 

■あの人に会いたい 藤村志保(俳優)

2025(令和7)年 86歳没

 

仕事ごとに違う人物になるわけですね 

もう何百とおりの人間になったかわからない

やはり俳優としての仕事はとても魅力的だと思います

 

みつばちマーヤなんかやりましてね 地声が大きい

大きな会場でも声がビーンと通るんです

ですから小さいときも学芸会でヒロインになったりしました

 

19歳で日本舞踊の名取に

アメリカ留学を決意

 

私のたった一人の兄が1か月での闘病生活で亡くなってしまった

それで私のアメリカ行きの夢がどうしても行けない状態になりまして

私としては兄を失った悲しみと自分の1つの青春をかけた夢が

壊れたという 何とも気持ちの中でおさまらない 何かに

ぶつけたいっていうことになりまして 

 

1961(昭和36)年 大映京都撮影所演技研究所へ

翌年、市川崑監督作品「破壊」でデビュー

市川雷蔵の恋人役でした

 

15メートルぐらい奥から走ってきて 

カメラ1メートルぐらい前で止まって

見つけて「あ」って言ってから 恥ずかしそうに去るまでの

何秒 何十秒までいきますかね ほんの短い(シーン)ですけれど

リハーサル リハーサルで とうとう監督さんが何十回かの

リハーサルのうち「〇回目がいい」とおっしゃったんです

でも私 自分で全然わかりません そうしましたら雷蔵さんが

「新人の子に〇回目がいいなんて無理だよ 監督さん」って

おっしゃってくださいまして 

 

昭和40

(島崎)藤村の作品でしたのでね 藤村に読ませていただいて

役名の志保をいただいて 藤村志保ってなったんです

 

ちょうどその頃はテレビに出てはいけないと言われていたのね

私たち映画の人は でもNHKの方が一生懸命粘ってくださって

「太閤記」に出られるようになりました

 

映画は1カメでしょ カメラが1台で でもテレビに来たら

こういうふうにスタジオの中に今日も4台あって あっという間に

ワンシーンが撮れてしまう カットを割らない それから

あらゆるジャンルの俳優さんが集まっている 映画は大映でしたら

大映専属(俳優だけ)ですから なかなか共演できない よその方と

ご一緒したり とっても刺激的でした

 

大河ドラマ「太平記」1991年 では小道具への拘りも見せました

小道具の地蔵菩薩 

(清子は)地蔵信仰ということを尊氏に教えて戦乱の時代は

救いがなければいけないんだみたいな 精神的なものを

伝えていく役だったものですから 尊氏が念持仏として持っていた

お地蔵さんが鎌倉の宝戒寺というお寺にあるんです でも 本物を

お借りしてくるわけにはいきません それで私が彫刻家の方に

模刻していただいた原寸と同じに

 

てるてる家族 2003

練習のときは人肌にいちいち練習したら大変です こういうパフね

自分用の鍼管と鍼を置いて常にね 大阪へ行く新幹線の中で

ちょちょちょんちょん 練習しながら新幹線に乗っていたの

 

舞台「北越誌」2006

私の目の角度というか位置ね お人形さんと本当に2人が

話をしているように 見えるかどうかが 一番難しい所ね

 

藤村志保著「脳死をこえて」昭和60

兄の死とか それから自分の病気とかね そういう事が重なって

生きることのありがたさというか 当たり前のことなんですけど

1人でも多くの方にもしものことがあったら お互いに苦しんでいる

人を助け合いましょうっていう 気持ちを皆さんに

持っていただけるように 

 

さらに絵本の読み聞かせにも挑戦、熱心に取り組まれました

 

出会いと言うことが大事なのね 新しい自分 気づかなかった面が

出てくるみたいな楽しさがありますから いつもいつも自分だけの

発想の中で 「私のできるのはこういう役柄」「これはできない」

とか言っていないでね 全く新しい血というか 方たちと

出会うことで 1歩も2歩も前へ進めるとしたら その出会いは

すばらしいし そういうお仕事がしたいな

2025年12月5日金曜日

高い買い物で一句

冬天や道具造りの竹探し

息白し竹の命は短くて

冬陽射し朽ちゆくものへ美を求め

冬の灯や四百年の重みかな

冬の水世界に向けてジャポニズム

 

■プレバト纏め 2025124

高い買い物で一句

梅沢富美男 横尾渉

 

特別永世名人 梅沢富美男 締めの一句 

初買は即決トラック11

(最後にくる驚き 夏井いつき先生の言葉

新年らしい勢いとめでたさ後半の展開に意外性

最後に数詞を持ってきた これが良かった 

大きさ迫力値段がリアルに想像できる 実体験はやはり強い)

 

永世名人 横尾渉 傑作50

風花の三鷹の森やセル画買う

(風花:冬の季語 雲のない晴天にちらつく雪

 あえてジブリと書かない企み 光景を詠んだ句かな?

 詠嘆「や」上の言葉を強調「!」のような効果

セル画というものに映像が切り替わる

三鷹の森のジブリ美術館かも知れない 

風花とセル画の透明感も響き合う)

 

一位 安藤和津

バーキンの爪痕はこのかじけ猫

(かじけ猫:冬の季語 冬の寒さに縮こまっている猫

 映像から猫ちゃんの表所まで詠んでいる

 バーキンという固有名詞が持っている情報量が一句の肝

 指さすような書き方も良い 俳句でどこまでやれるかを解説

ニュアンスが変わる あ!コイツが! 

俳句は助詞12つでドラマを変えることもできる)

バーキン爪痕さてはかじけ猫

 

二位 二階堂高嗣

冬の虹贈る新居や両親に

添削(俳句としては平凡 語順 季語が前へ出てくれる

   詠嘆「や」が強くなる)

両親送る新居や冬の虹

 

三位 ベッキー

寒厨や五口コンロで気満ちたり

添削(寒厨:冬の季語 冬の寒々とした台所・厨房

   数詞が映像になっている 「で」という助詞が散文的

   感想ではなく映像にする 熱 皮膚の感じ 湯気 見えてくるもの

   俳句は感想ではなく映像)

寒厨や五口コンロの熱と湯気

 

四位 おいでやす小田

冬の朝錆びた7鉄出番待つ

添削(凡人は擬人化したらやった気になる 出番待つ

   青空のゴルフ場 晴)

お守りの錆びた7鉄冬の

 

五位 石田健

凍て空や格子の名札まだ匂ふ

添削(言葉の選び方のミス 格子は乱暴 名札ではわからない

   町屋の大きな光景から表札にカットが変わる

   「新しい」を「まだ匂ふ」で表現 型も勉強している

   将来性のある才能ナシ 「化ける有望株見つけた」この句

   あと1回か2回やったら二階堂君はすぐ追い越す)

凍空の町屋表札まだ匂ふ

 

清水麻椰チャレンジ

冬夕焼のパリ不慣れな一眼レフ